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タンニンなめし?クロムなめし?なめしの違いによる革の特徴、メリット、デメリットの紹介

動物の「皮」を「なめす」ことで、皮は革へと変化します。

鞣し(なめし)とは文字のとおり、皮を柔らかくする作業のこと。なめしの方法によって革の特徴が変わります。

本ページでは「なめし」について解説します。お読みいただくことで、以下がわかるようになります。

  • なめしとは何か?
  • なめしの方法による、革の特徴

革のアイテムを購入するときに、「あなたにピッタリの革」をセレクトできるようになるはずです。

なめしとは

本来、皮は固かったり、伸びにくい性質を持つため、素材としては扱いにくい状態です。
これを「なめす」ことで、製品に最適な状態に革を変化させるのが「なめし」です。

具体的には、柔らかさや、しなやかさを持たせる作業です。

革を柔らかくするだけなら、たくさんの方法があります。たとえば、叩いたり、ひっぱったりして物理的に衝撃を加えても良い。ホルモンは噛み続けることで柔らかくなりますよね。

昔は棒で叩いたりして、革を柔らかくしていましたが、今日は効率的に美しい革を作る方法に変わっています。油や、化学薬品などの「なめし剤」を使っています。

なめしの種類

なめしの方法は2つ。「タンニンなめし」と「クロムなめし」です。

革の特徴にも違いが生まれます。両者の違いをざっくりと見てみましょう。

特徴 タンニンなめし クロムなめし
革質 ハリ、コシがある 軽い。
しなやかで伸縮性がある
革への着色 △地革の色に左右される ◯鮮やかな着色が容易
経年変化
(エイジング)
◯深みが増していく △ほとんど変化しない
コバの仕上げ ◯革の風合いを活かせる ×仕上げ材が必須
気軽に使えるか ×キズや跡が付きやすい ◯キズや変形に強い
人体への影響 ◯天然植物成分 ×金属成分
生産効率 ×1ヶ月以上かかる ◯1日で完了
手間(コスト) ×

詳細は後述します。

タンニンなめし

植物性の「タンニン」を使ってなめす方法で、古くから行われてきた伝統的な手法です。

タンニンによる効果

タンニンとは「渋」のこと。あの渋柿の渋です。渋味の成分そのものです。
(成分から見ると、赤ワインに含まれるポリフェノールもタンニンです。)

タンニンには動物の皮の繊維を収縮させる効果があります。このため、タンニンなめしされた革は、丈夫でハリ、コシがある固めの革になります。

エイジングによる色の変化もタンニンが大きく影響します。
革の色がどんどん濃くなるのは、タンニンの酸化や紫外線によって色が変化するからです。

渋柿から作る干し柿。この中身をじっくりと見たことはありますか?

外側はもちろん、内部も当初の色よりも濃くなっています。これはタンニンの成分が日光によって変色したからです。(日光に当たらなくても、酸化が進み色は深みを増していきます。)

ヌメ革を日に当てると濃くなるのですが、これは同じ理由です。

天然成分を使ったなめしのメリット

フルベジタブルタンニンという言葉からも分かるように、植物性の材料を利用したなめしは、人体と環境に優しい製法です。

後述するクロムなめしと異なり、金属アレルギーを引き起こしません。肌のデリケートな人も安心して使える革に仕上がります。ただ、クロムなめしでも人体に影響を与えない三価クロムが使われているので、ほとんどの人にとっては影響がありません。

ピットなめしとドラムなめし

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ピット槽

一方、いくつもの槽(おけ)に濃度や成分がことなるタンニンなめし剤を入れておき、順に革を漬け込む製法をピットなめしといいます。

じっくりとタンニンを革の芯まで浸透させるため革が丈夫になります。また、革への負担が少ないため仕上がりも美しいものになります。

手間も時間(1ヶ月以上)もかかります。
また、桶がたくさん必要になるため、スペースも必要になります。
これらはすべてコストに跳ね返ってくるので、一般的には「タンニンなめしの革」は高価になってしまいます。

こういった理由から、近年は「ドラムなめし」が一般的になっています。
ドラムにタンニンなめし剤を投入し、タンニンを叩き込む製法をドラムなめしといいます。
比較的短時間でなめすことができる製法です。
ドラムなめし

ヨーロッパのタンナーは現在も伝統的なピットなめしを採用しています。
特にイタリアのトスカーナ地方のタンナーでは盛んです。

例えばバダラッシカルロ社のミネルバシリーズはその好例です。
有名な革工房がヨーロッパの革を使うのには理由があるんですね。

デメリット

タンニンなめしの革は、水に弱く、汚れやすいです。
水分を吸収しやすいため、変形することもあります。

製品の注意書きに、「水に濡れたらすぐに拭き取ること。」と書いてあるのはこういった理由からです。

ただ、この性質は悪いことばかりではありません。
なめし後に、更にオイルや染料を追加する工程があります。
タンニンでなめされた革は、水分を吸収しやすい性質があるので、革の芯までしっかりと浸透させることができるんですね。

例えば、ミネルバ・リスシオという革は、製品になった後も、オイルが表面を潤わせてくれます。長い時間をかけて、ゆっくりと革の芯から表面ににじみ出てきます。
これは、タンニンなめしの浸透性を活かし、オイルをたっぷりと含ませているからです。

クロムなめし

クロム化合物をなめし剤として利用する製法。
クロム

伝統的なタンニンなめしは時間がかかりすぎます。
そこで、もっと効率的に革を作ることができるように開発された新しい製法です。

ドラムにクロムなめし剤を投入し、ドラムを回すことで、なめし剤を浸透させる方法は、1日程度で完了します。前述のビットなめしと比べると圧倒的に早く、大量に革を作ることができるため、低コストで革を作ることが可能です。

クロムによる効果

クロム化合物と反応させることで、柔らかく伸び縮みしやすい特徴が生まれます。

このため、タンニンなめしに比べて引っぱりやキズへの耐久性が高くなりますし、水への耐性もあります(色落ちやシミに強い)。

また、薄く、軽くでき、加工もしやすいため衣料品やバッグなどの加工に最適なのです。

クロム剤の影響で、なめされた後の革は白っぽい色になります。
結果として、着色が容易になるため、鮮やかな色の表現が可能です。

デメリット

エイジングによる革の色味の変化は期待できません。
(タンニンを含んでいないためです。)

また、クロムは金属の一種ですから、アレルギー反応が出る恐れがあります。

両者の特徴を持つ、コンビネーションなめし

それぞれのなめしにはメリット・デメリットがあります。
そのデメリットを解決する製法がコンビネーションなめし。

例えば、クロムでなめした後、再度タンニンでなめすことで、タンニンなめしのメリットである、ハリとコシを加えることができます。

このようにタンニンなめしとクロムなめしをバランス良く取り込むことが可能となりました。
今日において、両者の特徴を活かした革も作られるようになっています。

結局、どのなめしが良いの?

ここまでご紹介したとおり、なめしの方法によって特徴が違います。

どちらのなめしが良いか?は、結局のところ、どのように革製品を使うかによります。

色の深みが増していくエイジングを楽しみたいなら、タンニンなめしが最適です。
財布などのアイテムは育てる楽しみを味わいたい方が多いと思いますので、タンニンなめしされたアイテムをオススメします。
(ちなみに、当サイトでレビューした財布はほぼすべてがタンニンなめしの革です。)

一方、レザージャケットやバッグのように滑らかさ、手触り、伸縮の良さや丈夫さが重要になるアイテムは、クロムなめしが向いているでしょう。

タンニンなめしとクロムなめしの見分け方

タンニンかクロムか、見極めが難しいこともあります。

そこそこいいお値段のアイテムは、製品にふさわしい「なめし」が施されているはず。

どうしても見分けたいという方はコバを見てみると良いでしょう。

タンニンなめしのコバは磨くだけで輝きが生まれ、革本来の色味を活かした美しいコバに仕上げることが可能です。これを「磨きコバ」といいます。

一方、クロムなめしはタンニンを含んでいませんから「磨きコバ」ができません。折り返しになっていたり、塗料が塗られた「塗りコバ」になっていることが多いです。

店員さんに聞くのがベストです。「革の色は変化しますか?」。この答えがYesなら、タンニンなめしの革とお考えください。

あとがき

なめしの違いによって、革の特徴が大きく変わることが分かってもらえたかと思います。

大事なことなので最後にもう一度。

色味が深まっていくエイジングを楽しみたいなら「タンニンなめし」。
しなやかさや、丈夫で軽いことを重視するなら「クロムなめし」が最適です。