革芸人は、牛革などのメジャーな革は一切取り扱っていません。
クロコなどの「エキゾチックレザー」だけを使ってアイテムを制作している、日本の革工房です。
クロコのスペシャリストだけあって、ラインナップされているクロコ財布はどれもが上質でした。
そういった中、一際美しく、目を惹かれたのが、本ページでご紹介する財布、WT-058です。
ざっと特徴をあげると、
- クロコのセンターを使った、シンメトリの美しい表情
- ラウンドファスナーならではのたっぷりの収納
- 大きな財布だからこそ味わえる、クロコの迫力
- クロコを全面に使いつつ、リーズナブルなプライス
といったところでしょうか。
美しく、迫力のあるクロコのラウンドファスナー財布をお探しの方におすすめの逸品です。ぜひ参考にしてみてください。
スペック
ブランド | 革芸人 |
---|---|
商品名 | ナイルクロコダイル ラウンドファスナーウォレット |
収納力 | ★★★★★ |
お札入れの数 | 4 |
お札の枚数 | 40 |
コインの枚数 | 30 |
カードの枚数 | 12〜18 | サイズ | W195×H100×D25mm | 重さ | 210g |
素材 | クロコ(ナイルクロコ)×牛革 |
使い勝手
本作は、「ラウンドファスナー長財布」にカテゴライズされる1品。
あらゆる財布の中で、もっとも大きく、最大の収納力を誇るタイプです。
男性の私が手に持つと、こんなサイズ感。
パンツやジャケットのポケットに入れるのはまず不可能で、カバンに入れて持ち歩くサイズとお考えください。(高価な財布ですから、私にはヒップポケットに入れる使い方はできません。)
ボディは一切の継ぎ目が無い、クロコの一枚革で仕立てられています。
ウロコの凹凸は控えめで、スッと手に馴染む質感です。
ファスナートップは鏡面加工されています。景色を映し、キラリと輝きます。
クロコの表情が映えるように、ファスナーテープの色はブラック。
美しいルックスを邪魔しないようにデザインされています。
それでは中の使い勝手について見てみましょう。
内装のつくり
左右対称にガバッと開く、ジャバラ式となっています。これは、一般的なラウンドファスナーと同じつくりですね。
さて、ラウンドファスナーは大きく2種類のタイプに分かれます。
ひとつは、札入れが2つと、コインポケットが1つのデザイン。仕切りが少ないから、スリムです。
もうひとつは、さらに「仕切り」を増やしたタイプ。
中央にコインポケットがあり、その両サイドに2つずつ。つまり、4つの札入れがあるタイプ。アイテムの収納量が増え、より多くのアイテムを仕分けることができます。本作はこちらのタイプです。
お札、チケットなどを分けて入れられますから、収納するアイテムが多い人にとって嬉しい財布だと言えます。
それでは各収納部の使い勝手を見てまいりましょう。
カード
両サイドにあしらわれているのがカードポケットです。
片面に6枚収納できますから、両面で12枚のカードを分けて収納できます。
ラウンドファスナーの財布としては、標準的な枚数ですね。
財布を開いて、12枚のカードを一望できるのは、ラウンドファスナーだからこその強みです。カードが多い人ほど使いやすいと感じるはずです。
フリーポケット
カードポケットの最上段はフリーポケットです。
カードサイズで区切られているわけではなく、財布の端までの長さがありますから、大きめのチケット、レシートなどを折らずに収納できるサイズとお考えください。
お札を収納することもできますが、マチが無いため、使いやすいとはいえません。
やはりチケットや、普段は使わないけれど持ち歩きたいカードを入れておくスペースとした方が使い勝手が良さそうです。
ちなみに、カードが12枚以上ある人は、縦にカードを入れることもできます。丁度3枚収まるサイズです。
こちらも両サイドにありますから、レシートとチケットなど使い分けができます。
ポケットの上はクロコがあしらわれています。
財布の中を見ているときも、クロコを楽しめるようにデザインされています。
札入れ
お札の入るポケットは、4つあります。
どのポケットも折込マチになっていますから、たくさんのお札や商品件を入れるに最適なスペースです。50枚ほどのお札は余裕で収納できます。
一般的な財布ですと、札入れは多くて2つ。
本作はその2倍ありますから、
- 日本円と外貨
- 千円札/五千円札/一万円札
- 各種商品券
といった、さまざまなアイテムを分けて収納できるわけです。
さらに、もう少し大きなアイテム、例えば、銀行の通帳やパスポートなども収納できます。
パスポートを実際に入れてみるとこんな感じです。余裕があるので、ファスナーが引っかかることもありません。
豊富な仕切りと、バツグンの収納力を誇るのも本作の魅力でしょう。まさにオールインワンの財布です。
小銭入れ
財布のセンターに備え付けられているのが、小銭入れです。
シルバーのファスナーで留めるつくりです。
片側が折込マチのデザインですから、たくさんのコインを収納できます。
お札の枚数とのバランスもありますが、30枚は入ります。
(たくさんのコインを詰め込むと型崩れを起こしやすいですし、何より重くなりますから、個人的にはおすすめしません。)
内装は汚れの目立たないブラックです。キレイなルックスを保てるのも嬉しいポイントですね。
特徴
ナイルクロコのセンターを使った贅沢なつくり
本作最大の特徴は、美しいクロコの表情です。
「クロコ」と名乗ることができるのは、ワニ目クロコダイル科の4種のみです。
- ナイルクロコ
- ラージクロコ
- シャムクロコ
- スモールクロコ
この中で、本作が採用する素材は、「ナイルクロコ」。
クロコの中でも整然と並んだウロコの美しさに定評がある品種です。ちなみに最高級がスモールクロコですね。トップメゾンなどに使われていますが、日本ではGANZOくらいでしょうか。
「クロコ」と言いつつ、本物のクロコを使っていない財布もあります。たとえば、アリゲータやカイマンなどは、そもそも「クロコではない格安の皮革なのです。ところが、これらの革も「クロコ」として売られているのが現状です。
そういった中で、革芸人の使うクロコは本物です。
日本には生息していないクロコダイルの原皮を海外から輸入し、なめしから染色まで一貫して国内生産にこだわった、オールジャパンメイドのクロコです。
クロコの一番の特徴は、美しく力強い表情です。
クロコの製品を手に取ると、同じ表情をしているものは1つも無いことに気づきます。使う部位によって、ウロコの大きさ、並びなどが違うからです(もちろん個体差もあります)。
クロコダイルの背中は、起伏のはげしい凹凸があるため、一般的な用途のアイテムには使われれません(主張が強すぎて扱いにくいのです。)。
一方、お腹の革はキレイな長方形が並んでいるので、好まれる部位です。
お腹の真ん中はキレイな長方形(竹斑(たけふ)と呼ばれる部位)。脇腹に行くほどに、ウロコのカタチが丸みを帯びていきます(丸斑と呼ばれるカタチです)。
本作は、クロコのお腹の中央(センター)を贅沢に使ったアイテムです。だからこそ、左右対称のきれいなシンメトリの表情を楽しむことができるわけです。
財布の中央は、大きめのウロコ。端に行くほどウロコの形状が丸く変わっているのが伝わるでしょうか。クロコの竹斑と丸斑の両方を楽しめるわけです。これはセンター取りで仕立てられた財布だけの醍醐味です。
竹斑に目が惹かれがちですが、私が気に入ったのは、端に行くほどに繊細になる、「変化していく表情」です。コーナーの小さなウロコからも、本物の気品を感じられます。
本作はクロコのセンターを1枚取りして仕立てられています。お腹の面を大きく使うため、1匹から1つしか作ることができないそう。とても贅沢なつくりです。
安価なクロコの財布は、センターではないパーツを使ったものだとお考えください(脇腹の革などを使って仕立てられます)。
革芸人の財布の中でも、センター取りの財布は本作のみ。ですから、もっとも高価なラウンドファスナーとなっています。(安価なラウンドファスナーもラインナップされているのだけど、センター取りではありません。)
マットな表情とエイジングについて
本作のクロコは、マットな表情に仕上げられています。
手に入れたのはブラック。色の変化という意味でのエイジングは少ないとのこと。
クロコの革は、使い込むことでツヤがあがってくるようですから、ツヤの変化を味わえるものとお考えください。
本物のクロコの証
表情に見る、小さなポツポツはクロコダイルの感覚器官とのこと。
本物のクロコである証です。
アリゲータには無いものですから、本作に限らずクロコのアイテムを手に入れたいならチェックするべきポイントといえるでしょう。
驚くほど軽い
クロコの特徴のひとつは、軽くて皮革だということ。
本作を持ってみると、見た目の重厚感や大きさとは裏腹に、とても軽い仕上がりとなっていることに驚きます。私はブライドルレザーやサドルアップ、コードバンなどのラウンドファスナー財布を所有していますが、それらと比べて、ダントツに軽いと感じます。カバンに入れて持ち歩く財布ですから、嬉しいポイントです。
さらに、札入れの仕切りは丈夫なレーヨンで仕立てられています。
これも財布を軽く、薄くするためのこだわりでしょう。
ただ、これは好みが分かれるポイントだと思います。正直なところ、高級感がダウンしてしまうからです。とにかく上質感を求めるなら、オールレザーをチョイスするべきです。本作では満足できないはず。
ジャパンメイドの美しい仕上げ
カードポケットは同色の牛革で作られています。
ポケットの入り口には、しっかりと「念引き」が施されていて、内装の表情をグッと引き締めていますね。流石はメイドインジャパンといったところです。
あとがき
機能的な面で言えば、本作は一般的なラウンドファスナーと大きな違いはありません。
本作の特徴を1つだけピックアップするなら、やはり美しい表情です。
センター取りだからこその、シンメトリのルックスは、端正で、それでいて迫力のある装いです。
美しいクロコの長財布をお探しの方は、検討してみてください。