本ページでご紹介する財布は、革工房YUHAKUの一品。
引き締まったデザインと、ハリのある質感に惹かれて、ブライドルレザーの長財布をセレクトしてみました。
まずは、ざっと特徴をピックアップしてみましょう。
- オーソドックス&シンプル。かぶせ蓋タイプの長財布
- ハリのある、カッチリとした質感、手触り
- ブライドルレザーの堅牢なつくり
- 力強く、端正なルックス
- 美しさを追求したデザイン
一口で言い表すなら、「気品のある大人の財布」といったところですね。
ぜひ参考にしてみてください。
スペック
ブランド | YUHAKU |
---|---|
商品名 | ブライドル束入れ |
収納力 | ★★★★☆ |
お札入れの数 | 1 |
お札の枚数 | 30 |
コインの枚数 | 20 |
カードの枚数 | 12 | サイズ | W190 × H93 × D24 | 重さ | 148g |
素材 | 牛革(ブライドルレザー) |
使い勝手
ブライドル束入れは、一般的な長財布と同じくらいのサイズ感。手にもつとこんな感じ。
外装は、ブライドルレザーの一枚革。
継ぎ目のないシームレスな仕立てで、ハリのあるカッチリとした手触りと、艶やかな風合いをたっぷりと楽しめます。
ブライドル束入れは「かぶせ蓋タイプ」にカテゴライズされる1品です。
オーソドックスで、クラシカルな長財布ですね。今日においても幅広い年代から愛用されるのは、使い勝手がバツグンに良いからです。
財布を留めるためのボタンやファスナーはありません。パタンと1アクションで開け閉めできるのが、かぶせ蓋の特徴。カードやお金を使うための手間が少なく、使いやすいのです。
開いてみると、こんな感じ。シンメトリなつくりが、ブライドルレザーの美しさを引き立てています。
それでは、各アイテムの使い勝手を見ていきましょう。
カード
片面に6枚。両面で12枚のカードを分けて収納できます。
この枚数は一般的な長財布と比べると、かなり多い方です。かぶせ蓋タイプでは、とても珍しいつくりです。
両サイドにずらりと並んだ姿は壮観。
ガバッと開くかぶせ蓋は、見やすく、取り出しやすく、整理しやすいのです。たくさんのカードを使い分ける人ほど、使いやすさを実感できるはずです。
この使い勝手の良さは「かぶせ蓋」だけのもの。
二つ折り財布では、たくさんのカードを収納できませんし、ラウンドファスナー長財布では、ここまで取り出しやすくありません。
さて、ポケットのつくりを見てみましょう。
カードポケットは牛革。ペイズリー柄のエンボスが施されています。
遊びゴコロのある妖艶なデザインもまた、本作の魅力ですね。
カードポケットの奥は、フリーポケットが備わっています。
コインポケットの奥に1つ。
そして、反対側のカードポケットの最上段に1つ。
フリーポケットは、十分な幅があります。
新幹線のチケットやライブチケットのような「カードより長いアイテム」を折り曲げずに収納できます。
ただし、マチはありませんから、たくさんのアイテムを重ねて入れるのは苦手です。
(マチがあると、たくさん収納できるのですが、財布が分厚くなってしまいます。あえてマチのないデザインにしているのでしょう。)
お札
カードポケットと、コインポケットの間。ここがお札入れ。
収納できる枚数は30枚ほど。ほとんどの方にとって十分な容量ではないでしょうか。
たくさんのお札を入れないときは、折りたたまれるためスリムに。お札を増えてもマチが広がって柔軟に支えてくれます。
全方位折込マチタイプの、珍しい作りです。
コイン
財布を見開くと、カードしか見えません。パット見、コインポケットの無い「純束入れ」かなと思うしかもしれませんが、これも本作のデザインのこだわり。
カードポケットで、コインポケットのファスナーが隠されています。非常にスッキリとした装いなのです。
お札入れの奥に配置されたファスナー。こちらがコインポケットです。
くすみを帯びたファスナートップは目立たず、これがまた落ち着いた雰囲気を生み出しています。
収納できるコインは20枚ほど。
ポケットは十分に広いため、もっと詰め込むことができるのですが、財布のスリムさと、軽さを考えると、たくさん入れないほうがよいでしょう。コインで膨らんだ財布は、あまりスタイリッシュとは言えませんし、本作のエレガントさが台無しです。
内装の革がブラックというのも、おすすめのポイント。
コインの金属粉によって、汚れてしまうことがないため、美しいままで長くつかうことができます。(ブラックのため、そもそも汚れが目立たないのです)。
特徴
最高級のブライドルレザー
YUHAKU ブライドル束入れに使われるブライドルレザーは、英国のタンナー グレードレザー(GRADE LEATHER)社の代表作。トップメゾンでも採用される、最高級の皮革です。
サラリとした質感で、しっかりとしたハリがあります。
きめの細かさもブライドルレザーの魅力ですね。
とても簡素なルックス。しかし、だからこそ私は選びました。
「余計な装飾がないこと」は、良い財布を見極めるポイントだと思っています。
素材やフォルム、そして使い勝手といった、本質的な部分で勝負するしかないわけで、誤魔化しが効きません。
(本作に限らず)YAUHAKUのプロダクトはブランドロゴを目立たせないポリシーが垣間見えます。この思い切ったデザインは、自信の表れといえます。上質なアイテムにおいて、ロゴを目立たせるひつようはありません。
ただ一つのロゴがこちら。目立たないエンボス加工で、ロゴが施されています。
表面に浮き出た白い粉は、ブルームと呼ばれるもの。仕上げ時に使うロウ成分が凝固したもので、ブライドルレザーの醍醐味です。
少しブラッシングしてあげると、光沢のある表情が現れます。
ブラッシングしなくても、ブルームは次第に馴染み、落ちていきます。ブラシや、布でやさしく拭いてあげると、目立たなくなります。
誠実な装い
ブライドルレザーを、その他の銘革と比べてみましょう。
コードバンほどのギラギラとした光沢はなく、落ち着いた装い。
ミネルバほどのやわらかさはなく、ハリのある質感。
こういった特徴を持つ素材ですから、一口いうと「誠実」な印象を受ける皮革です。
YUHAKUのプロダクトは、美しい色合いをウリとするものが多く、ともすれば「エレガントすぎる」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そういった中、本作は「力強さ」と「気品」をコンセプトにした仕上がりとなっています。派手さ、きらびやかさは控えめ。凛とした佇まいが、落ち着きのある大人を演出してくれるはずです。
力強さと落ち着きが相まった、ジェントルさ。そう感じさせてくれる仕上がりです。
バツグンに丈夫
ブライドルレザーの魅力は、ハリの強さと、革のカタマリ感。
ブライドルレザーは、古くから、馬の「たずな」といった馬具に使われてきました。
落馬などの事故を起こすわけにはいきませんから、絶対に壊れたり切れることが無いように、「丈夫で長持ちすること」を追求した皮革として作られ続きてきたのです。
財布を握ると「ギュイッ、ギュイ」と鳴くように音がします。これは線維がギュッと詰まった上質なタンニンなめしの革である証拠。
繊維密度の高さは、堅牢な皮革の絶対条件です。ブライドルレザーは丈夫な素材ですから、長く愛用するのにふさわしいのです。
YUHAKUの丁寧な仕上げ
日本の革工房ならではの、上質な仕立てが細部に見てとれます。
ステッチ
ブライドルレザーと同色カラーの糸で、ステッチされています。あくまでも主役は革なんですね。
大変美しい仕上がりです。均等かつまっすぐな仕立ては、ブライドルレザーの風合いを際立たせてくれます。
コバ
財布のエッジはキレイにコバ仕上げされています。
財布の寿命を長くしてくれます。ギュッと握ったときに、痛くありませんから、気持ちよく使えます。本作に関わらず、財布を選ぶときに必ずチェックしてほしいポイントですね。
念引き
カードポケットのフチに引かれた、ラインを「念引き」といいます。これも日本の革細工に見る、伝統的な技法。
見た目の美しさを、キリッと引き締めてくれます。
こだわりのパーツ
ファスナートップはヘアライン加工。仕上げは高級感もバツグンです。
クスミのあるダークトーンは、革の風合いを邪魔せず、落ち着いた装い。あくまでも主役は革なのです。ファスナー1つとっても、YUHAKUのこだわりが見て取れます。
どこを見ても、やはり美しい。細部まで丁寧に作り込まれていて、所有する喜びが存分に満たされる仕上がりです。
あとがき
ブライドルレザーの財布は山のようにありますから、正直どれをセレクトしたら良いのか悩んでしまうのではないでしょうか。
日本の革工房の財布には、英国の最高級ブライドルレザーが使われていることがほとんどですから、素材は最高品質。つまり、どれをチョイスしても、ソコソコ良いものが手に入るわけです。
そういった中で、YUHAKUのブライドル束入れは、一際エッジの効いた1品といえます。
ブライドルレザーの力強い風合いに相まるエレガントなデザイン。これこそが、本作の醍醐味でしょう。
パット見、シンプルな長財布ですが、細部の丁寧な仕上げが、落ち着きのある気品を醸し出してくれる1品です。大人が満足する、上質な長財布です。