ホーウィンと新喜皮革のコードバン。どちらが優れているのか?さまざまな特徴の違いを比べてみた

ホーウィン社と新喜皮革のコードバン

馬の原皮から一貫して「上質なコードバン」を作ることができるタンナーは2社だけ。

ホーウィン社と、新喜皮革社です。

この2社以外にもコードバンタンナーはあります。イタリア、アルゼンチンなど、さまざまな国で作られています。

しかし、最高のコードバンを手に入れたいなら、日本有数の革工房が採用するホーウィン社か新喜皮革社のコードバンをセレクトするのが一番でしょう。

では、どちらのコードバンが良いのか? 

これは、なかなか判断が難しいはず。

本ページでは、両社のコードバン製品を30以上使ってきたコードバンマニアの視点で、それぞれの特徴、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。

ホーウィン社と新喜皮革、どちらのコードバンを手に入れるのが正解なのか。決着をつけましょう。

=>コードバン財布の選び方
=>コードバンベルトの選び方

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コードバンについて

本ページでは「コードバンの特徴」は解説しません。
コードバンについて詳細に知りたい方は、以下のページをご覧ください。

=>コードバンとはどういった皮革なのか。そのメリット・デメリットに鋭く迫る

トップクラスのコードバンタンナー

ホーウィン社と新喜皮革、両社のコードバンついて、ザックリと解説します。

ホーウィン社について

ホーウィン社(Horween Leather Company)は、アメリカのシカゴに居を構える、1905年創業の老舗タンナーです。

少しだけ、ホーウィン社とコードバンの歴史を、ご紹介します。

コードバンは、スペインで生まれた革と言われています(諸説あり)。その後、アメリカにコードバン作りの技術が渡り、多くのタンナーが生まれましたが、ほとんどが廃業してしまったなか、生き残ったのがホーウィン社です。シェルコードバン裏にスタンプされた創業年は、上質なコードバンを作り続けてきた証です。100年以上コードバンを作り続ける老舗タンナーなのです。

ホーウィン社のコードバンを使った製品としては、ALDENの革靴が有名ですね。世界中のトップメゾンに選ばれ続ける、まさに世界一のコードバンタンナーです。

シェルコードバンの希少性

日本に流通する革のほとんどは「クロムなめし顔料仕上げ」で作られています。この製法の革は数日で作ることができるため、安価に量産できる。安価な製品で使われることが多い。

ビビッドな色合いを得意とし「新品のときの表情」を長く楽しめるのが特徴です。一方、自然な風合いは控えめで、色・ツヤが変化するエイジングを楽しむことができません。キレイな発色ですが、透明感がなく、均一な表情ですね。
JOGGO 長財布 表情

一方、シェルコードバンは、6ヶ月もの時間をかけて作られています。

ちなみに、ホーウィン社の代表作に「クロムエクセル」という革があるのですが、こちらは30日で完成。コードバンは作るのに時間がかかる革なのです。

コードバンは「希少な革」としても有名です。2012年には原皮の供給がストップして、一切の生産ができなくなったほどです。日本有数の革工房でさえシェルコードバンのアイテムを限定販売していたり、売り切れ担っていることが多いのは「シェルコードバン」を確保できないからです。

ホーウィン社のシェルコードバンの特徴

動画

色、ツヤ、質感などが伝わると思います。

最初からギラリと光る表情

たっぷりとオイルを含んでいるのが特徴です。
DSC07476

新品のときから、やわらかく、それでいてハリのある質感。ツルツルとした表情とは裏腹に、手にしっかりとフィットします。新喜皮革のコードバンより油分が多いことが触れた瞬間にわかります。

ラフな表情

表情は、「ラフ」。色合いは均一ではなく、少しムラ感があります。

DSC07475

淡い色のコードバンだと、より一層、ムラが目立ちます。

1mmに満たないのですが、ピンホールと呼ばれる毛穴もありますし、血管の跡も残っていたりします。
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このラフ感こそが、ホーウィン社シェルコードバンの特徴です。自然な風合いとギラリとした光沢があいまった表情は、まさに威風堂々。

あらゆる空間で人目を引く、主張の強い革。それでいて品のある佇まいを備える。これが、ホーウィンの魅力だと思います。
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言い換えると、コードバンに「均一な美しさ」を求めるのなら、ホーウィン社を選ぶべきではありません(新喜皮革をセレクトした方が、きっと満足できるはずです)。

革の作られた時期、ロット、馬の個体によっても微妙に違いがあります。たとえば、#4(ナンバー4)は2トーンの個体でした(中央で色合いが変わっています)。

同じ色でも個体差があります。ココマイスターの財布と、WILDSWANSのキーケース。どちらも#8(ナンバーエイト)と呼ばれるカラーのシェルコードバンです。エッジの光沢が美しいですね。
cordvan-1

どちらも同じように見えますが、これは遠目でのルックス。アップで見てみると、色合いや、表情が少し違います。
cordvan-2

どちらが良いということではありません。ロットによって違いはあるのです。どちらも美しく変化していきます。荒々しい風合いも含めてエイジングを楽しみたい、そんな方におすすめできるコードバンです。

写真ではわかりにくいかもしれません。シェルコードバンの#8を以下の動画で比べています。

ちなみに、ラフな質感は最初だけ。

ホーウィン社のシェルコードバンは、革の芯まで浸透させる、染料仕上げ。さらにタンニンでなめされているため、色は深まり、ツヤも増していきます。表面もさらにスムースになっていくため、毛穴も目立たなくなります。

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新喜皮革について

日本が世界に誇る、創業1951年のタンナー。 姫路に居を構える、馬革を専門とするプロフェッショナルです。

コードバンの原皮はほとんどがヨーロッパの農耕馬です(サラブレッドのような筋肉質な馬、ポニーなどの小さな馬からは採取できません)。そもそも原皮が貴重なため、すべてのタンナーが輸入できるわけではありません。そういった中、日本で原皮を取り扱うことができる日本一のタンナーが、新喜皮革です。

新喜皮革のコードバンの特徴

動画

新喜皮革のコードバンバーガンディです。色、ツヤ、質感など参考になると思います。

大変美しい仕上がりです。透明感に加えて、ヌラリとした光沢があります。
コードバン アップ

ホーウィン社のコードバンよりもムラが少ないのが特徴。日本のタンナー、新喜皮革ならではの、丁寧な仕上げといったところでしょうか。表面のザラつきもなく、サラサラな仕上がり。

ハリ感が強いため、カッチリとした質感がお好きなら、新喜皮革の方が気に入ると思います。

また、マットな表情のコードバンもあります。
WILDSWANS コードバン 表情2

マットなコードバンの真髄は、エイジング。とろりとした陶器のような光沢を身にまといますので、変化を楽しみたい人にオススメです。

レーデルオガワ社について

コードバンはバツグンの輝きを放つようにイメージされるかもしれませんが、その風合いや、光沢の度合いは「仕上げ」によって大きく変わります。

レーデルオガワは、「コードバンの仕上げ」を専門とする企業です。

新喜皮革のコードバンに、染色、艶出しなどの仕上げを施して完成させる「仕上げのプロ」です。バツグンの光沢と透明感のある肌目は、レーデルオガワ独自の「アニリン仕上げ」という技法によるもの。

新品のときは「マット」な表情なものもある(仕上げによって違います)。ツヤは抑えられています。
WILDSWANS コードバン 表情

とはいえ、この表情は最初だけ。使うほどに光沢が増すエイジングを楽しむことができます。

レーデルオガワのコードバンは、日本有数の革工房、キプリスGANZOクレバレスコなどで採用されています。品質の裏付けとして十分でしょう。

以下の動画はレーデルオガワ社コードバンのブルーです。

ホーウィンVS新喜皮革。どちらが優れたコードバンなのか

先に結論を言います。

ホーウィン社と新喜皮革のコードバン、どちらをセレクトしても満足できます。

表情、光沢感などの違いはありますが、どちらもコードバンの魅力を堪能できるからです。

日本有数の革工房が、両社のコードバンを使い分けてシリーズ化しているのは、どちらも最高峰だからです。

両方とも素晴らしいコードバンであり、特徴が違う。私がNo1を決めるのはおかしな話です。
どちらが良いか?ではなく、「気に入った方」をセレクトして間違いありません。

いくつかの視点で、コードバンの違いを見ていきましょう。
ざっとまとめると、以下のとおり。

ホーウィン 新喜皮革
光沢 ★★★ ★★
透明感
色ムラ
エイジング
なめらかさ
やわらかさ
耐久性
レア度
価格

※新喜皮革とホーウィン社のコードバンで作られた、財布、キーケース、ベルトなどを使い比べてみた主観で★を付けています。

各項目について、見ていきましょう。

光沢

ホーウィン社はギラリとした光沢を最初から身にまとっているものが多い。ただ、個体差があります(ホーウィン社のシェルコードバンにはグレード(等級)があり、大きさも違うし、部位によって光沢も違います)。

20個くらいホーウィンシェルコードバンのアイテムを買っていますが、光沢の度合いには差があります。全体的に新喜皮革のコードバンよりテリ感が強いです。DSC07476

ヌラリとした光沢といったところ。

一方、新喜皮革のコードバンは均一で、繊細な光沢です。部位による差もすくないため、ロットブレもない。

なお、使い込むことで、どちらのコードバンも光沢が変化します。

最初からツヤのある光沢を楽しみたいならホーウィン社を。マットな質感から、変化する様を楽しみたいなら新喜皮革をセレクトしましょう。

透明感

新品のときは、ホーウィン社のコードバンが抜きん出た透明感です。
DSC07317

レーデルオガワのコードバンは、マットな仕上がりもある(使うほどに透明感が増してくるので、マットな表情は最初だけです)。
YUHAKUコードバン束入れ サイズ感

光沢があるものもある。

色ムラ

ホーウィン社のコードバンは、色ムラがあります。自然な風合いが好きなら、気にいるはずです。
DSC07475

特に淡い色のコードバンほど、色ムラが顕著です。

一方、新喜皮革の方は、均整な色合いです。特にレーデルオガワによって染色されたコードバンは、みずみずしい透明感のある色合いです。
YUHAKUコードバン束入れ 色合い

繊細で、奥行き感のある仕上がりは、日本のコードバンの特徴ですね。 

エイジング

「エイジングとは何か?」。さまざまな意見があります。語りだすと脱線するので、革のエイジングについて詳細に知りたい方は、以下をご覧ください。

参考:革のエイジングとは何か

本ページでのエイジングは、色、ツヤなどの「変化の度合い」とします。どちらが「より変化するか」で比べましょう。

結論から言うと、より変化が顕著なのは、新喜皮革のコードバンです。

特にマットな質感の新喜皮革コードバンは光沢の変化を最大限楽しむことができます。ギラリと輝くように変化していく様を、もっとも味わえます。

例として、新喜皮革のコードバンの変化をご紹介します。こちらは、新品のとき。スムースでマットな表情に、微細な光沢を帯びた表情です。美しいですね。

そして、300日ほど持ち歩いたもの。
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陶器のようなとろりとしたツヤが生まれています。これが、コードバンでしか味わえないエイジングなのです。KTW-008-19


一方、ホーウィン社のコードバンは、最初からツヤ感があります。これが更に増していきます。(迫力が加わるといった表現がピッタリです)

以下は、2年以上使った#8の動画です。小キズは付きますが、ヌラリとしたツヤ、迫力が伝わると思います。

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色の変化について

新喜皮革とホーウィン、どちらのコードバンにも言えますが、ブラックなどの「濃い色のコードバン」は、色の変化はあまり感じられません。

色の変化も楽しみたいなら、淡い色のコードバンをセレクトしましょう。

色の変化、濃淡を楽しめます。

ただし、ブラックやバーガンディーといった濃色のコードバンの製品が多いです。

なめらかさ

ホーウィンは自然な風合いを残した仕上がり。一方、新喜皮革は均一な表情になるように磨きをかけています。どちらかというと、新喜皮革の方がスムースです。

写真はレーデルオガワのコードバンです。
DSC07164
WILDSWANS コードバン スムースさ

ホーウィン社のコードバンは、ラフな仕上がり。「ピンホール」と呼ばれる毛穴があったりもします。
ホーウィン シェルコードバンの表情
DSC07467

ただ、これも気にしなくてよいです。

コードバンは目に見えないほどの微細な凹凸が残っているのですが、使うほどにその線維が寝ていきます。次第になめらかに、よりスムースな表情に変わっていくため、気にならなくなります。

やわらかさ

シェルコードバンの方がたっぷりとオイルが含まれているのでしょう。ホーウィン社のコードバンの方が柔らかいです。ちゃんとハリはあるのに、ふっくらとした柔らかさがあります。何というか、触れていて気持ちが良い仕上がりです。
DSC07320

新喜皮革は、もう少しハリがある感じですね。

ふっくら・オイリーな質感を味わいたいなら、ホーウィン社を。
カッチリといた質感がお好きなら、新喜皮革が良いと思います。

ただし、「財布の硬い・やわらかい」は、「コードバンだけ」で考えても意味はありません。なぜなら、ほとんどのコードバン製品は、コードバンと他の革を組み合わせて作られているからです。
YUHAKUコードバン束入れ ソリッドな装い

革を張り合わせることで、財布の剛性がグッとあがり、硬くなる。つまり、やわらかさ(ハリの度合い)は、コードバンだけでなく、組み合わさる革と、仕立てによって決まるのです。

水やキズへの耐久性

キズや水への強さです。

どちらも水に弱い。水が付着すると、数秒で浸透し、染みができます。

なお、水シミができても、メンテナンスにより光沢は復活します。

また、キズにも弱い。強くひっかくキズの場合、もとがスムースなだけに目立ちます。

レア度

圧倒的にホーウィン社です。シェルコードバンの希少性は群を抜いています。

新喜皮革のコードバンは、販売している革屋が多い。
一方、ホーウィン社のコードバンは、取り扱いが少ない。

生産が少なく希少なこと。また、世界のトップメゾンが採用する革ですから、流通量が圧倒的に少ないのでしょう。

日本有数の革工房でさえ、ホーウィン社のコードバン製品は売り切れていることがほとんどです。また、土屋鞄などトップクラスの革工房でさえ、ホーウィンのコードバンを取り扱っていません。安定した供給が期待できないためでしょう。

日本には50以上の、素晴らしい革工房があるのですが、ホーウィン社のコードバンを使った財布を、定番アイテムとしてラインナップする工房はとても少ない。ココマイスター二宮吾郎商店キプリスGANZOくらいでしょうか。

その希少性と、高価なことから人と被ることがまずありません。特別感は、やはりホーウィン社がダントツです。

価格

ホーウィン社のコードバンの方が高価です(あらゆるスムースレザーの中で、もっとも高価です)。

ちなみに、ホーウィン社のコードバンの価格は上がり続けています。
原料となる馬が少なくなってきていること、その個体が小さくなってきていること、また中国などの国でも需要が高まっていることが理由のようです。また、円安になれば値段が上がってしまいます(皮革は関税がとても高いのです)。

大幅な円高にならない限り、値段が下がることは無いでしょう。ホーウィン社のコードバンを手に入れるなら、早めにゲットした方が、安く手に入ると思います。

おすすめはどちらか

ホーウィン社の方が、迫力があり、存在感はバツグンです。あらゆるシーンで、人目を引く皮革といえます。人と違うものを手に入れたいなら、ホーウィン社をセレクトした方が幸せになれると思います。

新喜皮革も十分に魅力的。ホーウィン社よりも安価ですから、初めてのコードバンならまずは新喜皮革をセレクトしてみてはいかがでしょうか。

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