革工房IKUMAはフランスやイタリアの革を使った、ユニークで美しい革製品をラインナップしています。
IKUMAの小さい財布『Dobrar Wallet』をご紹介します。
特徴は以下のとおり。
- お札、コイン、カードをコンパクトに収納できる
- お札とコインが使いやすい
- フランスのヤギ革を贅沢に使用
- 丁寧で美しい仕上げ
本ページではDobrar Walletの使い勝手、特徴、メリット・デメリットについて分かりやすく解説します。
スペック
ブランド | IKUMA |
---|---|
商品名 | Dobrar Wallet |
収納力 | ★★★☆☆ |
お札入れの数 | 1 |
お札の枚数 | 10 |
コインの枚数 | 15〜20 |
カードの枚数 | 2〜4 | サイズ | W100×W730×D30mm | 重さ | 45g |
素材 | シュリー(アルラン社 山羊革) |
動画
ユニークな構造、使い勝手、革の表情や仕上げなどが分かるように、動画にしてみました。
カタチ、構造
手のひらに収まるサイズ感。いわゆる「小さい財布」にカテゴライズされる一品。
カードを一回り大きくしたくらいです。
一枚革でぐるりと巻いた構造。
「革で巻く」デザインの財布は、エムピウのミッレフォッリエなどがありますね。
ただ、Dobrar Walletは小さくて、カタチもユニークです。革のカッティングは直線的なのだけど、柔らかな革のハリ感によって、立体的でコロンとしたフォルムに仕上がっている。可愛げのある財布です。厚みはあるけど、使い込むことでスリムになっていくはず。
素材はフランスのゴート(詳細は後述)。サラリとした質感で、触れていて気持ち良い。
背面にはカードポケットが備わっています。
ボタンは革で包み込まれています。金属が見えないため、革の美しさに集中できるデザインです。
パチリと外すことができる。
開くとこんな感じ。
中には、お札の収納スペース。
コインを収納するスペースが備わっています。
使い勝手
お札、コイン、カードの使い勝手を解説しましょう。
お札
お札を収納するスペースは、「かぶせ」になっていて、片側だけ浮く構造。
ここに、お札を差し込むようにして収納します。
オーソドックスな二つ折財布とは異なり、お札が1/3ほど見える状態になる。
見やすいし、パラリとめくることができる。とても使いやすいです。
10枚くらいが使いやすいかな。もう少し入るけど、コインの枚数によってはボタンを留めるのがきつく感じます。
コイン
財布を開くと、ユニークなポケットが見える。これがコインの収納スペース。
コインポケットにはさまざまなカタチがあるのですが、コインが広く散る、「ボックスタイプ」がもっとも使いやすいです。ミッレフォッリエやYUHAKUの二つ折財布など、ごく一部の財布でしか採用されていない構造。これらはボタンで留める設計ですね。
一方、Dobrar Walletのコインポケットは、ボックスタイプなのだけど、構造が異なります。ボタンはなくて、財布を開くことで、コインポケットがオープンするのです。
「開け閉め時のパーツ駆動」が美しい。
なんだか懐かしい。子供のころ、折り紙で作った財布をお祖母さんにプレゼントしたのだけど、本作のような構造も作ってました。0.1mmほどの厚みしかない紙ならカンタンだけど、1mmほどの革で実現しているのが、Dobrar Walletのスゴイところ。複雑な折り構造になるほど、緻密さが求められます。
他ブランドからも似た構造のコインケースがラインナップされているのだけど、「お札もカードも収納できる財布」で採用されているのは珍しいですね。
面が広いから、コインが散る。見やすくて、取り出しやすいです。
口が大きく開くから、ジャラジャラとコインを流し入れることができる。とても使いやすい。
ちなみに、収納力もスゴイ。20枚くらい入っちゃう。ただ、コインを入れるほど重くなってしまうし、ボテッと膨らんでしまう。快適に持ち歩きたいなら、コインが少ないほうが良いです。
カード
背面ポケット
ボディの背面にポケットがあります。
奥まで差し込むとこんな感じ。
スリット構造でマチのないポケットです。2枚がMaxかな。しかし2枚入れると選別が面倒になるからおすすめしません。
少しカードが顔を出すため、指を添えて抜き出すことができる。
「背面ポケット」は大好きなデザインです。クレジットカードで買い物をすることが多いため、財布を開かなくてもお会計ができて便利なんですよね。
ただ、取り出しにくい・・・。コロンとした丸みのあるフォルムと革のハリが相まって、カードポケットにもテンションがかかっています。カードが革にギュッとはさまって、キツく収納されるため、指をスライドさせてサッと取り出すことができません。
指でカードをつまむか、財布をギュと握って抜き出しやすく形状を変えるなどの1アクションが必要です。
これは使い込んでいくと改善するかも。サラリとした滑りのよい革だから、財布が潰れてスリムになると出し入れしやすくなると思います。
お札と一緒に収納する
背面のカードポケットだけだと2枚しか収納できません。
正直、かなり少ない。せっかく「コインもお札も使いやすい」のだから、なんとかしてカードの収納を増やしたいですね。
ということで、ちょっと工夫して収納を増やしましょう。
お札のスペースに、お札と一緒に収納するのです。3枚は収納できる。
背面ポケットと合わせて、合計5枚。「小さい財布の平均枚数」です。
革でクルリと巻いてボタンで留めることで、テンションがかかります。逆さにして振っても、カードが抜け落ちることはありません。
ただ、お札を使うときにカードに干渉するので、気持ち良くは使えないかな。やっぱり「カード専用」のポケットがあった方が安心だし、使い勝手はいいですね。
使い勝手のまとめ
コイン15枚、お札10枚、カード2枚が使いやすい。
お札入れにカードを入れるなら、カード5枚くらいかな。
お札のスペースが開く位置が左側なので、こうやって持つと使いやすい(私は右利き)。
あれこれと持ち方を変えず、お札とコインを出し入れできる。支払うときのアクションが最少になって使いやすいです。
ただ、カードは背面ポケットだけなので、「カードと現金を一緒に使う」シチュエーションでは、先にカードを取り出しておいた方が使い勝手が良いですね。
特徴
アルラン社のヤギ革を贅沢に使用
IKUMAの製品を気に入っている理由のひとつが、フランスのヤギ革が使われていること。
アルラン社のシュリー(シェーブル)です。色はmarine。
繊細なシボが入った表情はとにかく美しい。
サラリとした質感でハリもある。オイルレザーのような、手に馴染む感は控えめです。
微細な凹凸があるため、光を受ける角度によってコロコロと表情を変えてくれる。
暗い空間でも明るい空間でも美しい。
内装のカラーは、denim。
シュリーは20色以上あったはず。インポートレザーの中でもとりわけ多くの色がある。採用する色は、デザイナーの腕の見せどころですね。
財布を開くとパッと明るくなる色使いです。夏っぽくて素敵です。
高価なシュリーを外装だけでなく、内装にも使った、贅沢なお財布です。
丈夫で水にも強いから、ガシガシ使える
繊細な表情とは裏腹に、水やキズに強いのもシュリーの特徴。
本作以外にもシュリーの革製品をいくつか愛用しています。そのひとつが、腕時計のベルトの内側。汗がつくのに退色しないし、色写りもしない。しかもサラリとしている。
タンニン革のように、濡らしたら染みになるかも・・。など考えずに、ガシガシ使える素材です。
美しい仕上げ
コバ
微細に丸みを帯びている。塗料がべたっと塗られているわけじゃないので、磨いて仕上げているんだと思う。
厚み2mm弱の柔らかい革のコバを、丸みが出るように仕上げるのは難しいはずです。丁寧に作られていますね。手に触れるパーツだから、手当たりが良いコバは嬉しい。
ステッチ
革を留めるために必須なステッチは、製品の印象を左右するデザインのひとつです。
深いネイビーに採用された糸は、明るいブルー。あえて外装の革とコントラストが出る色使いも狙っているのでしょう。センスがいい。
美しいステッチワークです。ミシンか手縫いか、ほとんど見分けがつかないほど。負荷を受けやすいポケットの端は2重に縫われていて、耐久性が作り込まれていますね。
捻
財布のフチに引かれた、ラインを捻(ねん)と言います。シボがあるので見にくいのですが、きれいに引かれています。
見えない部分も丁寧に
背面のカードポケットはスリット構造でマチがない。つまり、ポケットの内側は見えない(極めて見にくい)のだけど、内側にもゴートが使われています。贅沢ですね。
あとがき
シュリーを使った、小さくて美しい財布をお探しなら、Dobrar Walletは検討の価値ある一品です。