財布の役割は「お金やカードを運び、お会計すること」。これに尽きます。
しかし、さまざまなカタチの財布があります(二つ折りか?長財布か?の二択ではなく、もっとたくさんある)。たくさんありすぎて、どれをセレクトすると正解なのか?迷ってしまう人もいるはず。
本ページでは100以上の財布を利用してきた経験から、財布の形ごとに、特徴、メリット・デメリットを分かりやすく解説します。
大切なことは、2つだけです。
- カタチによって、特徴が違う。
- 使う人のスタイルによって、最適な財布は違う
最後まで、お読みいただけると、あなたにとっての、ベストな財布のカタチが分かります。
なお、本ページにおける「財布」とは、お札、小銭、カードをまとめて収納できるものです。(マネークリップや小銭入れは含めていません)
目次
財布の形によって、何が変わるのか?
さまざまな形の財布があります。ざっと分類すると、以下のとおりです。
それぞれを、特徴で分けるとこんな感じ。
ムズカシイ絵を見せてスミマセン……。解説は後半で。
ここでお伝えしたいことは1つだけ。
財布には「一長一短」あるということ。
たとえば、手ぶらで、身軽に出かけたいなら、「極小財布」が最適ですが、たくさんのお金やカードを持ち歩くことはできません。
たくさんのお金やカードを収納したいなら、「ラウンドファスナー」がNo1です。しかし、大きいため、身軽にはなれません。
つまり、財布のメリット・デメリットはトレードオフです。すべての人に最適で、完璧な財布は無いのです。
それでは、財布の形ごとに特徴を紹介していきます。
前ポケットに入る。極小財布
小さい財布abrAsusをはじめとする、世界最小クラスの「小さな財布」です。
コンパクトをとことん追求した財布は、ジーンズの前ポケットでも快適です。
これ以上小さい財布となると、お金をラップで包むしかない。しかし、耐久性がないし、見た目も美しくありません。
つまり、このサイズが紛れも無く、世界一小さくて、「使える財布」なのです。
特徴は、小さいだけではありません。
- なるべくたくさんのアイテムを収納できること
- 使いやすいこと
小型化しつつも、使いやすさも追求した一品。まさに機能美です。日本でしか手に入らない逸品です。
メリット
手のひらに収まるコンパクトな財布は、バツグンの携帯性が一番の魅力。ポケットの中だけでなく、カバンの中にいれても邪魔になりません。もっとも快適に持ち歩ける財布です。
クレジットカードやSuica、apple Payなど、「現金を使わないお会計」が増えてきましたね。たくさんのお金を持ち歩くシーンは、ほとんど無いはずです。駅の改札だって通れます。ミニマムな生活には、小さい財布ひとつで、十分なのです。
モノを持たない快適さを実感できる、もっともモダンな財布と言えます。
デメリット
たくさん収納できません。お札10枚、コイン15枚、カード5枚が平均的です。
また、あまりにも小さいため、使いにくいこともあります。たとえば、小銭入れの口が小さい。急いで小銭を出し入れするのは、むずかしい。
長財布のように入り口が大きくないため、てきとうに放り込むことはできません。「お金の使いやすさ」では、大きな財布の方が使いやすいと感じるはずです。
参考:極小の財布はこちらでまとめて紹介しています。
コンパクト財布
「極小の財布」と比べ、5mm〜10mmほど大きくなりますが、それでも十分にコンパクトな財布。少しだけサイズアップしてしまいますが、携帯性と使いやすさのバランスの取れた仕上がりです。
このサイズの財布の多くは、お札を3つ折りにするカタチ。だから、二つ折り財布よりも小さなサイズ。ホックで留める作りのものがほとんどです。
メリット
「極小の財布」と比べて、使い勝手がよくなる傾向にあります。「極小」にこだわらないことで、自由にデザインができるからでしょう。ユニークなものが多い印象。
また、面積が大きくなる分、上質な革を使った財布なら、高級感が増します。素材の良さが映えるのは、このサイズからです。
デメリット
極小財布と同じく、たくさんの収納には向いていません。
また、メジャーとはいえない形は、パット見では財布には見えないかもしれません。(人と違うものを持ちたい人にとっては、メリットですが、お固い職業では、使いにくいかもしれません)
選ぶ時のポイント
この財布に興味がある方は、ポケットに入るサイズ感を重視しているはず。
長く使える、丈夫なものを選びましょう。
ポイントは2つ。
- コバの処理がされていること(ポケットに入れて、コバがスレても長持ち)
- ハリのある革でできていること(財布が型崩れしない)
小さくて機能性の高い財布は、こちらをご覧ください。使い勝手も考えられた名品だけをピックアップしています。
https://func-wallet.click/summary/small-functional-wallet/
二つ折り財布
二つ折り財布は、昔から親しまれてきた伝統的な財布の形です。
ほぼ全てのブランドが、二つ折り財布をラインナップしていますから、もっともバリエーションが豊富な財布のカタチと言えます。
メリット
ポケットに収納できるコンパクトなボディは、携帯性に優れます。
大きすぎず、小さすぎず。片手でしっかりとつかめるサイズ感で、取り回しやすさではNo1です。
お金やカードの取り出しやすさもバツグンです。財布を留めるもの(ファスナーやボタン)が無いため、「財布を開く」1アクションでアイテムが使えます。
また、長財布より安いのも、嬉しいポイントですね。
デメリット
悪くいうと、ありきたり。平均的で特徴のない財布です。(今日では、もっと持ち歩きに便利な、「小さい財布」がありますし、長財布の方がたくさん詰め込めるわけです。)
また、アイテムの収納量、使い勝手は、長財布に負けます。長財布の半分のサイズですから、収納量も半減です。たくさんのアイテムを持ち歩きたいなら、二つ折り財布をチョイスするべきではありません。
逆に、カード7枚、3万円ほどしか持ち歩かないなら、気にする必要はないでしょう。たくさんのお金を持ち歩かない人ほど、二つ折り財布の携帯性がマッチするのです。
もうひとつのデメリットは、たくさんのお札を収納すると、折りたたまれたお札が、元の真っ直ぐなカタチに戻ろうとするため、厚みが生まれてしまいます。たくさん入れ過ぎると、財布を折りたたむことができなくなります。
20枚のお札を収納できる二つ折り財布は存在しません。(無理やりなら閉じることができるでしょうが、キレイな形ではないでしょう)
また、(メリットの裏返しになりますが、)ヒップポケットに入れて使うと、必ず型崩れします。特に財布の端は薄いため、徐々に丸みを帯び、くたびれたようになってしまいます。
長く愛用したいなら、なるべくポケットに入れず、カバンに入れることをオススメします。
長財布(共通)
長財布には、さまざまなカタチがあります。
- かぶせ蓋
- L字ファスナー
- ラウンドファスナー
まずは、共通する特徴を押さえてみましょう。
たくさんのお札を収納できる
お札をそのまま収納できるため、折り目がつきません。また、二つ折り財布よりも、たくさんのお札を収納できます。
一般的に20枚は余裕。中には、100枚入るものさえあります。
お札を折らずに収納できる
お札を折りたくないなら、長財布以外の選択肢はありません。
たとえば、以下は長財布だからできることです。
- お札の向きを、そろえたい
- お札をキレイなままで持ち運びたい
- お札に折り目、シワを付けたくない
これは趣味嗜好によるものですから、好みでセレクトしてください。
コインポケットが広い
大きなコインポケットも魅力。二つ折りに比べて、収納スペースが広い。つまり、コインがたくさん入り、探しやすく、取り出しやすい。
「コインを取り出すのが面倒だから、千円札を出す」といったことが減るので、小銭入れが膨らみにくいのも嬉しいポイントでしょう。
なお、「コインポケットの構造」は財布によって違います。「使いやすさのキモ」となるポイントですから、財布を選ぶときにチェックしてください。
代表的なものを挙げます。それぞれの特徴をみてみましょう。
片マチタイプ
おすすめのコインポケットです。
コインポケットの片端に折り込みがあり、その部分が開くタイプです。薄さと美しさのバランスがとれたマチです。最もメジャーなタイプで、多くの財布で採用されるデザインです。
写真はYUHAKUのベラトゥーラの束入れ。美しさと使い勝手のバランス感が、素晴らしい。
マチの開き幅は、財布によって異なります。「薄さ」を重視しすぎた財布は、コインが使いにくいです。
両マチタイプ
両端にマチがあるフルオープンタイプです。ガバッと開くため、視認性・取り出しやすさともにダントツ。使いやすさを求める方にオススメのタイプです。
ただし、両マチタイプのコインポケットは、あまり目にしません。写真はsafujiのミニ長財布ガイド納富モデルです。
マチ無しタイプ
折り込みが一切ないタイプです。使いやすさを優先するなら、選ばないでください。
薄さ・美しさを追求した財布で、見受けられるタイプ。使い勝手は、ここまでご紹介したコインポケットに比べると格段に落ちます。
コインは財布に入れない。もしくは少しだけ、と割り切れる方には問題ないでしょう。
「束入れ(小銭入れの付いていない長財布)」を検討するのもアリでしょう。コインケースを別に持つというスタイルですね。
カードが見やすい
財布の半面(または両面)に、ズラリとカードポケットが並ぶつくり。これも、長財布だけの醍醐味です。
見やすく、取り出しやすくいため、とにかく使いやすい。カードが多く、使い分けたい人は使いやすいです。
所有欲が満たされる
財布の面積が広いため、素材が映えます。
革が上質なほどよく見えますね。同じ素材であれば、二つ折りよりも所有する喜びは大きいでしょう。
また、革の触り心地も、より広い範囲で楽しめます。革を楽しむ満足感は、どんなに頑張っても長財布がNo1です。小さい財布では味わえません。
財布に求めることは人によって違うと思うのですが、
- 高級感
- 人に見せたい
- 目立たせたい
- 素材の良さを楽しみたい
これらを優先するなら、長財布がNo1です。
寿命について
二つ折りよりも、長財布の方が長持ちする。という情報を見聞きしたことがあるかもしれません。
これは間違いです。
正確には、「大切にすると寿命は同じ」です。
一般的に二つ折り財布は、ヒップポケットに入れられる事が多い。対して、長財布はカバンに入れることが多い。つまり、長財布のほうが財布に負担のかからない環境で利用されることになります。結果として、長財布の方が長持ちするという話が出てくるのです。
結局のところ、二つ折り財布もポケットに入れなければ長財布と同じように長持ちします。
デメリット
二つ折りと比べると、大きくて、かさばる。こと。携帯しにくいということです。
ヒップポケットに入れるのは、難しい財布ばかりです。無理に入れることはできますが、バイカーズウォレットでもないかぎり、見た目がよろしくありません。また、盗難や落下といったことも心配ですよね。
カバンに入れての持ち運びが最適です。携帯性において、他タイプの財布に負けています。手ぶらで出かけたい人には長財布はオススメできません。
以上が、長財布に共通する特徴です。
長財布はいくつかの形に分かれますので、それぞれ見ていきましょう。
- かぶせ蓋
- L字ファスナー
- ラウンドファスナー
長財布(かぶせ蓋タイプ)
パタンと閉じるだけのシンプルな構造のものです。伝統的な財布の形ですね。
他の2種類と比べると、緻密な構造で美しいデザインなのもかぶせ蓋の特徴。長方形のカッチリとしたプロポーションからは、「実直」、「正直」、「端正」といった印象を受けます。スーツに合わせるなら、そしてジャケットの内ポケットに仕舞うなら、このカタチがNo1です。
良い革を使ったものほど、素材の良さが映える財布と言っていいでしょう(ラウンドファスナーは、ファスナーに目が行きますが、かぶせ蓋は「革だけ」が、目に入るからです)。
かぶせ蓋タイプは、薄く、シンプルな財布が欲しい人にオススメのタイプです。
メリット
二つ折りと比べると薄いものが多く、スーツの内ポケットに入れて持ち歩けます。
お金やカードが多い人なら、かぶせ蓋タイプがもっとも使いやすいはずです。
ボタンなどのパーツが無いため、財布を開くのが最もカンタンです。1アクションで財布を開け、すぐにお札やカードを使える。余裕を演出できる財布とも言えます。
デメリット
名前のとおり、長いことがデメリット。ヒップポケットに収めるのには向いていません。
ジャケットの内ポケット、またはカバンと一緒に持ち歩ことになります。手ぶら派には向いていない形といえます。
また、カバンの中で逆さまになったときや、地面に落としたときに財布が開いてしまいます。
参考:日本の熟練職人が手掛ける、かぶせ蓋タイプの長財布をまとめています。
https://func-wallet.click/summary/japan-long-wallet/
長財布 L字ファスナータイプ
L字ファスナーは、新しいカタチの財布です。
名前のとおりL字に配置されたファスナーによって、開け閉めする作りになっています(財布の片端にファスナーがありません)。
そして、ラウンドファスナー長財布より薄いものが多い。
ファスナーで閉じる安心感と、薄さを求める方にオススメです。
メリット
ファスナーで閉じるため、中身が飛び散らない安心感があります。
また、ラウンドファスナーと比べて、ファスナーコーナーが1つ少ないため、開け閉めが楽というのも嬉しいポイント。(ラウンドファスナーは2つのコーナーがあります。財布や手の方向を変えて開閉する。)
ファスナーでしっかりと閉じる作りのため、中のつくりがブランドによって異なるのも面白いところ。スリムなものから、収納を重視したもの(少し厚みがある)まで、幅広くラインナップされています。
スリムタイプ
片端を縫い合わせてマチを無くし、内装をシンプルにすることで薄さを優先したタイプ(方マチタイプといったりします)。ラウンドファスナータイプの厚みを改善したタイプですね。
スリムさを重視したモデルでも、二つ折り以上の収納力があり、他の長財布よりもスリムです。
ラウンドファスナーに比べて、薄くて、小さくて、軽いといったメリットがあります。ただし、容量は、ラウンドファスナーに劣ります。
収納重視タイプ
仕切りがある、またはマチがあるタイプ。マチを広く取って、ラウンドファスナータイプ同等の収納量を持たせたタイプといえます。
たくさんのお金やカードを持ち歩きたい場合はこちらをオススメします。
デメリット
あえて言うなら、形が気に入らない人がいるかもしれません。片端にはファスナーが無いため、非対称の形です。それが気に入らないという人もいるでしょう。
まだ新しいタイプのため、L字ファスナータイプを販売していないブランドもあります。選ぶ自由度が低いのもデメリットでしょうか。
参考:日本製の上質なL字ファスナー財布のみをまとめています。
長財布(ラウンドファスナー)
コの字型に配置されたファスナーが特徴の財布です。以前は「女性が使う財布」のイメージがありましたが、2010年以降は男性にも人気になっていますね。
たくさんのお金やカードを収納したい。そんな人に向いているのがラウンドファスナータイプです。
メリット
あらゆる財布の形の中で、もっとも収納力があります。
カードが多くなりがちな女性に支持されてきたのはこの収納力があったからでしょう。たくさんのコインや紙幣を詰め込んでもファスナーで閉じこめるため、多少の無理が効きます。
しっかりとファスナーで留められているため、財布がひっくり返っても中身が飛び出すことが無いため安心感もダントツです。
あらゆる財布の中で、もっとも大きく、重厚感もトップクラス。上質な革で仕立てられた財布なら高級感もダントツです。最も所有欲を満たしてくれる形ともいえるでしょう。
デメリット
ファスナーのデメリットは、スペースを取ること。
ファスナーでぐるりと覆うデザインのため、それが厚みになってしまいます。
もともと、たくさん持ち歩けるようにデザインされた財布ですから、大きく、分厚いデザインのものが多く、手ぶらでの携帯は難しいです。
厚みが25mmを超えるラウンドファスナーは、スーツの内ポケットへの収まりが悪い。ですから、スーツの内ポケットに入れたい男性にはオススメしにくいカタチです。入れられないことはありませんが、重たいですし胸がはった状態になります。せっかくのスーツスタイルが台無しです。どうしてもスーツのポケットに入れたいなら、22mm以下のスリムタイプをセレクトしましょう。
また、財布を使うときには、ファスナーをたくさん動かす必要があります。
繰り返しになりますが、ファスナーでお金を守る安心感はトップクラスです。安心感と使いやすさはトレードオフです。
参考:日本人がデザインしたラウンドファスナー財布をまとめました。
https://func-wallet.click/summary/roundfastener-wallet-sumally/
その他のタイプ
エムピウのミッレフォッリエのように一般的な財布とは異なるタイプの財布です。
これらの財布は、二つ折りや長財布のデメリットを解決するために生まれました。
形や使い方が独特なため、最初は戸惑うかもしれません。ただ、使いはじめると自然と慣れます。
こちらでまとめています。気になる方はざっと眺めてみてください。どれも革新的な財布ばかりですから、財布好きなら楽しんでいただけると思います。
https://func-wallet.click/summary/useful-wallet/
あとがき
たくさんの種類があるのは、日本のお会計が複雑だからです。
電子マネー、ポイントカード、クーポン、お札、コインを使い分けているはず。これほど多くのアイテムを使うから、財布も多様に進化したのかもしれません(海外の財布をチェックしていますが、財布のバリエーションの豊富さでは、日本がダントツです)。
では、結局どのタイプが良いのでしょうか?
答えは、「使い手のライフスタイルや、使うシーンによって変わる」ということです。
それぞれカタチの特徴を知って、みなさんのスタイルに合う財布をセレクトしましょう。そうすることで、長く愛用できるはずです。
これから財布を買う人は、楽しみながら選んでください。財布選びの参考になれば幸いです。