WILDSWANSのアイテムを愛用しています。
キーケースクリッパー2(CLIPPER2)も、その1つ。
最初にざっと、その特徴をピックアップしてみましょう。
- 一般的なキーケース+αの機能性
- 骨太で力強いプロポーション
- サドルプルアップレザーを贅沢に使用
- コバ、ステッチなどの丁寧な仕上げ
小さなアイテムだけど、WILDSWANSらしい仕事が見て取れる、満足度の高いキーケースです。しばらく使ってみたので、本ページでは、その使い勝手や特徴について、鋭くレビューしていきます。
長く愛用できる、シンプルで、上質なキーケースをお探しなら、きっとクリッパーを気に入るはず。参考にしてみてください。
動画
クリッパーの使い方を動画にしてました。ご紹介しているのは、ホーウィンシェルコードバンモデル。動画後半で、1年以上使ったサドルプルアップも出てきます。エイジング具合が伝わると思います。
使い勝手
クリッパーのサイズは一般的なキーケースとほぼ同じ。手のひらにスッキリと収まる、とても小さなボディです。
素材はWILDSWANSの定番皮革である、サドルプルアップ。一枚革で仕立てられています。
手に取ったときに感じるのは、やはり「革のカタマリ感」。ハリをしっかりと感じられるのは、サドルプルアップだからこそですね。
クリッパーを握ると、「ギュイッ」と革の鳴く音がするのは、本物の革である証拠です。
WILDSWANSのアイテムをいくつも買ってしまうのは、クリッパーのような小さなアイテムでも、革の醍醐味を味わえるからなのかもしれません。
サドルプルアップは、力強い質感と厚みがある皮革です。そのため、クリッパーは一般的なキーケースよりも、少しだけボリュームのあるプロポーションです。
一方で、Rを活かした流線型のデザインでもあり、どこか可愛らしい印象も受けます。
さて開いてみましょう。
開け口は、ゆるやかなカーブを描くデザイン。指を添えやすく、開けやすいです。
コバの仕上げが素晴らしいため、「キーケースを開ける」というありきたりな体験でさえ気持ちよく感じられます。
ダブルホックになっていて、パチンと開く感じ。タングやパームと同じつくりですね。
美しいホックもまた、WILDSWANSの醍醐味です。細部のパーツにも、コダワリが行き渡っているのです。
内装もすべてサドルプルアップ。
クリッパーは、どこを見ても革の裏面(床面)が見当たりません。
革の表面を貼り合わせたつくりになっていて、外側でも内側もサドルプルアップの風合いを楽しむことができます。贅沢なつくりです。
中は2つの機能に分かれています。
1つは、こちら。キーを並べて取り付けるつくり。一般的なキーケースですね。
このキーフックは、スイスのアミエット社(amiet)のパーツ。繊細で精巧なつくりです。
肉厚なクリッパーの無骨さとのコントラストが面白いです。
小フックが3つ。大きなフックが1つ付いています。
釣り針のようなフォルムで、斜めに差し込んではめます。「返し」は付いていないのだけど、かなりカッチリとはまります。1年以上使いましたが、一度も外れたことはありません。非常に信頼できるキーリングです。
もう片方は、キーリングが付いたパーツ。
このパーツは、「クリッパー2」から追加となったそう。なお、「ナスカン」は私が取り付けたものです。クリッパーには付属していません。
最近の車のキーは、一般的なキーケースに収納することが難しくなっています。大きくて収まらないんですね。
クリッパーでも車のキーを、中に収納するのは難しいのですが、このキーリングに取り付けて外出しておく使い方ができます。プラつく長さにはなりませんから、邪魔に感じません。
正直、このキーリングについては、好みが分かれるかもしれません。シンプルなキーケースがお望みなら、必要ない機能ですよね。
キーリングはホック式になっていて、取り外すことができます。邪魔なら取り外してしまえば問題ありません。
ワンタッチで取り付け可能です。動画でもご紹介していますが、取り外しはかなり固いです。
バイクや車のカギなら、取り外して使うと使い勝手が良さそうです。
このリングは、2重構造。一般的なカギはもちろん、写真のようにナスカンを通すこともできます。アイデア次第で、さまざまな用途に応用できそうです。
特徴
クリッパーの小さなボディにも、しっかりとWILDSWANSの意匠が活かされています。
革のカタマリ感たっぷりのプロポーション
サドルプルアップはハリが強くて、厚みのある皮革です。
クリッパーは裏張りして作られているため、ボリュームのあるプロポーションに仕上がっています。「革のカタマリ感」をバツグンに感じられる、所有欲を満たすキーケースといえるでしょう。
一般的なキーケースと比べて、少しだけ高さがあるといったところでしょうか。(縦、横のサイズはほぼ同じです)。
言い換えると、「スリムでエレガントなキーケース」を求めるなら、クリッパーはふさわしくないということです。
「スリムでエレガント」と「革のカタマリ感」。どちらが良いかは、人の趣味・嗜好によると思います。私が決めるのは野暮でしょう。後者を楽しみたいなら、クリッパーは最適な1品に思います。
丁寧な仕上げ
WILDSWANSの醍醐味といえば、美しいコバ。
コバの仕上げは、ブランドによってさまざま。レベルも違います。ただ塗料を塗っただけのコバだってあるのです。
一方、WILDSWANSのコバは、何度も削って、磨いてを繰り返したもの。そのため、ストンと切断された垂直なコバではなくて、丸みのあるコバに仕上がっているのです。コバの仕上げにおいて、日本一キレイだと思います。
微細な丸みのあるコバは、美しいだけでなく手当たりも優しいのです。クリッパーを使っていると、「気持ちいいな」と感じるのですが、これは丁寧に仕上げられたコバのたまものです。
カーブのステッチもキレイにRを描いています。
緻密で堅牢なつくりは、WILDSWANSの真髄です。こういった丁寧な仕上げがあるからこそ、10年使えるアイテムとして定評が生まれるのでしょう。
あとがき
キーケースはアパレルブランドをはじめ、多くのブランドがラインナップしています。さらに、日本の革工房が作る上質なキーケースもたくさんあるんですね。
そういった中で、あえてクリッパーを選ぶ理由をあげるなら、やはりホンモノの革(サドルプルアップ)を使った、上質なキーケースであること。これに尽きるでしょう。
この価格帯のキーケースとしては、素材、つくり、仕上げがともにトップクラス。何よりも「革のカタマリ感」を味わえるため、革が好きな人ほど所有欲が満たされる1品です。
丈夫でカッチリとしていて、それでいてエイジングも楽しめる皮革ですから、長く愛用できる。「革を育てる楽しみ」を、クリッパーから始めてみるのも一興だと思います。
WILDSWANSのアイテムとしては、比較的安価なプライスとなっています。プレゼントのアイテムとしても申し分ないでしょう。
初めてのサドルプルアップ、もしくは初めてのWILDSWANSという方にとっては、手に取りやすいアイテムなのではないでしょうか。