ホーウィンと新喜皮革のコードバン。どちらが優れているのか?さまざまな特徴の違いを比べてみた

ホーウィン社と新喜皮革のコードバン

世界には、複数のコードバンタンナーがあります。
ところが、馬の原皮から一貫して「上質なコードバン」を作ることができるタンナーは、2社しかありません。

ホーウィン社と、新喜皮革です。

結局のところ、「最高のコードバンを手に入れたい」なら、行きつく先が「ホーウィン or 新喜皮革」となるわけです。

では、どちらのコードバンを選べば良いのでしょうか? 

これは、なかなか判断が難しいと思います。
そこで、本ページでは、両社のコードバンの特徴について、実際に愛用している立場から、鋭い視点で迫っていきたいと思います。

ホーウィン社と新喜皮革、どちらのコードバンを手に入れるのか。その悩みに決着をつけましょう。

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コードバンについて

本ページでは、「コードバンの特徴」については省略します。
以下のページでまとめていますので、コードバンについて知りたい方はぜひご覧ください。

=>コードバンとはどういった皮革なのか。そのメリット・デメリットに鋭く迫る

トップクラスのコードバンタンナー

ここでは、ホーウィン社と新喜皮革、両社のコードバンついて、ザックリと押さえてみましょう。

ホーウィン社について

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ホーウィン社(Horween Leather Company)は、アメリカのシカゴに居を構える、100年以上の歴史を持つ老舗タンナーです。

元々コードバンとは、スペインで生まれた皮革です(諸説あり)。タンニンなめしで仕立てる技術が確率された後、アメリカにその技術が伝来したようです。

作成に時間のかかるコードバンは、ビジネスとして続けることが難しかったのでしょう、多くのタンナーが廃業してしまいました。そういった中で、ホーウィン社は北米で唯一生き残ったコードバンタンナーです。

ホーウィン社のコードバンを使った製品としては、ALDENの革靴があまりにも有名ですね。世界のトップメゾンに採用され続ける、まさに世界一のコードバンタンナーです。

ホーウィン社のシェルコードバンの特徴

日本に流通する革の90%は、「クロムなめし顔料仕上げ」で作られています。この製法の皮革は、数日で仕上がり、また量産可能なため、安価なプライスとなっています。

ビビッドな色合いを得意とし、「新品のときの表情」を長く楽しめるのが特徴です。一方で、自然な風合いは控えめですし、エイジングを楽しむことができません。
JOGGO 長財布 表情

一方、シェルコードバンは、作成に6ヶ月もの時間がかけて作られています。
ちなみに、ホーウィン社の代表作に「クロムエクセル」という皮革があるのですが、こちらは30日で完成します。コードバンは時間がかかる皮革なのです。

また、希少性の高い皮革としても有名ですね。
これは、原皮となる欧州の農耕馬が少なくなっているからです。2012年には原皮の供給がストップして、一切の生産ができなくなったほどです。生産量が限られる、とても希少な皮革なのです。(日本有数の革工房でもシェルコードバンを定番ラインナップしていないのは、そもそも「量」を準備できないからです)。

さて、シェルコードバンの特徴を、押さえてみましょう。

たっぷりとオイルを含んでいるのが特徴です。
新品のときから、やわらかで、それでいてハリのある質感。ツルツルとした表情とは裏腹に、手にしっかりとフィットする仕上がりです。
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表情は、「ラフ」な仕上がりといったところ。
色合いは均一ではなく、少しムラ感があります。これは、革の芯まで浸透させる、染料仕上げ。さらにタンニンでなめされているため、エイジングを楽しむことができます。
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また、毛穴もありますし、血管の跡も残っていたりします(1mmに満たないのですが)。
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このラフ感こそが、ホーウィン社シェルコードバンの特徴。自然な風合いを活かして仕上げられた表情は、ギラリとした光沢をまとっています。まさに威風堂々といったところでしょうか。
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裏返して言うと、コードバンに均一な美しさを求めるのなら、ホーウィン社を選ぶべきではないのです(新喜皮革をセレクトした方が、きっと満足できるはずです)。

あらゆる空間で、人目を引く主張の強い皮革なのですが、それでいて品のある佇まいを備えるあたりは、ホーウィンの魅力だと思います。

シェルコードバンは、荒々しい風合いも含めてエイジングを楽しみたい、そんな方におすすめできるといえます。

新喜皮革について

日本が世界に誇る、創業1951年のタンナー。 姫路に居を構える、馬革を専門とするプロフェッショナルです。

コードバンの原皮は、そのほとんどがヨーロッパの農耕馬です(サラブレッドのような筋肉質な馬、ポニーなどの小さな馬からは採取できません)。
そもそも原皮が貴重なため、すべてのタンナーが輸入できるわけではありません。そういった中で、日本で原皮を取り扱うことができる唯一のタンナーが、新喜皮革なのです。

新喜皮革のコードバンの特徴

こちらも大変美しい仕上がりです。
透明感に加えて、ヌラリとした光沢があります。
コードバン アップ

個人的にはホーウィン社のものと比べると、ムラが少ないと思います。日本のタンナーならではの、丁寧な仕上げといったところでしょうか。

ハリ感が強いため、カッチリとした質感がお好きなら、新喜皮革の方が気に入るかと思います。

レーデルオガワについて

コードバンはバツグンの輝きを放つようにイメージされるかもしれませんが、その風合いや、光沢度合いは「仕上げ」によって大きく変わります。

レーデルオガワとは、「コードバンの仕上げ」を専門とする企業です。
新喜皮革のコードバンに、染色、艶出しといった仕上げを施すことで、その表情を完成させる、「仕上げのプロ」といえるでしょう。

レーデルオガワのコードバンを、いくつか所有しているのですが、新品のときは、「マット」な表情です。静かで落ち着いた仕上がりで、光沢やツヤは抑えられています。
WILDSWANS コードバン 表情

とはいえ、この表情は最初だけ。使うほどに光沢が増すエイジングを楽しむことができます。

レーデルオガワのコードバンは、日本トップクラスの革工房、例えばキプリスYUHAKUなどで採用されています。品質の高さの裏付けとして十分ですね。

ホーウィンVS新喜皮革。どちらが優れたコードバンなのか

先に結論を言います。

ホーウィン社と新喜皮革のコードバン、どちらをセレクトしても満足できます。

表情、光沢感などの違いはありますが、どちらもコードバンの魅力を堪能できる仕上がり。
トップクラスの革工房が、両社のコードバンを使い分けてシリーズ化していることからも、どちらも最高峰であることがわかります。

両方とも素晴らしいコードバンですから、私がNo1を決めるのはおかしな話です。
どちらが良いか?ではなく、「皆さんが気に入った方」をセレクトして間違いありません。

さて、それでは、さまざまな視点で、コードバンの違いを見ていきましょう。
ざっとまとめると、こんな感じです。

ホーウィン 新喜皮革
光沢 ★★★ ★★
透明感
色ムラ
エイジング
なめらかさ
やわらかさ
レア度
価格

私は新喜皮革とホーウィン社のコードバンで作られた、財布、キーケースなどを愛用しています。使い比べてみて、主観で★を付けています。

各項目について、見ていきましょう。

光沢

新品のときはホーウィン社のものがダントツです。ギラリとした光沢を、最初から身にまとっています。
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ただし、使い込むことで、どちらのコードバンも光沢が増していきます。

最初からツヤのある光沢を楽しみたいならホーウィン社を。
マットな質感から、変化する様を楽しみたいなら新喜皮革をセレクトしましょう。

透明感

新品のときは、ホーウィン社のコードバンが抜きん出た透明感です。
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なお、レーデルオガワのものは、マットな仕上がりとなっているものが多い印象です。
YUHAKUコードバン束入れ サイズ感

使うほどに透明感が増してくるので、マットな表情は最初だけです。

色ムラ

ホーウィン社のコードバンは、色ムラがあります。自然な風合いが好きなら、気にいるはずです。
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一方、新喜皮革の方は、均整な色合いです。
特にレーデルオガワによって染色されたコードバンは、一段と均整な仕上がりとなっています。みずみずしい透明感のある色合いです。
YUHAKUコードバン束入れ 色合い

エイジング

エイジングは、色、ツヤなどの「変化の度合い」とします。

より変化が顕著なのは、新喜皮革(特にレーデルオガワ)のものです。

マットな質感のため、エイジングによる、光沢の変化が顕著です。ギラリと輝くように変化していく様を、もっとも味わえます。

ホーウィン社のコードバンは、最初からツヤ感があるのですが、これが更に増していきます。
(迫力が加わるといった表現がピッタリです)

なお、濃い色のコードバンでは、色の変化はあまり感じられないかもしれません。

色の変化も楽しみたいなら、淡い色のコードバンをセレクトしましょう。
ただし、ほとんどの革工房はブラックやバーガンディーといった濃い色のコードバンがほとんどですから、手に入れることは難しいように思います。

なめらかさ

ホーウィンは自然な風合いを残していて、新喜皮革は磨きをかけています。そのため、どちらかというと、新喜皮革の方がスムースです。

写真はレーデルオガワのコードバンです。
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WILDSWANS コードバン スムースさ

ホーウィン社のコードバンは、ラフな仕上がりとなっています。
ピンホールと呼ばれる、毛穴があったりもします。
ホーウィン シェルコードバンの表情
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ただ、これも正直気にしなくてよいです。

コードバンは目に見えないほどの微細な凹凸が残っているのですが、使うほどにその線維が寝ていきます。次第になめらかに、よりスムースな表情に変わっていくため、気にならなくなります。

やわらかさ

シェルコードバンの方がたっぷりとオイルが含まれているのでしょう。ホーウィン社のコードバンの方が柔らかいです。ちゃんとハリはあるのに、ふっくらとした柔らかさがあります。何というか、触れていて気持ちが良い仕上がりです。
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新喜皮革のほうは、もう少しハリがある感じですね。

ただし、「やわらかさ」については、「コードバンだけ」で考えてもあまり意味はありません。なぜなら、ほとんどのコードバン製品は、コードバンと他の革を組み合わせて作られているからです。
YUHAKUコードバン束入れ ソリッドな装い

つまり、やわらかさ(ハリの度合い)は、コードバンだけでなく、組み合わさる革と、仕立てによって決まるのです。
あくまでも、コードバンの質感に違いがあるのであって、プロダクトとしての「やわらかさ、ハリ感」は別の話なんですね。

ふっくらとした質感を味わいたいなら、ホーウィン社を。
カッチリといた質感がお好きなら、新喜皮革が良いと思います。

レア度

圧倒的にホーウィン社です。シェルコードバンの希少性は群を抜いています。

新喜皮革のコードバンは、皮革問屋で普通に販売されています。
一方、ホーウィン社のコードバンは、そもそも取り扱われていません(一般的に手に入れる方法が存在しないのです)。

生産が少なく希少なこと。また、世界のトップメゾンが採用する皮革ですから、流通量が圧倒的に少ないのでしょう。

日本有数の革工房でさえ、ホーウィン社のコードバンを定番としつつも、売り切れていることがほとんどです。
また、土屋鞄などトップクラスの革工房は、そもそもホーウィンのコードバンを取り扱っていません。これは、安定した供給が期待できないためでしょう。

日本には50以上の、素晴らしい革工房があるのですが、ホーウィン社のコードバンを使った財布を、定番アイテムとしてラインナップする工房はとても少ないです。ココマイスター二宮吾郎商店キプリスGANZOくらいでしょうか。

その希少性と高価なプライスから人と被ることがまずありません。特別感は、やはりホーウィン社がダントツです。

価格

ホーウィン社のコードバンの方が高価です(あらゆるスムースレザーの中で、もっとも高価です)。

ちなみに、ホーウィン社のコードバンの価格は上がり続けています。
原料となる馬が少なくなってきていること、その個体が小さくなってきていることが理由のようです。また、円安になれば値段が上がってしまいます(皮革は関税がとても高いのです)。

大幅な円高にならない限り、値段が下がることは無いでしょう。
ホーウィン社のコードバンを手に入れるなら、早めにゲットした方が、安く手に入ると思います。

おすすめはどちらか

ホーウィン社の方が、迫力があり、存在感はバツグンです。あらゆるシーンで、人目を引く皮革といえます。人と違うものを手に入れたいなら、ホーウィン社をセレクトした方が幸せになれると思います。

新喜皮革も十分に魅力的。ホーウィン社よりも安価ですから、初めてのコードバンならまずは新喜皮革をセレクトしてみてはいかがでしょうか。