日本の革工房、Cartolare(カルトラーレ)は、エッジの効いたレザープロダクトをラインナップしています。
本ページでは、カルトラーレのすべての財布を使ってきた革マニア、財布マニアの視点で、カルトラーレの財布、全ラインナップを解説します。
本ページの前半ではカルトラーレの財布の特徴、メリット・デメリットを分かりやすく解説します。ユニークで少しクセのある財布です。最適な財布かどうか、見極めましょう。
後半ではカルトラーレの財布の特徴について、詳しく解説します。
カルトラーレの財布 まとめ
カルトラーレの財布、全ラインナップの特徴を解説します。実際に使ってみての特徴、メリット・デメリットの解説です。
ハンモックウォレットコンパクト
機能 | お札入れ×1、小銭入れ×1、カードポケット×2 |
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サイズ | W93×H69×D26mm |
重さ | 59g |
素材 | 国産牛革 |
カラー | 5色 |
生産 | 日本 |
ハンモックウォレットコンパクトは「使いやすい、小さい財布」です。小さい財布の弱点である「コインの使いにくさ」がない。ガバっと開くから入れやすく、取り出しやすいのです。
カードポケットも2つ備え付けられています。使い分けができて便利。
小さくて、ポケットに入れても邪魔にならない。水にも強いから旅行にも最適です。
参考:ハンモックウォレットコンパクトのレビュー
参考:ハンモックウォレットコンパクト 旅行での使い勝手
2019年、ステアレザーを使ったクラシコシリーズが発表されました。クラシコの魅力は、奥行きのある透明感、濃淡のある表情を楽しめることです。また、ポケットが追加され機能性もアップしています。
ハンモックウォレット
機能 | お札入れ×1、小銭入れ×1、カードポケット×2 |
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サイズ | W82×H93×D19mm |
重さ | 60g |
素材 | 国産牛革 |
カラー | 5色 |
生産 | 日本 |
ハンモック構造を持った、二つ折り財布です。
ハンモックウォレットコンパクトより、少し大きい。少しスリムです。
サイズアップした分、ハンモックの面も広くなっていますから、コインの使い勝手はこちらが上ですね。
ハンモックウォレット ノーマルとコンパクトの違い
どちらも小さい財布で、機能も似ているので悩んでしまうかもしれません。両者を使ってみての比較記事もご紹介していますので、参考にしてみてください。
ハンモックウォレット プラス
機能 | お札入れ×1、小銭入れ×1、カードポケット×4 |
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サイズ | W85 × H98 x D23mm |
重さ | 70g |
素材 | 国産牛革 |
カラー | 2色 |
生産 | 日本 |
カタチはハンモックウォレットと同じですが、収納力と機能性がアップしています。
外側にカードポケットが2つ追加されることで、最大10枚のカードを持ち歩けるようになりました。財布を開かなくてもカードを使えるのも本作の特徴です。
ただし、ハンモックウォレットよりサイズアップし、10gほど重くなっています。「小さくて、快適に持ち歩ける財布」がいいなら、「ハンモックウォレット」をセレクトしたほうがよいでしょう。携帯性はノーマルモデルが勝ります。
少しサイズアップした分、お金の出し入れ、見やすさは「ハンモックウォレット」よりアップ(とはいえ、使い比べてみないと気づかない程度ですので、どちらが良いかの判断基準にはならないと思います)。
ハンモックウォレット ミニ
機能 | お札入れ×1、小銭入れ×1、カードポケット×2 |
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サイズ | W93×H68×D20mm |
重さ | 40g |
素材 | 国産牛革 |
カラー | 5色 |
生産 | 日本 |
ハンモックウォレットコンパクトをさらに小さくしたお財布です。カルトラーレの最小財布ですね。
お札は「手で折って」から収納するため、1アクション増えます。
カードポケットが外側についていて便利です。お札をあまり使わない、キャッシュレス時代にフィットする財布です。
ジャミーウォレット
機能 | お札入れ×1、小銭入れ×1、カードポケット×2 |
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サイズ | W105 x H93 x D18mm |
重さ | 60g |
素材 | 国産牛革 |
カラー | 5色 |
生産 | 日本 |
いわゆる「ミニL字ファスナー」にカテゴライズされる財布。
なのですが・・・、やはりカルトラーレのは一味違う。
ガバっと開くため、お札を手折りせずにダイレクトに収納できるのです。
栃木レザーモデルはさらに使いやすい。コインポケットにマチがあるため、コインが見やすくて、出し入れしやすいです。
参考:ジャミーウォレットのレビュー
参考:ジャミーウォレット 栃木レザーモデルのレビュー
ジャミーウォレットプラス
機能 | お札入れ×1、小銭入れ×1、カードポケット×3 |
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サイズ | W110 x H93 x D23mm |
重さ | 86g |
素材 | 国産牛革 |
カラー | 3色 |
生産 | 日本 |
ジャミーウォレットのハイエンドラインです。
ジャミーウォレットと比べて、機能的にもアップ。まず、背面にカードが入ります。
また、カードの収納ポケットも3段に増えています。
革をたくさん使っているため、重さもアップしてます。たくさんのカードを持ち歩きたい。カードを使い分けたいなら、ジャミーウォレットプラスがおすすめです。
フラットウォレット
機能 | お札入れ×1、カードポケット×4 |
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サイズ | W98×H88×D7mm |
重さ | 38g |
素材 | 国産牛革 |
カラー | 5色 |
生産 | 日本 |
いわゆる「純札入れ」にカテゴライズされる財布。とても薄くて、とても軽い。
お札の使い勝手がバツグンです。
本作はコインを収納できないため、オールインワンの財布にはなりません。コインケースを別に持ち歩く方、マネークリップを検討されている方におすすめです。
カルトラーレの特徴
カルトラーレの財布、全ラインナップを使ってきました。本章では、使ってみて気づいた、カルトラーレの特徴を分かりやすく解説します。
革工房 カルトラーレについて
カルトラーレは、東京下町に居を構える、日本の革工房です。
ありきたりなものは1つも無い。「人と違う革製品」が欲しい人におすすめのブランドです。
ブランド名「Cartolare」は、イタリア語で「航海日誌」。船乗りに欠かせない道具をブランド名にしたのは「毎日愛用して欲しい」からだそう。
「使いやすさ」へのこだわり
当サイトでは、財布を語るときに、とても大切にしていることがあります。それは「使いやすいかどうか」を正直に紹介すること。
良い革を使っていても、どんなに美しいフォルムでも、財布は「人が使う道具」です。毎日使う財布だからこそ、「普段使いやすいこと」は、一番大切なはずです。
では、カルトラーレはどうでしょうか。
「使いやすさ」にとことんこだわるブランドだと思います。
1つ例をあげましょう。カード、お札、コインをひとまとめにできる小さな財布、ハンモックウォレットコンパクトです。収納するアイテムの全てが、使いやすいようにデザインされています。
カード
お札
特にコインの出し入れが優れています。カルトラーレの代表的な意匠、ハンモック型のコインポケットです。
ほぼすべての「小さい財布」は、コインポケットも小さく仕立てられています。コインが見にくく、取り出しにくく、入れにくいのです。
一方、カルトラーレのハンモック構造は、「口」が大きく開くつくり。見やすく、取り出しやすく、入れやすい。
ちなみに、このハンモックポケットはカルトラーレが知財を取得しています。カルトラーレ以外では販売されていません。
大人が満足する、上品なルックス
「小さい財布」のほとんどは、あまり高級感がありません。
では、小さいこと、薄いことにこだわっている、カルトラーレの財布はどうでしょうか。
小さいながらも、あらゆる空間に映えるデザインだと思います。簡素で、凛とした美しさを身にまとった財布です。
このヒミツは、素材にあります。使われているのは、カルトラーレが得意とする、国産牛エンボスレザー。
コードバン、サドルプルアップなどのスムースレザーには「ギラリと光る存在感」があります。一方、カルトラーレの革は「簡素な美しさ」といったところでしょうか。どちらが良いというわけではなく、好みです。
緻密な格子でデザインされた表情には、微細な凹凸があります。
光を受けると、微光沢をまとった表情を見せてくれます。
きらびやかでは無く、落ち着いたもの。「凛とした装い」を醸し出してくれます。「主張しすぎない美しさ」だと思います。
ビジネスシーンはもちろん、あらゆる空間で映える素材です。
made in Tokyo。品質へのこだわり
ステッチ、革のフチの仕上げなどは、財布の上質さを決めるポイントです。海外ブランドの財布に「同じ金額」を出しても、日本と同じレベルの財布は、手に入らないことがある。コバが処理されていないものさえあるのです。
では、カルトラーレの品質はどうでしょうか?
順にご紹介しましょう。
コバ
革のフチの仕上げを「コバ」と言います。コバがキレイだと、見た目が良いだけではなく、手触りが優しくなりますし、財布が長持ちします。
カルトラーレのコバは、面取りして「塗料」で仕上げられています。スムーズで手触りが良い。凸凹がありません。
ステッチ
弧を描くパーツも、均等にステッチされています。見た目の印象をグッと引き立ててくれます。
また、革と同じカラーの糸が使われているのもGood。革の美しさに集中できるように、デザインされているわけです。
流麗なフォルム
カルトラーレの財布は、「丸み」を活かしたデザインが施されています。
財布は「四角い」方が都合が良い。なぜなら、作る手間がかかりません(財布も安くなる)。
では、なぜ、「丸み」を持たせるのでしょうか。
丸いデザインにより、「美しさ、親しみやすさ」を感じられるし、
手触りもよくなるからでしょう。
カルトラーレのアイテムには、この丸みを帯びたデザインが活かされています。細部に美が宿っていて、所有欲を高めてくれます。
カルトラーレの財布で気になるところ
「すべてにおいて完璧な道具」はありませんが、カルトラーレの財布において、気になった点を解説します。
革の迫力、重厚感は控えめ
どのアイテムも、「小さいこと」「薄いこと」を重視しているため、「薄い革」で仕立てられています。
製品としてのルックスは、簡素で上品。革の美しい表情を楽しめます。
一方で、「革のカタマリ感」は、あまりありません。なんというか、軽い感じ。
革製品に求めることは、人によって違うはずです。
革の風合いを活かし、劇的に変わるエイジングを楽しみたいなら、「ミネルバ」「コードバン」などを使ったアイテムの方が気に入るでしょう。
重厚で、迫力あるアイテムが欲しいなら、厚みのある革を活かしたWILDSWANSなどをセレクトした方が満足できるはずです。
これは「工房の特色」なので、甲乙つけがたいのですが、「ガッツリとした革を楽しみたい」なら、カルトラーレよりも優れた工房があるということです。
色、ツヤの変化は控えめ
カルトラーレの財布は色、ツヤが変化するエイジングしないものもあります。定番のハンモックウォレット、クラシコシリーズで使われる革は、ほとんど変化しません。
以下は1年以上使ったハンモックウォレットコンパクト。カタチは変化していますが、色・ツヤはほとんど変わってないです。新品のルックスが長く続くということです。
なお、栃木レザーで作られた、ジャミーウォレットと、イタリアの革で作られたハンモックウォレットがラインナップされています。こちらの革は、色・ツヤが変化します。
参考:ジャミーウォレットプラス 栃木レザーのレビュー
参考:ハンモックウォレット イタリアンレザーのレビュー
ラインナップが少ない
まだまだ新鋭の革工房。だからでしょうか、アイテムのラインナップも、まだ少ないです。選ぶ楽しみは他ブランドに一步劣るかもしれません。
あとがき
日本には100を超える革工房があり、それぞれに「特徴」があります。
カルトラーレの「特徴」は本ページでご紹介したとおりですが、一言でいうと「ユニークで使いやすい」です。
私はエッジの効いたアイテムが好きなので、カルトラーレはピタリとはまりました。特にハンモックウォレットコンパクトがお気に入り。今後も注目していきたいブランドです。