カルトラーレから、新作財布「フラットウォレット」が発表されました。本ページでは使い勝手、特徴、メリットだけでなくデメリットも含めて、実直にご紹介していきます。
最初にザッと特徴をピックアップするとこんな感じですね。
- コインが収納できないお財布
- スリムでコンパクトなフォルム
- シンプルなデザイン
- 国産レザーを使った、上品な装い
- On/Off問わずに使える、ルックス
コインケースを別に持つ方、マネークリップをお探し中の方におすすめの一品です。
ぜひ参考にしてみてください。
スペック
ブランド | カルトラーレ |
---|---|
商品名 | フラットウォレット |
収納力 | ★★☆☆☆ |
お札入れの数 | 1 |
お札の枚数 | 10 |
コインの枚数 | 0 |
カードの枚数 | 5 | サイズ | W98×H88×D7mm | 重さ | 38g |
素材 | 国産牛エンボス加工 |
使い勝手
一般的な二つ折り財布と比べると、一回りほど小さなつくりです。
男性の私が手に持つと、こんな感じ。
外装は非常にシンプル。しなやかで、ハリのある質感です。
裏面がこちら。
表面。
表にあしらわれた、フラップはゆるやかなカーブを描いています。
どの方向からでも指を添えやすいデザインで、パチンと弾くように、財布を開くことができます。
カード
この時点では、まだフルオープンではありません。
ここに、フラットウォレットの「使いやすさのキモ」があります。
財布を開かなくてもカードが使えるようにデザインされているのです。
カードが少しだけ頭を出していて、カードを引き抜くことができます。
さらに財布を広げると「お札が丸見え」の状態になるのですが、
このカード構造によって、お札を見せずにカードが使えるんですね。とても安心です。(知らない人に現金を見られて、いい気はしませんよね。)
私の場合、ほとんどの場合カード決済しています。
ここからカードを出してお会計終了。実にスマートです。
カードは重ねて入れるデザインですから、一般的な財布のように「たくさんのカードの中から瞬時に使い分ける」といったことはできないのですが、不思議と「使いにくい」とは感じません。
収納できる枚数は、厚みのあるカードで5枚ほどがベスト。(革はしなやかに曲がるので、もう少し詰め込むこともできますが、お札とのバランスを考えると5枚くらいが最適だと思います。)
そもそも、たくさんのカードを収納することができませんから、カードを探し出すのに時間がかからないのです。使っていると「よく使うカードが一番手前にある」状態になるため、使うカードが少ない人であれば、全く気にならないと思います。
フラットウォレットに収納する、5枚を厳選してみましょう。
今お持ちのカードの中から、以下をピックアップしてみてください。
- よく使うもの
- あまり使わないけれど持ち歩きたいもの
私の場合は、
- メインのクレジットカード
- Suica
- 免許証
- 保険証
で4枚ですね。つねに持ち歩きたいカードは少ないものです。
実際にこういったスタイルを試してみると、ほとんど困ることがありません。
むしろ、ポケットの中がいつも快適になり、ずっと身軽になれるのです。
お札
財布を開いた状態がこちら。
簡素なデザインです。
財布の端を見ると、ユニークな革のパーツが見てとれます。こちらでお札を留めることになります。
左下はRを描いた革のフラップ。半円形の窓が、くり抜かれたデザインです。
例えば、クーポンや、レシートなどを入れておくのもアリでしょう。顔を覗かせてくれますから、行方不明になりません。
左上には小さなフラップ。ここもお札を留めるパーツです。
さて、実際の使い心地はどうかというと、
これがバツグンに素晴らしいです。
まず、開いた瞬間、お札全体が目に入ります。
お札を留めるフラップは小さく、それでいてしっかりとサポートしてくれるので、お札がバラバラになったりすることがありません。
また、フラップの付いた側は、縫製されていますから、左側にお札が抜け落ちることもありません。
では、お札を収納してみましょう。
左下のフラップは、Rを描いたデザインとなっています。
これがフラップウォレットの意匠であり、使いやすさをグッと高めてくれるポイントです。
お札を仕舞うときも、出すときも、このフラップに引っかかることがありません。
どんな角度でも、お札の流れをスムーズにサポートしてくれるのです。
(角張ったフラップであれば、お札を出し入れするときに引っ掛かるわけですね。毎日使うわけですから、大きなストレスです。)
普段は気に留めないアイデアなのですが、これをカタチにした財布はフラップウォレットだけのように思います。
こういった機能美に気付いたとき、本当に嬉しくなります。
財布の用途はシンプルですから、すでに完成されたアイテムともいえます。だからこそ「ありきたりな財布」が多いんですね。
フラットウォレットのように「ちょっとした工夫」を取り込むことで、グッと使い勝手がよくなるのです。こういった意匠を見ると、やはり日本の財布は世界一だなと思います。
話がそれました(汗。レビューに戻りましょう。
次は取り出すときです。
左側からお札をサッと押し出して使います。これも良く出来ています。
お札に指を添え、優しく・軽くスライドさせると、1枚だけ。
(少し難しいですが)力をバランスさせてスライドさせると、扇状にお札が広がります。
お札の端に指を添え、スライドさせると、一度ですべてスライドできます。
最後写真では、思いっきりお札をスライドさせているのですが、左下のフラップでしっかりと抑えられている状態になっています。ですから、お札が飛び散ることもありません。
ちなみに、私の手は標準よりもかなり大きいです(バスケットボールを片手で掴むことができるほど)。指がつりそうになるほど全力で押し出しても、「お札はサポートされる状態」ですから、ほぼすべての人が、安心して使えるはずです。
左上のフラップから外れたお札は、「折りたたまれていたクセ」があるため、自然とパラリとめくれる状態になります。
お札は半分飛び出したカタチになるため、とても数えやすくて取り出しやすいのです。どちらかというと、マネークリップに近い使い心地です。
では、フラットウォレットには何枚のお札が入るのか、ということについて。
カード枚数とのバランスにもよるのですが、
カードを5枚入れているときには、お札は10枚くらいがベストですね。
財布に負担がかからず、ボタンも締めやすく、厚みも抑えられます。
MAXで15枚ほど。これを超えると、ボタンを留めるのがキツくなってきます。
フラットウォレットの真髄は、そのスリムなボディにあるわけです。裏を返せば、たくさんのお札を収納するのは苦手です。
というか、本作に限らず、二つ折り財布は、たくさんのお札を収納できません。折りたたんだお札が「元の真っ直ぐなカタチに戻ろうとする」ため、財布が開いてしまうのです。
残念ながら、「スリムでたくさん入る財布」はありえないんですね。たくさんのお札をひとまとめにしたいなら、素直に「長財布」をセレクトした方が幸せになれるはずです。
さて、フラットウォレットは、いわゆる「札入れ」にカテゴライズされる財布です。(札入れとは、「小銭入れの付いていない財布」のことです。)
オーソドックスな札入れと比べてみましょう。
このように、お札がほとんど隠れてしまうデザインです。
両手を使って開かないと、どれくらいお札が入っているかは分かりません。
比べてみると、「お札の見やすさ、出し入れのスムーズさ」において、フラットウォレットの方が良く出来ているように思います。
もちろん、札入れも優秀な財布です。「2種類のお札を仕分けする」といった点で優れているわけです。
どちらも使った経験から、オススメしてみます。
カードもお札も、最低限だけを持ち歩く。「モノを持たない身軽さ・気軽さ」を大切にしたい方は、フラットウォレットを。
15枚以上のお札、8枚以上のカードをひとまとめにしたいなら、札入れを。
といったところでしょうか。
オーソドックスな札入れと、フラットウォレット。
それぞれ異なる特徴を持っているわけで、絶対にこっちの方が良いと決めるのは野暮でしょう。あなたのスタイルに合う財布が、一番良い財布だと思います。
使い勝手のまとめ
フラットウォレットはコインは入りませんし、沢山のカードやお札を収納できるわけではありません。ですから、「オールインワン」とは言えません。
一言で言うと、「最低限をミニマムに、効率的に持ち運ぶこと」に優れた財布です。
無駄を削ぎ落としたデザインだからこそ、自然と使いやすいと思うわけです。
(もしも、カード10枚、お札20枚を収納できるデザインなら、厚ぼったくなりますし、「カードを探す手間」も増えてしまいます。クールじゃないですよね。)
今日ではクレジットカードやSuicaでの決済が多くなっているのではないでしょうか。
あなたのスタイルがそうであれば、本作の醍醐味の「薄さ、小ささ、使いやすさ」を十分に実感できるはずです。
特徴
「薄くて小さいこと」をウリにした財布は、今日ではたくさんあります。
そういった財布と比べてみると、フラットウォレットの特徴は何でしょうか。
スリムを突き詰めたデザイン
フラットウォレットの真髄は、お金を詰め込んだあとも、スリムになるように計算されていること。
その代表的な意匠が、お札を留めるフラップの構造にあります。
上と下にそれぞれ、お札を留めるフラップがあります。
上はフラップがあり、同じフォルムで下のフラップがくり抜かれています。
もうお気づきかもしれませんが、財布を折りたたむと、この凹凸がパズルのピースのようにピタリと一致するのです。
結果としてフラットな面になるんですね。
下部の切り取りは、財布を軽量化するだけでなく、スリムなフォルムを保つために活かされているわけです。
国産型押しレザーの上品な装い
フラットウォレットの特徴の1つは、郡を抜く美しさにあります。
本作で使われる革は、カルトラーレが得意とする国産エンボスレザー。
格子状に型押しされた表情は上品な装い。微細な光沢と相まって、端正なフォルムを際立たせています。
外装には一切、余計な装飾がありません。
表面にはブランド名があしらわれていますが、影をひそめるように型押しです。あくまで主役は革自身なのです。
微細な凹凸を持つ表情は、光を乱反射し、いつも違った表情を見せてくれます。
あるときはマットに、またあるときは、どこか妖艶な美しさを身にまといます。
このエンボスは、美しいだけではありません。
エンボスそのものが弾力を持ち、財布をダメージから守ってくれます。
スムースなレザーと違い、この凹凸があるおかげで、ひっかきキズや汚れに強いのです。
絶対にキズ付かないか?というと、そんなことはないのですが、格子のデザインによって、そもそもキズが目立たないというメリットもあります。
長くキレイな状態で愛用したいなら、フラットウォレットは優秀です。
made in Tokyoの丁寧な仕上げ
一見すると、シンプルなつくりの財布なのですが、細部の仕上げは流石です。
カルトラーレの代表的な意匠を含めて、フラットウォレットの仕上げを見ていきましょう。
スリムさと堅牢さのバランスがとれたボディ
一般的に、薄い財布を作るときには「革を薄くすく」ことで、財布をスリムに仕立てることになります。スーパークラシックの薄い財布、小さい財布は、まさにこの手法を採った財布ですね。
薄い革を使うと、どうしても柔らかい質感になります。手で握ると、財布のカタチが変わるほどです。(これがダメというわけではありません。革のフンワリとした質感もまた、味わい深いものです。)
さて、フラットウォレットはどうでしょうか。
非常にスリムなボディですから、正面からの圧には、しなやかに曲がります。
一方、財布の両サイドからの圧には非常に強い仕上がりです。後ほどご紹介しますが、コバの仕上げがしっかりとされていること。また、ボタンで留めるフラップによって、歪みが抑えられるようにデザインされているわけです。
カンタンに型くずれしてしまうようなヤワな仕上がりではないということです。
美しいフォルムを楽しめるはずです。
すべて革の表面で仕上げた贅沢なつくり
革には表面と裏面があって、裏面は毛羽立っています。
裏面は見た目がイマイチですし、触れたときに気持ちよくないんですね。
フラットウォレットのすごいところは、革の裏面が一切見えないようになっていることです。
これは、表面だけを見せるように作ってあるからです。
札を留めるフラップの裏でさえ、こんな感じ。
普段目に見えないところさえも、丁寧に仕立てられています。
このレベルになると、海外のトップメゾンでしか見ないつくりです。
コバ
革の端。いわゆるコバの仕上げも、とても丁寧です。
同色の塗料で仕上げられたコバは、まるで一枚革のよう。
財布を開けるフラップは、もっともダメージを受けやすいパーツです。
だからこそ、本作も革を何層も重ね、しっかりとコバ仕上げされているのです。
コバの仕上げは、見た目が美しくなるだけでなく、触れたときの気持ちよさにも関わるポイントです。
フラットウォレットを開けるたびに、コバの恩恵を実感できるはずです。
もっとも、こういった仕上げは、私のような革オタクしか興味がないのかもしれません。(そんなことを気にしなくても気持ちよく使えるというのが、スゴイところなのです。)
ステッチ
直線はもちろん、Rを描くカーブラインも、ステッチは均整で美しいです。
ステッチの色は、革と同色。
ここでも「主役はあくまで革」といった心意気が見て取れます。
あとがき
洗練されたデザインと使い勝手の良さがバランスされた良品です。
「カードとお札だけ」を快適に持ち歩きたい人にとって、本作以上のものはなかなか無いように思います。「モノを持たない快適さ」をもっとも実感できる財布ですね。
マネークリップや札入れをお探しなら、フラットウォレットはその候補としてオススメできる一品です。
軽くて、スリム。上品であらゆるシーンに映える財布をお探しなら、フラットウォレットは最適な相棒になるはずです。