YUHAKUは、美しい彩りを得意とする日本の革工房です。そのYUHAKUの最小財布、EVOシリーズの『三つ折りコンパクトウォレット(YEV191)』を購入しました。
本ページでは三つ折りコンパクトウォレットの使い勝手、特徴、メリット・デメリットについて分かりやすく解説します。参考にしてみてください。
リード
特徴
- 三つ折りタイプの財布
- カード、お札、コインをそこそこ収納できる
- 小さくて軽いから、手ぶらで出かけられる
- 型押しカーフのカッチリ、サラリとした質感
- 美しいグラデーションを楽しめる、豊富なカラーラインナップ
スペック
ブランド | YUHAKU |
---|---|
商品名 | Evoシリーズ 三つ折りコンパクトウォレット YEV191 |
収納力 | ★★★☆☆ |
お札入れの数 | 1 |
お札の枚数 | 10 |
コインの枚数 | 15 |
カードの枚数 | 5〜6 | サイズ | W98×D75×H20mm | 重さ | 73g |
素材 | イタリア産ベビーカーフ × 国産牛革 |
カタチ、構造
手のひらに収まるサイズ感。「小さい財布」にカテゴライズされます。
YUHAKUのように、革の表情をウリにするブランドの財布を手にするなら、大きな財布(例えば、ラウンドファスナー長財布や、かぶせ蓋の長財布)の方が、表情は映えます。ただ、大きいため、持ち歩くには不便だと感じる人もいるでしょう。(写真は、YUHAKU コードバンラウンドウォレット)
一方、本作は携帯性に優れます。ちなみに、他シリーズでは「三つ折りコンパクトウォレット」と同じ構造の財布はラインナップされていません。EVOシリーズのみです(コードバンモデルなどは存在しません)。
オーソドックスな二つ折り財布と比べると、ずっとコンパクト。カードをひとまわり大きくしたサイズです。
素材は型押しカーフ(詳細は後述)。
ぐるりと覆うように、一枚の革が使われていて縫い目がない。革の美しさ、手触りを堪能できます。
中央にはYUHAKUのブランドロゴ。革製品のロゴは、プリントや型押しが一般的なのだけど、本作では特注のメタルがあしらわれています。使い込んだクロムニッケルのような色合い。アンティークな風合い。光沢は控えめだから主張しない、ひっそりと佇むロゴです。
財布の上部に「かぶせ」があります。ダブルホックでしっかりと留めるデザイン。
開くとこんな感じ。この中に、カード、お札、コインを収納していきます。
外側も内側も高級感があります(実際高価なんですけど・・)。一般的な小さい財布と比べると、作りの丁寧さや、仕立てがダントツに良い。
使い勝手
カード
カードの収納スペースが4つあります。
合計5〜6枚ほどの収納が良いと思います。もう少し入れることもできますが、コインやお札の収納が増えると、ちょっとキツくなる。
トップポケット1
奥まで差し込むとこんな感じ。カードが顔を出すデザイン。カッティングがユニークですね。
スタイリッシュな見た目だけでなく、指の腹を添えやすくなる。結果、抜き出す所作もカンタンになる。機能的で使いやすいポケットです。
もっともカードが使いやすいポケットですから「よく使うカード」を入れましょう。私はメインのクレジットカードを収納します。サッと取り出せて、すぐに使いたいカードに最適なスペースです。
マチはないため、収納できるのは1〜2枚。
新品のときはテンションがきついので1枚がジャストフィット。馴染んでくれば2枚入るようになるでしょう。ただ、「サッと取り出してすぐに使う」なら、選別する手間がからないように、1枚がベストです。
トップポケット2
さらに上に位置するポケットにも、カードを収納できる。こちらもマチなし。
フラップが干渉するため、ちょっと取り出しにくい。
使い込むと革が馴染んで使いやすくなるかもしれません。
フロントポケット
独特のカッティングがカッコいい。取り出しやすいです。
カードを使う前に、コインポケットを開く必要があるため、現金と一緒に使うカードを入れておくと良いですね。このポケットには2枚入ります。
コインポケットの裏
コインポケット(後述)の後ろにスリット状のポケットがあります。
奥まで入れると、カードが見えなくなります。
マチが無いからガバッと開くことができないし。
指で抜き出すようにして取り出すことになる。
「持ち歩きたいけれどあまり使わないカード」が良いでしょう。例えば、保険証、免許証、サブのクレジットカードなどが最適です。
SuicaなどのICカードを入れておくのも便利ですね。他のカードと干渉しないため、そのまま決済できます。小さな財布だから、パスケース兼用にもできますね。
お札
お札はサイドに収納します。両端が縫われた、マチなしのデザイン。
広く設計されているため、出し入れしやすいですね。
内装も「革のオモテ面」が使われています。高価な部位を貼り合わせた贅沢なつくす。見た目が良くなるだけでなく、丈夫になるし、お札の滑りも良くなる。「使いやすさ」の大事なポイントです。
なお、本作は「三つ折りコンパクトウォレット」ですから、お札も三つ折りになります。これは本作だけでなく、「ストラッチョ」や「小さい財布abrAsus」でも同様。お札に折り目をつけたくないなら、長財布を買いましょう。
コイン
シングルホックです。
両マチになっているため、ガバッと開きます。
内装も革張りされていて、かなり高級感があります。「濃い色の革」が使われているのも嬉しいポイント。コインがぶつかり合ったときの金属粉が着くと、黒ずんで汚らしく見えてしまう。濃い色なら、そもそも汚れが目立ちません。
収納スペースは大きくないので、15枚くらいがMaxですね。コインが増えるとどうしてもポコっと膨らんでしまうし、コインの選別も手間取るようになる。10枚くらいまでが使いやすいと思います。
ちなみに「小さい財布」はコイン10枚くらいが一般的です。小銭が戻ってこないように計算して支払うととコイン10枚以上になることはほとんどないため、問題ないでしょう。面倒だからとお札を常に出すスタイルなら、本作のような「小さい財布」は合わないと思います。
使い勝手のまとめ
EVO 三つ折りコンパクトウォレットの収納は、カード5枚、お札10枚、コイン10枚くらいが使い勝手が良いです。
ダブルホックでしっかりと留めることができるから、もう少し入れることはできる。ただし、たくさん入れると「財布は大きくなる」。
「小さくてたくさん入る財布」は存在しません。EVO 三つ折りコンパクトウォレットは、「小さくて使いやすい財布」を求める人に、フィットする一品なのです。
素材
ベラトゥーラ技法による、濃淡のあるグラデーション
YUHAKUはシリーズごとに異なる染色技法を用いているのですが、Evoシリーズは濃淡を強調した「ベラトゥーラ技法」です。個人的にはYUHAKUの中でもっとも好きな色使い。本ページでご紹介しているカラーはRed。YUHAKUの「青」も美しいんですけど、「赤」も魅力的です。
最も淡い部位が背面です。深みのあるワインレッド。
財布の正面に向かって、色が深まっていきます。一枚の革で作られているため、エンボスと色の美しさを堪能できます。
ボタンのあるフロント側が最も濃い色です。
内装にもポイント的に同じ革、同じ色合いが使われています。
いくつかカラーバリエーションがあり、外装と内装のカードポケットの色が変わります。
型押しカーフを使用
EVOシリーズでは、型押しのカーフを使用しています。生後数ヶ月の仔牛から作られた革を「カーフ」といいます。しなやかで、肌目もきめ細かいため上質な革になる。
YUHAKUは他シリーズでもカーフを使っています。指が映り込むほどに美しい素材です。
※写真は、ベビーカーフを使ったYUHAKUベラトゥーラ札入れ
赤ちゃんの肌がきめ細やかで柔らかいように、子牛もきめ細やかな肌質です。だからカーフは滑らかでやわからな質感。
※写真は、ベビーカーフを使ったYUHAKUベラトゥーラ束入れ
バツグンの滑らかさ、鏡面のような光沢が魅力ですが、傷つきやすく、新品の美しさを保つことは難しい。
一方、Evoシリーズでは格子状の微細な凹凸によって引っかきキズが付きにくく、目立ちにくい。美しい表情を長く楽しめる素材といえます。サラリとした質感で、革の「手に馴染む」感は控えめです。
一般的なカーフと比べると、ハリが強くカッチリとしています。丈夫で型崩れもしにくそう。
凹凸が光を乱反射してコロコロと表情を変えてくれる。光量や光の当たる角度によって、ルックスが変わるのも面白いですね。暗い空間では、落ち着きのある表情。
光を受けると微細な光沢を見せてくれます。
指のカタチや色が映っているのが伝わるでしょうか。 ひとつひとつのエンボスは小さいけれど、極めてスムース。だから指が映るんです。
YUHAKUは素材や、染色技法ごとにシリーズをラインナップしていますが、繊細なエンボスと濃淡が生みだす光沢を堪能できるのは、本作のEVOシリーズだけです。
クオリティ
内装まで美しい
Evoシリーズの内装に使われている、「黒い革」も面白い。波のように水平に模様(シボ)が付いていますね。
角度を変えることで、光を反射して微細に光沢を放つ、高級感があります。
ステッチ
美しいステッチ。均等です。
糸の色は黒。細めの糸が使われていて、ステッチが主張しないため、エンボスと染色の美しさに集中できます。
コバ
コバは光沢があります。
ツルリとした仕上がりで、触れていて気持ちいい。
捻引き
革のフチに、あしらわれたラインを、捻引き(ねんびき)といいます。
キリッと締まるカッコよさに目を引かれます。これは見た目だけでなく、コバを丈夫にするための仕上げです。一手間かけた革製品である証。安物では見られないデザインです。
スタイリッシュなデザイン
小さな財布は、どこか可愛く見える。
一方、Evo三つ折りコンパクトウォレットは、キリッと締まる格好良さがある。
どのパーツを見ても、凝ったデザインになっている。単純に矩形で裁断した革を使わず、さらにカッティングを施すことで、スタイリッシュな見た目に仕上げているわけです。
安価な財布は、四角形のものが多いです。これは革の採効率が良いからでしょう。安価な財布に凝ったデザインを採用するのは、ビジネス的な理由で難しかったりするわけです。
EVO 三つ折りコンパクトウォレットは、その対極にある。とことん格好良さを追求した財布です。
三つ折りコンパクトウォレットはどんな人に合うのか
あまり現金やカードを必要としない人
たくさんのお金やカードを収納することはできません。
仕事でも使える
今回チョイスしたカラーはRed。暗めの赤ですからビジネスシーンに添えてもいい。美しく、高級感のある財布ですから、あらゆるシーンで使えます。
あとがき
YUHAKUの財布の中で、最も小さな一品。同じサイズ感のフォスキーアもラインナップされていますが、本作の方がずっと高級感があります(実際、高価なのだけど)。
小さくて、美しく、高級感がある財布。さらに使いやすさも求めるなら、コンパクトウォレットはおすすめの一品です。