WILDSWANS(ワイルドスワンズ)は、日本の革工房です。
メイドインジャパンにこだわり、カバンや財布などのレザーアイテムをリリースしています。
今回ご紹介するのは、WILDSWSANSの代表作、グラウンダー(GROUNDER)。
オーソドックスな二つ折り財布ですが、
小さな改良が加えられながら、10年以上販売が続くベストセラーです。
最初にグラウンダーの特徴をカンタンにお伝えすると、こんな感じです。
- オーソドックスな二つ折り
- 「使いやすい」工夫が満載
- 丈夫で10年以上使える。ケツポケでも型崩れしない
一年ほど経ちましたので、使い勝手を含めたホントのところをご紹介します。
WILDSWANSの財布選びの参考にしてください。
財布の仕様
ブランド | WILDSWANS |
---|---|
商品名 | GROUNDER(グラウンダー) |
収納力 | ★★★☆☆ |
お札入れの数 | 2 |
お札の枚数 | 20-28 |
コインの枚数 | 20 |
カードの枚数 | 8 | サイズ | W118×H95×D35mm | 重さ | - |
素材 | 牛革(サドルアップ) |
※厚みは新品時のものです。
なじんできた今、測ってみると24mmほどでした。
使い勝手
カタチはいたって普通。
いわゆる、二つ折り財布です。
実際の使い勝手を見ていきましょう。
カード
カードポケットは前面に3つ。
二つ折り財布では、いたってオーソドックスなデザインです。
ほとんどの人は、毎日使うカードが3枚に収まると思います。
私の場合は、
- メインのクレジットカード
- クオカード
- よく行くお店のカード
このように3枚に収まるなら、使い分け用のポケットはこれで十分です。
しっかりとテンションがかかっていて、最初はキツイかなと感じます。
ただ、次第にスムーズに出し入れできるようになりました。
ポケットの入り口は、緩やかなカーブを描くカットライン。
美しいだけでなく、親指でスッとカードを引き抜きやすい機能性を持ち合わせています。
太めの「念引き」が施されていて、見た目の印象をグッと引き締めていますね。
実はこの背面にもカードスペースがあります。
あまり使わないカード。
例えば、保険証、サブのクレジットカードなどを入れるには最適なスペースです。
マチはありませんが、クレジットカードなどの厚みのあるものも5枚ほど収納できます。
写真のとおりガバッと開くので、とても見やすく、取り出しやすいと感じます。
仕切りが無いため、カードより少し大きなアイテムも収納できます。
外から見えないスペースですから、人にあまり見せたくないもの。
例えば領収書や、クーポン、レシートなど入れる場所としても最適です。
さらにもう1つ、小銭入れの後ろにも、隠れるようにポケットがあります。
厚みのあるカード1枚がスッポリと収まるサイズ。
めったに使わないけれども持ち歩きたいカード、を入れるのに最適です。
私の場合、免許証を入れています。
奥までしっかりと差し込むと、カードは完全に隠れます。
ちょっと浮かせるように収納すると、こんな感じ。
少し顔を覗かせるように入れておくと、取り出しやすいです。
まとめます。
グラウンダーは8-9枚のカードを収納できます。
よく使うカードが3枚以内であれば、使い分けも十分でしょう。
一般的な二つ折り財布と比べても、収納量、使いやすさの点で優れています。
お札入れ
こちらも使いやすい工夫がされています。
お札入れは2層のタイプ。
ただ、完全に2つに仕切られているわけではありません。
仕切りの革が、財布の3/4ほどの長さ。
左端は繋がっていないんですね。
これは、型崩れの予防のためです。
一般的な二つ折り財布では、完全に仕切られた2層のお札入れになっています。
このタイプは、それぞれの層に入れる枚数をバランスさせないと、財布を折り曲げたときに歪みが生じます。
また、たくさんのお札を入れると、耐え切れずに仕切りがグニャリと曲がってしまいます。
これが型崩れの原因になるんですね。
一方、グラウンダーは仕切りが途中までですから、仕切りが柔軟にサポートしてくれます。片方に多めに入れたときも、たくさんのお札を入れた時も歪みが起きにくいわけです。
結果として、型崩れを防いでくれます。
お札を右端にそろえて入れると、こんな感じ。
仕切りの長さと大体同じになります。
また、2層目のお札を左側に寄せると、こんな感じ。
見やすさと、使い勝手がアップします。
お札入れは、けっこう幅があるため、お札よりも大きい商品券もスッキリと収納できます。
ちなみに、快適に扱うなら、お札は20枚くらいまでとお考えください。
ちゃんと財布も閉じられます。
二つ折り財布は、たくさんのお札は持ち歩けません。(これはグラウンダーに限りません)
お札の「真っ直ぐに戻ろうとする力」が働いて、財布が閉じられなくなるんですね。
二つ折り財布は「お札を折る」つくりですから、仕方がありません。
グラウンダーは20枚を超えると、パタンと閉じた状態にするのは難しくなります。MAX30枚入れることもできますが、勝手に開いてしまいます。
私はヒップポケットに入れることが多いので、多少財布が開いてもポケットに入れられます。
ただ、厚みはどうしても生まれますから、快適とは言えません。ストレスフリーに持ち歩きたいならあまり多くのお札を入れないことです。
グラウンダーの購入前にチェックして欲しいのは、普段どれだけのお札を持ち歩くのか? ということ。(というか、二つ折り財布の購入前ですね)
私の場合、財布にだいたい3万円ほどしか入っていません。普段は10〜15枚ほどしか持ち歩かないわけです。これくらいであれば、まったく問題ありません。グラウンダーは最適でしょう。
一方、つねに20枚以上のお札があるなら、長財布の方が快適に使えるはずです。
WILDSWANSは長財布も出していますから、ぜひ検討してみてください。
https://func-wallet.click/summary/wildswans-wallet-sumally/
グラウンダーに興味を持つ人の多くが、ケツポケしたいんじゃないかなと思います。
グラウンダーのコンセプトはまさにケツポケで、ちょうどジーンズのお尻ポケットに入るサイズに作られています。
財布に負担がかかる使い方ですが、「お札入れの仕切り」のような意匠が、財布の寿命を伸ばすことに活きてくるんですね。
小銭入れ
小銭入れは、伝統的なフラップタイプ。
ボタンで留めるだけのシンプルなつくりです。
裏側にボタンがあるため、アタリがいい感じに出てきました。
開くと、金色に輝くスナップボタンが現れます。
300回は開け閉めしているはずですが、剥げはなく、ピカピカです。
小銭入れは、財布の使いやすさのキモだと思うのですが、
グラウンダーの小銭入れは、とても使いやすいと感じます。
一般的な財布に比べて、少し大きな作り。
コイン20枚くらいは余裕で入ります。
増えがちな小銭も快適に持ち歩けます。
両サイドが折り込みマチになっているため、ガバッと大きく開くのが特徴。
見やすく、取り出しやすいのでストレスを感じません。
そういえば昔、ホワイトハウスコックスの二つ折りを使っていましたが、
小銭入れが小さすぎて使用に耐えないものでした。
オーソドックスなつくりですが、サイズが少し大きくなるだけで、使い勝手がグッと良くなるんですね。
グラウンダーは小銭もお札もたっぷりと収納できる、オールインワンの財布。
二つ折り財布のメリットである携帯性はバツグンで、ケツポケもできます。
手ぶらで出かけたい人にとっては、とても優秀な財布といえます。
(小銭入れを別に持ち歩くなんてしたくないですよね)
特徴
使い勝手以外にもグラウンダーにはたくさんの魅力があります。
見ていきましょう。
サドルアップレザーによる総革仕立て
内装にナイロンを使った財布が多い中、グラウンダーは総革仕立てとなっています。
使われている革は、WILDSWANSが得意とする、「サドルプルアップ」。
ここでは、サドルプルアップの特徴から、グラウンダーの良さを紹介してみます。
革を作る会社をタンナーといいます。
WILDSWANSに限らず、財布ブランドは、タンナーから革を入荷して財布を作っています。
サドルプルアップは、100年以上の歴史を持つベルギーのタンナー、マシュア社の代表作です。
![サドルアップ](https://func-wallet.click/wp-content/uploads/2016/09/01252003_56a600e69af14.jpg)
出典:WILDSWANS公式
日本のタンナーも牛革を作っています。しかし、「日本の革工房は、ヨーロッパの牛革を使うことが多い」。ヨーロッパには、伝統的なタンニンなめしで革を作るタンナーが多く、品質の良さや色合いなどにおいて、日本の牛革よりも優れたものが多いからです。
参考として、サドルプルアップを紹介する動画を撮ってみました。色ごとにご紹介していますので、気になるカラーにジャンプしてご参照ください。動画の最後では、色の比較をしています。
日本に流通するレザーアイテムの90%は、クロムなめし、かつ顔料仕上げ。
この製法は、ビビッドで均一な着色を得意とし、新品のような状態を長く保てるメリットがあるのですが、革の変化(エイジング)は楽しめません。
一方、サドルプルアップは、タンニンなめし、かつ染料仕上げで染色されています。
また、一般的な革よりも多めにオイルを含ませています。
ですから、グラウンダーは使うほどになじみ、色味は深く変化し、ツヤが生まれてきます。
エイジングを楽しむことができる、「育つ革」なんですね。
オイルを最初からたっぷりと含んでいるため、オイルやクリームでのケアは基本的に不要。
普通に使うだけで、手の油が財布に移っていきますから、キレイにエイジングしていきます。
(過度なケアは避けたほうが良いでしょう。せっかくの革がぐにゃりと柔らかくなってしまいます。)
ただ、水には弱く、色移りします。
例えば、白いパンツでのケツポケは避けたほうが良いでしょう。
WILDSWANS創立から10年以上、サドルアップはずっと使われています。
今でも、主力アイテムの素材としてセレクトされるのには、こういった理由があるんですね。
とても丈夫。ケツポケで何年も使える
WILDSWANSの特徴の1つが、長く使えるということ。
10年以上使ったエイジングの写真が、よく掲載されていますね。
長寿の秘密は、大きく3つあります。
順に見ていきましょう。
丈夫な革
グラウンダーはサドルプルアップで作られています。
「サドル」プルアップ、という名前だけあって、もともとは馬具用に作られた革。
人と馬をつなぐ、まさに命づな。しなやかさと、絶対に壊れない丈夫さを求められたわけです。
サドルプルアップは固くてシッカリとした牛のショルダー(肩)を使って作られています。コシが強く、耐久性に優れた素材なんですね。
財布を見ると分かりますが、革は1mm程と、ソコソコ厚みがあります。
「小さい財布」、「薄い財布」とコンパクトをウリにする財布がトレンドな中、グラウンダーは、それと対抗するつくり。この厚みがあるからこそ、とても丈夫なんですね。
ケツポケで使い続けた今日でも、しっかりと自立するほどの堅牢性が見てとれます。
コバの仕上げ
WILDSWANSが得意とする仕上げが、コバの磨き。
コバとは革のフチのことです。
財布でいえば、外周や各パーツの端っこです。
このコバは、普段のあつかいで触れることが多い部分。
お金の出し入れ、手や服とのスレ、落としたりといったようにダメージを受けやすい場所です。
コバを丈夫にすることは、財布の寿命を伸ばすことになるんですね。
仕上げ方には、2種類あるのですが、グラウンダーは「コバ磨き」が施されています。
最も手間がかかるため、安物の革製品では使われない手法です。
フチを削り、磨き、コバ塗料を塗り。
これらを何度も繰り返すことで、光沢が生まれ、手触りの良いコバに仕上がります。
少し、コバの仕上げを見てみましょう。
こちらは財布の端っこ、実は数枚の革を縫い合わされています。
丁寧に磨かれたコバは、まるで一枚革のよう。
小銭入れのコバもご覧のとおり。
おおよそ、手で触れるすべてのコバが磨き上げられています。
お札入れの入り口は、手やお札が触れることが多い場所。
コバ磨きによって、引っ掛かり無くお札を出し入れできます。
もちろん、手触りも最高で、使っていて気持ち良いんですね。
コバ磨きによるコバは、修復が可能です。
長く使っていると、コバが薄れてきますが、再び磨きあげることで、復活します。
WILDSWANSの財布には「スリッカー」と呼ばれる、コバ修復用のアクセサリが付属しているのは、こういった理由からです。
美しく、しっかりとしたステッチ
財布は10以上の裁断された別々の革を、縫い合わせて作られます。
各パーツがバラバラにならないよう、負荷のかかりやすいつなぎ目の部分は、「返し縫い」されています。
学生時代、ミシンを使って、エプロンなどを作りませんでしたか?
ミシンを進ませて、一度止め、逆方向に走らせるアレのことです。
また、ステッチが一旦、切れているように見える部分もあります。
これは、縫い合わせミスではなく、「ワザと」とのこと。
リペアのしやすさを考え、適切な部分でミシンを止めているんですね。
一方、カードポケットの「薄い革」同士は、革のダメージや劣化を考えて「直線縫い」されています。
言うまでもなく、これらはすべて職人の「手作業」。
長年の経験や、技術に裏打ちされた勘によってのみ、なせる技です。
いずれも、「長く使ってもらう」、「長持ちする」ための工夫です。
普段気にすることは無いと思いますが、こういった仕上げによって、何年も使える財布ができあがるんですね。
ネット上に、使用して10年以上の写真やブログが掲載されていることは、丈夫さの裏付けとして十分でしょう。
また、WILDSWANSは、公式にメンテナンスを受け付けてくれています。
糸のほつれなどを、リペアをしてくれるサービスがあるんですね。
なんとエイジングの相談、ツヤ出しのケアもしてくれます。
グラウンダーのエイジング
新品時はこちら。
マットな質感ですね。
(撮り損ねたので、WILDSWANS公式から引用)
1年ほど使ったのがこちら。
ほとんど、お尻のポケットに入れて出かけていました。
落としたりもしましたし、普段の利用で細かいキズもついています。
でも、次第にツヤが生まれていい感じで育っているかなと思います。
私のグラウンダーは、まだまだ若輩者。
サドルアップを使ったエイジングをいくつかご紹介します。
使用半年。バーガンディーは落ち着いた色になるようです。
5年使われた、サドルプルアップのウィングスがこちら。
7年使ったサドルプルアップの財布、サーフスのチョコがこちら。
10年使った、サドルプルアップのタングがこちら。
15年使うと、サドルプルアップのグラウンダーはこんなふうに変わるようです。
もう、ツヤッツヤですね。
ワイルドスワンズの2つ折り財布・GROUNDER(グラウンダー)。サドルプルアップのブラックを約15年使用したものです。 #wildswans #wildswansエイジング #leather
C.O.U.さん(@c.o.u.official)が投稿した写真 -
グラウンダー以外も紹介しましたが、いずれもサドルプルアップを使ったものです。
時間を重ねることでツヤッツヤになるのが見て取れますね。
サドルプルアップが長年使われているのは、美しい変化を楽しめる革だからです。
豊富なラインナップ
サドルプルアップモデル
サドルプルアップを利用したカラーは5色。
どれもステキな色です。
ケツポケするのであれば、白(ナチュラル)は避けたほうが良いと思います。エイジングが難しく、キレイな色に育て上げるのはなかなか難易度が高いからです。汚れも目立ちますから、それもアジだと思える人だけが楽しめる、玄人向けカラーです。
フルグレインブライドルレザーモデル
![出典:ワイルドスワンズ公式](https://func-wallet.click/wp-content/uploads/2016/09/20160417_641556.jpg)
出典:ワイルドスワンズ公式
イギリスのタンナー、ベイカー社のブライドルレザーを使ったモデルがこちら。
ブライドルレザーは100以上の種類があると言われていますが、フルグレインの特徴をあげるとこんな感じです。
- はっきりした濃淡のある表情
- 一年以上の時間をかけて作られる希少性
サドルプルアップが単色のトーンなのにくらべ、フルグレインは色ムラを活かした表情となっていて、より無骨で力強さを醸し出す革となっています。
時間をかけてなめされた革は、繊維密度がとても高く、耐久性はバツグン。長く愛用できる革です。こちらのタイプも購入し、サドルプルアップとの違いをまとめました。
あとがき
グラウンダーは、パット見、オーソドックスな二つ折り財布です。
でもよく見ると、使いやすくて、長く使うための工夫がたくさん詰まった逸品です。
ケツポケで、5年以上使えるオーソドックスで使いやすい二つ折り財布。
この条件に合う財布は、グラウンダー以外に、なかなかありません。
参考リンク
サドルプルアップを使ったWILDSWANSの財布は他にもあります。
こちらで、定番の財布をまとめていますので、WILDSWANS選びの参考にしてみてください。
https://func-wallet.click/summary/wildswans-wallet-sumally/
以上、グラウンダーの使用レビューをご紹介しました。