2016年。WILDSWANSは「フルグレインブライドルレザー」を定番の素材に加えました。
定番のサドルプルアップと比べて、どのような違いがあるのでしょうか?フルグレインブライドルレザーを選んだ方が良いのでしょうか?
その疑問を解消するため、本ページでは3つの切り口でご紹介します。
- フルグレインブライドルレザーとは何か?
- フルグレインブライドルレザーとサドルプルアップは、何が違うのか?
- フルグレインブライドルレザーのアイテムの魅力とは何か?
これまで「サドルプルアップ」のグラウンダーとパームを使用してきました。また、フルグレインブライドルレザーのグラウンダーとパームも使用してきました。
本ページでは「サドルプルアップ」と「フルグレインブライドルレザー」で作られた財布を使ってきたユーザの視点で、両者を使い比べてみて感じたこと、違いについて、分かりやすく解説します。
ブライドルレザーの財布を検討されている方や、「サドルプルアップ」と「フルグレインブライドルレザー」どちらが良いか?とお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ブライドルレザーについて
「フルグレインブライドルレザー」の前に、「ブライドルレザー」の特徴を少しだけ解説しましょう。
ブライドルレザーの特徴
まずは、一般的なブライドルレザーの特徴について、ざっくりとピックアップしてみましょう。
- ハリやコシが強く、厚みがある
- 固くて丈夫な革
- エイジングが楽しめる
- 半年以上かけて作られる貴重な皮革
- そこそこ高価
「ブライドル」と名付けられているとおり、もともとは馬具の素材として用いられてきた革です。例えば人と馬をつなぐ「たずな」などです。命綱となる道具の素材として使われるわけですから、財布などのアイテムよりも「しなやかさ」や、「絶対に壊れない丈夫さ」を求められたわけです。中でも、もっとも重視されたのが堅牢性です(かたくて丈夫であること)。
ブライドルレザーは長い時間をかけて、タンニンでなめされます。その後、ミツロウなどのワックスを革の芯まで染み込ませています。これによって、一般的な革と比べてダントツの耐久性・耐水性を誇る革に仕上がるわけです。
固くてハリの強い質感です。指で弾くと、カチンと音がするほど。
端正なルックスから、力強さ、実直さといった印象を受けます。ビジネスシーンに添えるアイテムの素材として好まれるのは、こういった特徴を持っているからかもしれません。
「ブライドルレザー」とは、上記のような特徴を持つ革の総称にすぎません。トーマスウェア社、クレイトン社、ベイカー社など、さまざまなタンナーがブライドルレザーを作っています。
もっと知りたい方はこちらもご参照ください。
フルグレインブライドルレザーとは何か
「フルグレインブライドルレザー」は、イギリスの老舗タンナー、ベイカー社(J&F J Baker)の代表的な皮革です。本章では、フルグレインブライドルレザーの特徴についてご紹介します。
世界トップレベルの堅牢なブライドルレザー
かたくて丈夫なことは、すべてのブライドルレザーの特徴です。
そういった中で、フルグレインブライドルレザーの特徴の1つは、抜きん出た堅牢さにあります。世界中のトップメゾンから愛用され、世界屈指の最高品質と言われています。
この秘密を、ベイカー社の「フルグレイン」の作り方から読み解いてみましょう。
オークバークを使ったなめし
ベイカー社自身が、「art of oak bark tanning」と広告しています。堅牢性の秘密の1つは、この「オークバーク(Oak bark)」を使ったなめしにあります。
さて、オークバークとは何でしょうか?
「みんなの皮革用語辞典」によると、以下の説明があります。
楢(なら)や樫(かし)の樹皮を使用した、植物性のタンニンなめし(鞣し)剤。樹皮だけでなく、木や実、葉などにもタンニンを多く含むことから、ヨーロッパでは代表的ななめし剤として活用されてきた。
現在は、樹木の減少により、なめし剤として利用されることは少なくなってきている。
イギリスには、ブライドルレザーを作るタンナーがたくさんあります。しかし、オーク樹皮から抽出したタンニン成分を使って、ブライドルレザーを作るのは、ベイカー社のみです。
革を作る工場には「ピット槽」という革を漬け込むためのプールがいくつもあり、それぞれに濃度が違う「オークバークから抽出したタンニンなめし剤」が満たされています。
異なるピット槽に、革を移し替えながら漬け込む作業、いわゆる「ピット槽なめし」を続けるのですが、この作業は12ヶ月にも及びます。「時間をかけて作られる革」という点で言うと、紛れもなくNo1ですね。
たとえば、ホーウィン社のシェルコードバンも時間をかけて作られる革ですが、6ヶ月ほどで完成します。フルグレインブライドルレザーはは、その2倍もの時間をかけて作られています。高価な理由は、時間がかかり量産できないからですね。
ちなみに、安価な「クロムなめし」の革は、わずか数日で完成します。時間がかからないから安いのです。
このビット層なめしを使った革づくりは、2000年前から続くクラシカルな製法で、ヨーロッパの老舗タンナーの多くがこの手法を採っています。
皮をなめすときに「タンニンなめし剤」の原料として「オークバーク」を使っているのが、ベイカー社の特徴です。
オークバークはヨーロッパの樹木で、100年以上前から「革をなめすための材料」として使われてきました。ところが、乱獲により18世紀にオークバークが激減。ヨーロッパのタンナーは世界各地から代わのなめし材、例えば「ミモザ」などを使うようになったそうです。
アフリカやインドから伝わったなめし材の代表がミモザです。オークバークに比べると入手しやすく、安価なため、今日では多くのタンナーが使っています。ただ、日焼けしやすい特徴があるため、高価な革には使われていません。
多くのタンナーが他のなめし材にシフトしていった中で、ベイカー社だけは、かたくなにオークバークなめしを続けています。ベイカー社いわく、オークバークでなめされた革は、他のタンニンなめし材と比べて、圧倒的に丈夫で、長持ちするとのこと。
事実、過去200年の歴史のなかで、オークバークで作られた革は、日焼けしにくく、丈夫であることが確認されています。(19世紀のミモザを原料とした革よりも、18世紀に作られたオークバークの革の方が劣化していないのです。)
一言でタンニンなめしといっても、その素材は、ミモザ・チェストナット・オークなど、たくさんあります。そういった中で、オークバークは最高の素材なのでしょう。
銀面をそのまま活かす仕上げ
動物の皮は、なめしを行うことで、製品として使える「革」になります。このなめしの中で、色をつけたりオイルを追加したりといった「仕上げ」を行います。(この仕上げを行わない革が、いわゆる「ヌメ革」と呼ばれるものです。)
この「仕上げ」にも堅牢性を生み出すポイントが隠されています。
革の表面(毛の付いていた側)のことを銀面といいます。
ふつうは、革の仕上げでは、銀面を「こすって・削って」の作業をくり返し、革に着色・加脂していきます。銀面には動物が生きていたときに付いたキズや毛穴があるため、銀面をスムースにした方が、色やオイルを浸透させやすいからです。
一方、フルグレインブライドルレザーでは、この「こすって・削って」の作業は行われません。「フルグレイン(Full-Grain)」という名前は、ここから来ています。「Grain」とは銀面のこと。銀面をありのままに活かした革だということです。
事実、ベイカー社は以下のように説明しています。
Hand finished by expert Curriers using our own blend of natural oils and greases.
秘伝の天然オイルやグリースを使って、革職人がハンドメイドで仕上げている。とのこと。
ちなみに「Curriers(カリアー)」とは革を仕上げる職人です。ベイカー社は機械化が進んだ今日でも、職人によるハンドメイドでの染色と加脂を行っているんですね。
そもそも動物の皮膚(スキン)には、外敵から身を守るのに最適な「素の強度・しなやかさ・ハリ」があるわけです。それをそのまま活かすことで、右に並ぶものがない屈強なブライドルレザーに仕上がるのでしょう。
丈夫な部位だけが、フルグレインブライドルレザーになる
牛の原皮はさまざまな部位に分けられます。部位ごとに特徴があって、フルグレインにふさわしいパーツのみを使っています。
上記の部位で、ベイカー社が「フルグレイン」で作っているのは、ShouderとButtのみです。牛の肩と背中のスキンは、四足歩行する牛にとって、もっとも筋肉の可動が多い箇所。厚みがあるのにしなやかで、バツグンの強度を誇るスキンです。
なお、Belly(お腹の革)は、伸びやすい性質を持つため、堅牢性を求められるアイテムには使われません。(例えばベルトやカバンの底には絶対に使われません。革が伸びてしまって長く使えないからです)。
ちなみに、オークバークを使ったベイカー社の革は、その堅牢性の高さから靴の素材としてもトップレベルの品質です。
牛のベンズ(背中)の革はギュッと線維が詰まった部位で、ソールベンズ(Sole Bends)としてラインナップされています。その名のとおり、靴のインソールやアウトソール(底)に使われています。
世界最高峰の英国靴のビスポーク(テーラメイド)で採用され続けていることは、その耐久性の裏付けとして十分でしょう。他の革と比べて「ソールが減らない」と定評があります。
日本でもビスポーク靴職人にオーダーするときに、ベイカー社のソールベンズを使うことができるようになりました。ただ、入荷量が少なく高価なため、ソールをベイカー社のものにするとプラス1万円になります。高級品なのです。
圧倒的な迫力の表情
荒々しいまでの力強さを感じる、独特の表情は、フルグレインブライドルゆえの魅力の1つです。ベイカー社オリジナルブレンドの天然オイルを使って磨き上げることでで、荒々しく、力強い表情を持ったブライドルレザーに仕上がっています。
複数カラーがラインナップされていますが、「オークバークを使ったフルグレインの革」としてWILDSWANS がラインナップするカラーは3つだけです。
- London colour(ロンドンカラー)
- Dark starin(ダークステイン)
- Black(ブラック)
どれも魅力的ですが、迫力で選ぶならダークステインがNo1だと思います。
自然な風合いと迫力は、銀面をこすらずに染色されたフルグレインだからこそでしょう。ところどころに見受けられるムラ感が、独特の荒々しさと迫力を生み出しています。
ちなみに、ロンドンカラーよりもずっと淡い、Rusettなどもありますね。
地産池消の革づくりにこだわる、ベイカー社
ベイカー社は創業1860年の老舗。今日も家族経営を続ける小さなタンナーです。
牛の原皮、オークバーク、オイルなど、革を作るためのすべての原料は、地元で調達したもの。地産地消にこだわってフルグレインのブライドルレザーを作るのは、目の届く範囲でしか品質を安定させることができないからだそう。
「上質な皮からしか、上質な革を作ることができない」。この考えから、革の原料となる牛の健康状態までもチェックしているそうです。
フルグレインブライドルレザーとは、ベイカー社が居を構える、イギリスのデヴォン州でしか作ることができい、唯一無二のブライドルレザーなんですね。だからこそ、世界のトップメゾンで愛用され続けているわけです。
ちなみに、ここ10年ほどで原皮の値段が2倍になったとのこと。コードバンのように、フルグレインブライドルレザーも値段が上がっていくかもしれません。(これはベイカー社と、WILDSWANSがどのように価格設定するかによるのですが)。
サドルプルアップとフルグレインブライドルレザーの違い
サドルプルアップとフルグレインブライドルレザーは、どちらもWILDSWANS定番の革となりました。ここでは、両者を使い比べてみて気づいた、特徴や違いについてご紹介します。
ちなみに、私がセレクトしたグラウンダーは、どちらともブラックです。
色が変化するエイジングはほとんど見られませんが、ツヤがあがったときの引き締まった雰囲気を楽しみたくてチョイスしました。凛とした装いはブラックならでは醍醐味です。
カラー(色合い)の違い
サドルプルアップもフルグレインもどちらも染料で仕上げられているようですが、その色合いはまったく異なります。
サドルプルアップは、均一な色味です。滑らかな銀面に均等に染色されているように思います。こちらはサドルプルアップのチョコ。
一方、フルグレイン(特にダークステイン)は、染色のムラ感があります。
ですから、「キレイな表情=ムラがない表情」とお考えなら、サドルプルアップの方が気にいると思います。
一方、荒々しい表情や迫力を楽しみたいなら、フルグレインを選んだ方が幸せになれるでしょう。
ハリの違い
どちらも指で押すとピンとした跳ね返りを感じます。どちらもしっかりとしたハリのある質感ですね。(例えばミネルバボックスと比べると、ハリや硬さは段違いです。)
個人的にはフルグレインブライドルレザーの方が、一段と強いハリを感じます。
私は財布をヒップポケットに入れたりするので、ハリの強さをとても重視しています。
ハリの弱い財布は、カンタンに曲がってしまいますし、そのクセがついてしまうと、残念ながら元に戻ることはありません。つまり、ハリの弱い財布ほど「型くずれ」しやすいわけです。
(フルグレインに限らず、ヒップポケットに入れるなら、固くてハリのある財布をセレクトすることをおすすめします。長く美しく扱えるからです。)
グラウンダーのレビューで紹介しましたが、ヒップポケットに入れる使い方を続けたにも関わらず、ほとんど型くずれしませんでした。サドルプルアップの堅牢性は目を見張るものがあります。
そのサドルプルアップよりもハリの強さを感じるわけですから、「丈夫さ」といった点では、サドルプルアップ以上なのかなと思います。
ちなみに、こんな感じでしっかりと財布が立ちます。
グラウンダーをギュッと握ると、「ギュイギュイ」と革の鳴く音がします。
これはタンニンなめしで作られた革の特徴。革の線維がギュッと詰まった丈夫な革であることの裏付けですね。
比べてみると、フルグレインの方が強く鳴きます。フルグレインの方が線維密度が高いのでしょう。個人的には育つ革が好きなので、私と同じくタンニンなめしの革が好きな方なら、この音がたまらないはずです。
参考までに、トーマスウェア社のブライドルレザーと比べてみると、以下のように感じます。
フルグレインブライドルレザーの方が、よりしなやか。
トーマスウェア社のブライドルレザーの方が、ハリが強く、カッチリとした質感。
つまり、フルグレインブライドルレザーは、ブライドルだからこそのハリ感としなやかさを持ちつつ、硬すぎない質感に仕上がっているわけです。
厚みの違い
店頭で新品を触ってみての感想ですが、厚みについてはほとんど同じように感じます。(公称のスペックも同じですね)
ちなみに、1年以上使ったサドルプルアップと、3ヶ月ほど利用のフルグレインを比べてみると面白いです。
サドルプルアップがこちら。
フルグレインがこちら。
年季が違う両者を比べるのはフェアではありません。ここで言いたいことは、最初厚みのあるサドルプルアップやフルグレインブライドルレザーも、使い込むことでスリムになっていくということです。
グラウンダーに限らず、WILDSWANSの財布はぷっくりとした厚みがあるので、小さな財布が好きな人は、敬遠されるかもしれません。
ただ、これは最初だけです。使い込むことで徐々にスリムになっていきます。その変化をしっかりと感じ取れますから、「自分が育てた感」がバツグンなんですね。これもWILDSWANSの醍醐味だと思います。使うほどに愛着が増していくはずです。
ツヤ感の違い
どちらもスムースな表情の革で、最初はマットな質感です。
サドルプルアップの方は、使い込むことで、ギラリとしたツヤがあがってきます。
一方フルグレインはまだ2ヶ月ほどですが、以下の表情です。ブルームはほとんど無くなり、うっすらとしたツヤが出てきた段階です。
キズへの耐性
カバンの中にフルグレインとサドルプルアップを入れて、2ヶ月ほど持ち歩く実験をしてみました。普段はカバンに入れていて、使うときに取り出すといった使用方法です。
こちらはフルグレインのグラウンダー。
こちらがサドルプルアップのパーム(カラーはチョコ)。
個人的にはフルグレインブライドルレザーの方が、キズに強いと思いました。
写真を見比べてみてください。フルグレインの表情の、凹凸が荒いのが伝わるでしょうか?そのため、ちょっと引っかいてしまっても、そもそもキズが付かない(目立たない)ような気がします。
グラウンダーは母艦として使っていて、使う機会はパームの方が多かったので、比べるのはフェアじゃないところもあるのですが……。実際には、フルグレインの方が持ち歩いている時間は長いのに、サドルプルアップのようなキズが見当たりません。
念のためにお伝えしておきますが、「サドルプルアップは傷つきやすいからダメな革」と言いたいわけではありません。サドルプルアップの方は、ギラリとしたツヤが生まれるのは分かっています。ひっかき傷が気になるのも最初だけ、使い込むことでキズも目立たなくなります。個人的には、どちらも大好きな革です。
フルグレインブライドルレザーのエイジング
ブライドルレザーは、ブルームが馴染むことによって、表情に艶やかな光沢が生まれてきます。
では、フルグレインブライドルレザーではどうなっていくのでしょうか?
WILDSWANS公式で公開された写真を引用させていただき、いくつかご紹介します。
ロンドンカラーのエイジング
3ヶ月の変化とのことです。
ダークステインのエイジング
こちらも3ヶ月での変化。
最初の状態で見受けられた色のムラ感が、均されるように変化していますね。とはいえ、わずかに濃淡が見受けられます。魅力的な風合いですね。
こうやって画像を見ていると、すでにタングを持っているのに欲しくなるのが恐ろしいところでもあります。
ブラックのエイジング
新品時がこちら。
カメラが壊れていて写真が取れなかったので、公式サイトから引用させていただきます。
私がセレクトしたグラウンダーでは、ブライドルレザーの特徴である「ブルーム」は、写真のものよりも控えめでした。ブルームの元となるオイル成分が革の芯まで浸透していて、表面には出づらいのかもしれません(それともそういう個体だった?)。詳細は分かりませんが、いずれにせよブルームは無くなっていくものなので、気にせず使ってみました。
さて、今回はカバンの中に入れるようにして持ち歩いていました。
で、こちらが3ヶ月ほどの変化。
表面を覆っていたブルームが無くなって、艶やかで濡れたような光沢がうっすらと出てきました。流石に1年使ったサドルプルアップと比べるとツヤ感はまだまだです。微光沢といったところでしょうか。
内装はまだ少し、ブルームが残った感じですね。
極小のシボが緻密に並んだような表情が出てきました。
ブルームが財布に馴染むことで、サドルプルアップとは違った、微細な光沢が出ているように思います。
6ヶ月の変化
WILDSWANS公式から公開されました。
他のブライドルレザーとの違い
J&Fベイカー以外のブライドルレザーと比べて見ましょう。
ブライドルレザー表面のブルームは、気温や湿度によって復活することもあります。
たとえば、トーマスウェア社のブライドルレザーは一旦、ブルームが落ちても時間が経つとブルームが復活しました。
ブルームを落とした状態。
放置した結果。
フルグレインブライドルレザーのダークステイン(パーム)と、ブラック(グラウンダー)でブルームを落とし、検証しました。結果としては、トーマスウェアで見られたブルームの復活は、起きませんでした。
なお、色・ツヤの変化という点では、フルグレインブライドルレザーのほうが楽しめると思います。サドルプルアップのエイジングがお好きなら、十分に満足できるでしょう。
フルグレインブライドルレザーの財布たち
WILDSWANSのフルグレインの財布のラインナップを、紹介してまいります。
同じタイプのものを持っているので、その経験を踏まえて、どんなシーンにピタリとハマるのかも合わせてご紹介します。
あなたのスタイルに合うものをセレクトすることで、きっと長く愛用できるはずです。
タング
タングは、いわゆる「コインケース」にカテゴライズされる、WILDSWANSの最小財布です。
小さなボディに、たくさんのアイテムを収納できるので、WILDSWANSの中で人気No1の財布とのことです。
個人的に一番気に入っているのが、背面のカードポケットです。財布を開かなくてもサッとカードを出してお会計できますから、実にスマートです。
収納量と機能性が組み合わさった機能美も、WILDSWANSの醍醐味です。
フルグレインブライドルレザーの財布の中でもっとも安いアイテムです。とにかくフルグレインブライドルレザーを使ってみたいなら、タングをチョイスするのがベストでしょう。
あくまでもコインケースですから、たくさんのお金を収納するのは苦手です。すでにメインの財布をお持ちの方がサブとしてセレクトすると幸せになれるはずです。
ちなみに、個人的には国内の2泊程度の旅行なら、タングで済ませることもあります。フットサークの軽さは、小さな財布だからこメリットですね。
参考:タングのレビュー
パーム
WILDSWANSの財布ラインナップの中から、コイン、お札、カードをひとまとめに収納できて、さらにコンパクトなものをセレクトするなら、パームしかありません。個人的に、もっとも好きな財布です。
手のひらジャストサイズに収まる、革のカタマリ感は、コンパクトながらも所有欲を存分に満たしてくれる1品です。
ほとんどの人は、財布を1つしか持ち歩かないはず。WILDSWANSの財布をどれか1つセレクトするなら、カード枚数から検討してみてください。5枚ほどのカードで済むなら、パームは最適です(それ以上なら、グラウンダーを検討した方が良いと思います)。
参考:サドルプルアップ パームのレビュー
参考:フルグレインブライドルレザー パームのレビュー
グラウンダー
本ページでもご紹介した、WILDSWANSの定番中の定番、グラウンダーです。
タングよりも一回り大きなボディには、カード8枚、お札15枚、コイン20枚を楽々収納できます。
WILDSWANSの財布は、エッジの効いたデザインが多いのですが、グラウンダーはオーソドックスな二つ折り財布。これまで、二つ折り財布を使われてきた方なら、まったく違和感無く使えます。
個人的に、グラウンダーもお気に入りの財布です。特に好きなポイントは、バツグンの堅牢性。ケツポケで1年使っても型くずれしない、カッチリとした質感は流石です。
フルグレインの荒々しい表情と、WILDSWANSならではの美しいコバやステッチも見事です。ありきたりな二つ折り財布と比べてみますと、力強い存在感が抜きん出ています。
何というか、クラフトマンシップがひしひしと伝わってくるのです。所有欲が満たされる喜びが実感できるのだと思います。(結果、いくつもWILDSWANSのアイテムを買ってしまうのかもしれません・・・。)
参考:グラウンダーのレビュー
ウィングス
カタチはグラウンダーと似ていますが、小銭入れが付いていないタイプです(いわゆる、札入れです)。
コインの収納を諦めることで、カードの収納枚数がグラウンダーよりもアップしています。
また、左右対称のシンメトリのデザインですから、財布が型くずれしにくいのもポイントです。
正直なところ、小銭入れ付きの財布(グラウンダー)の方が、使い勝手は良いのです。
にも関わらず、日本を代表するレザーブランドが「小銭入れの無い財布」を作り続けるのは、美しいルックスを長く保てるからです。
ウィングス単体では、コインを収納することはできませんから、ウィングス×タング。といった2超拳銃スタイルで持ち歩く人が多いのではないでしょうか。小銭入れを別に持つ、という方におすすめの逸品です。
バーン
グラウンダーよりも、さらに一回り大きくなった、オールインワン。
カードもコインも、よりたくさん持ち歩けるようになります。
三つ折りのユニークなフォルムはどこか可愛らしい装い。流麗なフォルムも人気のヒミツだと思います。
ありきたりなデザインの財布を持ちたくない。けれど大きすぎるのは嫌。そんなワガママを叶えてくれる逸品です。
ウェイブ
WILDSWANSの財布の中で、もっとも大きな長財布です。
フルグレインブライドルレザーの荒々しい迫力をもっとも堪能できる財布といえるでしょう。
大きめのフリーポケットや、12段のカードポケットなど、使いやすさを追求したつくりとなっています。
たくさんのカード、たくさんのお金を持ち歩きたいなら、本作がもっともピタリとはまるはずです。
あとがき
WILDSWANSが採用した、フルグレインブライドルレザー。
他の「ブライドルレザー」とは異なる魅力があることを、分かっていただけたでしょうか。
やはり一番の魅力はその表情でしょう。英国の気品と粗暴が相まった独特な風合いは、フルグレインだからこそ。他の革にはない、美しさと迫力を醸し出してくれます。
丈夫であることはもちろん、美しいエイジングも含めて、長く使うアイテムにふさわしい素材ではないでしょうか。
参考記事
フルグレインブライドルレザーと並んで、WILDSWANSが定番とする革、サドルプルアップを使った、定番の財布を紹介しています。
ここで挙げる財布のほとんどがフルグレインブライドルレザーでもラインナップされています。どれを買おうかな?と検討されている方は、ぜひチェックしてみてください。
WILDSWANSの定番財布のまとめ