日本の革工房YUHAKU。その真髄は、独特のカラーにあります。
奥行きのある透明感とグラデーションが施された、日本一美しい革財布を作るブランド。
YUHAKUは、さまざまな財布をラインナップしています。その数、60種類ほど。
では、何が違うのか?
比べてみましょう。
以下はどちらもYUHAKUの財布。カラーはBlueです。
こちらは、コードバンシリーズのBlue。
こちらは、フォスキーアシリーズのBlue。
どちらも「YUHAKUの青い財布」ですが、シリーズによって素材、質感、色合いが違います。
たくさんのYUHAKUの財布から、気に入ったものをセレクトするのは、なかなか大変なはず。
そこで本ページでは、YUHAKUの様々なシリーズを使ってきた財布マニアの視点で、YUHAKUの財布全シリーズの特徴や、メリット・デメリットを分かりやすく解説します。
最後までお読みいただければ、お気に入りのYUHAKUの財布を、見つけることができるはず。高価な財布だからこそ、ご購入前に参考にしてみてください。
YUHAKU(ユハク)
YUHAKUは素材や着色方法など、それぞれ特徴の異なるシリーズを展開しています。
各シリーズの特徴と、シリーズを象徴する財布をご紹介します。
Veratula(ベラトゥーラ)
種類 | 二つ折り(小銭入れ有/無)、ラウンドファスナー長財布、長財布(小銭入れ有)、L字ファスナー長財布、コインケース |
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価格 | 3万円台〜 |
Veratulaは「YUHAKUの染色」を、もっとも味わえるシリーズ。
YUHAKUの定番、かつロングセラーです。はじめてのYUHAKUなら、Veratulaをセレクトして間違いありません。
他シリーズでも、美しいグラデーションを見ることができますが、全シリーズ中、もっとも濃淡のコントラストが効いています。
財布の中心は淡い色合いで。端にいくほど深みを増していく。この絵画的なグラデーションが、YUHAKUのVeratulaシリーズの特徴です。
透明感のある色合いもVeratulaの魅力です。光を取り込むことで濃淡が変わります。空間によって表情が違って見える。どこか妖艶な美しさをまとう、大人にふさわしいシリーズです。
外装はベビーカーフ(生後6ヶ月以内の仔牛の革)。キメ細かでスムースな表情は、ツルリとした質感。触れていて気持ち良い。
Wineはこんな感じ。
鮮やかすぎず、落ち着きのある色味ですので、ビジネスシーンでも違和感なく使っています。
内装は濃い色。これもオススメのポイント。汚れが目立たないので、長く使えます。
さて、Veratulaシリーズでは、二つ折りから長財布まで、数多くの財布がラインナップされています。
私のオススメは長財布タイプの束入れ。濃淡の効いたグラデーションを、大きな面で楽しめます。
参考:Veratula札入れのレビュー。日本一美しい二折り財布(Purple)
参考:Veratula束入れのレビュー。日本一番美しい長財布(Wine)
気になる方は、ぜひ以下のページも参考にしてみてください。ベラトゥーラの特徴、他シリーズとの違い、メリット・デメリットを分かりやすく解説しています。
参考:ベラトゥーラとは何か?使い比べてみてわかった、他シリーズとの違い
Evo(エヴォ)
種類 | 二つ折り(小銭入れ有/無)、ラウンドファスナー長財布、長財布(小銭入れ有)、L字ファスナー長財布、小さな財布 |
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価格 | 2万円台〜 |
Veratulaに型押しを施したシリーズです。
Veratulaはスムースな美しさを堪能できる。しかしながらキズが付きやすい。そこで表面に型押しを施すことでキズの目立ちくい格子状のデザインにしたのがEvo。もちろん、YUHAKUのお家芸である濃淡のあるルックスは、本作でも味わえます。
微細な凹凸により、よりサラリとした手触りになっています。ハリも本作が上。手に馴染む質感はVeratulaの方が上。どちらが良いということはないので、お好みで。
Diamant(ディアマント)
種類 | 二つ折り(小銭入れ有)、長財布(小銭入れ無)、 ラウンドファスナー、コインケース |
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価格 | 3万円台〜 |
革のダイヤモンド、コードバンを使った、YUHAKUの中でも高価なシリーズ。
あらゆるスムースレザーの中で、もっとも美しく高級感のある革だと思います。素材の美しさ、品格、光沢を求めるなら、本シリーズがもっともしっくりとくるはず。
世界最高峰の国産コードバン(新喜皮革)に、YUHAKUの手染めを施しているのが本シリーズの魅力。濃淡のあるコードバンは、YUHAKUだけの醍醐味です。
コードバンの財布を得意とする日本の革工房は、たくさんあります。その中から「美しさ」でセレクトするなら、DiamantがNo1でしょう。右に並ぶものはありません。
バリエーションも豊富です。内装をコードバンで仕立てた最高峰のものから、キップ(生後6ヶ月〜2年)のものまで予算に合わせてセレクトできます。言うまでもなく、前者の方が高価なのですが。
ちなみに、「コードバンのラウンドファスナー財布」をお探しなら、コードヴァン束入れ [ラウンドファスナー]をセレクトしましょう。美しさ、丁寧な仕上げにおいて極めて満足度の高い一品です。
コードバン × YUHAKUの最上級の美しさを大きな面で楽しめるのも、本作の醍醐味です。
参考:YUHAKU コードバンラウンドファスナー長財布のレビュー
参考:YUHAKUコードバン束入れのレビュー
Tourbillon(トゥールビヨン)
種類 | 長財布(小銭入れ無)、ラウンドファスナー、コインケース |
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価格 | 2万円台〜4万円台 |
Tourbillonシリーズは、ブライドルレザーで仕立てられているのが特徴です。
本シリーズでは、YUHAKUの象徴ともいえるグラデーションは施されていません。ブライドルレザーの素材感と、エレガンスなデザインを楽しめるように仕立てられたシリーズです。
ブライドルレザーはイギリス生まれの革です。古くから馬具として利用されてきただけあって、ハリが強く、とても丈夫。力強さと落ち着きが相まった、まさに大人にふさわしい素材といったところでしょうか。
表面に浮かぶのはブルームと呼ばれるワックスです。使っていると次第に無くなっていき、代わりに艶が生まれてきます。これもまた、ブライドルレザーの醍醐味ですね。
Cobweb(コブウェブ)
種類 | 長財布(小銭入れ無)、ラウンドファスナー、コインケース |
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価格(税込) | 8万円台〜 |
Cobwebに採用される素材は、世界一高価な革、クロコダイル。YUHAKUのシリーズで最高価格のアイテムがラインナップされています。
「クロコ」といっても、ナイルワニ、シャムワニなど、たくさんの種類があります。Cobwebはクロコの中でも高価なナイルワニを使っています。
天然素材のクロコは、部位によってウロコの模様が異なりますから、1つ1つがが唯一無二。「型押しクロコ」と異なり均一な表情で仕上げることができません。個体差がはっきりと表れるのが醍醐味ですね。私もいくつかクロコの財布を持っていますが、迫力と高級感はやはりダントツ。
「長財布」の値段が飛び抜けて高価なのは、大きな財布は1匹のワニから1つしか作れないからです。
クロコと牛革を合わせた財布もあります。クロコ×グラデーションが美しいですね。
オールクロコでは手がでないけれど、手にしたい人には丁度良いアイテムかもしれません。
LUCE e Ombra(ルチェ エ オンブラ)
種類 | 二つ折り(小銭入れ有)、長財布、L字ファスナー |
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価格 | 3万円台〜 |
YUHAKUのビビッドなカラーに、ブラックの帯をあしらったシリーズ。
ブラックとのコントラストを活かすデザインを採用しているため、メインカラーのグラデーションは控えめ。落ち着きのあるよそおいです。
最高級イタリアンカーフを使った表情は、透明感もバツグンです。指の影だけでなくカタチ、色まで映り込むほどスムースな表情です。
ルチェ エ オンブラの特徴は、使いやすいこと。
財布の構造が、YUHAKUの他シリーズと異なる作りになっています。
一般的な財布とくらべても、珍しい作りで、機能性の高い逸品がラインナップされています。
TuiTui(ツイツイ)
種類 | 長財布(小銭入れ有)、ラウンドファスナー、 L字ファスナー、二つ折り |
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価格 | 1万円台〜 |
Tuituiシリーズの財布は、しっとりと手に吸いつくヌバックを使っています。ヌバックは、カーフ(仔牛)の表面を毛羽立てる仕上げを施した革。
写真の品は束入れ[ラウンドファスナー]。
TuiTuiシリーズでは防水加工がされています。
本作に限らず革に防水処理をを施すことで、水はもちろんのこと、汚れ防止にもなります。ただ、効果がずっと続くわけではなく、しだいに落ちていきます。防水を続けたい場合は、定期的に防水スプレーでのメンテナンスすることで、気持よく長く使えます。
Du Monde(デュモンド)
種類 | 二つ折り(小銭入れ有/無)、長財布(小銭入れ無)、コインケース |
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価格 | 2万円台〜6万円代 |
Du Mondeの特徴はコードバンに施された美しい色です。
コードバンの仕上げはレーデルオガワ。コードバンに美しい染色、艶出しを生み出す作業を専門とする業者。極めて
YUHAKUだけではなく、土屋鞄をはじめとする革工房の製品に、レーデルオガワのコードバンが使われているのはその裏付けとして十分でしょう。
染色は、アリニン染。染色後に、アリニンという合成染料を使って革に薄いコーティングを施すことで、水に弱いコードバンを保護すると同時に、透明感と光沢を生み出す着色方法です。
このDu Mondeシリーズは、コードバンを知り尽くしたレーデルオガワとYUHAKUが技術提携して生み出したコードバンを使っています。つまり、Du Mondeで使われている革は、Du Mondeでしか味わうことができません。
実際、土屋鞄やキプリスのコードバンを眺めても、あくまで単色のカラーです。
写真の財布は、Du Mondeの札入れ。本シリーズで唯一小銭入れが付いた財布です。
一般的なコードバンに比べて、YUHAKUの特徴であるグラデーションが活かされた色味は、まさにDu Mondeでしか楽しめない逸品です。
ALBERTE
ALBERTEはYUHAKUの姉妹ブランド。YUHAKUとはコンセプトが違います。
YUHAKUが「美しさ」なら、ALBERTEは「発明」。
ALBERTEの財布は、一般的な財布とはフォルムも使い方もちがう。洗練されたプロポーションと使いやすさが魅力です。
SOLE
種類 | 二つ折り(小銭入れ有)、長財布(小銭入れ有)、L字ファスナー |
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価格(税込) | 19,940円〜29,160円 |
「薄さ」を特徴とする財布。その代表作の束入れです。
カードとお札の使い方が独特で、実に洗練されたお金の払い方ができます。
圧倒的に薄くて軽いため、内ポケットの中でもバツグンの快適さを体験させてくれます。
このシリーズは実際に買っていますので、気になった方はこちらも参考になさってください。
参考:ALBERTEラウンドファスナー束入れのレビュー。スリムで使いやすい財布
参考:ALBERTE 束入れの使用レビュー。薄さと機能性を合わせ持つ長財布
あとがき
どのシリーズもYUHAKUだけの特色を持っています。
それぞれハッキリと違いがありますから、趣味嗜好で選ぶのが一番です。
初めてのチョイスであれば、やはり独特なグラデーションを堪能できる長財布を選んでほしいなぁと思います。
YUHAKUの色使いに魅了されたのであれば、以下の2シリーズがオススメです。
- Veratulaシリーズ
- Foschiaシリーズ
参考 廃番モデル
シリーズの統合、または革の確保の難しさなどから廃番となったモデルもあります。
参考までにご紹介します。
Foschia(フォスキーア)
種類 | 二つ折り(小銭入れ有/無)、ラウンドファスナー、コインケース |
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フォスキーアシリーズの染色は、全体に霧がかったようなイメージ。Veratulaよりもやわらかい印象のカラーリングです。
ラウンドファスナー長財布は、野暮ったいものが多いのですが、Foschiaは美しさが圧倒的に勝ります。というか、YUHAKUのラウンドファスナーは、他ブランドのものと比べてスリムな仕上がりになっています。「スリムなラウンドファスナー」ならYUHAKUと考えてもらっても間違いありません。
フォスキーアも、さまざまなタイプがラインナップされています。
一番人気はラウンドファスナー束入れ。
内装に馬革を使うことで、一般的なラウンドファスナーよりも軽量に仕上がっています。携帯性の高さも人気の理由ですね。
内装は明るめのキャメルカラー。中のアイテムが見やすいのですが、濃い色の内装と比べると、汚れが目立ちやすいです。「美しい状態を、長く保ちたい」なら、「Veratula」や「Diamant」のように濃い色の内装のシリーズをおすすめします。
Bicolore(バイカラー)※廃番モデル
種類 | ラウンドファスナー |
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価格(税込) | 48,600円 |
シリーズ名の示すとおり、バイカラーのカラーリングが特徴。比較的コントラストがハッキリした2色を使い分けているため、スタイリッシュな印象を受けます。
YUHAKUのBICOLOREは、ラウンドファスナータイプの長財布1つのみ。
どのカラーも、ブラック + YUHAKUのグラデーションが施された逸品です。
財布でのバイカラーというのはなかなか珍しいのではないでしょうか。
というか、YUHAKU以外では見たことがありません。
ほとんどの革工房は、革の染色を自前で行いません。
多くの革はタンナーで染色されていて、工房は染色済みの革を使って財布を作るだけです。
YUHAKUの特徴の1つは、染色を自前で行っていること。だからこそ、バイカラーといった珍しいカラーリングの財布を発表できるのです。
Diamant(ディアマント) ※廃番モデル
種類 | 長財布(小銭入れ有) |
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価格(税込) | 66,960円 |
外装をコードバン、内装をカーフで仕立てた長財布。
内装の革はドイツのタンナーベリンガーの「クリスペルカーフ」。
カーフとは仔牛の革です。正牛に比べてキメが細やかなため、表情や艶感が美しいのが特徴ですが、キズが付きやすいというデメリットがあります。
クリスペルカーフは、仔牛の革をクロムなめしの製法で作られているため、キズや変形に強いのが特徴です。
クリスペルカーフは、水シボと呼ばれる非常に小さなシボが表面に並んでいて、このシボに光があたることで、キラキラして見えます。
クリスペルカーフは、クロムなめしにもかかわらず、エイジングが楽しめる珍しい革です。
YUHAKUのクリスペルカーフは黒いため、色の変化は目立ちませんが、艶が出てきて、当初の細かなシボにもより深い陰影が見て取れる様になります。
軽く、しなやかで、そして育つ革であるクリスペルカーフと、コードバンの融合。
1つの財布で2つの革の表情を楽しめる贅沢なシリーズといえるでしょう。