革のエイジングとは何か。早く、美しく変化させる方法について

サドルアップとフルグレイン

革が変化していくことを、「エイジング」といいます。
革製品の愛用者が、もっとも惹かれる革だけの特徴ですね。

「できれば、美しく変化させたい」。そう思う人が多いはず。

そこで本ページでは、エイジングについて紹介します。

  • そもそもエイジングとは何か?
  • どうしたら美しくエイジングさせることができるのか?

など、エイジングについてのさまざまな疑問がスッキリするはずです。

さまざまな革製品を愛用するマニアならではの視点で、エイジングについて語っていきましょう。

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エイジングとは何か

革を使っていると、「姿」が変わっていきます。
そして「エイジング」とは、その変化のすべてを指します。

ここでは、革には「どのようなエイジングがあるのか」を押さえてみましょう。

色の変化

革の色は、次第に変化していきます。

ミッレフォッリエ ナポリ 経年変化

出典:エムピウ公式サイト

写真の革は、イタリアの名革 ミネルバリスシオ。「もっとも色の変化が顕著」な皮革です。

色の変化は、もっとも分かりやすいエイジング。
ただ、この「色の変化」は、すべての革で楽しめるわけではありません

ここでは、色の変化の条件を紹介します。

色が変化する革について

革をつくる方法は、大きく2つに分けることができます。

  1. タンニンなめし(★)
  2. クロムなめし

また、革にはさまざまな「色」が付いています。この染色方法も2つあります。

  1. 染料仕上げ(★)
  2. 顔料仕上げ

色が変化する革は、上記の(★)のもの。
タンニンなめし、かつ染料仕上げの革です。

タンニンについて

そもそも皮とは、動物の肌(スキン)のこと。そのままの状態では長持ちしません。乾いたり、腐ったりしてしまうからです。そこで、「タンニン」を使って、製品として長く使える「革」という素材に仕上げているのです(これを「なめし」といいます)。

革の色が変化するのは、タンニンに含まれる「渋(しぶ)」が、変化するからです。

「渋」は、空気や紫外線に触れることによって、酸化します。このため、色が濃くなっていくんですね。革の色合いが深まるように変わっていくのは、このタンニンの成分のおかげなのです。

身近なところでは、「柿」もタンニンを含んでいます。
japanese persimmon / 柿 kaki

より多くタンニンを含むのが「渋柿」ですね。太陽のもとに干しておくことで、真っ赤な柿が、次第に茶色っぽく変化していくのは、「渋」が変化しているからです。

染料仕上げについて

染料仕上げとは、「水溶性の染料」を革の芯まで染み込ませることで、染め上げる方法です。

透明度の高い染料のため、革のもつ風合いを活かすことができます。革の表情を、もっとも味わえる染色技法なのです。

エイジングを楽しめる、メジャーな皮革をあげてみましょう。

ブライドルレザーコードバンミネルバ、ブッテーロなどですね。

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ミネルバリスシオ

ちなみに、透明な染料では、動物が生きていたときに生じた「キズ」を隠すことができません。裏返すと、「タンニンなめし、かつ顔料仕上げ」は、上質な皮でしか採用されないのです。

キズが目立つ革製品を手に入れたいとは思わないですよね。(キズが多い皮は、このあと紹介する「顔料仕上げ」で色を付けられています。)

色が変化しない革

原料仕上げとは、革の表面に「水に溶けにくい塗料(顔料)」を塗って彩りを加える方法のこと。ビビッドな色合いを表現できますし、水に強く色落ちしないという特徴があります。

ただし、革の表面を顔料でコーティングしているため、革の風合い、自然な美しさは劣ります。何より、エイジングを楽しむことができないのです。

ちなみに、「顔料仕上げ=ダメな革」ではありません。

たとえば、ドイツシュリンクの名称で親しまれる「シュランケンカーフ」。染料仕上げでは表現できない、ビビッドな美しさがあります。これは顔料仕上げだからこそ。

ピスト カラーリング

出典:WILDSWANS公式サイト


どちらが良いと感じるかは、人によるでしょう。

色ムラなく、ビビッドな美しさを長く楽しみたいなら、顔料仕上げ。

色の変化を楽しみたいなら、タンニンなめし、かつ染料仕上げ。

このようにチョイスすると、幸せになれるかと思います。

ツヤの変化

革のアイテムを使っていると、やわらかな光沢を身にまとうようになります。
「ツヤ」と呼ばれるものですね。

ツヤとは、オイルが革の表面を覆うことで、光を反射しやすくなった状態です。

ツヤを出すには、2つのポイントがあります。押さえてみましょう。

1.オイルレザーであること

革をつくるときに、オイルをたっぷりと含ませたもの。いわゆるオイルレザーですね。

メジャーどころでいうと、コードバン(特にホーウィン社のもの)、ミネルバ、ブッテーロなどがオイルレザーの代表です。
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オイルレザーとは、オイルをたっぷりと含んだ革です。

革の芯部にまでオイルが浸透しています。普通に使うだけで、革の中からにじみ出たオイルが、表面をコーティングしてくれます。これが光沢(ツヤ)をまとうようになるんですね。

一方、ヌメ革などはオイルが少なく仕上げられています。見た目もマットな仕上がりです。
ミッレフォッリエ コードバン カードポケット

オイルが浸透していないため、ヌメ革にツヤが生まれるのは、クリームなどでメンテナンスをするか、長く使うことで、人の肌の油分が移るか。このどちらか。つまり、オイルレザーに比べると、ツヤが出るまでに時間がかかります。

2.毎日使うこと

財布を例にして、エイジングを考えてみましょう。

カバンや靴などに比べると、小さなアイテムですから、その全面を手で触れることになります。手の油分だけで、全体がうるおい、ツヤをまとうようになります。

だから財布の場合、ほとんどメンテナンスが必要ありません。というのも、毎日手に取って使うため、手の油分が財布に移るんですね。適度にうるおった状態が続くわけです。

(ただし、いくつもの財布を使い分ける場合は、たまに手入れしてあげましょう)

また、雨風にさらされることがありませんから、キレイに変化していくのです。

参考:財布のカンタンメンテナンス

なめらかさの変化

革の表面には、目に見えにくい、微細な凹凸があります。天然の素材である証ですね。
サドルアップ アップ

革を使い続けることで線維が寝ていきます。少しずつ凹凸が無くなり、なめらかになっていきます。

たとえば、スムースレザーの王、ホーウィン社のシェルコードバン。実は毛穴や、トラ(血管の跡)が残っていることがあります。生きていた動物の証ですね。
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これも使うほどにスムースになるため、目立たなくなっていきます。

カタチの変化

革の正体は、「線維の集合」です。

カバンやポケットに入れて使ううちに、その線維がギュッと押されて凝縮していきます。
ハリが強く、厚みのある革財布も、しなやかになり、スリムになっていきます。
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カタチが変わるのが嫌なら、ヒップポケットへ入れるのを避けて、カバンで持ち歩きましょう。さらに、型くずれを避けるなら、コインケースを別に持つのが一番です。

ヒップポケットに入れず、小銭入れを使わない。この2つを守るだけで、新品のときのカタチを長く楽しめます。

美しくエイジングさせる方法

美しいエイジングのためのポイントは、2つしかありません。

毎日使うこと

1つは、毎日使ってあげること。
手の油分が移ることで、オイルの膜でカバーされ、潤った状態になるんですね。乾燥から守り、かつツヤが続くわけです。
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毎日使うことこそが、美しいエイジングへの道です。不思議と革もそれに応えてくれるものです。

良い環境で使う

もう1つは、革にとって良い環境で使うこと。
具体的にあげてみましょう。

適温適湿

気温が高くなる、夏の車内に置きっぱなしにするのは避けましょう。革が歪んでしまう恐れがあります。

また、カビが発生しやすい、湿度の高い場所は避けてください。一旦カビが発生すると、取りきることはできません。

カビ対策としても、オイルレザーをおすすめします。
エイジングを楽しめるだけでなく、オイルがカビの発生を防いでくれるからです。

オイルの多い皮革は、コードバン、ミネルバ、マレンマ、ブッテーロですね。
それぞれの皮革の違いは、こちらをご参照ください。

参考:コードバンとその他の皮革は、何が違うのか?

ヒップポケットに入れない

革にとって、汗は大敵です。

汗に含まれるアンモニアによって、変色する恐れがあります。また、塩分もよろしくありません。オイルや染料との相性が悪く、カサカサになってしまうからです。

手ぶらででかけたいとき、革の財布やキーケースなど、ジーンズに突っ込んで持ち歩きたくなってしまいますが、夏は避けたほうが良いでしょう。

エイジングを加速させる方法

私は身の回りのほとんどのアイテムを革で揃えていて、いくつも持ち歩いています。
そして、私くらいマニアになると、より早く育てたいという欲求が生まれてくるわけです。

ここでは、私が実践する、早くエイジングさせる方法をご紹介します。

乾拭きする

持ち歩かない財布も、手入れしています。といっても、乾拭きするていど。
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革が乾燥してしまわない限り、オイルやクリームは塗りません。

革のハリ、強度が落ちてしまうからです。(革をギュッとにぎると、「ギュイギュイ」と鳴く音も好きなのですが、これはハリのあるアイテムほど楽しめます)。

ホントに大丈夫なの?と思われるかもしれませんね。
1つ、例を出しましょう。車のハンドルですね。

クリームを塗ったりしませんよね?それでも、何年も使ううちに、ツヤが出てくるわけです。毎日丁寧に扱う革に、過剰なメンテナンスは必要ないのです。

カバンのポケットに入れて持ち歩く

仕事もプライベートも、カバンに入れて持ち歩くことが多いです。
で、こんなサイドポケットに、財布をいくつか入れて持ち歩いています。
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コットンでできたポケットに入れておくと、持ち歩くだけで財布が「乾拭き」されるわけですね。次第にツヤがあがってくるのです。

日本の革製品は、最高のエイジングを楽しめる

世界には1,000種類以上もの革があります。良いものも悪いものもありますが、、私たちはそのすべてを手に取るわけではありません。

日本の革工房がつくる、革の製品では、トップクラスのものがセレクトされています。

日本人の品質基準はとても高いため、「日本人が満足する皮革」でなければビジネスとして続けることができないからです。コードバン、ミネルバ、サドルプルアップなど、名革と呼ばれるものが使われているんですね。

個人的には、最高の素材を、最高のレベルで仕立てた日本の革工房のアイテムをおすすめします。

参考:上質な革財布をつくる、日本の革工房のまとめ

あとがき

本ページでは、私が、実際にエイジングさせ、体験し、実践していることを、ありのままにお伝えしました。

革のエイジングの面白いところは、人によって変化が異なること。使い方によって、同じプロダクトでも、異なる表情に変わっていくことにあります。味わい深く、愛着もひとしおのはずです。

ぜひ、皆さんなりのエイジングを楽しんでみてください。

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