ポーターの「カジノ」はブライドルレザーを使ったシリーズです。二つ折り財布を購入してみました。
まずは、ざっと特徴をあげてみましょう。
- 大きめの二つ折り財布
- コインが使いやく、たっぷり収納できる
- ブライドルレザーを贅沢に使ったつくり
- ハリのある、カッチリとした質感
- 艶やかなエイジングを楽しめる
本ページでは、使い勝手や特徴、メリット・デメリットについて分かりやすく解説します。
ブライドルレザーの財布をお探しの方は、参考にしてみてください。
スペック
ブランド | ポーター |
---|---|
商品名 | カジノ 二つ折り財布 |
収納力 | ★★★★☆ |
お札入れの数 | 1 |
お札の枚数 | 15 |
コインの枚数 | 20 |
カードの枚数 | 8 | サイズ | W130×H100×D20(mm) | 重さ | - |
素材 | ブライドルレザー |
カタチ・構造
「二つ折り財布」にカテゴライズされる財布です。一般的な二つ折り財布より少し大きい。
男性の私がギリギリ持てるサイズ感です。
ブライドルレザーの一枚革でつくられた外装は、シームレスなデザイン。どこに触れても、ハリと、つるりとした質感を堪能できます。革マニアにはたまりません。
ギュッと握ると「ギシギシ」と革の鳴く音がします。繊維密度の高い、タンニンでなめされた本物のブライドルレザーである証です。
使い勝手
コイン
外装の片面に、フラップがあしらわれています。ここがコインポケット。
フラップは財布の半分を占めるほどの大きさ。流麗なラウンドデザインだからでしょうか、力強いだけじゃない。どこか柔らかな仕上がりです。
フラップは、ホックで留めるつくり。指をかけ、パチンと弾くように開くことができます。しっかりと厚みのあるコバのため、ノールックで開け閉めできます。
フラップの裏側は、ブライドルレザーで補強されていて、カッチリとしたつくり。耐久性はバツグンです。
フラップの中央部のみ、革の裏面(床面)になっています。これはスムーズな開閉を優先させたからでしょう。すべてブライドルレザーで裏張りすると、ハリが強すぎて閉じるのが難しくなるはずです。
さて、この「外側に配置されたコインポケット」が、本作のキモ。財布を開かずに、1アクションで小銭を使えます。たとえば、自販機での利用がとても便利。Suicaなどの決済が増えた今日でも、小銭が必要となるシーンは多いものです(一般的な財布は、財布を開いて、コインポケットを開いてと、コインを使うまでに2アクション必要です)。
面いっぱいにデザインされたコインポケットは、一般的な二つ折り財布よりも、見やすく、取り出しやすく、収納力も抜群です。両側が折込マチになっているので、ガバッと開くことができます。
「使いやすい」と感じる限度は、15枚ほど。これ以上詰め込むこともできますが、財布が膨らんでしまいますし、コインが探しにくくなります。コインを詰めすぎないことが使いやすさのキモです。
コインの収納力はバツグンです。収納スペースが広く、25枚くらいは入れることができます(もちろん、たくさん入れるほどに重く、膨らんでしまうので、ほどほどにした方がよいでしょう)。
ちなみに、コインポケットの内装も、革で裏張りされています。
これ、ものすごいコダワリです。ほとんどのブランドは、床面をそのまま使います(裏張りの手間がかかる(コストがかかる)、厚みの調整が難しいためです)。流石はポーターといったところです。
ポケットの内側は、普段あまり目にしないポイントです。ここにコダワる必要はそもそも無いのでは?と思ったのですが、いざ使ってみると、その理由がわかりました。
ツルリとした革を内装にあしらうことで、コインの滑りが良く、出し入れしやすいのです。また、見た目の美しさはもちろん、内装が黒いため、コインによる汚れが目立ちません(中が黒ずんだりしない)。
そして、(後述しますが)コインポケットに限らず、ほぼすべてのポケットの内側で、革張りされています。
こういったつくりのブライドルレザーの財布は、カジノ以外にはほとんどありません。技術、手間(コスト)の関係で、日本最大の革工房であるポーター以外には実現できないからです。
お札
ホックで留められた、二つ折りの構造を開いてみましょう。
中はシンメトリーのデザイン。
この最上段にスリットがあって、お札が収納できます。
十分な長さがあること、そしてサラリとした革で裏張りされているため、お札の滑りがよく、引っ掛かりを感じません。実に快適です。
お札入れは一層タイプ。15枚がMAXです。
収納力は、一般的な二つ折り財布よりも優れています。ホックでしっかりと留めるデザインですから、15枚ほど詰め込んでも、閉じることができます。もちろん、お札を入れるほど財布が膨らむので、少ない方が快適に持ち歩けます。
ちなみに、本作に限らず、「たくさんのお札を収納できる二つ折り財布」は存在しません。お札が真っ直ぐに戻ろうとするため、財布が閉じられなくなってしまうからです。20枚以上のお札を持ち歩きたいなら、長財布をセレクトした方が幸せになれるはずです。
カード
カードを縦に差し込むように、両サイドに2つずつポケットがあしらわれています。
さらに、横から差し込むように、カード用のスリットが2つずつあります。
こちらのポケットは、奥まで入れると、カードが完全に収まります。
出し入れは縦型ポケットの方がずっと優秀です。サイドのポケットは、持ち歩きたいけれども、あまり使わないカード、たとえば免許証や保険証などを入れておくのに最適です。
無理なく入れるなら、1ポケット1枚、合計8枚ですね。馴染んでくると、もう少し入れることができるようになるかもしれません。
ちなみに、カードポケットの内側もサラリとした質感の革張りとなっています(写真は撮れませんでしたが・・・)。カードの滑りが良く、ストレスを感じません。
特徴
ブライドルレザーを贅沢に使用
外側だけでなく、内側にもブライドルレザーを使っているのが本作の魅力。
つるりとした手触りでありながら、かっちりとハリのある質感は、高級感があり端正。ビジネスシーンに添えるアイテムとして人気があるのは、このルックスが実直で正直な印象を生み出してくれるからでしょう。
本作には、以下のような有名すぎるポーターロゴはありません。
財布の内側に目立たないように型押しされているだけ。
上質な皮革製品に、余計な装飾は必要ないからです。
大きな二つ折り財布
ブライドルレザーは、厚みのあるショルダーの牛革です。
一般的に、ブライドルレザーを使ったアイテムは、大きくて、厚みがあって重いもの。
言い換えると、小さくて、スリムで、そして軽い財布が好みなら、ブライドルレザーの財布をチョイスするべきではないのです(これはカジノに限りません)
では本作はどうかというと厚みのある皮革を重ねて仕立てられています。ユニークなデザインと相まって、厚みのあるプロポーション。
ラウンドしたエッジは、手のひらにフィットし持ちやすいです。
ぷっくりとした厚みがありますが、新品のときの厚みがMAX。使い込むことで、少しずつスリムになっていきます。
職人による美しい仕上げ
コバ
コバ材だけで仕上げられた断面は、「切り目」と呼ばれるコバ仕上げの最高峰。削って、磨いてを何度も繰り返す、もっとも手間のかかる技法です。ブライドルレザーの厚みと力強さが、否応なしに目に飛び込んできます。
塗料を使わずに仕上げられた断面は、その荒々しい見た目とは裏腹に、さらりとした気持ち良い触り心地です。
財布を持ったときも、コインポケットを開くときも、コバが指に触れることになります。この毎日の体験が、実に気持ちいいんですね。
見ても、触れても楽しめる仕上げです。
所有する喜びを感じられる、カジノで一番のお気に入りポイントです。ポーターは、たくさんの革財布をラインナップしていますが、カジノのコバは、最高品質です。
ステッチ
美しいステッチです。ラウンド部も均等に、流麗に仕上げられています。
こういった細かな仕上げは、まじまじと見ないと気がつかないものなのですが、所有する満足感をグッと高めてくれるポイント。海外の財布では見ることができない、匠の技です。
ちなみに、カードポケットの入り口には、日本の伝統技法である「念引き」が見られず、ステッチされています。
これは、カードポケットの裏側にもブライドルレザーの表面が使われていて、それを貼り合わせているからです。
あとがき
カジノシリーズでは、さまざまな財布がラインナップされています。
個人的にはちょっと変わったアイテムが好きなので、本作をチョイスしてみました。
エッジの効いたデザインですから、好みが分かれるかもしれません。
言い換えると、ほとんどの人がチョイスしない財布です。「人とかぶらないブライドルレザーの財布」を求めるなら、本作に代わるものはありません。
無骨で男臭い1品ですが、革を所有する喜びはMAX。カジノの本作は、そんな財布なのです。