革の染料仕上げ?顔料仕上げ?着色の違いによる特徴、メリット/デメリットの紹介

黒、赤、青、…。

ほとんどの革製品には、「色」が付いています。
これはなめしの工程で、「着色」という仕上げをしているから。

なめした後の革は色が付いていない、いわゆる「ヌメ革」の状態。
そこに「着色」することで、革が美しく彩られます。

着色は大きく2つの方法があり、それぞれにメリット、デメリットがあります。

  • 染料仕上げ
  • 顔料仕上げ

これらの染め方の特徴、メリット、デメリットを紹介します。
これを知ることで革の質や、選び方、取扱い、メンテナンスの理解もグッと深まります。

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染料仕上げと顔料仕上げの比較

最初にざっくりと比較してみましょう。

優位な仕上げを「◯」としています。

特徴 染料仕上げ 顔料仕上げ
使われる革のグレード ◯高 △低〜高
革の質感・風合い ◯活かす △殺す
(顔料で覆われる)
エイジング(経年変化) ◯楽しめる ◯ほとんど変わらない
(新品の状態が続くイメージ)
透明感 ◯ある のっぺりした印象
(鮮やかな色が得意)
色ムラ ×起こりやすい ◯均一
キズの耐性 ×付きやすい ◯付きにくい
水の耐性 ×水に弱い ◯水に強い
メンテナンスの容易さ △取扱いに注意が必要 ◯カンタンにメンテナンスできる
退色・色移り ×する ◯ほとんどしない
価格 ×高価 ◯安価

一見すると顔料仕上げの方が良さそうに見えますね。
どちらが良いかは、革に何を求めるか、どういった使い方をしたいかによります。

詳細は次節以降に示します。

染料仕上げ

染料を革の繊維に浸透させて着色する方法。

後述する「顔料仕上げ」に比べ、
革の質感や風合いが残り、透明感のある仕上がり。
革の育ちを楽しむ用途に適しています。

革には生きていた時のあかしがあります。

  • 傷(バラ傷)
  • 血筋
  • 生きていた時のシワ(トラ)
  • 虫刺されのあと

染色仕上げは、これらを隠さずに革本来の表情を活かしています。

日本人の革製品に対する品質基準は非常に高いため、この染色が選択されるということは、一定上の品質基準をクリアしたことの裏付けになります。(傷やトラが目立つものは、商品として売れない、許されないからです。)

一般的にも、傷が少ないものは染色仕上げ。
そうでないものは顔料仕上げに回されることが多いです。
(染料仕上げで製品として通用するものを顔料仕上げするのはもったいないです。)

革をたいせつに育てたい、エイジングを楽しみたい方はこの染色のアイテムを選びましょう。
財布などの小物は、染色仕上げに適したアイテムといえます。
サイズが小さいため比較的メンテナンスがしやすく長く愛用してもらえること、カバンに入れての管理などで、水分による退色、色移りが起きにくい環境などがその理由です。

デメリットは気楽に扱えないことです。

水分に弱く、退色もします。雨にうたれたりすると色が落ち、着ている服に色移りすることもあります。革工房が防水スプレーを推奨しているのは、こういった特性があるからです。

アニリン仕上げ

染料を染み込ませて色をつけた革の表面に、アニリン染料(合成染料)で薄い膜をコーティングしたもの。発色が良くなり、透明感がグッと増します。

アニリンカーフといった言葉を聞いたことがあると思います。
カーフとは生後6ヶ月以内の子牛で、キズが少なく決めが細かい革です。
こういった上質な革に美しいカラーを施したい場合にアニリン仕上げを採用します。

アニリンはスレなどに弱く、当初のコーティングは徐々に無くなっていきます。
メンテナンス時には、輝きと艶を取り戻すのに最適なアニリン専用のクリームを使うことをオススメします。

セミアニリン仕上げ

アニリンでの仕上げでは隠し切れないキズがある場合に、ごく少量の顔料を表面に塗布してキズを隠す方法です。

顔料の成分によってキズや水への耐性もつきます。

例えば、レクサスのレザーシートにセミアニリンが採用されていますね。
高級感と耐性が、シートという用途に最適だからです。

顔料仕上げ

染色仕上げと異なり、革の表面を覆うようにコーテイングして着色します。

ビビッドな色合い、均一感のある着色と表情。汚れや水に強くメンテナンスが楽。
こういった特徴を持った染色方法です。

コーティングによって傷などの「生きた証」を隠すことができます。
革の地の色、多少のキズに左右されず、ビビッドで均一な色味を表現できるんですね。

顔料は、液体に溶けない性質を持つため、水に強く、色落ちもほとんどありません。
雨に打たれた、水をこぼした、汚れが付いた。
こういった際に、布でこすってキレイにできます。

エイジングを楽しむより、ずっと新品のままの色味を楽しめます。
経年や使い込みによる色、艶の変化が少ないため、いわゆる「革の育ち」は期待できません。

日本で手に入る革製品の90%は顔料仕上げです。
これは、日本人が製品に求めるクオリティの高さのせいかもしれません。

残念ながら、革本来の風合い(傷やトラといった生きていたあかし)は万人に受け入れられるものではありません。自然な風合いよりも、ビビッドな色合いが好きな人もいるのです。

多少のキズがある革も顔料で隠してしまえるため、量産に向いています。また、バッグなどの衣服に触れるアイテムは、色移りしない顔料染が適しています。

ただし、安価すぎるものは避けたほうがよいでしょう。こちらはアパレルブランドのレザーバッグ。1万円程度だったのですが、2年弱で顔料がひび割れ、剥がれてきてしまいました。財布 顔料染の剥がれ

どの染め方がベストなのか?

仕上げの違いによる特徴、メリット、デメリットをご理解いただけたでしょうか。

一概にどの染め方が良いと決めることはできません。
結局のところ、使用する人の使い方や求めること次第ということです。

エイジングを楽しみたいなら「染料仕上げ」を。
ビビッドな色味を長く楽しみたいなら「顔料仕上げ」を。
といったようにベストな染め方は変わります。

例えば、濡れたりモノと擦れ合う機会の多い携帯ケース。
エイジングよりもキズが目立つため、あえて顔料仕上げを採用してキレイな状態を長く保つようにした商品もあります。

あとがき

革の質、使い手の要望(新品をずっと/エイジングを楽しみたい)といった点で染色方法は異なることが分かってもらえたでしょうか。

気に入ったアイテムを見つけた際は、じっとカラーを見つめてみましょう。
そして、店員さんに染め方を聞いてみると、次第に色の仕上げが見分けられるようになっていきます。

革製品をどのように使うか、どう育てたいか。

これと着色方法を照らし合わせることで、数年にわたる革製品とのつきあい方やメンテナンスがより明確になるはずです。

以上、革の染料仕上げ?顔料仕上げ?着色の違いによる特徴、メリット/デメリット…をご紹介しました。

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