ポーター ウォールシリーズの財布『ウォール ウォレットS』を購入しました。
本ページではウォール ウォレットSの使い勝手、特徴、メリット・デメリットについて、分かりやすく解説します。
特徴
ウォール ウォレットSの特徴は以下のとおり。
- ミニL字ファスナー財布
- お札、コイン、カードを分けて収納できる
- 小さくて薄いから、携帯しやすい
- ポーター独自。ブライドルレザーのような革
- エイジングを楽しめる
スペック
ブランド | ポーター |
---|---|
商品名 | ウォール ウォレットS |
収納力 | ★★★☆☆ |
お札入れの数 | 2 |
お札の枚数 | 10 |
コインの枚数 | 10〜15 |
カードの枚数 | 5 | サイズ | W114×H95×D16mm | 重さ | 61g |
素材 | 牛革×豚革 |
カタチ、構造
ウォール ウォレットSは、「ミニL字ファスナー」にカテゴライズされる財布です。手のひらにちょうど収まるほどのサイズ感。オーソドックスな二つ折り財布よりも、ずっと小さい。
表と裏を縫い合わせていない、一枚革でぐるりと巻いた構造です。ステッチが無いから、手に持ったときに革の質感を楽しめます。
背面は完全にステッチされていて、マチがありません。つまり、ガバッと開く財布ではありません(詳細は後述)。見やすさ、取り出しやすさはマチのあるミニL字ファスナー財布に劣ります。しかし、これが悪いわけでは無い。マチが無いからこそたくさん詰め込んだときにスリムなフォルムを保つことができる。ウォールは「携帯しやすい」財布なのです。
外装はブライドルレザーのような革(後述)。ウォールは5種類のカラーラインナップがあります。本ページでご紹介するカラーはワイン。
引き手はボディと同素材・同色の革が使われています。
ファスナーテープもボディカラーと同トーン。統一感があります。
ファスナーの歯ひとつひとつに立体感があるため、光沢が生まれます。美しく、高級感のあるルックス。YKKの最高峰ファスナー、エクセラですね。一般的なファスナーよりずっと高価です。
スムーズに開閉できる。
ファスナーの終端はこんな感じ。革にスライダーが当たらないようになっています。
中央にポケット。本体と同じ革が使われています。
両サイドにお札やカードを収納できます。
つまり、本作には3つの収納スペースがあります。オーソドックスなミニL字ファスナーですね。
使い勝手
コイン、お札、カードの使い勝手を解説しましょう。
コイン
中央のポケットに収納します。
15枚準備しました。
袋状のポケットが口を開く。入れやすいです。
余裕で入ります。15枚くらいは入るのだけど、お札、カードをたくさん入れることを考慮してすると、10枚くらいが良いかな。スリムなフォルムを保てるし、財布に負担がかからない。
本作に限らず、ほぼ全てのミニL字ファスナーに言えることですが、ポケットが深くてコインが底に沈む。だから見やすいとは言えません。コインがある程度入っていると取りやすいですね(コインが積み重なるため、見やすく、取り出しやすくなる)。
いっそのこと、中央にはコインを入れない、という使い方もアリでしょう。たとえばカードなら横にして2〜3枚入ります(縦だとはみ出て入りません)。馴染んできたらもう少し入るかもしれません。あとレシートを入れたりも。
代わりに、サイドにコインを入れる。コインが10枚くらいなら、こちらの方が見やすいかな。ただし、使っているうちにコインから金属粉が出て、黒ずんでしまうのは避けられない。好みが分かれる使い方だと思います。
カード
サイドに入れる。カードは重ねていれる構造。「カードを挟みこむ」ような使い方。
縦にも入りますね。
たくさんのカードの中から、使いたいカードを素早く選びたいなら本作は合わないでしょう。段状のポケットが並ぶ財布をチョイスした方が幸せになれるはずです。
冒頭で解説したとおり、本体の背面が縫い合わせれていてマチがないため、ガバッとは開かない。カードの奥の方はよく見えない。
けれど、そもそも5枚ほどしか収納しないのだから問題なく選ぶことができます。
収納枚数が増えるほど財布が膨らむので、カードは5枚くらいが良いかな。
収納量は、お札やコインとのバランスに依存します。お札の収納が5枚程度なら、反対側のサイドポケットにカードを2,3枚を一緒に入れることもできます。
お札
収納する前に、「手折り」が必要です。また、使うときはお札を伸ばすことになります。このアクションが嫌ならウォール ウォレットSは合わない。
11枚準備しました。
11枚くらいがMaxかな。重ねて入れると結構パンパン。
分けて入れた方が薄くなります(面倒だし時間がかかるため、レジではできないけど)。
お札を挟むイメージ。マチがないためガバッとは開かないのですが、取り出しやすいですね。
ウォール ウォレットSは、見やすさや取り出しやすさにおいてマチのある財布に劣ります。でもそれでいい。本作はスリムなボディで、携帯しやすい財布だからです。
収納力
コイン 15枚、お札11枚、カード5枚を入れてみました。
ボディがかっちりとした革なのでやんわりと膨らむ程度(ボテっとは膨らまない)。
薄くていい。マチのある財布だとこうはならない。
特徴
ブライドルレザーのようなタンニンなめし革
ウォールシリーズの素材は牛革。表面が白っぽいのは、ロウが浮き出ているからです。
まるでブライドルレザーのような表情。
しかし、ポーターはブライドルレザーとは言っていません(“ブライドルレザーを彷彿させる”と表現している)。本作の革もポーター のオリジナルです(大手メイカーはオリジナルの革を作ることがあるんです)。
「ブライドルレザー」とは革の総称であり、さまざまなタンナーが作っています。トーマスウェア、ウィケット&グレイグ、J&FJ ベイカーなど著名なタンナーがいくつもあります。
英国ブライドルレザーと比べても、ハリ・コシもあまり変わらないかな。ブライドルレザーを彷彿とさせるのは見た目だけじゃなく、質感もですね。あえて言うなら迫力は足りないか(使っているとブルームは落ちてしまうので、新品のときにそう感じるだけかもしれない)。
なお、ポーターの「カジノシリーズ」はブライドルレザーを使っています。ウォールは、カジノよりはしなやか。カジノの方が厚みがあるため比べるのはフェアじゃないけど、よりカチッとした質感を楽しみたいなら、カジノシリーズを選んだ方が気にいると思います。(参考:カジノ 二つ折り財布のレビュー)
ブライドルレザーはかなり高価です(ミネルバやブッテーロより更に高価)。ウォールシリーズの価格帯で使うのは無理があるでしょう。安価ながらもブライドルレザー風を楽しめるのも本シリーズの魅力ですね。
エイジングを楽しめる革
表面に白く出るのはブライドルレザーのブルームのようです。これはワックスが表面に出ている状態で、使っていると無くなります。ブルームが消えると、艶やかな表情を楽しむことができる。本ページで紹介しているカラーがワイン。でもピンクぽく見えますよね。これ、ロウが落ちるとシッカリとワインカラーになってくるはず。ちなみに、ちょっと触れただけだと取れないです。少しずつ落ちる感じ。
タンニン革ですし、透明感のある表情は染料仕上げでしょう。つまり、色・ツヤの変化するエイジングを楽しめる素材です。ちなみに指でこすったくらいではロウは落ちません。が、ポケットに入れたりして使うと、すぐに変化していきます。
上質な仕立て
内装の両サイドにはピッグレザーが貼られています。柔らかく上品な表情です。
シンプルな構造だけど、他ブランドのミニL字ファスナーと比べるとちょっと高価なのは、内側まで作り込んでいるから。ピッグレザーを貼ることで、革の床面が見えないようにしているんです。見栄えが良くなるだけじゃない。マットでサラリとした触り心地で滑りがいいため、お札やカードの出し入れがスムーズになる。機能的なんです。
ポーターのロゴがない
日本一メジャーなブランドロゴ。ロゴを見せるか見せないか。ここには、ポーターもジレンマがあると思う。
で、ウォールの外装には、ポーターのロゴがありません。装飾も一切ない。
内装のポケットに型押しされただけ。目立ちません。
ウォールの主役は革なのでしょう。だから革しか見せない。使い込むことで落ちるブルーム、変化する色・ツヤ。これを楽しむためにロゴは不要なのだというデザインですね。
外装にロゴがないシリーズのほうが少ないのです。あとは、メトロとかもロゴがないですね。大人向けです。(参考:ポーター メトロ 二つ折り財布のレビュー)
仕上げ
ステッチ
同色の糸でミシン縫い。きれいに縫われています。
コバ
革を切り落とした断面をコバといいます。染料を使わない革本来の色が楽しめる仕上げですね。流石にウォールの価格帯では、2万円以上の財布ほどの磨きコバにはなっていません。
あとがき
ウォール ウォレットは、シンプルでオーソドックスなミニL字ファスナーを求める人。身軽に、気軽に持ち歩ける財布が欲しい人にオススメします。
ブランドバリューに頼らず、細部まで丁寧につくられています。価格と品質、バランスの取れたミニL字ファスナーといえます。