エムピウのミッレフォッリエはコンパクトで使いやすい財布です。セレクトショップ ギャレリア限定の「ミッレフォッリエ クロムエクセル」モデルを購入しました。
本ページでは定番ミッレフォッリエ P25との違い、クロムエクセルモデルの使い勝手、特徴、メリット・デメリットを分かりやすく解説します。
特徴
ミッレフォッリエ クロムエクセルモデルの特徴は以下のとおりです。
- 箱型の小さな財布
- 基本機能は通常モデル(P25)と同じ
- 素材はホーウィン社 クロムエクセル
- 内装の素材もすべてクロムエクセル
スペック
ブランド | エムピウ |
---|---|
商品名 | ミッレフォッリエ |
収納力 | ★★★☆☆ |
お札入れの数 | 1 |
お札の枚数 | 10 |
コインの枚数 | 15 |
カードの枚数 | 15 | サイズ | W110×H85×D25mm | 重さ | 135g |
素材 | ホーウィン社 クロムエクセル(牛革) |
参考
定番ミッレフォッリエとの違い
カタチ、機能は定番ミッレフォッリエと同じです。
違うのは、素材と構造。
機能、使い勝手は以下のページで詳細に解説しています。
カタチ、構造
ミッレフォッリエより「小さい財布」はたくさんあります。それらと比べるとミッレフォッリエは大きい。けれども、クラシックな二つ折り財布よりは小さい。手への収まりが良いサイズ感です。
一枚革でぐるりと巻いた構造からはエムピウらしさを感じる。コロンとしたフォルムは、定番ミッレフォッリエと同じ。
素材はクロムエクセル(後述)。カラーはバーガンディを選びました。
革をギボシで留めるデザインも定番と一緒。
では、定番モデル(P25)とは何が違うのか?
クロムエクセルモデルは、「仕立て」が異なります。例えば、ギボシを留める部位に縫い目がある。
革の見た目、手触りを堪能できることがミッレフォッリエの魅力だと思うなら、気になるでしょう。縫い目がない方が良いならクロムエクセルモデルは避けたほうが良いです。ブッテーロやミネルバモデル、あるいはコードバンをチョイスしたほうが幸せになれるでしょう。
では、なぜ定番のミッレフォッリエとは異なる構造になるのか。
クロムエクセルは柔らかい革です。強度アップのためか、裏側に革を貼り、縫っています。このため表にステッチが見えてしまう。美観と強度、どちらを取るのか。トレードオフの結果、耐久性を取ったのでしょう。
さて、内装です。サイズや機能は、通常のミッレフォッリエと同じ。素材が豪華。すべてクロムエクセルです。
カード入れ、かつ、札留め。この素材もクロムエクセルです。ちなみに、定番モデルだと豚革です。
3つのカードポケット。ここもクロムエクセル。定番モデルだとファブリック。
コインケース。ここもクロムエクセル。定番モデルだとファブリック。
ちなみに、ホックも定番ミッレフォッリエと違う。クロムエクセルモデルの方が高級なホックが使われています。
お札入れ。
使い勝手
カード、お札、コインの使い勝手を解説しましょう。
カード
フラップ
カードを収納できるポケット。素材がクロムエクセル。
1枚カードを収納できる。少し大きなクオカードも収納できます。おすすめはよく使うクレジットカードですね。
3分割のポケット
3つに分かれたスペース。
ここ、定番のミッレフォッリエはファブリックです。定番ミッレフォッリエの方がカチッとしている(仕切りが真っすぐに自立しやすい)。
クロムエクセルは柔らくて、キチッとしていない。柔軟に曲がりやすいためポケットを広げやすいです。この質感が好みが分かれるところだと思います。
5枚ずつ、3つのポケット。つまり15枚収納できます。収納力は定番モデルと一緒。なお、厚みのあるプラスチックカードのみで15枚はきついです。薄いカードと厚いカード、バランス良く入れて15枚です。
お札
スリットに差し込んで使います。
定番ミッレフォッリエだと、ファブリックが貼られている。ブッテーロやミネルバの表面と比べるとスムースではないのだけど、凹凸の少ない生地です。
摩擦が少ないから滑りがよく、スムーズに出し入れできます。
では、クロムエクセルモデルはどうか。
クロムエクセルの裏面が丸見えです。
オイリーな質感で、毛羽立ちもあります。スムーズに出し入れできるとは言えません。お札の出し入れのしやすさにおいては、定番モデルのほうが使いやすい。
言い換えると「お札をしっかりと留める」点では優れています。好みが分かれるところでしょう。
コイン
ポケットの底の素材は、定番ミッレフォッリエでは底面にファブリックが使われていました。
一方、本作ではポケットもすべてクロムエクセル。贅沢です。クロムエクセルのほうが、定番モデルより柔らかい。グニャリとは曲がらないけど、カチッとはしていない。
折り目が2重についているのがキモ。コインの収納量によって、折りたたまれる場所が切り替わりやすいようにでしょう。快適に閉じることができる仕立て。使いやすさを考えた、機能的なデザインです。
素材
ホーウィン社 クロムエクセルを贅沢に使用
素材はクロムエクセル。アメリカのタンナー、ホーウィン社の代表作です。
本ページでご紹介しているカラー、バーガンディはクロムエクセルの定番カラーです。色味が均等ではなく、濃淡がある。ちょっとしたキズもある。ホーウィン社の革は荒々しいですね(シェルコードバンも最初からキズや濃淡があったりする)。端正というより、ワイルドな表情です。
マットな肌目でサラリとしてそうに見える。しかし、感触は見た目とは異なります。
オイリーでしっとりとしています。油分をたっぷりと含んだオイルレザーですね。
定番モデルで使われる、ブッテーロやミネルバもオイルレザーだけど、新品のときはサラリとした手触りです(使い込むことでしっとりとした質感に変わっていく)。一方、クロムエクセルは新品のときから油分が表面に乗っているのがわかる。オイルレザーでいうと、エルバマットはかなり油分が多くてしっとりしているのだけど、クロムエクセルはさらにオイリーです。この質感が特徴であり、好みが分かれるところでもあります。
ギュッと押されたり曲がる部分は、色が変化する。染料と油分が移動する「プルアップ」と呼ばれる現象。オイルレザーで楽しめる現象ですね。クロムエクセルはプルアップの変化が飛び抜けています。折り曲がる部位は、色が淡くなる。
ギュッと押し込むと変化する。面白い革です。
エイジングを楽しめる
クロムエクセルは、タンニンなめし、染料仕上げです。つまり、使っているうちに色・ツヤが変化する。いわゆるエイジングを楽しむことができます。
言い換えると、新品のルックスを保つことはできません。使うことで、少しずつ変わっていく楽しみを味わいたい。そんな人にフィットする革なのです。
すべて革でできたミッレフォッリエ
定番ミッレフォッリエは、内装に「生地」が使われています。
一方、本作は内装もすべてクロムエクセル。クロムエクセル以外の素材は使われていない、総革仕立て。
内装も革でできたミッレフォッリエは珍しい。本作以外は、ヌメ革のモデルだけかな(コードバンモデルは2019年に廃盤になってしまった。→2022年復活。Youtubeでレビューしてます)革の贅沢感を堪能できるミッレフォッリエといえます。
柔らかいミッレフォッリエ
クロムエクセルは柔らかい革です。ブッテーロより柔らかい。ミネルバと同じくらいの柔らかさかな。ただ、定番のミッレフォッリエのように、裏張りがされていない。つまり、クロムエクセルだけの質感で形作られています。
開け締めをするときに、もっともしなやかな質感を楽しめる。柔らかい革がお好きなら、クロムエクセルが良いでしょう。
クオリティ
革の裏面が見えるデザイン
ミッレフォッリエP25の内装です。定番モデルでは生地が張られています。革の裏面が見えません。
ちなみに、最高級のコードバンモデルでは、内側にも革が使われています。
一方、クロムエクセルモデルは生地が張られていません。革の「裏面」が見えます。P25やコードバンとは見た目が異なる。スムースさや高級感も無いかなと。好みが分かれるでしょう。
ステッチ
ミシン縫い。均等でキレイ。負荷のかかるところは返し縫されています。定番のミッレフォッリエは1000日以上ケツポケしても、ステッチが解けることはなかった。耐久性も作り込まれています。
コバ
エムピウは、製品によってコバの仕上げが違います(ヘリ返しや、塗りコバなど)。P25は「ヘリ返し」。革の断面が見えないように、折りたたむ仕上げ。上品に見えます。
一方、クロムエクセルモデルは革の断面が見えます。染色もされていません。「革の断層」、繊維や色が見える。クロムエクセルの荒々しさを活かすデザイン。「クラフト感」があります。
ここも好みですが、定番モデルのほうが高級感があるかなと。
あとがき
機能的で使いやすいミッレフォッリエを、クロムエクセルモデルで楽しみたい。そんな人にフィットする財布です。