小銭入れが付いていない財布を「札入れ」・「束入れ」と言います(純札入れ、純束入れとも言います)。
これまで10以上の札入れ、束入れを使ってきた経験から、「長く使える上質な札入れ、束入れ」を厳選しました。
セレクトした条件は、以下のとおりです。
- メイドインジャパン
- 最高の技術で仕立てられている
本ページは2部構成です。
前半は、札入れ、束入れの特徴について。
初めての札入れ・束入れという方は、こちらを読んでからの購入でも遅くはないはず。
後半は、上質な札入れ・束入れを紹介します。
参考にしてください。
目次
札入れ・束入れについて
小銭入れの無い財布には、どんな特徴があるのでしょうか。
ここではメリット・デメリットを紹介します。
初めて買うという方は、こちらを読んでからでも遅くないはずです。
札入れ・束入れって何?
「札入れ」は、二つ折りの小銭入れが付いていない財布です。
「束入れ」は、かぶせ蓋タイプの長財布。こちらも小銭入れが付いていません。
どちらも持ち運べるのは、お札とカードのみです。
札入れ、束入れのデメリット
デメリットは小銭が入らないことです。
今日、ICカードやクレジットカードを使える場所が増えたため、現金を使うことは少なくなりました。
それでも、まだ利用シーンはあります。例えば、ラーメン屋さんでは現金払いですよね。お札で支払ったとき、札入れ・束入れは、お釣りを収納できません。
ではどうするかというと、小銭入れ(コインケース)を別に持つことになります。
札入れ、束入れのメリット
薄くて、軽い
財布が厚くなる、最大の理由が小銭です。小銭が増えるほど、財布は大きく、重くなってしまいます。
そもそも、「小銭入れそのもの」を構成する、革、ファスナー、ホックといったパーツがあるため小銭0枚でも、厚みは生まれます。
対して、札入れはこんな感じ。
左右に同じポケットが配置されています。凹凸のないフラットでシンメトリなデザインです。
小銭入れを取り除いているから、札入れ・束入れはダントツにスリムになるのです。
小銭入れ付きの二つ折り財布と比較してみましょう。正面から見ると、ほとんど違いはありませんね。
横から見ると、こんな感じ。
圧倒的に、札入れの方がスリムです。革の厚みや、財布の特徴によって多少の違いはありますが、全般的にスリムに仕上げられています。
スーツの内ポケットはもちろん、さまざまな場所にスッと収納でき、スペースを取らない財布なんですね。束入れであれば、お札を折らないためさらに薄くなります。
今日では、「薄さ」をウリにした財布はたくさんありますが、「オーソドックスなフォルムでスリムなもの」をセレクトするなら、札入れ・束入れがNo1です。もっとも快適に持ち歩ける、携帯性に優れた財布です。
カードが使いやすい
小銭入れが無いため、カードの収納ポケットが増えます。より多くのカードが一目瞭然になります。
一般的な二つ折り財布だと、3〜4枚ほどしかカードが並びません。
札入れでは、倍になるわけです。たくさんのカードを使いわけるなら、バツグンに使いやすい財布といえます。
アタリが生まれにくい
普段、何気なく利用しているだけで、財布には負担がかかっています。ポケットやカバンの中で、他の道具と触れ合い、圧迫されることは避けられません。
小銭入れ付きの財布は、左右で異なるカタチになります。さらに小銭が入ることで、小銭入れが膨らむので、歪んだカタチになるんですね。この状態で財布が押し付けられると、財布に跡が残ります。
一方、札入れや束入れは、左右対称となっているため、パタンと閉じたときに、財布に歪みが起きません。財布が押しつぶされても、歪みが少なく、アタリが生じにくいんです。型崩れが起きにくくキレイな状態を長く保つことができます。
財布をキレイに、長く使いたいなら、札入れ・束入れは最適なカタチなのです。
長持ちする
小銭入れは、財布の中で、もっとも複雑なパーツです。革の折込や縫製。ファスナー、ボタンといったパーツを使っています。財布の中でも壊れやすい部分。
一方、束入れには、そもそもファスナーもボタンもありません。革をステッチするだけのシンプルな仕立てです。
札入れ・束入れが向いている人、いない人
変わったタイプの財布ですから、人によって向き不向きがあります。
向いている人
- たくさんのカードを使い分けたい
- スリムに携帯したい
- 小銭入れを別に持つ
といった感じでしょうか。
クレジットカードやSuica、applePayなどでのお支払いが多くなった今日、コインを使うことが少なくなっているような気がします。
私の場合、30代を過ぎてからは奢ることが増えてきました。
そういったシーンでは、カードでの支払いが多いですし、現金払いのときもお釣りはもらわないため、そもそもコインを仕舞うことがないわけです。
こういった使い方であれば、札入れはとても快適です。スリムでシンプルなフォルムは、どんなポケットでもストレスフリー。身軽に持ち歩ける相棒なのです。
向いていない人
- 小銭もまとめて管理したい
- 財布の2つ持ちなんてありえない
こう考えるなら、小銭入れが一緒になった財布をセレクトした方が幸せになれると思います。
札入れのまとめ
小銭入れが付いた、2つ折り財布は膨らんでしまいがち。ボテッと膨らんだ財布は折りたたむことができず、自然と開いてしまいます。
札入れはこういった心配が不要。とてもスリムで、携帯性もバツグンです。
リュテス CW-02
サイズ | W93×H99×D18mm |
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機能 | 札入れ×2、カードポケット×4 |
素材 | イタリア牛革 |
生産 | 日本 |
リュテスはトップクラスの革製品を作る、個人工房です(他ブランドとは異なり、お一人で制作なさっています)。
本作もリュテスらしい。こだわりのあるユニークなデザイン。
手縫いで作られた、最高品質の札入れです。ステッチの美しさなど、細部まで丁寧に作られた逸品です。
レビュー:CW-02
ココマイスターの札入れ
ココマイスターは日本の革工房。
世界中のタンナーから仕入れた革は、どれも定評のある銘革です。
職人によって仕立てられた札入れは、オーソドックスながら上質な逸品です。
ブライドル ブレンデルパース
サイズ | W114×H92×D15mm |
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機能 | 札入れ×2、カードポケット×12 |
素材 | ブライドルレザー × ヌメ革 |
ブライドルレザーを使った仕立てた札入れです。
ブライドルレザーの特徴である「ブルーム」がシッカリと出ていますね。このブルームの正体は、革を作るときに浸透させたワックスです。
天然のロウ成分は、使ううちに無くなり、変わりにツヤが生まれてきます。
本作は大容量のカードポケットも魅力です。二つ折りの札入れを出しているブランドの多くがカード6~8枚。
一方、本作は前面に10枚収納可能。使い勝手はバツグンです。
ただし、札入れのメリットである「薄さ」を維持するには、たくさんのカードを入れないのがコツです。バランスよく収納して、快適に持ち歩きましょう。
ジョージブライドル ブライアンズパース
サイズ | W110×H92×D21mm |
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機能 | 札入れ×2、カードポケット×12 |
素材 | ブライドルレザー、(一部ヌメ革) |
見える部分すべてにブライドルレザーを使ったもの(見えない、カードポケットの裏などにヌメ革が使われています)。
内装も同色でまとめられていて、均一な美しさを感じられる逸品です。
高級感と存在感がバツグンのブライドルレザー。どこを見ても、どこを触れても楽しめる、満足度の高い札入れです。
キプリスの札入れ
キプリスは、上質な仕立てとリーズナブルな価格が魅力のブランド。
また、歴史のある大きな革工房ですから、ラインナップも豊富です。なんと、札入れだけで、15種類以上もあります。代表的なものをセレクトします。
チャールズビル 束入れ
サイズ | W115×H90×D25mm |
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機能 | 札入れ×2、カードポケット×18 |
素材 | イタリア産ベビーカーフ × キップ |
フラップ状のカードポケットが特徴的な札入れ。
二つ折りタイプなのに、14枚ものカードを持ち歩ける大容量が魅力です。
ボックスカーフ&リンピッドカーフ 札入れ
サイズ | W110×H97×D20mm |
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機能 | 札入れ×2、カードポケット×10 |
素材 | ボックスカーフ ×リンピッドカーフ |
キプリスの代表的な札入れ。多くの札入れを作っていますが、このつくりがベーシックなモデル。
ポケットのフチに施された「年引き」が見事ですね。シンプルな見た目をグッと引き締めています。
カーフとは仔牛の革のこと。正牛に比べて、キズが少なくキメが細かいのが特徴。
牛は歳を重ねる毎に、革は丈夫になります。一方、細かなキメが失われていくものです。人間と同じですね。
革自体がもつ滑らかな風合いは、カーフならでは。ソフトな質感が楽しめる逸品です。
オイルシェルコードバン アンフィニ
サイズ | W110×H95×D20mm |
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機能 | 札入れ×2、カードポケット×10 |
素材 | コードバン |
内装も外装もすべてコードバンで仕立てた贅沢なつくり。すべて同じトーンの色で仕立てた、統一感のある美しを感じられる逸品です。
総コードバン仕立てですが、リーズナブルな価格にできるのはキプリスの強みですね。
YUHAKUの札入れ
YUHAKUの特徴は、美しいカラーリングです。
一つひとつ、YUHAKUの職人による手染めの染色が施されています。
奥行きのある透明感が特徴で、光を取り込むと違った表情を見せてくれます。
美しい財布が欲しい人におすすめのブランドです。
ベラトゥーラ 札入れ
サイズ | W112×H95×D20mm |
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機能 | 札入れ×2、カードポケット×8 |
素材 | イタリア産ベビーカーフ × キップ |
ベラトゥーラはYUHAKUの中でも、絵画的な染色を施したもの。中央から外に行くほど色が深くなるグラデーションを楽しめます。
内装もしっかりと染められていて、とても上質な印象を受けます。深みのあるカラーはビジネスシーンにも最適です。
YUHAKUにはシリーズがいくつかあって、使われている革や、色の表現が異なります。数あるシリーズの中で、私が一番気に入っているのがこのベラトゥーラです。
札入れではないのですが、ベラトゥーラの長財布を父にプレゼントし、とても喜んでもらえました。美しい色合いをしっかりとお伝えできるようにレビューしていますので、気になった方はぜひご覧ください。
フォスキーア札入れ
サイズ | W110×H95×D16mm |
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機能 | 札入れ×2、カードポケット×8 |
素材 | イタリアンショルダー × ポニー |
ベラトゥーラより、少し鮮やかなカラーリングが施されたシリーズ。全体的に霧がかったようなグラデーションとなっています。
内装には、キャメルカラーの馬革が使われています。コントラストがはっきりとしていて、YUHAKUの染色がより映えますね。
一見、とてもシンプルなつくりですが、カードポケットのフチに施された「念引き」など、日本の伝統技法が見て取れます。本作に限らず、日本の革工房の財布は、細部の仕上げが美しい。
結果、シンプルなのに、美しい財布が生まれます。
コードバン札入れ
サイズ | W115×H90×D20mm |
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機能 | 札入れ×2、カードポケット×12 |
素材 | コードバン × 国産牛革 |
輝きとツヤでチョイスするなら、コードバンに勝る革はありません。本作は、コードバンにYUHAKUの染色を施した逸品です。
内装がブラックですから、汚れが目立ちにくいのも嬉しいポイントですね。
セパージュの札入れ
ホーウィンシェルコードバン 札入れ
サイズ | W115×H95×D15mm |
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機能 | 札入れ×2、カードポケット×12 |
素材 | ホーウィンシェルコードバン |
内装もすべてシェルコードバンで仕立てられた、贅沢な1品です。
国産コードバンと比べると、多少ラフな表情のため、均一な美しさを求めるなら、チョイスしないほうが良いでしょう。
新品のときから、バツグンの高級感を味わいたいなら検討するべき1品です。
参考:セパージュ ホーウィンシェルコードバン札入れのレビュー
国産コードバンを使ったモデルなら、さらにお安い価格になっています。
束入れのまとめ
「札入れ」よりも、たくさんのお札を収納できます。20枚以上を常に持ち歩きたい人におすすめ。
ル・ボナー 残心 長札入れ
サイズ | W192×H92×D4mm |
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機能 | 札入れ×2、カードポケット×3 |
素材 | ナヌーカーフ |
日本の革工房、ル・ボナーの長財布です。
もっとも薄い財布です。
ただし、コインは収納できません。小銭入れを別に持つ人におすすめのお財布です。
レビュー:ル・ボナー 残心 長札入れ
クレバレスコ リザード長財布
サイズ | W193×H95×D21mm |
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機能 | 札入れ×2、カードポケット×7 |
素材 | ナヌーカーフ |
クレバレスコは、最も高品質な革製品を作るブランドのひとつ。一人の職人がすべての工程をになう、個人工房です。
最高の素材、最高の仕立てによる束入れをセレクトするならぜひ検討してほしいブランド。なんと手縫いです。
参考:リザード長財布のレビュー
ココマイスターの束入れ
ブライドル ブレンデルウォレット
サイズ | W185×H91×D20mm |
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機能 | 札入れ×1、カードポケット×6、フリーポケット×3 |
素材 | ブライドルレザー × ヌメ革 |
外装にブライドルレザー、内装にヌメ革を使用した束入れ。
内と外で、美しいコントラストを楽しめます。
個別のカードポケットは6つと少な目ですが、代わりにレシートやチケットなどを収納できる長めのフリーポケットが搭載されています。
札入れ側には、カードポケットを配置していません。
その分たくさんのお札を収納できる束入れです。
コードバン長財布
サイズ | W185×H91×D20mm |
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機能 | 札入れ×1、カードポケット×6、フリーポケット×3 |
素材 | コードバン × ヌメ革 |
こちらは外装にコードバンを使ったタイプ。
内装のつくりは、ブライドルレザーのものと同じです。
札入れが「通しマチ」になっているので、100枚ものお札を収納できます。
キプリスの束入れ
シラサギレザー束入れ
サイズ | W190×H90×D15mm |
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機能 | 札入れ×1、カードポケット×8、フリーポケット×3 |
素材 | シラサギレザー |
使っている革もメイドインジャパン。
シラサギレザーはCYPRISが姫路のタンナーと共同開発した革。
アンティークな風合いの表情が独特です。
ディアスキンⅡ
サイズ | W190×H90×D20mm |
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機能 | 札入れ×1、カードポケット×10、フリーポケット×2 |
素材 | イタリア産ベビーカーフ × キップ |
生産 | 日本 |
ディアスキンとは鹿の革のこと。
柔らかくしなやか、手に吸いつくような触り心地が特徴で、
革のカシミアと呼ばれるほどです。
独特のシボがやわらからさを感じさせてくれます。
ルーガショルダー
サイズ | W190×H90×D20mm |
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機能 | 札入れ×1、カードポケット×10、フリーポケット×2 |
素材 | ルーガショルダー |
ルーガショルダーは、ベルギーのタンナーの革。
生きていた証であるシワ(トラ)模様を活かす染色が施された逸品。
独特の風合いを楽しめます。
たっぷりとオイルを含んだ革です。
ツヤや色の変化といったエイジングもしっかりと楽しめる、育つ革です。
マットクロコダイル
サイズ | W190×H90×D20mm |
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機能 | 札入れ×1、カードポケット×10、フリーポケット×1 |
素材 | クロコダイル |
クロコダイルを使った、総クロコ仕立ての束入れ。
お値段は10万円を超えています……。たぶん日本で一番高価な束入れです。
利用しているナイルクロコが希少なのは、左右がキレイに揃ったウロコが取れるからです。
特に本作は、その並びが美しいお腹の革を使ったもので、1匹につき数個しか作ることができません。
結果として、とても高くなってしまうんですね。
凹凸がハッキリとした表情は、エキゾチックレザーならでは。
他人と違う束入れをと考えると、行き着く先は本作になるのかもしれませんね。
YUHAKUの束入れ
フォスキーア 束入れ
サイズ | W190×H90×D14mm |
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機能 | 札入れ×2、カードポケット×12 |
素材 | イタリアンショルダー × ポニー |
小銭入れが付いた財布よりも、細く、薄いつくり。
パタンと閉じた、膨らみの無い佇まいからは、凛とした美しさを感じます。
鮮やかなカラーとキャメルとのコントラストが楽しめる逸品です。
両面にカードが収納できる構造は、束入れの代表的なつくりです。
完全な対象(シンメトリー)に仕上げたデザインに、映える曲線美が目を引きます。
薄い財布が欲しい。
この要求が生んだ、究極のフォルム。といえば言い過ぎでしょうか。
フォスキーアの札入れにほとんどマチがありません。
結果として、14mmという極薄の財布に仕上がっています。
そのデザインは切り捨ての美。
古くからのジャパンデザインに通じるものがあります。
このサイズでも20枚以上のお札を収納できます。
たくさんのお札を持ち歩かず、スリムなものが欲しい人におすすめの逸品です。
コードバン 束入れ
サイズ | W185×H85×D10mm |
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機能 | 札入れ×2、カードポケット×12 |
素材 | コードバン × キップ |
外装にコードバン、内装にキップ(仔牛)の革を使った束入れ。
この組み合わせによって、比較的リーズナブルな価格に抑えられています。
内装は、落ち着いた色味で、主張しすぎない美しさがあります。
つくりはフォスキーアと同じです。
使う革が違うため、より薄く仕上がっています。
薄くすることを突き詰め、結果として、無駄なものが1つもない財布。
機能そのものが生む美しさと、コードバンの素材の美しさと相まった逸品です。
日本で一番スリムで、美しい束入れだと思います。
あとがき
お気に入りの札入れ・束入れは見つかったでしょうか。
今回紹介したものは、オーソドックスで余計な装飾が無いものばかり。
ごまかしが効かないため、素材・仕立ての良さで勝負できる逸品です。
どれもメイドインジャパンの最高品質。間違いありません。