買う前に知っておきたい コードバンのホントのところ。そのメリットとデメリットを全て紹介します

コードバン テリとキズ

美しい表情が魅力のコードバン。

その希少性と美しさから、革のダイヤモンドと呼ばれるほど。
高価な靴や財布などに使用されている、最高級の皮革です。

さまざまな革がある今日においても、その上質さと気品はダントツで、多くのコードバン愛好家から親しまれています。

このページではコードバンの特徴や、メリット・デメリットをご紹介します。
さらにコードバンの歴史、作り方といったマニアックな情報もお届けします。

最後までお読みいただければ、立派なコードバンマニアになれるはずです。

スポンサーリンク

コードバンとはどういう革なのか?

コードバンとは、馬の臀部(お尻)から採取できる、「コードバン層」から作る革を指します。

それのどこが貴重なの? と思うかもしれませんね。

実は、コードバンは、すべての馬から採れるわけではありません。
主な原皮は、馬肉の文化があるヨーロッパ。農耕馬からだけ採取できます。
食用部分で残った個所がコードバンとして利用されます。 1200px-Haflinger_horse_on_pasture_in_the_Netherlands

コードバンとは線維密度の高い、「コラーゲンのカタマリ」です。

放牧されていた農耕馬が、オオカミなどに噛みつかれても重症にならないよう身につけた、自然の産物なのです。そのため、「自然に近い馬」からしかコードバンを作り出すことができません。

サラブレッドやポニーなど「走るための馬」には、そもそも「コードバン層」がほとんどありません。「製品として使えるサイズのコードバン」を作ることができないんですね。1280px-Deep_Impact_20090813

機会化が進んだ現代では、農耕馬が少なくなっていること。さらに「大きなコードバン層」を持つ個体が少なくなっていることから、コードバンの希少性が高まり、価格は上がり続けています。
(20年前は一枚革で作られたコードバンのカバンが手に入りましたが、今では一般的には販売されていません。コードバンのサイズが小さくなっているため、そもそも作成できないのです。)

通常の皮革よりも、一頭あたりの採れる量が少ないのも、その希少性に拍車をかけています。

コードバンの特徴

革面は、キメ細かく、スムースで、大変美しい輝きを表現できるコードバン。最高の価値がある革として親しまれています。

以下のような特徴を持っています。

  • 牛革の2〜3倍の強度
  • 毛穴が目立たない、キメ細やかな美しい表情
  • ギラリ輝き、迫力が増すエイジングを楽しめる

DSC06961

コードバン以外の革はこういった特徴を持っていません。

バツグンの美しさを持つ皮革なのです。

コードバンと他の皮。その構造の違い

通常、牛や豚などの皮革は、表革となる「銀面」と裏革になる「床」が重なって出来ている2層構造になっています。そのため、手入れをしっかり行っていても、経年変化で層が歪んでしまい型崩れが起きます。

対してコードバンは、表革と裏革の中間にあるコードバン層を削りだした単層構造になっています。そのため、長年使用しても歪んだり、型崩れが起こりにくいんですね。

乱暴に扱われがちな、ランドセルの素材としてコードバンが使われてきたのは、こういった理由からです。

コードバンの経年変化

コードバンは最初こそハリや硬さがあるものの、使い込むごとに奥深い光沢がでると同時にほぐれてきます。次第に手に吸いつくようなしっとり感も出てきます。

1年使用した頃には、表面はなめらかになり、うっとりするような艶やかな雰囲気に育ちます。

コードバン経年変化

出典:グレンチェック

シェルコードバンとコードバンの違い

財布などの商品説明を見てみると、「シェルコードバンを使用」と記載されていることがあります。

通常のコードバンと何が違うのでしょうか。

違いは、革の染め方にあります。
シェルコードバンの場合は水染めされています。(水染めとは染料にコードバンをじっくりと浸すことで染める手法のことです。)線維組織の奥までしっかりと染まっているんですね。
通常のコードバンよりも光沢の出方が大きく異なるのが特徴です。

コードバンを扱う上での注意点

牛革の2~3倍の強度があるコードバンですが、それはあくまでも革の耐久性のはなし。

ここではコードバンを使う上での注意点を押さえてみましょう。
(コードバンのデメリットとも言えるポイントです。)

コードバンは水に弱い

実は、水に弱いという弱点があります。

濡れたまま放置してしまうと、斑点のような白い水シミが残ってしまいます。
さらに長時間放置すると、濡れた部分が水ぶくれが生じてしまいます。(水が浸透することで、ギュッと凝縮された線維が元に戻るからです。)

一度ついてしまうと、完全に除去するのは難しいため、応急処置がキモとなります。
濡れてしまった場合、すぐにしっかり拭きとりましょう。

水だけではなく、汗も苦手です。汗に含まれる、塩分とアンモニアが変色などを引き起こす原因となります。

コードバンの水ぶくれ

出典:http://cou-shop.jugem.jp/

そのため、コードバンの財布をお尻のポケットに突っ込むのはオススメできません。汗を吸い込みやすい環境ですから、キレイなエイジングを楽しめなくなる恐れがあります。

基本的には、カバンやスーツの内ポケットに入れて取扱うものだとお考えください。

コードバンは傷つきやすい

コードバンはスムースな皮革です。そのため、キズが付きやすい皮革です。(コードバンに限らず、スムースな表情の革は傷つきやすいものです。)

コードバン キズ

けれど、安心してください。コードバンはタンニンなめしで作られた皮革です(後述)。
使い込むことで、キズは次第に目立たなくなっていきます。

大きなキズが完全に隠れるわけではないのですが、コードバン自身が迫力を増していきます。小さなキズはほとんど気にならなくなります。

コードバンのお手入れ

基本的に通常のお手入れは、柔らかいクロスでの空拭きだけで十分です。

ブラシを使用するなら、細かい折り目に入ったホコリを払うていどに。優しく掃き出すようにしてください。個人的にはクロスでの手入れの方がキズが付きにくいのでオススメです。

空拭きする際も、力をいれるのではなく、優しくなでるようにしましょう。

いろいろな考え方があると思うのですが、財布などの小物の場合、特にメンテナンスは不要だと思います。
「財布のような小物」の場合、毎日手にとって使うはずです。普通に使うだけで、手のオイルが財布に移るため、コードバンは潤った状態が保たれるのです。

毎日手に取るコードバンに、オイルやクリームなどが必要でしょうか?
個人的には必要ないと思っています。過剰に油分を与えることで、コードバンが持つしなやかさや、ハリが弱まってしまいます。

あえて日常でメンテするなら、乾拭きだけでOK。長期間利用しないことによる革の乾きにだけ気をつけましょう。表面が乾いてきて、光沢が落ちたなと感じたときに、専用のクリームなどで油分を足すといったメンテで十分だと思います。また光沢が復活します。

ちなみに、艶出しに好評な商品はこちら。
コードバンを知り尽くす、なめし業者のアイテムです。

コードバンの歴史

もとは山羊の皮から作られたとされており、その起源は16世紀に遡ります。

「コードバン(cordovan)」という名前の由来は、最初にコードバンが作られたとされる、スペインの都市コルドバ(Cordoba)です。
(今日でも、コルドバでは、伝統的なコードバンを大切にする職人を見つけることができるそうです)

コードバンの品質、美しさ、耐久性から、当時も特別な皮革でした。

貴重な皮革だったため、結婚のお祝い品などに重宝されていたようです。他国の王族同士の結婚を通じて、ヨーロッパ全土、そして世界へと広まっていきました。

19世紀後半、ドイツのタンナーが「タンニンなめし」によってコードバンを作る技術を編み出しました。より美しく、ハリがあり、輝くコードバンを作ることができるようになったんですね。

同じ頃、ドイツのタンナーからアメリカに、コードバン作りの技術が渡っていきました。コードバンで有名なホーウィン社が、めきめきと成長していくことになるわけです。

面白いことに、コードバンを作り出したきっかけは、カミソリの刃を研ぐための「革のストラップ」でした。
640px-Razor_and_strop

ところが使い捨てのカミソリばかりになり、売上は激減。

これが「革靴用のコードバン」を作りだすきっかけとなったのです。
結果は御存知の通り。ホーウィン社は、コードバンタンナーとして名実ともにNo1となっています。

コードバンの作り方

お尻の皮がそのままコードバンになるわけではありません。

原皮から、仕上げまでに丁寧に行うため、約10ヶ月もの期間を要します。たくさんの作業を経て、独特の輝きを生み出しているんですね。

ここでは、コードバンの作り方を見てみましょう。

皮をなめす

馬の原皮そのままでは、すぐにダメになってしまいます。そこで「皮をやわらかく、何年も使える素材」に変化させる必要があります。これを、「なめし」といいます。

時間をかけて、タンニンのなめし剤に漬け込んでなめすことで、しっかりと革の芯部までタンニンを浸透させることができます。これによって、ツヤ、色の変化を楽しむ革に仕上げることができるのです。

スクリーンショット 2017-04-04 18.58.03

原皮の加工

コードバン層を削りだす

馬のお尻の原皮は、数ミリほど。
その表面と裏面は、コードバンにはなりません。
中間にある、わずか1mmほどの層だけが、コードバンになるのです。

なめした革から、コードバン層を取り出していきます。
熟練した職人が原皮から、ミリ単位で「コードバン層だけ」を削りだします。削ってい行く様が、宝石の採掘作業に酷似していることから、コードバンは「革の宝石/革のダイヤモンド」と呼ばれています。

コードバンを切り出す

馬は大きな動物ですから、全身から採れる革の量も多めです。
ただし、コードバンはお尻の極一部、線維の集まった密度の高い部分(シェル)にしかありません。ここを切り取ることになります。

この大きな面は、馬の下半身です。
ここから採れるコードバンは、半分以下です。スクリーンショット 2017-04-02 15.23.31

ほとんど場合、コードバンはお尻の左と右で分かれています。
つまり、1頭から2枚作ることができます。

スクリーンショット 2017-04-04 18.48.10

サイズはこんな感じですね。決して大きな革ではないのです。スクリーンショット 2017-04-04 18.35.33

非常にまれに、左右のお尻のコードバン層が繋がっていることがあります(「メガネ」と呼ばれます)。

こんな感じで、大きな面を採れることがあるんですね。スクリーンショット 2017-04-02 15.23.20

「メガネ」は大きな個体かつ、コードバン層の繋がった馬からしか採ることができないため、本当に希少です。
ベルトやカバンなど大きな面を使うもの。それも、1枚革で仕立てるメリットのある高級品にしか使われません(もちろん、非常に高価です)。

コードバンの仕上げ

コードバンの染色

この時点では、コードバンには、タンニンの色がついているだけ。

ここに、カラーリングを施すことで、ブラックや、バーガンディといった美しい色合いをもたせます。

ほとんどの場合、染料仕上げ(アニリン仕上げ)で色を付けていきます。

染料は、水に溶けやすい成分のため「均一な色合い」にするのは難しいのですが、その代わり、革本来の風合いや表情を残した、自然な色に仕上げることができます。

最高級のコードバンですから、その風合いや表情を活かす染色となります。

コードバンを磨き上げる

コードバンの表面を磨き上げることで、独特の光沢を作り出していきます。
スクリーンショット 2017-04-02 15.25.14

コードバンとは、コラーゲンを削り出したもの。なめしが終わったコードバンの表面は、線維がむき出しの状態で、少し毛羽立っています(ヌバックやスエードに近いイメージですね)。

この時点では、どの革よりもスムースではない状態。そこに磨きをかけることで、半ば強引に線維を寝かせ、滑らかな表情を作り上げているわけです。

あらゆる革のなかで、もっともスムースな皮革、コードバン。
景色を映し出すほどの美しい表情は、熟練した職人の感性と技術で生み出されているものなんですね。

DSC06991

検品

最後に職人が、「コードバン」の品質基準をチェックします。

手ざわりと、ハリを検品のプロが見定めるのです。スクリーンショット 2017-04-04 20.04.04 スクリーンショット 2017-04-04 20.04.40

コードバン(シェル)ではない部位が見つかったら、切り取ります。
スクリーンショット 2017-04-04 20.06.34

これで、製品として出荷できるコードバンの完成となります。


これらの工程に6ヶ月〜10ヶ月ほどかかります。

時間をかけて、作られる皮革なんですね。
(ちなみに、日本に流通する90%の皮革は、クロムなめしで作られています。わずか数日で完成するため、アパレルなどのアイテムに広く使われる安価な革です。)

コードバンを作ることができるのは、世界で2社だけ

現在、馬の原皮から一貫して、上質なコードバンを作ることができるタンナーは、2社しかありません。

  • アメリカのホーウィン社
  • 日本の新喜皮革(しんきひかく)

(実際にはあと数社あるのですが、ハリ、輝きといった点で、この2社に及びません。)

1970年代はコードバンを作る会社(タンナー)も多かったのですが、時代の流れとともに減少していきました。

これには、大きく2つの理由があるとされています。

  1. コードバンを採取できる量が減ったこと
  2. コードバン作りに時間がかかるため

コードバンの完成までに1年ほどかかり、それが売れて初めてお金が入ってくるわけです。とてもリスキーな革なんですね。(だから、新しくコードバンを作り出すタンナーも少ないのです。)

コードバンを作り続けたホーウィン社と新喜皮革は「上質なコードバンを安定して供給できるタンナー」として定評があります。

コードバン愛好家から見ても、やはりその品質はダントツです。非常に信頼できるタンナーなんですね。

なぜコードバンの価格が上がり続けているのか

ここ10年ほど振り返ってみると、コードバンのアイテムは3割ほど値上がりしていると感じています。

これは、アイテムを仕立てる職人の賃金が上がったからではありません。
コードバン自体が値上がりしているからです。

コードバンは、農耕馬からしか採れない希少な素材です。
機会化により大きな個体の馬が少なくなったため、コードバンを採取できる馬が減っているのです。
また、大きな馬も減っていて、「メガネ」の採取も難しくなっています。(「コードバンのベルト」の価格は5割ほど上がっていると思うのですが、「メガネ」が取れなくなったからですね。大きなコードバンの価値が高まっているわけです。)

また、コードバンは中国の業者がたくさん買っていくそう。輝くものに惹かれるのは、皆同じですね。コードバンの需要が上がり、それに追いついていないのです。

というわけで、コードバンのアイテムの値段が、年々上がっているのは仕方ないんですね。


さて、こういった背景を見てみると、個人的には「今欲しいなら、今買ったほうがいい。」と思っています。

今後、コードバンの生産量が上がることはないでしょうから、値段が下がるとは思えません(超円高になれば話は別ですが、それは誰にも分からないことです)。

今、「ちょっと欲しいな」と思っているアイテムも、値上がりするかもしれません。今の値段が、「買えるギリギリ」なのであれば、今が買い時だと思います。

コードバンの財布

日本の上質なコードバン財布 タイプ別まとめ。輝き・ツヤ・品質で選ぶならこのページから
革のダイヤモンド、コードバン。 スムースな表情、ツヤと輝きはうっとりするほ…
財布はコードバンを使ったプロダクトの中でも、比較的小さなアイテムです。

1枚革のコードバンを使った贅沢なものが多く、満足度の高い財布が数多くラインナップされています。
ここでは、日本人がデザインした品質の高いコードバン財布をセレクトして紹介しています。

まとめ

奥深さがあり、革好きなら一度は手に入れたいコードバン。

扱いは牛革よりもデリケートですが、希少性があるのでステータスの高さはバツグンです。
使い続けることで徐々に増す光沢は、コードバンでしか出すことができない表情です。

コードバンのアイテムでは、オールデンの革靴が有名ですね。
ただ、非常に高価な品ですから、手が出しにくいのではないでしょうか。

まずは、比較的安価なコインケースや財布といったアイテムで、コードバンの魅力を体験してみてはいかがでしょうか。

コードバンは輝きとツヤが独特で、高級感はダントツです。
特別な方へのプレゼントとしても最適だと思います。