買う前に知っておきたい コードバンのホントのところ。メリットとデメリットをすべて紹介する

コードバン テリとキズ

コードバンの魅力とは何か。

美しさ」。これに尽きると思うのです。

重みのある光沢が醸し出す気品は、コードバンだけのもの。どんなシーンでも目を引く存在感ゆえに、世界最高峰のスムースレザーとして愛され続けているわけです。
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革マニアが憧れ、たどり着く「ひとつのゴール」、だと思います。

ただ、コードバンは、とても高価
そのため、使っている人も少なく、よく分からない点があると思います。

そこで本ページでは、コードバンの特徴や、メリット・デメリット。さらにコードバンの歴史、作り方といったマニアックなことも、

「コードバンについての、あらゆる情報」を紹介します。

(大人の事情により)コードバンのデメリットを、ほとんどのメディアは伝えていません。しかし、本ページでは革マニアの視点から、コードバンの弱点にも鋭く迫ります。

最後までお読みいただければ、立派なコードバンマニアになれるはず。コードバンのアイテムを手に入れる前に、ぜひ参考にしてみてくだい。

=>間違いのない、上質なコードバン財布の選び方
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コードバンの特徴

まずはコードバンの特徴を、ピックアップしてみましょう。

  • キメ細かな、美しい表情
  • ギラリとした光沢。迫力が増すエイジング
  • 牛革の3倍の強度。トップクラスの丈夫な革

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それでは、順にご紹介していきましょう。

美しい表情

コードバンの表情は、あらゆる革の中で、もっともキメ細かく、スムースです。バツグンの輝きを放つ、美しい素材なんですね。

コードバンの与える印象は、「力強さと気品」といったところでしょうか。
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世界には200種類以上の革があると言われています。しかし、光沢、凛とした雰囲気は、コードバンにしか出せません。100年以上も昔から愛され続けているのには理由があるのです。

ギラリと光る表情は、否応なく人目を引きます。あらゆる空間で映える革なんですね。
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コードバンのエイジング。どのように変化していくのか

コードバンに対して、どういったイメージをお持ちでしょうか?

ほとんどの人は「ギラリと光る革」と、お考えになるかと思います。

これは、「半分正解」といったところでしょうか。

コードバンが輝いて見えるのは、スムースな表面がオイル(油分)によってコーティングされた状態だからです。つまり、表面の状態によって、コードバンの表情は異なります。

だから、新品のコードバンの中には「マットな質感のもの」もあります。

たとえば、こちらは新品のコードバン。マットですね。
WILDSWANS コードバン 表情

別のアイテムです。こちらも、ほぼ新品のコードバン。

どちらのコードバンもスムースですが、「ギラリとした光沢」は影を潜めています。

これは、表面に油分が行き渡っておらず、(目には見えませんが)線維の凹凸がある状態だから。

このマットな質感が、少しずつ変化していきます。

一年ほど使うとこんな感じ。

陶器のような、とろりとした質感。さらに、艶やかな雰囲気を身にまといました。

コードバンを使い込むことで、中に含まれているオイルと、人の手から伝わる油分。このふたつが交わって、表面がオイルでコーティングされていきます。

また、モノと触れあうことによって、線維が寝て、よりスムースな表面になっていきます。結果として、光沢と重厚感を持つ、美しい表情に変化するのです。

コードバン経年変化

出典:グレンチェック

初めてコードバンを手に入れたときに、「あれ?光ってない」と感じるかもしれませんが、それは最初だけ。少しずつ、みなさんがイメージする「美しいコードバン」に育っていきます。

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補足:新品のコードバンの表情はさまざまです。なぜなら、コードバンを作るタンナーの仕上げ、気温、馬の個体、ロットなどによって違いがあるから。最初からハッキリ光沢を出すように仕上げたコードバンもあります。一方、「マット」なものもあります。いずれにせよ、光沢が増すエイジングを楽しむことができます。

ちなみに、質感も少しずつ変わっていきます。新品のときの感じた、ハリや硬さが、使い込むごとにほぐれてきます。次第に手に吸いつくようなしっとり感も出てきます。


まとめます。

コードバンは、新品のときは、まだ未完成。使い込むことで美しく変化していきます。
使い手と一緒に「育つ皮革」なのです。変化を楽しみたい方にこそ、ピタリとハマる素材といえるでしょう。

逆に言うと、「新品のままのルックスを長く楽しみたい」とお考えの方には、合わない革なのです。

ハリ、強度に優れた素材

コードバンは、「堅牢さ」においてもずば抜けています。

スリムな皮革にもかかわらず、牛革の2〜3倍の強度があります。引き裂きや押し込みなどに、とても強いんですね。

一般的な革と比べて、薄くて、軽くて、丈夫。
だから、長く愛用されるアイテムの素材にふさわしいのです。

乱暴に扱われがちな、ランドセル。その素材としてコードバンが使われているのは、軽くて、丈夫で、6年間使えることが実証されているからです。

コードバンの弱点と注意点

コードバンは、強い素材です。ただし、それは「耐久性が高い」ということ。

コードバンには弱点があります。弱点を知って、長く愛用するためのポイントをおさえてみましょう。

コードバンは水に弱い

コードバンは水に弱い革です。

濡れたまま放置してしまうと、斑点のような水シミが残ってしまいます。

さらに、そのまま長時間放置すると、水ぶくれが生じることがあります。水分を吸収することで、ギュッと凝縮された線維が元に戻るからです。

この跡が付いてしまうと、完全に除去することは、ほぼ不可能。そのため、応急処置がキモとなります。

濡れてしまった場合、なるべく早くしっかり拭きとりましょう。

コードバンは汗に弱い

汗も苦手です。

汗に含まれる、塩分とアンモニアが変色などを引き起こす原因となります(これはコードバンに限らず、あらゆる皮革に言えることです)。

コードバンの水ぶくれ

出典:http://cou-shop.jugem.jp/

汗をかきやすい夏、コードバンのアイテム(財布や、キーケースなど)をヒップポケットに入れるのは、避けたほうがよいでしょう。キレイなエイジングを楽しめなくなる恐れがあります。

夏場は、汗が移りにくい場所、たとえばカバンやスーツの内ポケットに入れることをオススメします。

コードバンは傷つきやすい

きめ細かで、スムースな表情だからこそ、キズ付きやすいです。

これはコードバンに限らず、すべての「スムースレザー」に言えること。(たとえばミネルバリスシオもですね。)コードバン キズ

以下のような「シボのある革」と比べると、キズが目立ちやすいのです。

ただ、あまり気にする必要はありません。使い込むことで、キズは次第に目立たなくなっていくからです。

一年ほど使ったコードバンが、こちら。

ジーンズに突っ込んで使っていましたから、どちらかというと丁寧に扱わなかった方ですね。

小さなキズや、凹みがあります。

どんなプロダクトにも言えることですが、「初めてのキズ」にはショックを受けるもの。でも、コードバンは、そのキズも含めて「味わい」となっていきます。

コードバンは「タンニンなめし」で作られた革です。タンニンによって色が深まりますし、染料とオイルによってキズが目立たなくなっていきます。もちろん、完全に隠れるわけではないのですが、光沢とツヤが増してくるため、キズはほとんど気にならなくなります。

キズよりも、エイジングによる「雰囲気が勝る」といったところでしょうか。金属などでは味わえない、革ならではの醍醐味ですね。

個人的には、ガシガシ使って、育てた方が、楽しめると思います。高価な革だからといって、気を使いすぎるのは、あまり楽しくないですよね。

コードバンのお手入れ

普段のお手入れ

通常のお手入れは、柔らかいクロスでの空拭きだけで十分です。
ゴシゴシと力を入れると、キズつく恐れがあります。優しくなでるようにしましょう。

ちなみに、おすすめがこちら。コードバンだけなく、あらゆるレザーグッズに使えるので、1つ持っておくと便利です。私は何年も愛用しています。
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ブラシを使用するなら、折り目に入ったホコリを払うくらいにしましょう。優しく掃き出すようにしてください。

参考:革財布のカンタン メンテナンスについて

クリームなどは必要か?

毎日手にするコードバンのアイテムに、オイルやクリームなどが必要でしょうか?

コードバンのメンテナンスには、いろいろな考え方があるようですが、個人的には、財布などの小物の場合、オイルメンテナンスは不要だと思っています。

毎日手にとって使うなら、手のオイルがコードバンに移り、潤った状態が保たれるからです。

むしろ、過剰に油分を与えることで、コードバンが持つしなやかさ、ハリが弱まってしまいます。

つまり、基本的にメンテナンスフリーの皮革なのです。

ただし、乾きにだけは、気をつけましょう。
長期間利用しない場合、コードバンが乾いて、光沢が落ちたように感じるかもしれません。そういったときには、専用のクリームで油分を足しても良いでしょう。また光沢が復活します。

ちなみに、艶出しに好評な商品はこちら。コードバンを知り尽くす、なめし業者のアイテムです。

素材から見る、コードバンのスゴさ

コードバンは、希少な馬の皮から作られる

コードバンの原料は、馬の臀部(お尻)から採取できる皮。

馬の皮がどうして貴重なの?と、思うかもしれませんね。

コードバンを採取できるのは、右下の「SHELLS(シェル)」と呼ばれる部位だけ。

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出典:horweenHP

英語で「Shell Cordovan」と称されるのは、シェル層を使っているからです。

お尻の皮は、全体の2割もありません。さらに、シェル層は、馬一頭あたりから採れる量が少ないため、素材自体が希少なのです。

さらに、コードバンは、すべての馬から採れるわけではありません。

コードバンの原皮を採ることができるのは、農耕馬だけ。馬肉文化のあるヨーロッパにおいて、「お尻の皮だけ」がコードバンとして利用されるのです。1200px-Haflinger_horse_on_pasture_in_the_Netherlands

コードバンの正体は、線維密度の高い「コラーゲンのカタマリ」です。

放牧されてきた農耕馬が、オオカミなどに噛みつかれたとき重症にならないよう身につけたもの。いわば自然の産物のため「自然に近い環境で育った馬」からしかコードバンを採取することができません。

例えば、サラブレッドやポニーには、「コードバン層」がほとんどありません。「走ること」を得意とする馬は、お尻の筋肉が引き締まっているため「製品として使えるサイズのコードバン」を、そもそも持っていないのです。1280px-Deep_Impact_20090813

機会化が進んだ現代では、農耕馬が少なくなっていること。さらに「大きなコードバン層」を持つ農耕馬が少なくなっていることから、コードバンの希少性が高まり、価格は上がり続けています。
(1990年代には、一枚革で作られたコードバンのカバンを手に入れることができました。しかし今日では、一般的には販売されていません。コードバンのサイズが小さくなっているため、そもそも作成できないからです。)

では、一般的な革、たとえば「牛革」はどうでしょうか?
1頭の牛から、「ショルダー」「ネック」「ベンズ」といった、堅牢な部位の革を作ることができます。1頭あたりの採取量がコードバンよりも多いため、安価に量産できるんですね。コードバンほど、希少ではないのです。

コードバンと他の皮。その構造の違い

牛や豚などの皮革は、2層構造になっています。「表面(銀面)」と「裏面(床面)」が重なった状態で、「1枚の革」となります。動物の皮膚をそのまま活かした素材なのです。

1枚に見える革も、厳密には分かれているため、経年変化で層が歪んでしまい型崩れが起きることがあります。

対するコードバンは、そもそも表裏が存在しません

コードバンは、皮の中間に位置する「コードバン層(シェル層)」だけを使った「単層構造」になっているため、長年使用しても歪んだり、型崩れが起こりにくいんですね。(層が歪むということが起こりえないのです)。

牛革と比べて、コードバンはとてもスリム。わずか1〜2mmほどしかありません。
コードバン 厚み

「コードバン層」を削り出して作るため、そもそも「厚みのあるコードバン」は存在しないのです。

最高峰のコードバンタンナー

上質なコードバン」を作ることができる会社(タンナー)は、2社しかありません。

他にも、あと数社あります。しかし、ハリ、輝きなど、コードバンの魅力において、この2社に及びません。

どちらも老舗のコードバンタンナー。品質はトップクラスですし、希少なコードバンを安定して供給できるタンナーとして定評があります。だからこそ、世界のトップメゾンから採用され続けているわけですね。

さて、ではどちらが良いのか?

正解はありません。両者とも、コードバンの魅力を十分に持っています。「どちらをセレクトしても満足できる」。これが私の意見です。

両者を使い比べていますので、その違いを知りたい方は参考にしてみてください。
=>ホーウィン社と新喜皮革。どちらのコードバンが優秀なのか?

その他のコードバンタンナー。

ユーロ圏には、1000を超えるタンナーがあります(世界最大規模ですね)。そして、その中には、近年コードバンをつくり始めたタンナーもあります。

少し見てみましょう。

たとえば、「shell cordovan toscana」は1982年創業の馬の皮革を専門とするタンナー。ビビッドな発色がキレイですね。この色合は、イタリアのタンナーの特徴です。
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また、イギリスのタンナー「Clayton」もコードバンタンナーの1つ。しかし、今ひとつですね。シワがかなり目立ちます。
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正直に申し上げます。私はすべてのタンナーのコードバンを、使ったわけではありません。

その上でですが、コードバンの美しさを追求すると、ホーウィンか新喜皮革になると思っています。現時点ではどちらかをチョイスするのが最適でしょう。

理由は、品質にトコトンこだわる日本有数の革工房が、両社のコードバンだけを使い続けているからです。

そして、(私を含めて)口うるさい革マニアが満足していることこそが、トップクラスのコードバンの裏付けだと思います。

シェルコードバンとコードバンの違い

コードバンのアイテムを見ると、「シェルコードバン」と記載されていることがあります。「コードバン」と何が違うのでしょうか。

これは、各ブランドの表現の違いでしかありません。

例えば、アメリカホーウィン社は、オイルをたっぷりと含ませ、染料で色を付けたコードバンを「シェルコードバン」としてラインナップしています。

一方、革工房キプリスは、水染めしたものを「シェルコードバン」と言っていてます(水染めとは染料にコードバンをじっくりと浸すことで染める手法のこと。)線維組織の奥までしっかりと染まっているんですね。

つまり、各社がそれぞれ、呼び名を付けているだけなのです。
そもそも、「シェル」とは、外層の下にある隠れた線維、つまり「コードバン層」を指すのです。(日本では「コードバン」と呼ばれますが、英語圏では「シェルコードバン」と呼ばれています。)

コードバンの歴史

コードバンの起源には諸説あるのですが、もとは山羊の皮から作られた説が定番となっています。その起源は16世紀に遡ります。

「コードバン(cordovan)」という名前の由来は、最初にコードバンが作られたとされる、スペインの都市コルドバ(Cordoba)です。(今日でも、コルドバでは、伝統的なコードバンの職人を見つけることができるそうです)

コードバンの品質、美しさ、耐久性は当時もトップクラス。
特別な皮革だったため、結婚のお祝い品などに重宝されていたようです。他国の王族同士の結婚を通じて、ヨーロッパ全土、そして世界へと広まっていきました。

19世紀後半、ドイツのタンナーが「タンニンなめし」によってコードバンを作る技術を編み出しました。より美しく、ハリがあり、輝くコードバンを作ることができるようになったんですね。

そして、ドイツのタンナーからアメリカに、コードバン作りの技術が渡りました。これをきっかけに、コードバンで有名なホーウィン社が、めきめきと成長していくことになるわけです。

面白いことに、ホーウィン社がコードバンを作り出したきっかけは、カミソリの刃を研ぐための「革のストラップ」でした。
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ところが使い捨てのカミソリが主流となり、売上は激減。革のストラップではビジネスを続けることができなくなってしまったのです。この逆境をきっかけに、「革靴用のコードバン」を作りだすことになりました。結果は、御存知の通り。男性の革靴「ALDEN」はあまりにも有名ですね。

ホーウィン社のコードバンは、世界のトップメゾンで愛用される素材になったのです。今日においても、ホーウィン社は、世界一のコードバンタンナーとして定評があります。

その後、製造工程が各国に伝わっていきました。日本のコードバンタンナー、新喜皮革もそのひとつです。

コードバンの作り方

馬のお尻の皮が、すぐにコードバンになるわけではありません。

原皮から、仕上げまでに、半年〜10ヶ月もの期間がかかるのです。たくさんの作業を経て、独特の輝きを生み出しているんですね。

ここでは、コードバンの作り方を見てみましょう。

皮をなめす

原皮そのままの状態では、乾燥したり腐ったりするため、長く愛用することができません。
そこで「皮をやわらかく、何年も使える素材」に変化させる必要があります。これを、「なめし」といいます。

時間をかけて、タンニンのなめし剤に漬け込んでなめすことで、しっかりと革の芯部までタンニンを浸透させることができます。これによって、ツヤ、色の変化を楽しむ革に仕上げることができるのです。
(コードバンに限らず「革がエイジングする」、最大の理由はタンニンが酸化し、色が変化していくからです)スクリーンショット 2017-04-04 18.58.03

なめし剤の入ったプールで、ゆっくりとアクションしながらタンニンを染み込ませる工程。これは約1ヶ月にも及びます。

日本に流通する革の90%は、「クロムなめし」と呼ばれる近代製法で作られています。ドラムと化学物質を使うことで、数日で「革」が完成します。

では、なぜコードバンをクロムなめしで作らないのか?

スムースな表情や、エイジングを楽しむために、タンニンなめしが必須だからです。革に負担をかけず肌目を作り上げること、エイジング成分のタンニンを革の芯まで浸透させること。コードバンの「美しさ」は時間をかけないと、作り込むことができないのです。

原皮の加工

コードバン層を削りだす

なめした皮から、コードバン層を取り出していきます。お尻の皮の、表面と裏面は、コードバンにはなりません中間にある、わずか1mmほどの層だけが、コードバンになるのです。

方法は、いたって古典的。熟練した職人が原皮から、ミリ単位で「コードバン層だけ」を削りだします。

ちなみにコードバンが、「革の宝石/革のダイヤモンド」と呼ばれるのは、シェル層を削り出す様が、宝石の採掘作業に似ているからです。

コードバンを切り出す

馬は大きな動物ですから、全身から採れる革の量もそこそこあります。

ただし、コードバンはお尻の極一部、線維の集まった密度の高い部分にしかありません。ここを切り取ることになります。

この大きな面は、馬の下半身。ここから採れるコードバンは、半分以下です。スクリーンショット 2017-04-02 15.23.31

ほとんど場合、コードバンはお尻の左と右で分かれています。つまり、1頭から2枚作ることができます。

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サイズはこんな感じ。決して大きな革ではないのです。スクリーンショット 2017-04-04 18.35.33

_非常にまれに、左右のお尻のコードバン層が繋がっていることがあります(「メガネ」と呼ばれます)。
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「メガネ」は、「大きな個体」かつ、コードバン層の繋がった馬からしか採ることができないため、本当に希少です。50頭あたり1頭しか、このメガネを持っていません。

ベルトやカバンなど、大きな面が必要になるもの。それも、1枚革で仕立てる価値のある高級品にしか使われません。もちろん、とても高価になってしまいます…。

コードバンの仕上げ

コードバンの染色

この時点では、コードバンには、タンニンの色がついているだけ。

ここに、カラーリングを施すことで、ブラックや、バーガンディといった美しい色合いをもたせます。

コードバンには、「染料仕上げ(アニリン仕上げ)」で色を付けていきます。

染料は、水に溶けやすい成分のため「均一な色合い」にするのは難しいのですが、その代わり、革本来の風合いや表情を残した、自然な色に仕上げることができます。

コードバンの風合いや表情を活かす染色といえるでしょう。

これに対して、「顔料仕上げ」と呼ばれる染色方法もあります。
革の表面を「水に溶けにくい塗料」でベタッと塗ることで、均一な色合いを表現することができる技法です。ただし、革の風合いを殺してしまうため、コードバンのような美しい皮革には採用されません。

コードバンを磨き上げる

コードバンの表面を磨き上げることで、独特の光沢を作り出していきます。
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コードバンとは、コラーゲンを削り出したもの。その表面は、線維がむき出しの状態で、少し毛羽立っています(ヌバックやスエードに近いイメージですね)。
コードバン 毛羽立ち

つまり、削り出した時点では、「どの革よりもスムースではない」状態なのです。そこに磨きをかけ、半ば強引に線維を寝かせることで、バツグンに滑らかな表情に仕上げているんですね。

コードバンの、景色を映し出すほどの美しい表情は、職人の感覚と技術によって「創り出された」ものなのです。

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なお、この「磨きの度合い」はさまざまです。

あえてマットに仕上げるなら、磨きを少なめに。
最初から光沢をハッキリと出すなら、多めに磨いていきます。

この度合いは、コードバンの用途によって変わるそうです。
(「最初から光沢のある財布」を作るなら多めに磨く。といったように、タンナーと革工房で、磨きの度合いを決めるそうです)。

検品

最後に職人が、「コードバン」の品質基準をチェックします。

手ざわりと、ハリを検品のプロが見定めるのです。スクリーンショット 2017-04-04 20.04.04 スクリーンショット 2017-04-04 20.04.40

コードバン(シェル)ではない部位が見つかったら、切り取ります。
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これで、製品として出荷できるコードバンの完成となります。


これらの工程に6ヶ月〜10ヶ月ほどかかります。

時間をかけて、作られる皮革なんですね。
(ちなみに、日本に流通する90%の皮革は、クロムなめしで作られています。わずか数日で完成するため、アパレルブランドなどの、シーズン売りのアイテムに広く使われる安価な革です。)

なぜ、コードバンタンナーが少ないのか

1970年代はコードバンタンナーが数多く点在していました。

しかし、時代の流れとともに減少してしましました。これには、大きく2つの理由があります。

1.材料の入手が難しい

材料のシェル層は、欧州産の農耕馬からしか採取できません。

そして、その原皮を採取できる馬が減っているため、コードバンは量産が難しいのです。

タンナーが原皮が無いとコードバンを作れないわけですが、そもそもも、原皮を安定して入荷することが難しいのです。

世界屈指のコードバンタンナー、新喜皮革でさえ、月産2,000枚ほど。日本には100を超える革製品のブランドがありますから、平等に発注しても100枚ずつしか手に入りません。国内外からオーダーがあるわけですから、その希少性が高まるのは必然です。

2.ビジネスとして難しい

コードバンは完成までに半年以上かかる革です。つまり、タンナーにお金が入るまで、時間がかかるのです。


このような理由から、新しくコードバンを作りはじめるタンナーはほとんどいません。ビジネスとしてコードバンを作り続けることが難しいからです。

なぜコードバンの価格が上がり続けているのか

ここ10年ほど振り返ってみると、コードバンのアイテムは3割ほど値上がりしていると感じています。

これは、コードバンが値上がりしているからです。

コードバンは、農耕馬からしか採れない希少な素材です。
機会化により大きな個体の馬が少なくなったため、コードバンを採取できる馬が減っているのです。
また、大きな馬も減っていて、「メガネ」の採取も難しくなっています。(「コードバンのベルト」の価格は5割ほど上がっていると思うのですが、「メガネ」が取れなくなったからですね。大きなコードバンの価値が高まっているわけです。)

また、最近は、中国のニーズが高まっているそうです。輝くものに惹かれるのは、皆同じですね。コードバンの需要が上がり、それに追いついていないのです。


さて、こういった背景を見てみると、コードバンについて、ひとつの答えがでます。

「欲しいときに、買ったほうがいい」。価格が上がり続けるからです。

今後も、コードバンの生産量が上がることはないでしょうから、値段が下がるとは思えません(超円高になれば話は別ですが・・・。それは誰にも分からないことです)。

今、「ちょっと欲しいな」と思っているアイテムも、値上がりするかもしれません。今の値段が、「買えるギリギリ」なのであれば、今が買い時だと思います。

まとめ

奥深さがあり、革好きなら一度は手に入れたいコードバン。

扱いは牛革よりもデリケートですが、希少性があるのでステータスの高さはバツグンです。
使い続けることで徐々に増す光沢は、コードバンでしか出すことができない表情です。

コードバンのアイテムでは、オールデンの革靴が有名ですね。
ただ、非常に高価な品ですから、手が出しにくいのではないでしょうか。

まずは、比較的安価なコインケースや財布といったアイテムで、コードバンの魅力を体験してみてはいかがでしょうか。

コードバンは輝きとツヤが独特で、高級感はダントツです。
特別な方へのプレゼントとしても最適だと思います。

関連リンク

コードバンと世界の名革。その違いについて

コードバン以外にも、世界には「名革」と呼ばれる皮革がいくつもあります。
サドルアップ、ミネルバ、ブライドルレザーなどですね。

これらの皮革を使い比べてみての、コードバンとの違いをまとめてみました。他の革との違いを押さえたい方は参考にしてみてください。
=>コードバンと世界の名革。その特徴を徹底比較

コードバンの財布

財布はコードバンを使ったプロダクトの中でも、比較的小さなアイテムです。

1枚革のコードバンを使った贅沢なものが多く、満足度の高い財布が数多くラインナップされています。
ここでは、日本人がデザインした品質の高いコードバン財布をセレクトして紹介しています。
=>上質なコードバンを見抜くポイントと、最高のコードバン財布ブランドについて