さまざまなタイプのコインケースがあります。中でも「馬蹄型(ばていがた)」は特別です。
特徴は以下のとおりです。
- もっとも使いやすいコインケース
- 立体的で、美しいデザイン
- 日本でしか販売されていない
- 世界一丈夫な財布
本ページでは馬蹄型コインケースの特徴と、おすすめの馬蹄型コインケースをご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
馬蹄型の使い勝手
Rを描く流麗なフォルムが一番の特徴ですね。丸みを帯びたフォルムは美しいだけでなく、手で持ったときのフィット感もバツグンにいい。とにかく、手に馴染むのです。
小さなサイズで、手のひらにすっと収まります。ポケットの中でも邪魔になりません。
「コインケース」には沢山のカタチがあるのですが、そういった中で、身軽さ、気軽さ、使いやすさ、そして美しさにおいて馬蹄型は、No1のコインケースだと思います。
手に持つとこんな感じ。一般的なコインケースより、ずっと小さい。手のひらに収まるサイズ感です。コロンとしたフォルムからは、愛くるしい印象を受けます。
キプリスの馬蹄型はとても贅沢なつくりです。外装のすべて(表、裏、サイド)がコードバンで仕立てられています。とても滑らかな革で、つるりとした質感です。上品なだけでなく、触っていて気持ちいい。
コインケースを開くフラップもコードバンです。
本作に限らず、馬蹄型のコインケースは、このフラップを引っ張ることで、開くつくりになっています。開けてみると、こんな感じ。
馬蹄型のコインケースは、開いた時にはコインが隠れたままです。
本体を傾けることで、コインが滑り出てきます。しっかりと革で囲まれていますから、コインがこぼれ落ちることはありません。広い面にコインが散るため、見やすく、取り出しやすいのも馬蹄型のメリットですね。なお、このスペースに並ぶコインは10枚程度です。コインが多いほど、使い勝手は落ちていきます。あまり溜め込まず、使うようにましょう。
コインをしまう時は、逆に傾けて、コインをスライドさせるイメージ。収納するスペースは、トンネルのように大きく口が空いていますから、するりと格納されていきます。
10枚を超えると、傾けただけでは収まりきらないようになるので、揺さぶりながら仕舞います。コインの収納スペースは立体でマチがあるため、コインが数枚重なっても収納できます。
収納できるのは20枚ほど。500円玉20枚を収納することはできませんが、普通に使うなら余裕の収納量。
当たり前ですが、コインを収納するほど、重くなります。手のひらに収まるほどのコンパクトなサイズですから、とても軽そうに見えます。イメージとは裏腹に重い。重みを増した馬蹄型は、何というか、コードバンの重厚感をより一層に感じられる。不思議ですね。
収納スペースにコインを滑り込ませたら、フラップを閉じます。背面も、可愛いです。
馬蹄型には、もう1つポケットが備え付けられています。ふだんはフラップで隠れるデザイン。
このフラップを開けると、コインを収納できるスペースが現れます。
たとえば、500円玉だけはここに入れる。など、きっちりと仕分けしたい人には嬉しいポケットかもしれません。ただ、使い勝手はあまりよくないため、私は使っていません。飾りです。無理に使う必要もないでしょう。
馬蹄型の特徴
気持ちの良いコインケース
馬蹄型のコインケースは閉じるときに、「フシュッ」と心地よい音がします。使っていて気持ち良いと感じるポイントで、開け締めするために嬉しくなる。
足にジャストフィットする革靴を履く時、同じように音がしますね(男性はイメージつきやすいかもしれません)。まさにこの感じ。
これは、財布のパーツが、隙間なく組み立てられていて、キレイに空気が抜けているからです(隙間があれば、そこから空気が漏れるため、音はしません)。
人と被らないコインケース
コインケースの種類は、たくさんあります。中でも馬蹄型は緻密にデザインされた、立体的なコインケースです。「もっとも作るのが難しいコインケース」のため、熟練の職人しか作ることができません(後述)。
馬蹄型のつくりを見てみると、職人技が見て取れます。美しいステッチは、すべて手縫い。
立体感を生み出す、収納スペースにしっかりと縫製されています。
アパレルブランドが取り扱わないのは「そもそも作ることができる職人が少ない」からです。日本有数の革工房だけがラインナップできるコインケースなんですね。
1つ1つ、ハンドメイドで作られるため量産できませんし、時間がかかるからこそ、高価になってしまいます。馬蹄型を使っている人をあまり見かけないのは、高価だからでしょう。
「コインを収納する」という役割だけで見ると、もっと安いコインケースがあるわけですから、あえて馬蹄型をセレクトするのは、こだわりのある人だけなのかもしれません。
人と被らない、上質なコインケースをお探しなら、馬蹄型は最適なコインケースだと思います。
3年使っても型崩れしない。丈夫な財布
私の握力は50kgほど(男性の平均よりも強いくらい)。全力でギュッと握っても、馬蹄型はびくともしません。
そもそもコードバンは、ハリと強度のある革(牛革の3倍の強度)。ですが、素材だけが理由ではありません。そもそも、馬蹄型がとても堅牢なコインケースなのです。
以下は、300日ほど使った写真です。
ポケットに入れて持ち歩いていたのですが、一切型くずれしていません。多少のキズは付いていますが、コードバンのツヤの方が勝るため、愛着が増しています。
こちらは2019年に撮影。購入して3年以上です。フラップの周りなど、よく触れる部分は色落ちしてきたけど、カッチリとした馬蹄フォルムは健在。
2020年に撮影。1年で100回以上、開け締めしていますが、きっちりと締まる。長く使うことを考え抜いた、独特のフォルムと堅牢性は流石です。世界一丈夫と言っても、過言ではないでしょう。美しいルックスだけでなく、使いやすさ・堅牢性も合わせ持つ、日本職人の意匠なのです。
では、なぜここまで頑丈なのか?
ヒミツは製法にあります。
ほとんどの革製品は、2枚の革を張り合わせて縫われています。ミシンでも縫える製法です。
でも馬蹄は違う。コインを留めるパーツ(マチ部)が立体のため、ミシンでは縫えません。
ボディには、以下のようにステッチが並びます。
ボディとマチ、ふたつのパーツを垂直に組み合わせたうえで、斜めに縫い合わせています。これが馬蹄型に使われる技法「駒合わせ縫い(こまあわせぬい)」です。
ボディとマチの穴にハリを通すために、斜めに穴を空ける必要がある。穴がずれるとステッチラインが乱れ、カタチも崩れてしまう。パーツがずれないよう、カタチを整えながら、縫う必要がある。
馬蹄型は「小さいのに高価」だと思うかもしれません。しかし、ご紹介したとおり、極めて高度な技術が必要ですし、細かなピッチを一穴ずつ縫い締めていくため時間もかかる。高価なものには理由があります。
馬蹄型が丈夫なのも、特殊な作りだからです。コインのパーツは3mm以上のの厚みがある。
この極厚のマチを「駒合わせ縫い」により、立体をカチッとキープすることができます。 だから型崩れしにくい。
コードバンやブライドルレザーのようにハリ・コシの強い革を使うことで、さらに頑丈になります。長く使いたい方にピッタリのコインケースだと言えます。
素材が映えるデザイン
コードバンはバツグンに美しい皮革です。さらに、馬蹄型の流麗なフォルムが組み合わさることで、素材の美しさが引き立ちます。
最高の素材をジャパンメイドで仕立てた馬蹄型は、まさに芸術品です。
上質な馬蹄型コインケースのまとめ
気に入ったものを見つけるのは、なかなか大変です。そもそも、作ることができる職人が少ないため、限られたブランドだけがラインナップしていますし、違いも分かりにくいので、どれを選ばばよいか判断しにくいはず。
そこで本章では、日本の工房の馬蹄型コインケースをご紹介します。
ピックアップの条件は「長く愛用できる上質なもの」。どの工房のものをセレクトしても、きっと満足できるはずです。
高価なものですから、間違いの無い逸品を手に入れましょう。
キプリス
キプリスは最大手の革工房。ラインナップがとても豊富です。日本有数の百貨店に置かれていますから、知名度の高さもバツグンですね。
本ページでご紹介したもの、キプリスの馬蹄です。3年以上愛用しているおすすめの逸品。
キプリスの馬蹄型は、theオーソドックス。余計な装飾のない、シンプルな馬蹄型だからこそ、つくりの良さで決めたい。であれば、キプリスは一考の価値ありです。特徴は、本ページでご紹介したとおり。きらびやかな特徴はありませんが、丁寧な仕事っぷりが分かる馬蹄型です。
最初はマットな表情に感じるかもしれません。ですが、それは最初だけ。毎日使ってあげると、美しく変化していきます。
otohaci
革職人の上村さんが受注生産で仕立てる、最高品質の馬蹄コインケースです。素材はレーデルオガワのコードバンや、ブライドルレザーなどの高級素材を選べます。
内装も美しく、細部まで丁寧に作られています。
K.T.ルイストン
K.T.ルイストンは、コードバンのアイテムを得意とするブランド。
自社製品だけでなく、ALDENのコードバン靴など、海外のコードバンのアイテムを取り揃えています。
個人的にも、コードバンのベルトや馬蹄型のアイテムを気に入って、愛用しています。
K.T.ルイストンの馬蹄型は、ぷっくりと膨らんだプロポーションが特徴。
所有欲の満たされる逸品です。
GANZO
ハリの強さであれば、No1のブライドルレザーを使った馬蹄型です。
ステッチが映えるデザインは、力強い印象ですね。一番丈夫な馬蹄型が欲しいなら、検討してほしいアイテムです。
世界一高価なエキゾチックレザー、スモールクロコの馬蹄型はGANZOだからこその逸品です。
ココマイスター
素材は、国産コードバン。日本が誇る新喜皮革のコードバンです。
あとがき
馬蹄型のコインケースには沢山の魅力があります。1つピックアップするなら「使っていて気持ちが良いコインケース」といえるでしょう。
コンパクトなボディに無駄なくコインが詰め込めるデザイン、流麗なフォルム、堅牢なつくり。とてもよく考えられたプロダクトだと思います。まさに、機能美の集合です。
珍しく、高価な財布ですから、人と被らず、さらに人に注目されるコインケースだと言えるでしょう。少し変わった、それでいて上質なコインケースをお探しなら、ぜひ馬蹄型を検討してみてください。