YUHAKUは「美しい色」に定評のある、日本の革工房です。
本日ご紹介するのは、「色の濃淡」をもっとも強く表現したベラトゥーラシリーズの一品。
『ベラトゥーラ札入れ』です。
その使い勝手や特徴に、鋭く迫ります。
最初に、特徴をピックアップします。
- 二つ折り財布
- コインが使いやすい
- たくさんのお札が入る
- 濃淡のある美しいグラデーション
ただ美しいだけではなく、使いやすさもデザインされた機能的な二つ折り財布です。
参考にしてみてください。
スペック
ブランド | YUHAKU |
---|---|
商品名 | ベラトゥーラ 札入れ(YVE130) |
収納力 | ★★★★☆ |
お札入れの数 | 2 |
お札の枚数 | 24〜30 |
コインの枚数 | 15 |
カードの枚数 | 6〜9 | サイズ | W112 × H95 × D30 (mm) | 重さ | 92g |
素材 | イタリア産ベビーカーフ × 国産牛革 |
使い勝手
ベラトゥーラ札入れは、「二つ折り財布」にカテゴライズされる一品。コンパクトなサイズ感で、携帯性と使いやすさのバランスがとれたタイプです。
サイズは、一般的な二つ折り財布と同じほど。男性の片手に、収まるサイズ感です。
素材はイタリア産の最高級ベビーカーフ。生後6ヶ月以内の子牛の革で、きめ細かなでスムースな表情が魅力です。触れると、すっと馴染む感触。気持ち良いです。
ベビーカーフの一枚革で仕立てられていて、つなぎ目がありません。どこに触れても、どこから見ても、触り心地の良さと美しいルックスを楽しめるようにデザインされています。
かぶせ葢タイプですから、財布を留めるものはありません。1アクションで開くことができます。
中はこんな感じ。マットで、落ち着いた色合いです。
それでは、各アイテムの使い勝手に迫ってみましょう。
パット見、一般的な二つ折り財布と同じつくりに見えますが、実は「使いやすさ」にこだわって作られています。お金などの使い勝手について、見ていきましょう。
お札
お札の収納スペースは2層あります。
たくさん収納しても美しい
収納できるのは、合わせて24枚ほどがベスト。
まず、この収納力が、モノスゴイです。
一般的な、二つ折り財布は、20枚も入りません。お札が「真っ直ぐな状態」に戻ろうとするため、財布が閉まらなくなるのです。
では、なぜベラトゥーラ札入れは、20枚以上のお札を入れることができるのか?
それは、財布がスムーズに閉じるように、内側にテンションがかかるデザインになっているからです。
こちらは、札入れをサポートするパーツ。
それぞれの革の層で、「カーブの度合い」が違うのがわかります。内側ほどより強くテンションがかかるようになっているため、たくさんのお札を入れても、閉まりやすいんですね。
20枚入れてみても、財布が自然と閉まるように、デザインされているわけです。
ちなみに、公式サイトでは30枚まで収納可能とアピールしていますが、私はどうかな?と思いました。
というのも、コインやカードを収納すると、財布がパンパンに膨らんでしまうから。ベラトゥーラ札入れの魅力は、美しさだと思うのですが、個人的にはスリムなフォルムにしておいたほうが、より美しさを感じられました。
お札の出し入れがしやすい
ふだんは目に見えない内側にも、ちゃんと牛側が使われています。もちろん、美しい染色。
内装に、「革の表面」が使われていることは、財布の上質さを決めるキモです。
美しいルックスだけでなく、お札の滑りがよくなるため、出し入れがスムーズ。使っていて気持ちいいんですね。
横のスペースに十分な余裕があるため、お札が引っかかることはありません。
カード
3種類のカードポケットがあります。
各ポケットに1枚ずつでも、6枚のカードを。
革が馴染んでくれば、9枚は入るはず。
十分な収納力です。
カードの使い分けができる、メインポケット
一般的な二つ折り財布と同じく、左に3つのポケットがあります。
流石はYUHAKUと思うのは、このカーブライン。
カーブに沿って、カードが顔を出すようになります。
どの角度から指を添えてもカードの面にフィットし、出しやすいのです。
これは、ベラトゥーラの長財布でも見られるYUHAKUのこだわり。
このデザインにするためには、革をカッティングして、さらにカーブに合わせて美しく仕上げる技術が必要です。贅沢かつ、上質なデザインです。他のブランドでは見られません。
サイドポケット
メインポケットの背面にスリットがあります。ここもカードを収納できます。
もうひとつ、同じようなつくりのポケットが、コインポケットの背面にあります。
どちらも収納すると、カードが見えなくなるため、利用頻度が低いカードを入れておくとよいでしょう。
しっかりとステッチされていため、マチはありません。厚みのあるカードなら、1枚がベスト。馴染めば2枚は入れられます。
トップポケット
コインポケットの上にもスリットがあり、こちらにも収納可能。
こちらも、カードを収納すると見えなくなりますし、革にテンションが掛かっているため、あまりスムーズに取り出すことはできません。
いつも持ち歩きたいけれど、ほとんど使わないカードを入れておくのに最適なスペースです。
- 保険証
- 免許証
などですね。
コイン
コインポケットも、一般的な二つ折りとまったく異なります。
立体的なデザイン。1ボタンで留められています。
「一般的な二つ折り財布のコインポケット」と、比べてみましょう。
ほとんどのは、「マチ」構造のコインポケットです。
たくさんのコインを入れるには、マチを広げるか、ポケットを深くするしかありません。
マチ構造では、密集したコインは見にくく、狭いスペースに指を入れて取り出すことになります。つまり、使い勝手はよくありません。
比べてみると、ベラトゥーラ札入れのボックス型は、使いやすいです。
ボタンを開けると、少し浮かび上がります。
フラップを開いていくと、四方の革が少しずつ立ち上がってきます。
この広い面に、コインが散るため、見やすく、取り出しやすく、そして収納しやすいのです。
結果としてコインが増えにくいため、財布が膨らみにくいのもポイントです。
よく考えられたYUHAKUの機能美です。
特徴
ベラトゥーラの、絵画的な美しさ
本作はベラトゥーラシリーズの一品。
ベラトゥーラとはYUHAKU独自の染色です。色のついていないヌメ革に、職人の手作業でいくつもの染料を重ね付けているのです。
YUHAKUのベラトゥーラシリーズでしか味わえない、絵画的な表情を作り上げています。
明るい場所では、華やか。
暗い場所では、凛とした装い。
シーンによって、表情を変えてくれます。私がセレクトしたPurple(紫)は、どこか妖艶な装いです。
素材にカーフが使われたのは、色のノリが良いからでしょう。
スムースな表面に、塗料を重ねることで、色の奥行きと、透明感が生まれています。私の指の色まで映し出しているのが伝わるでしょうか。
財布の中央は淡く。そして、端に行くほどに濃い色に変わっています。この濃淡を味わえるのがベラトゥーラの魅力です。
内装も美しく
外装と同じトーンで、染色されています。ベラトゥーラ技法ではありません。
素材は、キップ。シボがあって、外装よりもサラリとした質感です。
キップは、カーフよりもハリがあり、丈夫な素材です。
美しくキモチの良いカーフと、丈夫なキップ。これらを組み合わせることで、財布の強度を高めているのでしょう。
丁寧な仕立て
細部まで丁寧に仕上げられているのが分かります。
少し紹介しましょう。
コバ
財布を長く使うための「キモ」。
財布の端はダメージを受けやすいため、コバの仕上げの美しさが、財布の寿命に直結します。
ベラトゥーラの美しさを邪魔しないよう、同トーンのコバ材でツルリと仕上げられています。
少し低めにデザインされた内装は、モノとぶつかることが少ないため、「折返し」と呼ばれる技法で作られています。革の表面を折って、ステッチすることで、革の断面が見えないように仕上げられています。
パーツごとに、最適なコバの仕上げがなされているのです。
ステッチ
ストレートかつ均等なステッチワーク。
ベラトゥーラの美しさに集中できるよう、糸の色は目立たないものが選ばれています。YUHAKUの「色」に対するコダワリがわかります。
念引き
ポケットのフチに引かれたライン。これは「念引き」と呼ばれる技法。
キリッと引き締まった印象に仕上がりますし、アイテムを出し入れするフチの強度を高めています。パーツラインとズレずに引かれた年引きは、YUHAKUの職人の技術力の高さを裏付けています。
美しいカラーラインナップ
本ページで紹介しているのは、Purple。
その他のカラーバリエーションも豊富。すべてのカラーで、ベラトゥーラの濃淡が楽しめます。
左から、
- Blue
- Wine
- Purple
- Dark Brown
ちなみに、Wineカラーのベラトゥーラ束入れを、以前紹介しました。美しい赤のグラデーションを見てみたい方は、参考にしてみてください。
パッケージ
パッケージも美しいですね。マットブラックで、高級感があります。
あとがき
二つ折り財布は、とてもオーソドックスな財布です。
ですから、YUHAKU以外のブランドからもラインナップされています。
しかし、美しさと使いやすさを備えたものは、ほとんどありません。
YUHAKUベラトゥーラ札入れは、ルックスだけでなく財布の本質である「使いやすさ」も考え抜かれた一品です。