オーダーしていたコードバンの財布が届きました。コードバン専門ブランド 無二の『コードバン コインケース』です。
特徴は以下のとおり。
- ボックス型のコインケース
- 新喜皮革社のオイルコードバン
- コバ、縫製など、トップクラスの仕上げ
- オーダーメイドによる受注生産
本ページでは無二 コードバン コインケースの使い勝手、特徴について分かりやすく解説します。
スペック
ブランド | 無二 |
---|---|
商品名 | コードバン コインケース |
収納力 | ★★☆☆☆ |
お札入れの数 | - |
お札の枚数 | - |
コインの枚数 | 25 |
カードの枚数 | - | サイズ | W80×D80×H22mm | 重さ | - |
素材 | コードバン(新喜皮革) |
動画
コインの使い勝手、新喜皮革コードバンの表情、美しいステッチ・コバなどを参考になるかと思います。
カタチ、構造
コインケースは「コインを出し入れする道具」です。役割がシンプルですから、奇をてらったコインケースは少ない。本作も昔からあるオーソドックスなボックス型。矩形デザインのカチッとした佇まいで、凛としています。
外装はコードバンの一枚革。色はバーガンディでオーダーしました。
ソリッドな印象になりすぎないのは、ラウンドした部位が和らかさを感じさせてくれるから。一枚のコードバンが流麗な曲線美を見せてくれる。格好良くて、品があります。
外装は極めてシンプルです。コードバンしか見えない。ブランド名さえ記載していない。インタビュー時にも伺いましたが、「コードバンを際立たせる」のは、無二のコンセプトのひとつのよう。上質な素材には、ブランド名すら余計な装飾なのかもしれません。
ホックで留めるデザイン。
中はこんな感じ。コインの収納スペースがひとつ。
オーダー概要
無二は店舗を持ちません。オーダーによる受注生産のみです。
本ページでご紹介しているコードバンボックスコインケースもオーダーです。さて、オーダーといってもカスタムオーダーです(形が決まっていて、革の色などを決めるだけのカンタンなオーダー)。内容は、以下のとおり。
外装の素材:新喜皮革コードバン バーガンディ
内装の素材:牛革 ブラック
外装の糸色:コードバン バーガンディと同じ系統の色
内装の糸色:牛革のブラックと同じ系統の色
使い勝手
カード
カードは入りません。
お札
お札は入りません。
コイン
ホックを外します。
上蓋を開いていくと、折りたたまれた革が少しずつ開いていく。
両サイドに革の壁が立ち、コインの収納スペースが少し口を開いた状態になります。全開になるわけじゃないので、ちょっと指で広げる必要があります。使い込んでいくと、広がりやすくやすくなるかもしれません。
底部はフラット。一般的な財布にある、「折りマチ」とは、そもそも構造が違う。コインが引っかかったり、奥に入り込んで見にくくなることがない。使いやすいです。
口がガバッと開き、広い面にコインが並ぶ。見やすいです。
口がガバっと開くから、入れやすい。取り出したいコインをピックアップしやすい。
「コインが使いやすいこと」はコインケースにおいて最も重要な機能です。
ホックを留めた状態で、横から見るとスペースが空いています。しかし、コインがこぼれ落ちることはありません。
革の壁によってピタリと抑え込まれ、
コインをぴったりと閉じ込めるデザインだからです。
革で留める構造だからかな。コインを入れた状態で振っても音がほとんどしない。ほとんどのコインケースは、隙間のなかでコインが動くので、チャリンチャリンと音がします。
特徴
新喜皮革コードバン×ヌメ革のコインケース
世界最高峰のコードバン
外装の素材は、コードバン。
日本が世界に誇る馬革タンナー、新喜皮革社のコードバンです。
世界のさまざまなタンナーがコードバンを作っています。しかし、「均整な美しさ」では新喜皮革がトップクラス。薄く透明なベールを纏った表情が見事です。透明感と色の濃淡がしっかりと出ている。それでいて品がある。
「指の色」まで映るのは、極限までスムースな革だから。これもコードバンの特徴。
折れ曲がる部位も美しい。
水に弱くシミになりやすいため、汗は厳禁なのだけど。ずっと触れていたくなる。
ヌメ革
内装は牛のヌメ、カラーは黒でオーダーしました。
外装はバーガンディ。コードバンとのコントラストを控えめにして、品のある印象に仕上げたかったからです。なお、内装のカラーは、外装のコードバンによって変わるみたい(インタビューしたときに見せてもらったのだけど、赤いヌメ革も綺麗でした)。
ポケットが暗色だとコインが見にくい。そこはデメリットですが、それよりも、革が黒ずんで見えるのが嫌だった。長く使う財布において、内側の掃除に時間をかけたくないなら、やはり暗い色がいいです。
コードバンの丈夫な部位だけを厳選する
無二の「コードバンの使い方」は、贅沢です。
コードバン全面を使うわけではなくて、繊維の向きを確かめて「丈夫で長く使える部位」を使っているとのこと。面積換算で、複数のコインケースが作るわけではないみたいです。
製品化する部位を断裁したあと、ギュッと折り曲げるチェックをしているそう。ここで繊維の向、強度や毛羽立ちを見て、基準以上のコードバンしか製品化していないとのこと。
ちなみに、「チェックを通過しなかったコインケース」を見せてもらったのだけど、折り曲がる箇所を指で触れるとわずかに繊維が立っているかな?くらいでした。これは、無二の製品としては販売されないわけです。
美しいパーツ
イタリアPRYM社のホックが使われています。
凸部も、量販品には使われない丸いフォルム。小さなパーツでもこだわっているわけです。
美しい仕上げ
革の買い付け、仕立て、発送まで、すべての工程を宮崎氏が行う。それが無二です。
こだわりと技術が、小さなコインケースからも十分に見て取れます。
コバ
ふたつの技法が用いられています。
磨き仕上げ
断裁して貼り合わせた革の端。ここを「コバ」といいます。
コバの仕上げはブランドによって異なります。WILDSWANSやリュテスのように「丸みのあるコバ」で仕立てられた製品もある。(写真はリュテスのマネークリップ)
無二はわずかにヘリを落とした、ソリッドな仕上げ。それでいて、カチッとなりすぎない。
200以上の財布を使ってきましたが、無二のコバはトップクラスです。極めてスムースで手触りが良い。しっかりと厚みのあるコバが、美しい光沢を放ちます。
革を重ねたコバで「段差を分からないようにする」テクニックはいくつかあります。たとえば、顔料を厚く塗れば段差やキズがあっても隠すことができる(量産できたり、製品価格が安くなるメリットがあるため、悪いわけではないです)。
無二は「顔料を塗ったコバ」ではない。薄塗りの透明感のある染料でスムースな面にするために、極限まで磨いて仕上げられています。時間をかけて、美しさを作り込んでいるわけです。
それと、磨いて仕上げたコバの方が耐久性も高いです。
ヘリ返し
内装の牛側は、革を折り返して仕上げられています。「ヘリ返し」という技法。
内装の牛革は柔らかいため、磨いて仕上げるのは難しいのでしょう。
「捻」が引かれています。キリッとした見た目になるし、丈夫になる。
ステッチ
外装のコードバンカラー(バーガンディ)に合わせて、コードバンが際立つ(糸が目立たない)、糸の色でオーダーしました。乱れることなく、均等にステッチされています。斜めに並ぶ糸目が美しい。
内装のステッチは黒。革と馴染む色を選んでいるようです。外側と内側の糸の色が違う。「革が映える色」が選ばれているんですね。
パッケージ
マットな質感の紙のパッケージ。
外装のコードバンと同色のコードバン。型押しで無二のブランドロゴと、製作者YASUJI MIYAZAKIが型押しされています。
あとがき
新喜皮革のコードバンと、コードバンを専門として作り続ける宮崎氏の技術が組み合わさった、上質な「コインケース」です。
これまで購入してきたコインケースの中でも最高価格。価格で比べたら他ブランドより圧倒的に高価ですが、極めて美しく、高品質。上質な財布をお探しなら、きっと満足できるはずです。