three2fourは革職人 松山さんの個人工房です。オーダーしていた時計ベルト「WATCHBELT」が届きました。しばらく使ってみたのでご紹介しましょう。
特徴は以下のとおり
- 表面は藍染クロコダイル
- 裏面はエレファント
- ベルトの付替えが便利なワンタッチバー
- オーダーメイドによる最適なサイズ
本ページではWATCHBELTの特徴、使い勝手について解説します。腕時計のベルトオーダーを検討中の方、クロコ、エレファントのベルトについて興味のある方はきっと参考になるはずです。
動画
クロコダイルとエレファントの表情、質感、装着方法など、動画のほうが分かりやすいかと思います。
4ヶ月経過で撮影した、エイジング検証の動画です。藍染クロコダイルのツヤ・透明感をお楽しみいただけるかと思います。
カタチ・構造
素材はクロコとエレファント。
表面はクロコダイル。装着したときにはクロコの表情を楽しめる。
裏面はエレファント。手首に触れる面です。
WATCHBELTには「定革」がありません。遊革のみ。
定革がないのは、コバを綺麗に仕上げたいからだそう。なるほど。コバの仕上げは磨きですね。
厚み2mm弱の遊革は、ネイビーのアメ豚を裏張りしているそう。ほとんど見えない部位もコダワって作られています。アメ豚はハリがあってスムースな革ですから、剣先を通すパーツには最適です。
定革にはネイビーのシニュー糸。クロコとマッチする色合い。
バネ棒はワンタッチ式(スライド式)でオーダー。時計からカンタンに着脱できるんです(動画でも紹介してます)。
バネ棒外しを使わなくて良いから時計にキズが付かないし、ベルトもダメージを受けない。気軽にベルトを付け替えることができるので、いくつもベルトを使い分けたいならスライド式をおすすめします(ただしバックルの付け外しは必要。これが面倒になるため、Dバックルをベルトの本数分購入することになるかもしれません・・)
クロコとエレファントの間には、芯材がはさまれています。バネ棒芯側は4mm強の厚みがあるため、けっこうな迫力。ちなみに、時計ケースのラグ厚に合わせて作ってもらっています。
芯材が斜めにスライスされているため、バックル側に向けて少しずつ薄くなっています。芯材にもアメ豚を使っているそう。厚みのあるケース側はコシがあります。
一方、先の方は柔軟に曲がる。着脱時に動かす部位だから柔らかいほうがスムーズに装着できるし、デスクワーク時には薄いほど違和感がない。
質感の違いは、動画の方が伝わると思います。
WATCHBELTはラウンドしたプロポーションではなく、フラットで直線的なデザインです。
ベルトのプロポーションは、職人さんやブランドの志向(嗜好)によって異なります。それが使い手のニーズとマッチしないこともあるでしょう。立体 or フラット、どちらが正解かは、使う人が決めることですね。好みに合うブランドを選びましょう(ブランドによっては、オーダー時に受けてくれるかもしれません)。
使い勝手
お店に並んでいる時計ベルトは万人の腕に合うサイズに調整されています。手首周りのサイズが平均の人にさえ、少し長い。穴もたくさん開いている(だから量産できて、オーダーメイドより安い)。
腕時計のベルトをオーダーする最大のメリットは、使い手にフィットする長さに調整できることでしょう。もちろん、このWATCHBELTは私にフィットする長さに調整してオーダーしています。
革製品にはさまざまなオーダーメイドがあります。中でも、腕時計のベルトは難しいと思う。例えば、バックルをどの位置に持ってくるのか。これは時計のケースサイズ、厚み、Dバックルのカタチによって変わるし、
手首のサイズや、利用者の好み(緩め / キッチリめ)によって、穴の位置も変わる。つまり、ベルト長と穴の位置でmm単位の調整が必要です。
今回は、使用中のベルトとDバックルを事前に送付。それをベースに、長さ、穴の位置の調整をお願いしました。なお、WATCHBELT完成後に一旦送ってもらって、位置調整をすることもできるそうです。配送時間、送料、紛失リスクもあるので、ここはトレードオフですね。
装着する位置をアレコレと変えるため2つ穴にしました。装着する場所が固定なら穴1つがおすすめ。穴が一つなら革の表情だけを楽しめるから。穴が少ないのもオーダーベルトの醍醐味ですね。
Dバックル使用を前提のオーダー。Dバックルは信頼できるものを使いましょう。おすすめはBAMBIの三つ折り式(ZS0007)です。3年以上使っていて不満がない。間違いない一品です。(参考:BAMBI Dバックルのレビュー)
ジャストサイズのベルトだからスピーディーに装着できる。剣先が余らないからコントロールしやすい。遊革に差し込むのがカンタンです。
遊革は動きます(位置が定まっていない)。装着前に遊革をバックル側に移動させておくと、バックルへのはめ込みと同時に遊革に差し込めるためスピーディーです。一般的な定革より少し幅広で6mmほどあるため、シッカリと留めることができます。
定革だけのベルトだと、定革に差し込んで終わりです。私が定革だけのベルトに慣れているからかもしれないし、1日に何度も時計を付け外しするからかもしれないけれど、1アクション多いなと感じることもある。何度も付け外ししないなら気にならないかな。
剣先が「あまり過ぎない」のもオーダーの良さですね。
2つ以上穴を空ける場合は、ピンを留める位置によって「遊革から剣先の出る長さ」が変わります。見た目を気にするなら、ここもオーダー時の長さ調整で検討した方が良いでしょう。
特徴
クロコダイルを楽しむ
腕時計のベルトでもクロコを堪能できる
表面の素材はクロコダイル。
ウロコの並ぶ表情は、部位によってガラリと変わる。中腹部ならほぼシンメトリな矩形が楽しめるし、脇腹になるほど丸いカタチに変わっていく。クロコの面白いところであり、好みが分かれるところです。
クロコのどの部位をWATCHBELTに使うのか。ここもお任せしました(というかクロコさえ指定していない)。採用されたのは「顎下(あごした)」。小さな矩形のウロコが並びます。
幅20mmのベルトでは「お腹の部位」は採用しにくい。ベルトの表情に「ウロコの並び」を表現しにくいからです。
顎下はウロコが小さいため、クロコを楽しむことができる。細いベルトの中で、ウロコの模様が変化していく様子も楽しめる。
遊革でもしっかりとウロコがわかりますね。
藍染クロコ
ベースカラーは青。部位によって濃淡が異なります。この青、松山さんが藍染めを繰り返した特別な色だそう。藍色と呼ぶのが正解なのかな。
ひとつひとつのウロコの中で、青のグラデーションを楽しめる。繊維密度が異なるため藍の浸透度合いが違うのかもしれません。興味深いです。
太陽光の当たる空間で撮影。明るい場所だとグラデーションがよくわかる。さまざまな色が楽しめます。
暗い空間だとダークネイビーに。暗めの空間だと色の印象は控えめになる。その代わり、ひとつひとつのウロコの立体感が際立ちます。
マットでサラリとした肌目です。使い込むことで変化していくでしょう。ツヤが出てくるかな。色はどのように変わるでしょうか。エイジングは後日ご紹介できればと。
3mmのピッチの手縫い。ネイビーの糸が使われていて、クロコの色とあっています。クロコの青と調和していてステッチは主張しない(糸の色もおまかせでオーダーしています)。
エレファント
裏面はエレファント。高価だし、輸入制限対象になっているのも理由なのでしょうか、あまり使われないですね。珍しい革です。本来なら「主役」になる革。「装着すると見えない時計バンドの裏面」に使われることは、極めて珍しい。
ブラックカラーに、ネイビーのステッチが並びます。
ゾウ革も部位によって表情が異なります。本作ではシワの少ない、細かな隆起が連なる部位が使われています。
腕時計の裏面の素材は、耐久性、肌触りの良さに関連する大切な要素です。1日に10時間以上、素肌に触れるため「付けていて心地いい」革がいい。その点で、エレファントは優れています。微細な凹凸のある肌目はサラリとしていて気持ちよく、汗抜け・乾きも良い。汗をかいたときもサラッとしています。
裏面にヌメ革を使ったベルトもあります。肌にキュッと触れるためフィット感がいい。個人的には(WATCHBELTに限らず)サラリとした革を使ってオーダーしてもらうことが多いです。ここは装着する人の好みによるでしょう。
three2fourではベルトの裏面に、黒桟革やシャークなど「シボ、シワのある革」を使っていることが多いと思います。つけ心地の良さからなのでしょうね。
さて、「腕時計のベルト」ですから、汗を吸うことは避けられない。耐久性の高いエレファントがどのように変化するのか。こちらも楽しみです。
オーダー生産
three2fourは革職人の松山さんが制作している個人工房です。(WATCHBELTに限らず)オーダーによる受注作成となります。
完成まで1年ほどかかるはずですので、サイズの失敗などは避けたい。いくつか革ベルトをオーダーしたことがあり、「自分にフィットするサイズ感」が分かってからのオーダーが良いと思います。
あとがき
WATCHBELTの完成まで1年半ほど。これまでオーダーした革製品で最も長期間待った製品でした。しかもサイズ以外は全てオマカセだったので、開封〜装着までドキドキしました。
でも、待ったかいがあった。革の組み合わせ、色、表情、サイズ、気に入りました。
松山さん、ありがとう。大切にします。