エキゾチックレザーの王と称されるクロコは、もっとも迫力のある革です。
さまざまなブランドからラインナップされていますが非常に高価。ネットの画像だけでは、どのブランドの財布をチョイスすれば良いのか、判断が難しいはず。
私は革のプロではありません。でも、だからこそ、クロコを得意とする革工房から話を聞きながら理解を深め、お気に入りのクロコ財布をいくつも手に入れてきました。
本ページでは、クロコ財布を検討中の方に向けて分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
本ページは二部構成。
- 絶対に後悔しない、クロコ財布の選び方
- 上質なクロコ財布を作る、日本の革工房
クロコは、とても高価です。本ページを読んでからの購入でも遅くないはず。何年も使うことになる。後悔しないよう、あなたにぴったりのクロコ財布を手に入れましょう。
目次
クロコ財布のおすすめの選び方
クロコの財布はたくさんラインナップされています。あなたにピタリとはまる、クロコの選び方について押さえましょう。
「本物のクロコ」を選ぶ
クロコとは厳密にはワニ目、クロコダイル科のワニ革のことを指します。
ホンモノのクロコをチョイスしましょう。
アリゲータやカイマンが「クロコ」と称して販売されていることがあります。これらは「ワニ革」ですが「クロコ」ではありません(クロコに比べると安価です。)
また、牛革に革押しした「型押しクロコ」もあります。安価でクロコの雰囲気を味わえるため、型押しでも十分な方もいらっしゃるでしょう。遠目で見ると判別しにくいものもありますが、本物の迫力にはかないません。
本物のクロコには、写真のようにウロコに小さな穴があります(呼吸器官です)。
「これって本物のクロコなの?」と気になったときはチェックしましょう。
ちなみに、本物の「クロコ」は4種類しかありません。
- スモールクロコ(イリエワニ)
- ナイルクロコ
- シャムクロコ
- ラージクロコ
どれも異なる表情を持っていますから、優劣を付けることはできません。が、個人的にはスモールクロコ、ナイルクロコのウロコの並びが美しいと感じました。他のクロコより、緻密で均整なウロコの並びです。そのため、ラージクロコなどより高価です。
財布のカタチでセレクトする
代表的な財布のカタチは4種類あります。ライフスタイルに合うものをセレクトすることで、より多くのシーンで活躍します。
サイズの小さい順に、特徴と利用シーンをご紹介します。
二つ折り財布
昔からあるオーソドックス。コンパクトさと携帯性を重視したもっとも身軽な財布です。使いやすさのキホンもしっかりと押さえています。
折りたたむことでコンパクトを実現した財布ですから、お札は折れ曲がってしまいます。お札の折り目が気にならない方で、コンパクトに持ち歩きたいなら、二つ折り財布がベストです。
手のひらに収まるコンパクトなサイズだから、長財布と比べると迫力も控えめ。力強さよりも、上品さが勝るといった印象ですね。
L字ファスナー長財布
L字にあしらわれたファスナーが特徴の長財布です。長財布がいいけれど、厚みがあるのは嫌、という方におすすめのカタチ。
二つ折り財布よりたくさん収納できて、ファスナーによる安心感も得られる。スリムにすることで携帯性を重視したタイプですから、かぶせ蓋やラウンドファスナーよりは収納力が劣ります。
スタイリッシュなデザインだからでしょうか、20代から30代の方がよく使っている印象があります。
新しい財布のカタチのためか、制作しているブランドが圧倒的に少ないです。言い換えると、珍しいため人と被りにくい。人と違うクロコ財布をお探しなら、L字ファスナーが良いですね。
かぶせ蓋タイプの長財布
二つ折り財布と並ぶ、ザ・オーソドックス。昔からある、伝統的な長財布です。
今日においてもこのタイプが作られるのは、使いやすさNo1だから。他の長財布と異なり、パタンと閉じるだけのつくりですから、お札やカードの出し入れがもっともカンタン、かつ早い。
直線で構成されるフォルムラインはソリッドな印象。クロコの美しさがもっとも引き立ちます。
ラウンドファスナー長財布
3方をファスナーでしっかりと留めるつくりのお財布で、安心感と収納力はNo1です。たくさんのアイテムをひとまとめにしたいなら、ラウンドファスナーがおすすめです。
大きなボディだからこそ、クロコの迫力がもっとも映えるタイプといえます。厚みがあるのでカバンと一緒に持ち歩くことになるでしょう。(逆にいうと、携帯性を求める方はセレクトしないほうが良いです。)
ウロコの模様でセレクトする
天然素材であるクロコダイルは、個体によってウロコの並びや大きさが違います。結果、クロコの財布はひとつひとつ、表情が違います。これもクロコの醍醐味ですね。
ちなみに、ウロコが均等に、精密に並んだものほど高値で取引されます。ウロコの美しさによってその価値が大きく異なります。(同じブランドの同じクロコ財布でも、値段に差があるのは、使っているクロコが違うから。)
また、クロコのどの部位を使うかにかによっても表情はガラリと変わります。
もっとも人気があるのがお腹の中央を使ったものです。クロコのお腹は四角のウロコが並んでいます(竹斑(たけふ)といいます)。お腹からわき腹に行くほどに、ウロコは小さく、丸くなっていきます(丸斑(まるふ)といいます)。
以下はウロコのセンターを使った財布。ウロコの模様の変化がハッキリと分かる、好例です。革芸人のラウンドファスナー財布です。
財布の真ん中には「竹斑」が並び、端にいくにつれて「丸斑」に移り変わっています。お腹の中央からわき腹までを使った、「センター取り」と呼ばれるもの。クロコのセンターを使った財布は、左右対称(シンメトリー)の表情になります。美しさと力強さが相まった表情は、ウロコが整然と並ぶセンター取りでしか作ることができません。
さらに、大きな面を使うラウンドファスナーなどの長財布では、1匹のクロコから1つしか作れません。もっとも贅沢なつくりで、クロコの財布の中でもっとも高価になります。
逆にいうと、シンメトリの表情にこだわらなければ、安価に手に入れることができます。具体的には、
- 脇腹の革を使った財布(丸斑が多いもの)
- 革をつなぎ合わせて作った財布(一枚革ではないもの)
などですね。例えば、片面が竹斑。
もう片面が丸斑。こういった財布なら、1匹のクロコからいくつか作ることができるため、センター取りより安価なこともある。
一枚革にこだわらなければ、小さな面をつなぎ合わせて作ることができるため、もっと安価なプライスとなります。
ただし、手触りやルックスに影響してきますから、こだわりのある人は一枚革で仕立てられた財布をセレクトした方が満足感は高くなるでしょう。
まとめると、以下の順に美しく高価になるわけです。
センター取り > センター以外 > 繋ぎ合わせ
また、ウロコのサイズから受ける印象も変わります。
小さなウロコが並ぶさまは、妖艶な美しさのある装い。力強さは控えめです。
大きなウロコが並ぶさまは、力強く荒々しい感じを受けます。
クロコでもっとも小さなウロコは、顎下(あごした)です。
この顎下でさえ、リザードのウロコより大きく、迫力を楽しむことができる。
表情に良し悪しはありません。結局のところ、あなたが気に入った財布がベストです。
色でセレクトする
クロコの財布は、さまざまなカラーのものがラインナップされています。
クロコダイルの原皮から、製品として長く使える「革」に仕立てる業者を、タンナーといいます。タンナーは革の仕上げに染色することで、クロコに彩りを加えます。
このグリーンは、天然のものではないんですね。
牛革などのスムースな革と違い、凹凸があり厚みも異なるので、均一な色合いに仕上げるのはとても難しいとのことです(さまざまな工程で独自の技術が必要になるため、クロコのタンナーは圧倒的に少ないのです。)
さて、クロコのカラーですが、どのブランドも、ブラック、ブラウンなどはベーシックなラインナップとなっています。
とても強固な素材のため、キズつきにくく目立たないのも良い。
ブラック、ブラウン、ダークグリーンなどを使った経験からいうと、やはりベーシックなカラーがダンゼン使いやすいと感じます。
クロコ×カラーで受ける印象はけっこう変わってきます。
ブラックはキュッと引き締まる印象があり、力強さはダントツです。
ブラウンなら、少し力強さが抑えられる印象ですね。
紫や赤、青などのカラーは、どこか妖艶な美しさがあります。珍しさも相まって人の目を惹く魅力があります。
色は個人の嗜好によりますから、お気に入りをセレクトすれば良いと思います。利用するシーンと合わせて考えてみてはいかがでしょうか。
表情でセレクトする
クロコの財布は大きく2つの表情に分かれます。
マット仕上げ
クロコの風合いをなるべく活かすように仕上げることで、マットな風合いにしたものです。
マットなのは最初だけ。次第にツヤをまとってきます。エイジングも楽しみたいなら、マット仕上げ一択でしょう。個人的にもマット仕上げのものをセレクトしました。
グレージング仕上げ
シャイニング仕上げとも呼ばれるもので、名前のとおり輝きをまとった表情に仕上がります。
メノウ石でグッと押し込みながら、ツルツルになるまで磨きあげて仕上げるそう。
表情は、キラキラと輝き、まるで鏡のように光を反射します。
グレージング仕上げのクロコは、それ単品でとても目立つ存在ですから、パーティーなどの華やかなシーンでよく映えます。
ツルリとした表情はキズが付きやすく、気になる人はいるでしょう。マット仕上げのような「色が深まり、ツヤが増すエイジング」は楽しめません。
厳選。ジャパンメイドの上質クロコ財布ブランド
クロコ財布を作ることができる革工房は限られていますが、いくつかある。本当に良いブランドはどこかと悩んでしまうはずです(私もそうでした)。
ここではジャパンメイドの上質なクロコ財布を作る工房をピックアップしてご紹介します。上質な財布を作るブランドですから、どれをセレクトしても、長く愛用できるはずです。
GANZO
種類 | 二つ折り、長財布、ラウンドファスナー、小銭入れ |
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素材 | スモールクロコ |
仕上げ | マット仕上げ |
カラー | ブラック/ダークブラウン |
日本の高級財布ブランドGANZOです。
老舗だけあって、さまざまな皮革のアイテムをラインナップしています。世界の銘革を使い、日本の職人が仕立てたアイテムはどれもが最高品質。間違いのない安心感があります。
GANZOの使うクロコは、スモールクロコのみ。あらゆるクロコの中で、ウロコの並びが均等で整然と並んだもの。お値段も最高級です。なんと小銭入れで7万円オーバー。お値段も最高級となっています。
ココマイスター
種類 | 二つ折り、長財布、ラウンドファスナー、小銭入れ |
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素材 | 非公開 |
仕上げ | マット仕上げ |
カラー | ブラック/ダークブラウン/ウィスキー |
ココマイスターの最高級シリーズです。
本作に限らず、ココマイスターはタンナーを公開していないのだけど(たぶん、他ブランドに真似されるからですね)。どのシリーズの革もとても上質です。本作のクロコは、フランス産とのこと。お値段もトップクラスです。
東京クロコダイル
種類 | 二つ折り、長財布、ラウンドファスナー、小銭入れ |
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素材 | ナイルクロコ、スモールクロコ |
仕上げ | マット仕上げ、グレージング仕上げ |
カラー | ブラック/ネイビー/ダークブラウン/バニラ |
クロコを中心とする高級皮革を扱う、創業40年の老舗です。
内装もクロコの贅沢な無双仕立て。日本の職人が仕立てているのに、良心的なプライスでラインナップできるのはクロコ革を作るところから一貫して行っているからでしょう。
手染めで彩られた「コスモブルークロコダイル」モデルがきれいですね。
クロコを通販で購入するのは気が引けるかもしれません。しかし、東京クロコダイルならその心配は無用です。
長財布などの大きな製品では「センター取り」されており、美しい表情がほぼ約束されています。また、斑が気に入らなかった場合は「7日間の返品保証」も使える。お店で見るのも緊張するものですから、自宅でじっくりと見た上で、検討できるのがスゴイところ。この返品保証サービスは、東京クロコダイルだけです。
YUHAKU(ユハク)
種類 | 長財布、ラウンドファスナー |
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素材 | ナイルクロコ |
仕上げ | マット仕上げ |
カラー | Blue/BlueGreen/RoyalGray/Gray/Brown/DeepWine |
YUHAKU
は革への染色を得意とする、日本の革工房です。
ほとんどの革工房は、タンナーから仕入れた革をそのまま使って財布を作ります。
一方YUHAKUは、自社でかかえるカラリストによって、一つひとつ手染めで彩りを加えています。
濃淡の移り変わるグラデーションはまさに圧巻。私もいくつか購入しましたが、「美しい色あい」においては、YUHAKUがNo1で唯一無二です。
クロコに限らずYUHAKUの財布をセレクトするなら、長財布をおすすめします。奥行きのある透明感と色のハーモニーを、ぜひ大きな面で味わってほしいからです。
クロコ×ベビーカーフのモデルになると少しロープライスになります。
YUHAKUのグラデーションも楽しみたいなら、こちらの方が手が出やすいですね。
「美しいクロコ財布」。これを求めるならYUHAKUの右に並ぶものはありません。
あえて言うなら、品切れが多く手に入れにくいことでしょうか。
池田工芸
75年の歴史を持つ、老舗のメイカー。
ふっくらとした表情のクロコが池田工芸の特徴。独自の製法により繊細かつ柔かなクロコを表現しています。
最高級のスモールクロコを使った贅沢な財布を幅広くラインナップしています。
革芸人
種類 | 二つ折り、L字ファスナー、長財布、ラウンドファスナー、小銭入れ |
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素材 | ナイルクロコ、ラージクロコ |
仕上げ | マット仕上げ |
カラー | ブラック/ネイビー/ダークブラウン/バニラ |
革芸人は、クロコを得意とする日本の革工房です。
クロコを知り尽くす職人の手で、クロコのアイテムだけを作り続けている、クロコ専門のブランドです。
ラインナップの豊富さはNo1。オーソドックスなものから、使いやすさを追求した二つ折り財布まで、すべての財布のカタチを取り揃えているのは革芸人だけ。
菊寄せといった、ジャパンメイドだからこその丁寧な仕上げも見事です。
他のブランドより、リーズナブルな価格なのも嬉しいポイント。アトリエ兼用の1店舗と、WEB公式サイトだけに販路を絞っているからでしょう。
ただし、内装にナイロンを使っているので、オールレザーにこだわるなら、合わないかもしれません。
革芸人はクロコの部位ごとにさまざまな財布を制作しているため、安価なものから高価なものまで幅広くラインナップしています。予算に合わせてセレクトできるので、値段が気になる方にこそチェックしてほしいブランドです。
WILDSWANS
種類 | 二つ折り、長財布、ラウンドファスナー、小銭入れ |
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素材 | 非公開 |
仕上げ | マット仕上げ |
カラー | ブラック/ダークブラウン |
WILDSWANSは、無骨な革製品を得意とする革工房。クロコを使ったモデルもラインナップしています。
WILDSWANSはボリュームのあるプロポーションに仕上げるブランドで、革のカタマリ感がずば抜けています。素材がクロコになることで、より迫力が増します。
ウロコの並びはそれぞれ違います。丸斑、竹斑などのこだわりがあるなら、現物を見てチョイスするのが一番です。
参考:WILDSWANS kf-003クロコモデルのレビュー
参考:WILDSWANS スモールクロコ パームのレビュー
参考:WILDSWANS クロコ パームのレビュー
aniary(アニアリ)
種類 | 長財布、ラウンドファスナー |
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素材 | スモールクロコ |
仕上げ | マット仕上げ |
カラー | ブラック/ネイビー/ダークブラウン |
aniaryは日本の革工房です。シンプルでスタイリッシュなデザインを得意とする、20代から30代の方に人気のあるブランドです。
深みのあるネイビーはaniaryならでは。クスモールクロコの迫力と相まり、凛とした装いを感じられる仕上がりです。
オーソドックスながら、たくさんのカードポケットを備えるなど機能性もバツグン。スモールクロコを使いながら、10万円以下という安価なプライスとなっているのも嬉しいポイントです。
あとがき
お気に入りのクロコの財布はみつかったでしょうか?
それぞれ異なる特徴を持っていますから、迷ってしまうかもしれませんね。
クロコの財布を買うときは、「納得できるポイント」を押さえましょう。
たとえば、クロコの表情、風合い、機能などをチェックするべきです。
自分が納得したものをセレクトしなければ、結局使わなくなってしまうからです。
クロコの種類や使う部位が違えば、その表情もガラリと変わります。
ドシッとした迫力のあるものから、繊細なものまで、同じブランドの財布でも表情が違うのがクロコの醍醐味です。どれを気にいるかは、あなた次第ですから、お気に入りをセレクトするのが一番だと思います。
ご紹介したブランドはどれもが本物のクロコを使った上質な財布を制作していますから、あなたのスタイルに合うものをセレクトすれば、ずっと愛用できるはずです。
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