今回ご紹介するのは、YUHAKU(ユハク)のコードバンシリーズの長財布。
『コードバン束入れ(YFC111)』です。
本作の特徴をピックアップすると、こんな感じ。
- わずか10mmの極薄ボディ
- コインを収納できないお財布(束入れ)
- シンメトリのソリッドなデザイン
- コードバンの美しい表情
本ページでは、その使い勝手や特徴に、鋭く迫ってみたいと思います。
スリムなコードバン財布をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
スペック
ブランド | YUHAKU |
---|---|
商品名 | コードヴァン 束入れ(YFC111) |
収納力 | ★★★★☆ |
お札入れの数 | 2 |
お札の枚数 | 40 |
コインの枚数 | 0 |
カードの枚数 | 12 | サイズ | W185 × H85 × D10 (mm) | 重さ | 115g |
素材 | コードバン×キップ |
YFC111に見る、YUHAKUらしさとは
本作の特徴は、その美しい表情にあります。
「青の深み」を味わえる表情が特徴ですね。YUHAKUの職人がいくつもの染料を重ね合わせることで、透明感と濃淡のハーモニーを味わえるように仕上がっています。実に美しい。
奥行きのある透明感があります。光を受けると、奥の方に光が浸透して、違う表情を見せてくれるのです。空間の明るさ、見る角度によって、コロコロと表情を変えてくれます。何というか、どこか妖艶な美しさがあります。
個人的に、黒、青、茶といった濃いカラーが好きなのですが、特に「青」には強いこだわりがあります。革の風合いを活かしたもの、それでいて透明感のある革がお気に入りです。
だから、コードバン束入れでもblueをチョイスしました。
これまでにもいくつか、青い財布を購入してきました。ミネルバ、ブッテーロ、イタリアンショルダーを使ったものです。YUHAKUでは、フォスキーアの束入れですね。
コードバンの特徴は、景色を映すほどの滑らかさと、バツグンの光沢感にあります。
ただ、これらの特徴は、新喜皮革やホーウィンなど最高品質のコードバン財布なら、どのブランドのものでも味わうことができます。
ではYUHAKUは、何が違うのでしょうか?
本作の真髄は、その美しい表情にあります。
コードバンにYUHAKUの彩りが加わることで、「深み」をまとったのが本作のウリなのです。ビビッドな色合いではなく、暗いトーン。凛とした装いです。
いくつもの青い財布を手に入れてきた私が、本作のカラーを表現するなら「澄みきった夜空」といったところでしょうか。
こちらは石垣島の離島の空。一切の電灯が無いため、淀みのない空の色を目視できます。(私は星が好きで、よく写真を撮りに行くのです)
この空の、深い青さによく似ています。
キラキラとした輝きはありません。吸い込まれるような透明感があります。
「透明感」が伝わるでしょうか。(光の強さによって色合いが異なって見えますが、すべて同じ財布です)
さて、この青を、他のYUHAKUのシリーズと比べてみましょう。
こちらはフォスキーアシリーズのラウンドファスナーです。ビビッドな青を主役に、その濃淡の変化がハッキリとした仕上がり。
一方、コードバンシリーズは、深い青を主役に、落ち着きのある色合い。
どちらもカラーはBlueですが、素材や染色技法の違いによって、そのルックスはガラリと変わります。どちらが美しいかは、みなさんが決めることです。「絶対にこっち」と紹介するのは野暮でしょう。実際、どちらのカラーも美しいと思います。
各社コードバンの財布をラインナップしていますが、その表情は少しずつ異なります。新品の状態からギラリと光るものから、マットなものまであります。本作はその中間といったところでしょうか。もちろん、使い込むことによって、陶器のような輝きは増していくはずです。
使い勝手
本作は「純束入れ」にカテゴライズされます。
純束入れとは、お札とカードを持ち運ぶことに特化したお財布のこと。つまり、本作に「コインポケット」は付いていません。そのため、大変スリムなボディとなっています。
縦横のサイズは、一般的な長財布と同じですが、圧倒的にスリムです。ガッチリと握るというより、「手で支える」といったほうがしっくりする感じですね。
財布を開くとこんな感じ。
お札やカードを仕分けるためのパーツは、直線のデザインで分けられています。スリムなボディと相まって、ソリッドな仕上がりです。
内装の両サイドはコードバン。こちらもハリ感があり、美しい表情を見せてくれます。
控えめなグラデーションが、その上質感を引き立てています。
ポケットや札入れのパーツは、シボのある国産牛で仕立てられています。落ち着きのある表情で、大人にふさわしいデザインといえるでしょう。
では、その使い勝手についてご紹介します。
カード
左右対照、シンメトリーの構造となっています。端正なルックスですね。
1面に6枚のカードが収納できますから、全部で12枚。
ズラリと並ぶ、すべてのカードが「頭を出している」状態になります。見やすく、取り出しやすく、仕舞いやすいのです。「たくさんのカードをまんべんなく使う」なら、使いやすさはNo1です。
お札
カードポケットの裏が、お札の収納スペースとなっています。
札入れにマチはありません。これも本作の特徴ですね。折込マチのタイプと比べて、圧倒的にスリムです。
まだ新しい状態ですから、お札10枚ほどがベストといったところでしょうか。革は馴染んでくるため、次第に収納できる枚数は増えていくはずで
公称スペックでは20枚収納。ポケットは両サイドに付いていますから、20×2で、40枚がMAXですね。一般的な使い方をするなら、ほとんど困ることはないでしょう。
ちなみに、平均的な二つ折り財布で20枚、長財布では30枚くらいです。YFC111は、たくさんのお札をスリムに携帯できる財布と言えます。
圧倒的にスリムな財布
純束入れのメリットは、圧倒的にスリムなボディです。
コインポケットの付いた財布に存在する「ファスナー、コインを収納するための革」といったパーツがそもそもありません。その分、スリムなボディに仕上げることができるんですね。
財布が厚ぼったくなる、一番の理由はコインです。コインのサイズはバラバラですから、それが隙間を生み、厚みにつながるわけです。コインを諦めることで、もっともスリムな財布にできるわけです。構造上、純札入れよりもスリムな財布はありません。
本作のスゴイところは「他の純束入れ」と比べても、圧倒的にスリムなこと。その厚みは、わずか10mm。他ブランドのもの、またはYUHAKUの他の「純束入れ」と比べてみると、半分ほどの厚みしかありません。また、スリムになった分、とても軽いのです。
財布が軽く、スリムになることで、あらゆるシーンが快適になります。カバンやスーツのポケットに、スッと納められるのはスリムだからこそ。
私のオススメはスーツに合わせること。
実際に私は、スーツを着るシーンでしか使っていません。スーツやジャケットスタイルのとき、もっともふさわしい収納場所は内ポケットです。そのときに大切になるのが、薄さと軽さ。その両方において、本作はNo1です。
スッと出し入れできますし、胸元から取り出される美しい財布は、多くの人の目を引くはずです。(実際、どこの財布かよく聞かれます)。落ち着いた高級感のある装いですから、ビジネスシーンに添えるにふさわしい財布といえます。
ジャパンメイドの上質な仕立て
YUHAKUの財布は、日本の職人が1つ1つハンドメイドで仕立てています。
その細部には、日本の財布だからこその、丁寧な仕事が見て取れます。
コバ
美しいコバはコードバンと調和する仕上がり。
丁寧に磨かれたコバは美しく、手触りが良いため、使っていて気持ち良いのです。
ルックスだけでなく、財布をダメージから守ってくれるキモですから、コバの仕上げは財布の質を見極めるたいせつなポイントです。YUHAKUの財布は、丁寧に処理されています。
ステッチ
美しいコードバンの表情を堪能できるよう、ステッチカラーは控えめ。暗色の糸で縫製されているため、コードバンの美しさを堪能できるようにデザインされています。
あとがき
コインポケットを削ぎ落とした本作は、決して「オールインワン」にはなれませんが、その分、どの財布よりもスリムな仕上がりです。
コインケースを別に持つ方、または、そもそもコインを必要としないシーンに添える財布として、本当におすすめできる一品です。
日本の工房の財布は、どれも丁寧に仕立てられていますが、さらに、「美しいもの」を求めるなら、YUHAKU以外にはほとんどありません。