「青い財布」が好きで、10以上手に入れてきました。
本ページでは、私が見て、触れて、本当に気に入った青い革のみを厳選してご紹介します。
本ページは2部構成です。
前半は、青い財布の特徴・魅力について、分かりやすく解説します。
後半では、おすすめの青い財布をご紹介します。
青い財布をお探しの方は、ぜひ参考にしてみてください。
青い財布の特徴
凛とした美しさがある
財布はビジネスシーンでも使うアイテムです。
そのためか、色の選択肢が少なく、落ち着きのあるカラーをチョイスしがちです。特に男性は、ブラックやブラウンを手にとってきたのではないでしょうか。
ブラックやブラウンは、ほぼすべての革工房がラインナップしています。ビジネスにも使える色は、無難でよく売れるからです。
「締まる色」でチョイスするなら、やはりブラックは良い選択だと思います。
ただ、言い換えると「ありきたり」です。もしかしたら、ブラックやブラウンを選び続けてきた人は、「飽き」を感じているかもしれないですね。
3年くらいで財布を買い換えることが多いと思います。そんなときにこそ、青をチョイスしてみてほしいのです。
一口に「青」と言っても、革の種類によって色合いや質感が異なるのも面白いところ。アレコレと悩みながら決めるのも楽しみです。
ブラックほどではないけれど、キリッとした締まりがある。暗さの中に落ち着きがあるから、凛とした装いになる。「小洒落た大人のカラー」といったところです。
たとえばブッテーロは、深みのある青で、ハリがある。
ミネルバは、青と緑の中間カラー。優しい手触りです。
深い青に、エイジングしていく
ブラックよりも、色のエイジングが顕著なのも、特徴のひとつ。
参考に、青いブッテーロのエイジングをご紹介しましょう。
ブッテーロの表情は、マットです。のっぺりとした印象を受けるかもしれない。しかし、使っていくと深みと透明感が増します。暗い場所ではブラックと見間違えるほどに色が濃くなります。
注意点がひとつ。すべての革がエイジングするわけではありません。
エイジングする革は「タンニンなめし、かつ染料仕上げ」のものです。私はどちかというと、変化する革が好きなタイプ。だから、タンニンなめしの革を、よく買っています。使い込むことで生まれる濃淡が、カッコイイ。
逆にエイジングしないのが「クロムなめし、顔料仕上げ」の革です。キズに強く、ビビッドな色合いが特徴です。新品のときの、鮮やかな色合を長く楽しみたいならこちらをチョイスしたほうが良いでしょう。
ただし、長く使いたいなら安すぎるものは選ばないこと。顔料が剥がれてきて、何年も使えないからです。
人と被らない
「よく売れる色」はブラックだから、青い財布はあまりラインナップされていなくて、探すのが大変。たとえば土屋鞄などの大手革工房でも作っていないですね。
結果、人と被りにくいです。所有欲を満たす大事なポイントですね。
青い財布のまとめ
いくつかのブランドからラインナップされていますので、本ページでは「革」を切り口にご紹介していきましょう。
ブッテーロの青い財布
ブッテーロは、イタリアのタンナー、ワルピエ社の代表的なオイルレザーです。ブッテーロの青はかなり深いネイビーです。今この画面を見ている画面によっては、「黒」に見えるかもしれません。
ハリの強い革です。かっちりとしていて、サラリとした質感がお好きなら、きっと気に入るはず。
新品のときの、のっぺりとした表情からは、あまり高級感がないと思うかもしれません。
でも、これは最初だけ。マットな質感が、時間をかけてツヤと深み、そして透明感を帯びていきます。
新品と、3年以上使ったものを比べると、かなり変化がありますね。
エムピウ ミッレフォッリエ
大好きな財布、ミッレフォッリエです。
片手に収まるコンパクトなサイズに、「使いやすさ」をギュッと詰めこんだ逸品。
使いやすい、青い財布をお探しなら、ぜひ検討してほしい財布です。
お札、コイン、そしてカードを一望でき、アレコレと持ち変えることなく使える。
ミネルバリスシオの青い財布
イタリアの老舗タンナー、バダラッシカルロ社の代表作です。こちらもオイルレザー。
ミネルバの青の美しさは、微細な透明感にあります。あじさいを意味するイタリア語、「オルテンシア」と名付けられたカラーは、奥行きのある深い青です。
柔らかく、手にフィットする質感が特徴です。
ミネルバは変化のスピードが早いので、エイジングを楽しみたい人におすすめです。
ミネルバリスシオに、シワ加工を施したミネルバボックスのエイジングを見てみましょう。暗めの写真だけれども、ツヤの変化が伝わるでしょうか。
新品のとき
半年後。
一年後がこちら。動画にしてみました。
エムピウ ストラッチョ スペリオーレ
エムピウの中で、コイン、お札、そしてカードをひとまとめにできる、最小の財布です。
ストラッチョはいくつかモデルがあるのですが、ミネルバリスシオのオルテンシアを使ったモデルはスペリオーレのみ。
カードやコインポケットもリスシオ。
そして、お札入れはヌメ革の表面を使った満足感のある仕上げです。
エムピウ ゾンゾ
世界一小さな、ラウンドファスナー財布です。
使い勝手はミッレフォッリエに及びませんが、コンパクトで上質さが飛び抜けている。ファスナーは、YKKの最高峰エクセラ。内装もすべてリスシオの高級感あふれる財布です。
参考:ゾンゾのレビュー
プエブロの青い財布
ミネルバリスシオの表面を毛羽立たせることで、独特の風合いを引き出した革。
色はネイビーに近いかな。深みのある青。
0.5mmに満たない毛羽立ちで、部位によってその表情も異なる。面白い革です。
毛羽立ちの部分は、和紙のような質感。触れると少しザラリとしています。
この毛羽立ちは、エイジングによって平滑になるため、手触りもスムーズに変化していきます。
ベースはミネルバリスシオのため、エイジングの特徴も同じ。色ツヤの変化を楽しむことができます。
以下の動画で、ミネルバのオルテンシアと、プエブロのペトローリオのエイジングを紹介しています。
リュテス マネークリップコンパクトウォレット
日本の革工房、リュテスのお財布。
極めて薄いボディが特徴。わずか10mmほどしかありません。
ミネルバリスシオのオルテンシアとプエブロのネイビー。
2つの青色を一度で楽しめる財布です。
リュテス コンパクトウォレット SPINA
リュテスは二つ折り財布もラインナップしています。こちらもユニークな一品。一般的な二つ折り財布とは、構造が異なります。
黒桟革の青い財布
黒桟革(くろざんがわ)は、日本で作られている皮革です。
特徴は、漆(うるし)を塗布して仕上げた表情。光を受けて独特な光沢を放ちます。一般的なシボレザーと比べると凹凸の度合いが高く、サラサラとした質感です。
カラーバリエーションは、黒と青。どちらもカチッと締まる、それでいて雅さも感じられる表情が気に入っています。
色が濃いため、エイジングはほとんどわかりません。言い換えると、新品のときの表情を長く楽しめる皮革ですね。
COTOCUL ミニ財布
コンパクトな二つ折り財布。
お札をスライドさせて入れる機構によって、「お札を折らずに収納できる」のが特徴です。
財布の底にお札を通す、ユニークな構造です。
ちなみに、本作にはいくつかモデルがあります。もっとも安価なのは、「ぼかし染めモデル」。黒桟革モデルの方が高いのは、単純に素材が高価だからでしょう。
レーデルオガワ コードバンの青い財布
最高峰の国産コードバンにも青があります。
極めてスムースな肌目は、まるで鏡のように外界を映します。
Crevaleathco アニリンコードバン ラウンドジップ財布
Crevaleathcoはレーデルオガワのコードバンを得意としています。その中でももっともコードバンを楽しめる一品。
引手など、細部まで美しく仕上げられています。
シェルコードバンの青い財布
コードバンとは、馬のお尻の皮の中間にある「コードバン層」を削り出して作る、スムースレザーです。光沢や透明感において、世界一だと思います。高級感もダントツです(実際、お値段も高価なのだけど・・・)。
ご紹介するのは、ホーウィン社 シェルコードバンのネイビー。
あらゆる皮革と比べて、光沢感がダントツです。指のカタチだけでなく、色までも映し出すことができるのは、革の表面がオイルコーティングされていて、バツグンにスムースだから。
ホーウィン シェルコードバンでメジャーなカラーは、ブラックですね。並べてみると違います(お使いのディスプレイによっては、両方ブラックに見えるかもしれません。)。
ブラックよりも淡い色合いなため、毛穴や色ムラなどがより目立ちますね。ラフな表情です。
そもそもシェルコードバンが貴重な素材なのだけど、さらにネイビーとなるとほとんど出回らない。手に入れたいなら、コードバンでオーダーを受けてくれる革工房にオーダーをお願いしたほうが早いかもしれません。
WILDSWANS パーム
WILDSWANSの中で、コンパクトでお札を折らずに収納できるもっとも小さなお財布です。
ただし、一万円札ギリギリのサイズなので、お札の出し入れは決してスムーズではない。人を選ぶ財布です。
背面にあるカードポケットが機能的です。財布を開かずにカードを使えます。
惜しむらくは一般的には販売されていないこと。WILDSWANSのXX周年などを待ちましょう。
参考:パームのレビュー
クロコダイルの青い財布
いわゆる「クロコ」。世界一高価な革ですね。
クロコの定番カラーは、ブラックやブラウンですが、青いクロコも存在します。
WILDSWANS パーム
またしても、パーム。
使い勝手は、他のモデルと一緒ですね。
外装に使われるのは「ポロサス」。クロコダイルの中でも最も高価な品種、イリエワニ(スモールクロコ)の原皮を使った希少価値の高い素材です。世界のトップメゾンが採用する皮革です。
エルバマットの青い財布
エルバマットは、イタリアの老舗タンナー、テンペスティ社のオイルレザーです。色はミネルバよりも明るく、緑が強い感じ。
しっかりとした質感・ハリは、ブッテーロとミネルバの中間くらい。
色ツヤのエイジングを楽しめる革です。ブッテーロやミネルバよりも、濃淡が出やすいですね。
新品のとき。
3週間後。
SYRINX HITOE《単》長財布
スリムで、スタイリッシュなL字ファスナー長財布です。
本作の真髄は、使いやすさとスリムさ。たとえば、コインポケットが浅いから、見やすい。
詰め込んでも、薄いお財布です。
あとがき
革によって風合いが違うのだけど、どの青も独特の魅力があります。
では、どの革がNo1なのか?
私が決めるのは野暮でしょう。人によって趣味嗜好は違うものです。
それぞれの革を使ってみての印象としては、
革のハリ(硬さ)なら、
コードバン>ブッテーロ>エルバマット>ミネルバ
※ハリの強さは、革の厚さや財布の仕立てに左右されます。あくまで参考程度で。
エイジングのスピードなら、
ミネルバ>エルバマット>ブッテーロ>コードバン>黒桟革
といったところでしょうか。
私のおすすめは、色で決めることです。
ご紹介した革は、どれも色合いが違います。
はじめての「青い財布」なら、好きな色でチョイスするのが一番だと思います。