『ベラトゥーラ』は、日本の革工房YUHAKUがラインナップするシリーズの1つ。
YUHAKUのシリーズはたくさんあって、どれも魅力的です。ベラトゥーラを選ぶべきか?他のシリーズのほうがいいのでは?と、迷ってしまうかもしれません。
そこで本ページでは、YUHAKUの各シリーズを購入してきた視点で、ベラトゥーラの特徴、メリット・デメリット、他シリーズとの違いを解説します。
また、ベラトゥーラシリーズでラインナップされる、すべての財布について鋭く迫ります。あなたにピッタリの、ベラトゥーラを探してみてください。
ベラトゥーラの特徴
美しい表情
革は、楽しい素材です。やさしさ、風合い、エイジングなどは、革だけの醍醐味。化学繊維では味わえません。
YUHAKUの真髄は、この美しい表情に「独特のカラー」を彩っていること。
こちらは、ベラトゥーラの二つ折り財布です。単色ではなく、グラデーションが効いた表情が伝わるでしょうか。
YUHAKU代表の仲垣氏は、かつて画家を志した革職人です。その経験を活かし、絵画技法を革の染色に取り込むことで「グラデーション」を創り出したのです。
この美的センスがYUHAKUの特徴。どのシリーズも、美しい色合あいです。
ほぼすべてのブランドは「革をそのまま使用して」財布を作っています。たとえばコードバンには、さまざまな色がありますが、コードバンに色を付けるのは、革をつくる会社(タンナー)の仕事です。財布ブランドが、染色することはありません。
一方、YUHAKUは、自社でかかえる職人の手染めで、「ヌメ革」に彩りを加えています。独自レシピの染料を重ねることで、グラデーションを生み出しています。絵画と革製品に取り組んできた、仲垣氏の感性で調合されたものですから、YUHAKUでしか創り出せません。
ヌメ革への染色は、オーダーメイドの革靴に見られるテクニックで、財布などに採用されることはありませんでした。革靴のデザイン・制作を学んできた、仲垣氏だからこその発想なのでしょう。ちなみに、その経験を活かした革靴もラインナップされています。美しいですね。
それでは、ベラトゥーラの表情について、詳しくご紹介していきましょう。
ハッキリとした濃淡を味わえるグラデーション
財布の中心は淡く、そして端に行くほどに深まっていくグラデーション。
これが、ベラトゥーラです。
こちらは、ベラトゥーラ束入れ。長財布は迫力がありますね。大きな面ですから、変化がより映えます。
奥行きのある透明感
バツグンの透明感がスゴイ。
これは、染料をいくつも重ね合わせることで、生み出されるもの。YUHAKUだけの楽しみです。
スムースな表情は、鏡のように映し出すほど
ベラトゥーラの外装はカーフ。生後6ヶ月以内の仔牛、最高級の牛革です。
キメ細やかで、なめらかな表情は、YUHAKUの手染めを施しやすいのでしょう。色を重ねた、深みのある箇所でさえ、鏡のように映し出します。
指のカタチだけでなく、肌の色も映し出しているのが伝わるでしょうか。
機能性が高く、使いやすい
ベラトゥーラはその色合いに目を惹かれがちですが、機能性もバツグンに高いシリーズです。
いくつか、お気に入りのポイントを紹介しましょう。
コインポケット
コインポケットのつくりについて、2種類のタイプで見てみましょう。
二つ折り
二つ折り財布のコインポケットは、ボックスタイプで、コインが見やすく、取り出しやすい。
長財布
カタマチタイプ。
スリムさと見やすさのバランスが取れたデザインです。
スーツの内ポケット、カバンのサイドポケットにスッキリと収めることができるよう、「薄さ」が優先されているのです。
カードポケット
ほぼすべての財布で、カードポケットはストレートなカッティングです。
一方、ベラトゥーラはゆるやかなカーブライン。
カードが見やすくなりますし、どの角度から指を添えてもフィッティングが素晴らしい。もちろん、出し入れもしやすい。ストレスフリーです。
「財布なんて、どのブランドが作っても同じ」だと思っていませんか?
ユーザーのライフスタイルを考えるブランドは、試行錯誤をくり返して、独自の「使いやすさ」をデザインしているのです。YUHAKUのベラトゥーラはその筆頭です。
見た目の美しさに引かれてしまいますが、ユーザーのことを考え、それをカタチにする姿勢と技術こそが、YUHAKUの真髄なのかもしれません。私がYUHAKUに惚れたのも、まさにここです。
丁寧な仕立て
YUHAKUのアイテムは、すべて日本製です。ベラトゥーラでも、メイドインジャパンの、美しい仕上げが見て取れます。
コバ
革を切った断面は、線維がむき出しの状態です。そのままではダメージを受けやすいですし、見栄えもよくない。
ここに施すのが、「コバ仕上げ」です。
財布の端は、他のモノとぶつかることも多いので、コバの仕上げは革製品が長持ちするためのキモになります。ルックスも美しくなり、満足感もアップ。
では、ベラトゥーラのコバはどうか?
革の特徴、そして「財布の使われ方」に合わせた、最適な仕上げです。
ベラトゥーラは、外装がカーフ。そして、内装にはキップが使われています。キップはカーフよりもハリがあって、丈夫な素材ですね。ただ、どちらも薄い革ですから「磨きコバ」で仕上げることはできません。
磨きコバとは、こんな感じ。厚くて、ハリの強い革の場合、磨いて仕上げることができるのです。
ではYUHAKUはのコバを見てみましょう。
外装は、コバ塗料仕上げ。塗料の色は、ベラトゥーラと同トーンが使われています。YUHAKUの色へのコダワリがわかります。
スムースに仕上げられています。革を重ね合わせてから、段差を磨いて仕上げた証です。
内装もスゴイ。
ダメージを受けやすいファスナーのフチも、しっかりと。これ、最初に見たとき驚きました。ほとんどのブランドで、ここまでコバ仕上げはされません。素晴らしい。
内装のパーツは、他モノとぶつかることが少ないため、「折返し」と呼ばれるコバ仕上げ。見た目が、すべて同じ色になるため、シームレスな美しい仕上がりになります。
革を折り返してステッチするため、手間も技術も必要になります。
私はYUHAKUに限らず、さまざまなブランドの革製品を購入してきました。
そして、その中には3万円以上するにもかかわらず、美しくないコバの仕上げをしているブランドもあります。残念なことに、そういったブランドも「熟練の職人」や、「手間ひまかけて」といった耳あたりの良いコマーシャルをしています。
値段が高いものがイイのは当たり前です。その値段に見合った満足感があるか、が私の中で良いブランドの基準なのです。
そう思うからこそ、美しいコバに巡り会えたときには感動しますし、財布のレビューでもコバの仕上げについて紹介しているんですね。
私自身が「モノづくり」を仕事にしているため、クラフトマンシップを垣間見ることができる「コバ」に、人一倍つよいコダワリがあります。
その私からみて、YUHAKUのコバは十分に合格点です。
もちろん、上には上がいます。
ただ、YUHAKUよりも高い。当たり前です。職人は時間を使い、財布を作って生活しているのです。安くて良いコバは、存在しません。
2年で買い換える。上質な革、美しいプロポーション。
こういったスタイルなら、コバを気に留める必要はありません。しかし、上質なものを長く使いたい。細部の美しさや、職人の技を楽しみたい人にとって、コバはとても大事なポイントです。
まとめます。
YUHAKUのコバはお値段以上。平均以上です。
ステッチ
ストレートかつ、均等なステッチワーク。これも美しいですね。
糸の色も、ベラトゥーラの色と同トーンのため、目立ちません。
価格帯
ベラトゥーラは、いくつかのタイプの財布をラインナップしています。お値段は3万円台から。
では、YUHAKUの他のシリーズと比べるとどうでしょうか。
価格の高い順に、並べてみましょう。
- コブウェブ(クロコ)
- デュモンド/ディアマント(コードバン)
- ベラトゥーラ(カーフ)
- トゥールビヨン(ブライドルレザー)
- フォスキーア(牛革)
それぞれの特徴は、別のページにまとめています。気になる方は、ご覧ください。
比べてみると、ベラトゥーラはミドルレンジの価格帯。「YUHAKUの手染め感」、「色のグラデーション」を味わいたいなら、2つしかありません。
- フォスキーア
- ベラトゥーラ
違いは以下のとおりです。
フォスキーアは淡いトーンが広がる、幻想的な表情。
内装はコントラストのある、キャメル。
ベラトゥーラは濃淡がはっきりとして、絵画的です。
内装は、外装と合わせたダークトーン。
では、どちらが良いか?
自分の好みでチョイスするのが一番です。
ベラトゥーラの方が高いのは、多くの染料を合わせる手間がかかること。より上質な素材を使っているからでしょう。
細部のつくりも、ベラトゥーラの方が凝っています。より上質さを求めるなら、ベラトゥーラがオススメですね。
ベラトゥーラをおすすめできる人。できない人。
独特なカラー。そして量販店では売っていないことから、ベラトゥーラはとても珍しい財布です。人と被りたくない、ユニークな財布が欲しい人に最適です。
この美しい表情が、自分のものであること。所有欲の満たされ感はバツグンです。
素材の良さ、色合い、そして仕立て。このすべてが相まって、満足度の高いプロダクトです。革好き、美しいものが好きなら、きっと気にいるはず。ベラトゥーラを超えるものは、なかなかありません。
一方、あらゆる空間で映えるカラーは、否応無しに、人目を惹きます。目立ちたく無い人には、合わないかもしれません。
もう少し控えめ、それでいてYUHAKUの美しい色を楽しみたいなら、コードバンシリーズをチョイスした方がよいでしょう。ただ、お値段は少しあがります。
価格以上の満足感
財布の価格帯は、ブランドで違います。
YUHAKUと似た「色合い」をウリにするブランドもあるかもしれない。YUHAKUより安いかもしれない。
しかし、細部の仕上げや、財布の本質である「使いやすさ」にまでこだわっているブランドはそうありません。
ベラトゥーラは決して安くありません。しかし、満足感は十分に得られるはずです。
ベラトゥーラの財布。その全ラインナップに迫る
ベラトゥーラシリーズの財布、そのすべてについて、特徴をご紹介します。
たくさんありますので、スリムで、小さなさな財布から順にいきます。
お気に入りを見つけてみましょう。
コインケース
カテゴリ | コインケース |
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商品名 | コインケース (YVE150) |
機能 | カードポケット×1、小銭入れ×1 |
サイズ | W96 × H66 × D18 mm |
重さ | 41g |
素材 | イタリア産ベビーカーフ × 国産牛革 |
両マチのコインポケット。そして、カードの収納スペースが付いたコインケースです。
おすすめできる人
美しいコインケースが欲しいなら、本作は検討の価値ある一品です。
避けたほうが良い人
ユニークなカタチのコインケースが、他のブランドからも出ています。
ベラトゥーラの色に引かれたなら、間違いないですが、カタチまでコダワルなら、他ブランドも検討に入るでしょう。
小さい財布
カテゴリ | 小さい財布 |
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商品名 | 三つ折りコンパクトウォレット(YEV191) |
機能 | カードポケット×1、小銭入れ×1 |
サイズ | W98 × H75 × D20 mm |
重さ | 73g |
素材 | イタリア産ベビーカーフ × 国産牛革 |
手のひらに収まる「小さい財布」です。
ユニークな構造で、上質な仕立てが特徴ですね。
こちらはベラトゥーラに「型押し」を施した革が使われています。
レビュー:三つ折りコンパクトウォレット
順札入れ
カテゴリ | 順札入れ |
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商品名 | 純札(YVE140) |
機能 | カードポケット×1、小銭入れ×1 |
サイズ | W112 × H95 × D20 mm |
重さ | 75g |
素材 | イタリア産ベビーカーフ × 国産牛革 |
「順札入れ」とは、小銭入れの付いていない、二つ折り財布のこと。
コインが入らないこと、そして左右シンメトリのデザインが相まって、「最もスリム」に携帯できるのが特徴。
純札入れがオススメできる人
- コインケースを別に持つ
- カードとお札だけを、快適に携帯したい
オススメできない人
- コインも入れたい
- 二つ以上の財布を持ちたくない
札入れ
カテゴリ | 二つ折り財布 |
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商品名 | 札入れ(YVE130) |
機能 | カードポケット×6、お札入れ×2、小銭入れ×1 |
サイズ | W112 × H95 × D30 mm |
重さ | 92g |
素材 | イタリア産ベビーカーフ × 国産牛革 |
いわゆる二つ折り財布です。
オーソドックスですが、ボックス型のコインケースが付いているので、一般的なものよりもグッと使いやすくなっています。
おすすめできる人
使いやすい二つ折り財布が欲しいなら、おすすめ。
避けたほうが良い人
スリムな二つ折り財布が欲しいなら避けましょう。
ボックス型のコインポケットは、革の重なりが多いため、一般的なものよりも厚みがあります。
札入れ
カテゴリ | 二つ折り財布 |
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商品名 | 札入れ(YVP132) |
機能 | カードポケット×1、札入れ×2、小銭入れ×1 |
サイズ | W115 × H90 × D25 mm |
重さ | 84g |
素材 | イタリア産ベビーカーフ × 国産牛革 |
もうひとつ、二つ折り財布がラインナップされています。
上で紹介したものとの違いは、
- 内装の一部が、ベラトゥーラ技法
- 内装のいち部が、ブラックのエンボス加工レザー。キズや水に強い。
- コインポケットは一般的なものと同じ。ボタンで留めるマチタイプ。
おすすめできる人
- 薄い二つ折り財布が欲しい
- より高級感が欲しい
避けたほうが良い人
特にありません。非常にオーソドックスな二つ折り財布ですから、万能です。
あえて言うなら、長財布よりは収納力に劣ります。たくさんのお金やカードを持ち歩きたいんら、後述する長財布をセレクトした方が幸せになれるはず。
束入れ
カテゴリ | 長財布(かぶせ蓋) |
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商品名 | 束入れ(YVE110) |
機能 | カードポケット×6、フリーポケット×2、札入れ×2、小銭入れ×1 |
サイズ | W184 × H88 × D18 mm |
重さ | 130g |
素材 | イタリア産ベビーカーフ × 国産牛革 |
オーソドックスな長財布。しかし、内装までしっかりと作り込まれています。
おすすめできる人
薄い長財布が好きな人
避けたほうが良い人
カバンを持ち歩かない人は避けましょう。
スーツの内ポケットに最適なスリムさがありますが、夏はジャケットを着ませんよね。
束入れ2
カテゴリ | 長財布(かぶせ蓋) |
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商品名 | 束入れ(YVP116) |
機能 | カードポケット×8、フリーポケット×2、札入れ×2、小銭入れ×1 |
サイズ | W190 × H93 × D24 mm |
重さ | 141g |
素材 | イタリア産ベビーカーフ × 国産牛革 |
先程のものと比べると、中のつくりが違います。
比べてみての利点は、
- 内装もベラトゥーラ
- 8枚のカードを収納できる
- シンメトリの美しいデザイン
デメリットは、
- 少し厚みと重さが増す。
- カバンでの持ち運びがベスト。
内装にもベラトゥーラが活かされていて、高級感がありますね。
おすすめできる人
たくさんのカードを分けて収納したいなら、これがベスト。
かぶせ蓋は1アクションで開けるので、使いやすいです。
避けたほうが良い人
カバンを持ち歩かない人は避けましょう。
L字ファスナー束入れ
カテゴリ | L字ファスナー |
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商品名 | L字ファスナー束入れ |
機能 | カードポケット×8、札入れ×1,小銭入れ×1 |
サイズ | W190 × H98 × D18 mm |
重さ | 103g |
素材 | イタリア産ベビーカーフ × 国産牛革 |
長財布と、ラウンドファスナーのいいとこ取りの財布。ファスナーで閉じるため、安心感がありますし、ラウンドファスナーより薄いです。たっぷりカードを収納できるのもGood。
もっとも軽い長財布タイプですから、スタイリッシュに、かつ快適に持ち歩くことができます。
おすすめできる人
スリムで、スタイリッシュな財布が欲しいなら、L字ファスナーがNo1です。
避けたほうが良い人
お金やカードの収納量は、束入れやラウンドファスナーに及びません。
たくさん持ち歩きたいなら、避けたほうが無難です。
レビュー:ベラトゥーラ L字ファスナーウォレット
ラウンドファスナー束入れ
カテゴリ | ラウンドファスナー長財布 |
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商品名 | ラウンドファスナー束入れ(YVP114) |
機能 | カードポケット×12、フリーポケット×2、札入れ×2、小銭入れ×1 |
サイズ | W198 × H95 × D22 mm |
重さ | 162g |
素材 | イタリア産ベビーカーフ × 国産牛革 |
ベラトゥーラの中で、最大容量の財布。大きな面に広がるベラトゥーラ。マットなファスナーの組み合わせがカッコいいですね。
一般的なラウンドファスナーと比べて、スリムなのもグッドポイント。快適に持ち歩けます。
おすすめできる人
- ラウンドファスナーのフォルムが好きな人
- お金やカードを安心して持ち運びたい人
避けたほうが良い人
ファスナーを開けるのが面倒なら、止めましょう。L字ファスナーや、かぶせ蓋の方が、お金やカードを使うまでのアクションは少ないです。
また、他ブランドのラウンドファスナーと比べてスリムとはいえ、L字ファスナーやかぶせ蓋よりは厚みがあります。カバンでの持ち歩きがメインになりますから、手ぶら派はセレクトしないほうがよいでしょう。
まとめ
お気に入りのベラトゥーラは見つかったでしょうか。
最後に、もう一度ベラトゥーラの特徴をおさらいしましょう。
- YUHAKUの中で、もっとも絵画的。濃淡のあるグラデーションが楽しめる
- 機能的にも優れていて、使い勝手がバツグンに良い
- 細部まで丁寧に仕上げられていて、満足感が高い