キーケースは、たくさんの革工房がラインナップしています。お気に入りのキーケースを探すのは、なかなか大変ですね。
そこで本ページでは、10以上のキーケースを利用してきた革マニアが、「大人が満足する、上質で珍しいキーケース」を厳選してご紹介します。
ピックアップする条件は以下のとおり。
- 日本の革工房のもの
- 上質な革を使っている
- 余計な装飾のない、シンプルなデザイン
- ユニークな特徴をもつもの
人と被らないキーケースをお探しの方にも、きっと満足いただけるはずです。ぜひ参考にしてみてください。
キーケースの選び方
素材で選ぶ
キーケースの素材はさまざまです。
ここではもっともメジャーな布と革について、特徴を押さえてみましょう。
布のキーケース
布のキーケースのメリットは、軽くて傷が目立ちにくいことです。
デメリットは長持ちしないことです。生地がこすれて「毛羽立ち」が起きてしまいます。長く使うほど、これが目立ってきますから、長くキレイな状態を保つことができません。
革のキーケースより安価ですから、とにかく安く手に入れたい。という方におすすめです。
革のキーケース
革の特徴は、手触りがよく、高級感があり、エイジングを楽しめることです。
手触りとフィット感が気持ちいい
革の吸いつくような手触りと、フィット感が気持ちいいこと。これも革ならではです。
キーケースは、毎日手にとって使うもの。だから、「触っていて気持ちが良いもの」をセレクトしてほしいと思います。
しなやかさ、ハリ、弾力、スムースな質感などは革だからこその醍醐味。気持ちよさを実感できる素材に、革以上のものはありません。
バツグンの高級感
なめらかに見える表面には微細な凹凸があります。光を受けて微細に輝くため、独特の風合いを楽しめます。
この美しさは革でしか味わえません。
美しいエイジング
また、色やツヤの変化、いわゆるエイジングも楽しめます。
色は深みを増し、徐々に光沢を帯びてきます。「革は育つ」と呼ばれるのは、その表情が変化していくからです。最初の状態も美しいのですが、変化した姿もサマになるんですね。高級感と存在感がダントツです。
メンテナンスが大変そう、と思われるかもしれませんが、キーケースはほとんど必要ありません。
ボディが小さいため、ふつうに使うだで、手から油分が移ります。革は適度にうるおった状態が続くためメンテナンスは必要ありません。むしろオイルを追加することで、革のハリが弱まることも。
カギの本数で選ぶ
カギの収納が少ないなら、ユニークなキーケースをセレクトできます。
ダントツに小さいこと、人目を引くユニークなルックスが醍醐味ですね。ただし、一般的なものとは使い方は異なり、少しクセがあります。
コンパクトだからこそ、どんなポケットでもスペースを取りません。あまりモノを持ちたく無い人ほど、快適さを実感できるはずです。
カギを4本以上収納するなら、一般的なキーケースをおすすめします。
くるりとカギをカバーし、スナップボタンで留める、伝統的なキーケースですね。
さまざまなカタチのキーケースがある中で、今日でも選ばれ続けるのは、ダントツに使いやすいからです。道具としての実用性の高さは、このカタチでほぼ完成しているんですね。
プレゼントとして選ぶ
キーケースは革製品の中で、もっともプレゼントに最適だと思っています。
理由をいくつかあげてみます。
誰でも使いやすい
革のアイテムの代表といえば財布ですが、プレゼントとしては難しいアイテムです。財布に求める、以下のようなことが、人によって異なるからです。
- 利用シーン
- 持ち歩きたい、お金やカードの量
- 実用性
- ブランド
一方、キーケースは役割も使い方もシンプルです。どれもほぼ同じです。ここまで紹介したとおり、素材の違いとルックスでセレクトするだけで、間違いありません。
高品質である
つくりがシンプルだから、細部までしっかりと作られています。テキトウなものを作ってしまうと、山ほどあるキーケースの中から選ばれないですし、ブランド価値が下がってしまいます。
本ページで紹介するものは、どれも日本人が満足できる上質なものばかりです。
お相手の好みが分かれば、どれをセレクトしても喜んでもらえるはずです。
リーズナブルなプライス
使用する革の量が少ないこと、また作りが単純なことから、キーケースはリーズナブルにゲットできます。
毎日使ってもらえる
ほとんどの場合、家や会社のカギを収納することになるでしょうから、毎日使ってもらえます。
カバンやポケットに仕舞われて「大事に使われるアイテム」ですから、長持ちします。
新生活をむかえる人にとっては、ドア・ツー・ドアのアイテムになるわけですから、プレゼントに最適です。
キーケースのまとめ
ブランドの特色を打ち出した、個性豊かなキーケースがたくさんあります。
あなたのお気に入りを見つけてみてください。
JOGGO(ジョッゴ)
ラインナップ | 2 |
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価格帯 | 6千円台 |
JOGGOはオーダーを専門とする革工房です。一般的に、革のアイテムをオーダーすると、何万円もかかりますし、数ヶ月待ちとなります。JOGGOはとてもリーズナブルですし、3週間で届くスピードオーダーです。ブックカバーや財布をオーダーしたのですが、カンタンにオーダーできて、早く届くのが特徴ですね。「はじめてのオーダー革製品」としてもおすすめです。
オーダー方法もカンタン。公式サイトで13色のカラーからお気に入りを選んで、色を付けていくだけ。JOGGOのキーケースに決まった色はありません。あなた自身がデザイナーとなって世界に1つのキーケースを作ることができます。
こんなキレイなパッケージで届けてくれます。完成が待ち遠しいキーケースです。
「デザインした、あなたの名前」を添えることもできます。プレンゼントで利用したのですが、とても喜んでもらえました。
使われている革は、タンニンなめし革。微細なシボのある美しいレザーです。
顔料染めのため、水やキズに強いのが特徴です。ポケットに突っ込んで汗が付いたり、雨に打たれても水染みしません。新品のときの美しい表情が長く続きます。
参考:JOGGOのブックカバー
参考:JOGGO 財布のレビュー
SUPERCLASSIC(スーパークラシック)
「小さい財布abrAsus」を開発したSUPERCLASSICが発表したキーケースがこちら。
「小さい小銭入れabrAsus」と名付けられていますが、カギを収納できる機能も持ち合わせています。
独特のプロポーションに目を惹かれますが、この細長いボディに、コイン、お札、カギを収納できるようになっています。
収納できるカギは1〜2本ですから、一般的なものと比べると数は少なめですが、だからこそ、コンパクトなサイズに仕上がっているんですね。
最小限に持ち歩きたいなら、検討してみてほしいキーケースです。
Crevaleathco(クレバレスコ)
クロシェットとは鐘を意味します。その名のとおり、独特なフォルムの キーケース。
ボタンを外すと、カギがするりと出てくるギミック。
3本のカギを収納できます。
手縫い、念引きなどにおいて、本作を超えるキーケースはない。大変美しく、上質なキーケースです。
独特のフォルムが極めてユニーク。まず、人とかぶることはないでしょう。
参考:Crevaleathco クロシェットキーケースのレビュー
エムピウ
ラインナップ | 2 |
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価格帯 | 2千円台〜6千円台 |
エムピウのアイテムはどれも革新的です。ルックスが斬新なだけじゃない。不思議と使いやすいのです。
エムピウのデザイナー村上氏は、一級建築士の資格を持つ異色の職人。そのこだわりが、どのアイテムにもたっぷりと注がれています。エムピウのキーケースは2種類あります。
conchiglia(コンキリッア)
「コンキリッア」はイタリア語で「貝」を意味します。日本語での発音が難しいですね(笑)。
本作は一枚革でカギをくるりと包み、ギボシで留めるシンプルなつくり。小さめのつくりですから、カギが2〜3本の方におすすめです。
一般的なキーケースと比べて、ダントツに小さいのも特徴です。コロンとした姿はどこか可愛らしい印象ですね。
使われている革は、マレンマ、ミネルバ、ブッテーロなど。すべてイタリアの名門タンナーの高級レザーです。ビビッドなカラーラインナップも、イタリアのレザーだからこそ。お気に入りがきっと見つかるはずです。
オイルをたっぷりと含んだレザーですから、美しいエイジングも楽しめます。毎日触るキーケースにふさわしい素材が使われているんですね。
FERMA KEY CASE(フェルマキーケース)
革のフラップ構造で留めるデザインが特徴です。一般的なキーケースと比べると、スッキリとした印象ですね。
こちらは、ブッテーロ、またはマレンマで作られています。落ち着いたカラーのラインナップとなっていますので、シンプルなものをお探しの方は気にいるのではないでしょうか。
CORBO.
内側にも革の表面が使われた、贅沢なキーケース。素材はイタリアのオイルレザー、ミネルバリスシオです。
回転式のキーホルダがユニーク。360度、くるくると回るんです。
ヴィンテージリバイバルプロダクションズ
デザイナーの塩田氏が生み出すアイテムは、どれもが新しくギミックの効いたものばかり。キーケースも大変ユニークです。中央のファスナーを開くと、カギが飛び出てくるのです。
ギミックが効いているため、人と違うキーケースが欲しい人におすすめです。
ヴィンテージリバイバルプロダクションズのキーケースを見てみる
キプリス
キプリスは20以上ラインナップしています。カーフ、キップ、コードバンまで、ありとあらゆる革のキーケースを揃えているのは、キプリスだけです。
品質も流石のメイド・イン・ジャパン。日本の伝統技術「菊寄せ」はキプリスのお家芸ですね。一番上手だと思います。
ここまでに紹介してきたものに比べると、どうしても「ありきたりなキーケース」に見えてしまうかもしれません。しかし、モノは確かですし、使い勝手も悪くありません。
オーソドックスなキーケースをお探しなら、まずはキプリスからチェックしてみると間違いありません。
WILDSWANS(ワイルドスワンズ)
WILDSWANSのキーケース、CLIPPER(クリッパー)。WILDSWANSが得意とするサドルプルアップを使ったシンプルな一品です。
サドルプルアップは、ベルギーの老舗タンナー、マシュア社の代表作です。馬具の素材として使われる、しなやかさと堅牢さに優れた革です。100年以上昔から親しまれているのは、世界トップクラスの証明として十分です。
個人的にも大好きな革で、財布やカバンを愛用しています。やはり魅力は、美しく変化していく表情。
パット見では、面白みのない革に感じるかもしれません。でも、これは最初だけ。新品のときはマットな質感に思うかもしれませんが、使い込むことでギラリとした光沢を身にまとってきます。
まだ2ヶ月ほどの使用なのですが、微光沢をおびてきました。
厚みのあるサドルアップで仕立てられたキーケースは、「革のカタマリ感」があって所有欲がバツグンに高いのですが、さらにエイジングが加わることで、ダントツの存在感を放つキーケースに変化していきます。
サドルアップはどちらかというと、ゆっくりと変化していく革です。使い方にもよるのですが、ハッキリと変化が分かるのは半年から1年くらいでしょうか。
参考までに、私が1年ほど使ったサドルアップの財布をご紹介します。ギラリとしてきました。
小さいながらも、他のWILDSWANSのアイテムと同じく、しなやかさとハリを持ち合わせた仕上がりです。コバやステッチなどの仕上げは素晴らしく、流石はWILDSWANSといったところです。
WILDSWANSのアイテムは、公式メンテナンスサービスを無料で受けることができます。例えばコバの補修、清掃など、部品の交換が必要ない作業であれば、なんと無料です。銀座に店舗があるので、ぜひ遊びにいってみてください。(遠方の場合は、郵送でもサービスしてくれます。送るときの送料のみ負担。返送費用はWILDSWANS持ちという太っ腹です。)
10年使える丈夫なキーケースをセレクトするなら、クリッパーがNo1です。どちかというと高価なキーケースですが、お値段以上に満足できるはずです。
BAHARI(バハリ)
BAHARIは、エイの革(ガルーシャ)を得意とする革工房です。その真髄は、素材の美しさを活かした美しいプロダクトにあります。
ビーズが散りばめられた艶やかな表情は、光を受けることでキラキラと輝きます。この妖艶な美しさを堪能できるのは、ガルーシャだけ。
カッチリとした素材で、キズ、汚れ、水に強いため、美しいルックスを長く楽しめるのも嬉しいポイントです。キーケースは毎日使うアイテムですから、気を使わずにガシガシ使いたいなら、最高の一品でしょう。
内装もちゃんと、革製。
希少な素材ですから、ガルーシャのプロダクトは高価なものがばかりなのですが、革の使用量が少ないキーケースは、手に取りやすいプライスです。はじめてのガルーシャなら、本作をセレクトしてみてはいかがでしょうか。
人と被らず、それでいて人目を引くキーケースをお探しなら、本作は検討すべき一品です。
YUHAKU(ユハク)
YUHAKUのキーケースの真髄は、その美しい色合いにあります。
美しいグラデーションは、YUHAKUの職人による手染め。いくつもの染料を重ねることで、奥行きのある透明感を実現しています。美しいキーケースが欲しいなら、YUHAKU一択です。
コードヴァン&ボックスカーフ キーケース
外装にコードバン、内装にカーフを使った、贅沢な1品です。
こちらは1本のボルトで、カギを重ねて留めるデザイン。持ち歩くカギが2〜3本なら、本作をセレクトできます。一般的なものと比べてコンパクトですから、モノを持たない快適さを実感できるはずです。
ベラトゥーラ キーケース
YUHAKUは素材や染色技法によって、さまざまなシリーズをラインナップしています。
本作は濃淡の表現をより強く表現した、ベラトゥーラシリーズ。YUHAKUの真髄である、グラデーションをもっとも味わえます。YUHAKUの中でイチオシのシリーズです。
素材も最高級。ベビーカーフとキップが使われています。キーケースの中では、最高級&最高品質ですね。
つくりは一般的なキーケースと同じ。6本収納できます。
ラウンドファスナーキーケース
ラウンドファスナータイプのキーケースがこちら。
見た目がユニークだし、機能も考えられた一品です。一般的なカギだけでなく、「厚みのある車のカギ」やカードもひとまとめにできるのは、ラウンドファスナータイプならでは。
ただし、ファスナーの開閉が必要なので、他のモデルよりも面倒です。
ココマイスター
ココマイスターは最高級の革製品をラインナップする日本の革工房です。
キーケースは、どれもオーソドックスなデザイン。いくつかラインナップされていますが、革マニアの私がおすすめするのは、マットーネシリーズのキーケースです。
マットーネ キーケース
格子状に革を編み込んだデザインが特徴です。網目の下、見えない部分にも革が使われています。2倍の革を使う贅沢なキーケースです。緻密な表情が美しく立体感があります。日本の職人が、手編みして作り上げたイントレチャートは、何年使っても寄れたりしません。
何より、素材が素晴らしい。バダラッシカルロ社のミネルバリスシオが使われています。100年以上続くイタリアの老舗タンナーの代表作です。
ミネルバの真髄は、劇的なエイジングにあります。オイルをたっぷりと含んだ革だから、メンテナンスフリー。普通に使うだけで、色は深みを増し、ツヤと光沢を身にまとうようになります。変化の度合いとスピードは、あらゆる革の中でダントツです。「はじめての革のエイジング」を楽しみたいならミネルバが最高の一択。
最初はマットで、均一な色合い。しかし、少しずつ風合いと色味が変化していきます。イントレチャートのデザインと相まって、立体感の増す変化を味わうことができます。
マットーネシリーズのラウンドファスナー財布とコインケースを1年ほど使ってみたのですが、「美しく変化する」キーケースといえるでしょう。
SYRINX
2018年にスタートした新鋭ブランド、SYRINXのキーケースです。
素材はイタリアのオイルレザー、エルバマット。金具が一切なく、エルバマットのスムースな質感、厚みとハリ感を堪能できる一品。カギが勝手に出てきてしまうので、他のアイテムと一緒に入れないほうがよいです。
気に入ったものを選ぶのが一番
キーケースをご紹介しましたが、結局のところ、あなたのセンスで選ぶことをおすすめします。
キーケースを使うのは、1日に数回。持ち運ぶときもカバンの中でしょうから、負担のかからないアイテムです。(他の革のアイテムと違って、雨風にさらされるような環境に、ならないはずです。)
何年もキレイな状態で、愛用できる。だからこそ、長く楽しめる「お気に入り」をセレクトするのが一番だと思います。
あとがき
似たり寄ったりのものが多く、なかなか個性が出しにくいキーケースですが、探してみるとユニークなものが見つかります。ぜひお気に入りの1品を長く愛用してみてください。