WILDSWANSの財布で一番のお気に入り「パーム」。お札、コイン、カードをひとまとめにできる、コンパクトな財布です。
様々な革でラインナップされていますが、本ページではホーウィン社のシェルコードバンを使ったパームをご紹介しましょう。
定番のサドルプルアップモデルとの違いも含めて、鋭くご紹介していきます。
スペック
ブランド | WILDSWANS |
---|---|
商品名 | パーム(PALM) |
収納力 | ★★★☆☆ |
お札入れの数 | 1 |
お札の枚数 | 10 |
コインの枚数 | 15 |
カードの枚数 | 7 | サイズ | H86 x W100 x D25 mm | 重さ | - |
素材 | ホーウィン社シェルコードバン |
動画
構造、使い勝手など以下の動画で紹介しています(動画はサドルプルアップモデル)。
使い勝手
パームの使い勝手については、すでにご紹介しています。こちらをご参照ください。
本日ご紹介する、シェルコードバンモデルは、機能もサイズも同じです。
定番のサドルプルアップモデル、フルグレインブライドルレザーモデルとの違いは、素材のみ。
WILDSWANSの意匠である、弧を描くデザインは、シェルコードバンモデルでも健在。
PALM(手のひら)と名付けられたコンパクトな財布は、その名のとおり手のひらにフィットします。どの角度で握っても、手馴染みがよいのは流石です。
なお、コードバンモデルを含む一部のパームは仕立てが異なります。例えば、外側のカードポケットの内側にもスムースな革が貼られています。つまり、内側も革の表面になるため、カードの出し入れがスムーズにできる。丈夫さと機能性がデザインされているのもパームの特徴ですね。革の使用量が増えるだけじゃなく、革を張り合わせる手間が増える。つまり、製品コストに乗っかります。なかなか採用されない、贅沢なつくりです。
特徴
シェルコードバン×パームの視点で、特徴を押さえてみましょう。
ホーウィン社 シェルコードバンを使用
本作の特徴は、やはり素材。ホーウィン社のシェルコードバンを使っていることにあります。
ホーウィン社のコードバンは、世界でもっとも人気のあるスムースレザー。迫力、気品、そして残念なことに価格もトップクラス。希少性もあいまって、革のダイアモンドと称される素材です。
実は、「コードバン」を作るタンナーは世界にいくつかあります。中でも有名なのが、ホーウィン社と、新喜皮革のコードバンですね。
ホーウィン社のコードバンは、どちらかというと「ラフ」な仕上がり。新品の表情にも、小キズや毛穴、血管の跡が見えています。
使っていると線維が寝ていきよりスムースになる。また、油分でコーティングされるため、とろりとした光沢のある輝きが増していきます。そのため、毛穴などは少しずつ目立たなくなっていきます。
サドルプルアップとくらべてみると、こんな感じ。
サドルプルアップも、シワがほとんどない「スムースレザー」です。しかし、コードバンと比べると、微細なシボがあるのが伝わるでしょうか。やはり、コードバンのスムースさはバツグンです。
美しい素材に、美しいプロポーションがよく映えます。
ホーウィン社のコードバンは、(新喜皮革のコードバンと比べて)オイルの浸透が多め。新品のときから、しっとりとした質感を味わえます。
正直なところ、パームより小さな財布も、使いやすい財布もたくさんあります。ただ、「最高級のコードバンのカタマリ感」を手のひらに収まるサイズで、ダイレクトに味わうことができるのは、パームだけなのです。
コードバンの艶やかさと、気品溢れる表情を楽しみたいなら、コードバンで仕立てられたパームは一考の価値ある一品でしょう。
シェルコードバン#2の色合い
ホーウィン社は、さまざまな色のコードバンをラインナップしています。そして、本作で採用されたカラーは、#2(ナンバーツー)
シェルコードバンで、よく目にするカラーは、ブラックと#8(ナンバーエイト)。
少し、違いを見てみましょう。
ブラック
#8
世界的に見ても、ブラックと#8がよく流通しています。
これには理由があります。
濃色の染料によって、ラフな表情を目立たないように仕上げることができるからです。安定して、同じ表情のコードバンを作ることができるため、生産しやすいんですね(結果、よく出回るカラーになる)。
さて、今回ご紹介している、シェルコードバンのカラーは、#2(ナンバー2)。
これは大変珍しいカラーです。#8よりも赤みがかっていて淡い色合いですから、小キズが目立ちやすいはず。この色に仕上げられる原皮は、厳選されているのかもしれません。
他のパームとの違い
コードバンのパームを礼賛ばかりするのは、フェアではありませんね。
他モデルとの違いにフォーカスして、パームの選び方に迫ってみましょう。
傷つきやすさ
コードバンに限らず、スムースレザーはキズが付きやすいです。
ガシガシ使うけれど、綺麗な状態でいてほしい。であれば、コードバンを選ばない方がよいでしょう(フルグレインブライドルレザーモデルをセレクトした方が、ずっと幸せになれます)。
耐水性
コードバンは水に弱いです。水分を吸い込むと「ブク」と呼ばれる、水ぶくれしたような状態になりやすいです。※画像はシェルコードバンのバーガンディ。
また、汗に含まれるアンモニアや塩分にも弱く、色落ちしやすい素材です。
コンパクトなパームは、ケツポケに最適なのですが、夏は避けたほうがよいでしょう。
なお、水に濡れてもシェルコードバンは美しい姿に戻すことができます。
価格
コードバンモデルは、通常モデルよりも高価です。
また残念なことに、シェルコードバンのパームは、一般的には販売されていません。
では、いつ、どうしたら手に入れるのか?
年に2回、WILDSWANSの京都店、銀座店の開店記念日に合わせて周年イベントが開催されます。そのときにコードバンのパームがラインナップされるかもしれません。(確定ではないのですが、ここ数年を振り返ると毎回ラインナップされています)。
ラギットな表情と高級感
陶器のようなとろりとした質感、暗所でもギラリと光る表情。コードバンは否応なしに目立つ皮革です。そんな表情が好きなら、コードバンがNo1。代わりはありません。
あとがき
コードバンのパームは高価です。初めてのパーム、初めてのコードバンなら、あえてコードバンモデルをセレクトする必要はないでしょう。
私もまた、サドルプルアップ→フルグレインブライドルレザー→コードバン と、シフトしてきましたが、どのモデルも上質な革の魅力と、エイジングを楽しめます。
パームを本当に気に入ったときに、コードバンモデルをセレクトしても、きっと遅くないはずです。
参考リンク
さまざまな素材のパームについて、以下のリンク先で解説しています。