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three2four CLUTCHのレビュー。コードバンを堪能できるクラッチバッグの使い勝手・特徴について

three2fourから大物が届きました。今回は本当に特別。大きなコードバン1枚を丸ごと使った、フルオーダーのカバン。『CLUTCH』です。

特徴は以下の通り。

  • クラッチバッグ
  • 立方体のカタチ
  • 容量効率が良い
  • 開け閉めしやすいマグネットタイプ
  • イタリアコードバンの一枚革で作成
  • 手縫いの仕立て

本ページでは、CLUTCHの使い勝手、特徴、オーターしたときの検討事項をわかりやすく解説します。

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カタチ・構造

本作は「クラッチバッグ」です。ポケットやベルトもない、もっともシンプルなカバン。手で持ち歩くカバンです。

素材はイタリアのコードバン(詳細は後述)。色は大好きなバーガンディでオーダーしました。

1枚のコードバンを丸ごと使っています。底も縫われていません。どこを見てもコードバンだけ。ハンドルもポケットもない。コードバンを楽しめる、もっともシンプルなクラッチです。

矩形のフォルムも本作の特徴です。カチッとした感じ。

内装はコードバンの裏面。コードバン一枚で作られたカバンです。裏張りはされていません。カバンを開くとコードバンのスタンプが見えるのもコードバン好きにはたまらないところ。

収納スペースも立方体に近い。つまりアイテムの収納効率が良い。機能的です。

手縫いだからこそのマチ構造。四角い。

開閉はフラップ構造。

マグネットでオーダーしました。

丸いマグネットに沿って縫われています。ステッチが可愛い。

マグネットの裏側(金具が出る部位)です。収納するアイテムが傷つかないよう、丸く切り取られたコードバンが当てられています。

使い勝手

フラップに指を添えてワンアクションで開く。アイテムをサッと出し入れできる。バツグンに快適です。これがクラッチの良さですよね。

コードバンの裏面は、さらさらとしてスムースです。アイテムを出し入れするときに引っ掛かることがない。

コードバンのしなやかさが活きる。カバンがガバっと開くため、見やすく、入れやすいです。

デメリットもあります。マグネットには凹凸があり、ここをジャストフィットしないとしっかりと留めることができません(この凹凸があるからこそ外れにくい)。

アイテムが詰まっていない状態だと、しなやかさゆえにボディやフラップが可動しやすい。マグネットの位置が安定しないため、ノールックではめ込めないことがあります(マグネットの凹凸がはまるように、見て位置調整することがある)。

使い込むことでクセが付いたり、マグネット部にあたりが出てくるでしょう。もう少しはめやすくなるかもしれません。

さて、収納です。iPad Pro 11インチが余裕を持って収納できます。

縦横のサイズではB5ノートで少し余裕がある。

収納スペースのマチは20mmほど。たくさんは入らないけど、それでいい。たくさん入るバッグにたくさん詰めると重くなる。重いクラッチバッグは持ち歩かなくなるし、そんな使い方はしないからです。

内部の収納スペースも矩形です。つまり、収納効率が最大化されたカタチ。薄く見える(実際薄いのだけど)けど、iPad、財布、キーケースなど、ひととおりの必需品が収納できます。

アイテムの厚みが20mmを超えてもコードバンがしなやかに曲がるので収納できます。立方体のカチッとしたカタチは崩れてしまうのだけど、曲面が生まれて妖艶な表情を楽しむことができる。ここもコードバンマニアにはたまらない。

なお、モノを詰め込まないときも厚みがあるため「スリムさ」を求めるなら、CLUTCHは合わないかもしれません。折マチ構造のように薄くならないからです。無理やり薄くすると、マチの片方が折れ曲がってしまう。負担がかかるのでこれは避けたいですね。

カバンの端は、ほぼ直角に曲がるフォルムになっています。ここに曲がる力がかかるため、油分や染料が「角の両サイド」に移動します(これをプルアップ現象といいます)。カサつきが酷くならないようにメンテナンスは必要かな。

30以上のシェルコードバンのアイテムを「美しい状態」をキープするためにメンテナン…

特徴

イタリア コードバンを贅沢に使用

素材はコードバン

様々なタンナーさんがコードバンを作っていますが、本作のコードバンはイタリアのタンナー、ロカド社(ROCADO)のもの。

有名なコードバンといえば、ホーウィン社、新喜皮革社、レーデルオガワ社ですね。それらと比べるとマイナーでしょう。比べるとホーウィン社のシェルコードバンに近い。色・ツヤにムラがあり、カチッとしすぎないしなやかさがある。

新品のときから小傷があるのもホーウィンに近いですね。デパートに置かれている、傷のほとんどない均整なコードバンが好みなら合わないかもしれません。新喜皮革やレーデルオガワの方が気に入るでしょう。

フラットな面ではコードバンっぽいツヤ・光沢は控えめ。

でも、曲面はこのとおり。コードバンならではの表情を見せてくれる。

空間の明るさなどによって表情が変わる。陽の光を受けると繊細な光沢も見せてくれます。

ロカド社のシェルコードバンはタンニンなめし、染料仕上げです。つまり、色・ツヤの変化を楽しめます。コードバンのアイテムは30以上所有していますが、イタリアのコードバンははじめて。どのように変化するでしょうか。ガシガシつかって試してみます。

一枚革のコードバンで仕立てたクラッチバッグ

1枚のコードバン(後述)から作ってもらっています。つまり、コードバンのサイズによってカバンのサイズが決まりました。

世界でも類を見ない製品でしょう。大きなコードバンの全面を最大限使ってもらいました。結果、カバンの前と後ろ、そしてフラップまでがシームレスに繋がったB5サイズのクラッチバッグになりました。

手で抱える箇所にステッチが無いから、コードバンの手触りだけを堪能できる。コードバンマニアにとって、これ以上の贅沢はないですね。

ロカド社のコードバンの裏面は淡いキャメルです。均一な色合い、見た目ではないためクラフト感があるとも言える。上品さを求めるなら合わないかもしれません。

オイルを含むコードバンですので、色が濃くなってくるはず。裏面のエイジングをも楽しめるでしょう。

淡い色のため汚れが目立ちやすい。引っ掻きキズもつきやすいので、美観をもとめるなら、一枚革は合わないと思います。気になってきたらスエードや生地を貼っても良いですね。

カチッとしたカタチをずっと保つことができるのか。これは、使い込んでみないとわからないです。いつかペタンとなってしまうかもしれません。コードバンの厚みには個体差があるし、部位によっても異なります。今回使用したコードバンは1.5〜2mmくらいあり、ハリ・コシもある。十分な強度があるんじゃないかと思います。質感はどのように変化するでしょうか。

仕立て

手縫い

three2fourの革職人、松山さんによる手縫いです。CLUTCHも手縫いだからこそのカタチ。独特のマチです。平積みの革を縫い合わせる構造ではない。折りマチでもない。

コードバンは厚みがあり、ハリもあります。直角に曲げることは難しい。そこで、コードバンの裏面、曲げる部位に「溝」をつくることで曲げやすいようにしているんですね。

結果、カバン全体がカチッとした立方体のカタチになる。

コバ

コバは磨き。黒く染色されています。

すべてのコバが同じように仕上げられています。

オーダーメイドについて

好み・用途などを伝えてオーダーしました。

本章ではオーダー時の検討事項などを示します。オーダー予定の方は参考にしてみてください。

コードバン一枚革のフルオーダー

革製品のオーダーメイドは大きく2種類あります。

ひとつは特定のアイテムで革や色を変更できるパターンオーダー(カスタムオーダー)。
もうひとつは、サイズ調整などの仕様変更するフルオーダー。

ちなみに、three2fourにおいてはPOCKET、SIZ、LIZなどはパターンオーダー。公式サイトでオーダーを受けていますが、受付期間は非常に不定期です。

今回はフルオーダーに近い。

オーダー時の要望は2つでした。あとはおまかせ。

ひとつは、シェルコードバンの一枚革で作って欲しいこと(カバンの前面からフラップまでを縫製しない。シームレスな仕立て)。

もうひとつの要望は、iPadが入るサイズです。iPad、財布などの「最低限の必需品」だけが入ればよかった。

iPadが入るクラッチバッグを1枚革のコードバンで作るのはかなり厳しい。なぜなら「大きいコードバン」が希少だからです。1枚革のコードバンで仕立てたカバンが存在しないのは、そもそも制作できるサイズのコードバンを入手しずらいからでしょう。

ちなみに、今回のコードバンサイズはA4を2枚載せても余裕があるくらい。このサイズを最大限活かして作ってもらったのが本ページのCLUTCHです。

どのコードバンを使うのか

コードバンで作ってほしいことは決めていました。しかし、複数のタンナーがコードバンを作っており、それぞれに異なる特徴がある。どれも魅力的です。

「どのタンナーのコードバンを使うか」も検討したかったため、いくつかコードバンを購入しました。新喜皮革、レーデルオガワ、ホーウィン、そしてイタリアのコードバンです。

今回のクラッチバッグのサイズ感、使い方、手触り、エイジング検証(これまでに使ったことがないコードバンを育ててみる楽しみもあった)など、総合的な判断よりイタリアのコードバンをチョイスしました。

フラップを留める構造

フラップを留める構造には、ベルト、マグネット、錠前などがあります。イタリアのコードバンを使うのだから、イタリアの錠前でオーダーしようかとも思ったのですが、重くなるし、錠前を操作するアクションが増える(これはこれで良いのだけど)。今回は「気軽に使える快適さ」と「なるべくコードバンが見える」を優先し、マグネットを選びました。

前述のとおり、マグネットに上手くはまらないことがあります。これ、閉めるときにマグネットが見えないのも原因ですね。錠前にもいろんな種類があるのですが、差し込み式だとはめやすいかと思います。ガチッとしっかりと留めるのがお好きなら錠前の方が良いでしょう。

ちなみに、three2four公式サイトではクラッチバッグの過去作品も見れます。あと、エレファントの錠前付きのクラッチバッグを何度か見せてもらっているんですけど、ものすごく格好良かったので迷いました。見た目は好みが分かれるし、使い勝手・重量などとのトレードオフがあるので用途にあった留め具がよいでしょう。

納期

今回はオーダーしてから1年と少し。WATCHBELTは2年待ったので、あまり気にならなくなりましたね。

ちなみに本作に限らず、three2fourは在庫がないと思います。基本的にはイベント購入か、カスタムオーダー。どの製品も1年前後は待つことになるはず。

あとがき

コードバンをたっぷりと楽しめるカバンはいつか手に入れたいアイテムでした。松山さん、ありがとう。大切に使います。

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