今回ご紹介するのは、YUHAKUコードバンシリーズの1つ。
コードヴァン 札入れ(YFC131)です。
YUHAKUのコードバン財布の中で、もっとも安価なモデル。
小さなボディに、コードバンとYUHAKUの美しさが映える逸品です。
コードバンの二つ折り財布をお探しなら、ぜひ参考にしてみてください。
スペック
ブランド | YUHAKU |
---|---|
商品名 | コードヴァン 札入れ(YFC131) |
収納力 | ★★★☆☆ |
お札入れの数 | 2 |
お札の枚数 | 20 |
コインの枚数 | 15 |
カードの枚数 | 6 | サイズ | W110 × H90 × D25(mm) | 重さ | 100g |
素材 | コードバン×キップ |
コードバン×キップ。YUHAKUらしいデザイン
一般的な二つ折り財布ですから、とてもコンパクトです。
本作に使われているのはコードバン。馬のお尻の皮から作り出した皮革です。
コードバンは、皮の表面をそのまま使ったものではありません。皮の中間にある「コードバン層」と呼ばれる部分だけを削りだしたものです。一般的な皮革で言うところの表面(銀面)、裏面(床面)が、そもそも存在しないのです。
コードバンの実態は、コラーゲンのカタマリです。繊維密度が非常に高く、あらゆる皮革の中でトップクラスの堅牢性を誇っています。その強度は、牛革の2〜3倍と言われています。このバツグンの強靭さを持つからこそ、乱暴に扱われてしまうランドセルの素材として採用されるのです。少なくとも6年間の耐久性は保証されているんですね。
本作はそんなコードバンの一枚革を使った、二つ折り財布です。
継ぎ目のないボディは、艷やかで滑らかな質感を楽しませてくれます。美しい仕上がりですね。
手にすると、その堅牢さはすぐにわかります。カッチリとした質感で、ハリの強い仕上がり。しっかりと握ってもぐにゃりと曲がることはありません。
ステッチは黒。
主役はあくまでコードバンです。その美しさを邪魔しないようにデザインされています。
開くとこんな感じ。コードバンとキップの、2トーンの仕立てです。
本作は5種類のカラーがラインナップされています。どれも美しい仕上がりです。
濃淡を活かした表情が、コードバンの美しさをより一層引き立てています。
どのカラーをセレクトしても、キップの色は同じ。濃いカーキです。
私がYUHAKUのコードバン財布をおすすめする理由の1つがここにあります。「内装が濃い色で仕立てられている」ため、汚れが目立たないのです。
例えば、私が持っているコードバン財布には、ヌメ革を使ったものがあります。
こういった「淡いカラーの内装」は、使い込むことで色が変化していきます。気をつけていてもどうしても汚れてしまうため、「キレイなアメ色」に育てるのはとても難しいんですね。
一方、YUHAKUのコードバン財布は、(本作に限らず)濃い色の革ですから、そういった汚れがそもそも目立ちません。気にせずガシガシと使えるわけです。
さて、キップは、スムースなタイプではなく、ところどころシボがある表情。しっとりと手馴染みの良い質感で、ふくよかな装いです。
コードバンがスムースなため、コントラストが映えるデザインとなっています。
コードバンは非常に高価な革です。ですから、ほとんどの革工房は、内装に「コードバン以外の革」を使うことで、価格を抑えた財布をラインナップしています。本作もその1つですね。
コードバンは飛び抜けた高級感があるため、財布を開くと、悪い意味でギャップを感じるものもあります。(コードバンと比べると、何だか安っぽく感じてしまうのです。)
では、YFC131はどうでしょうか?
個人的には、コードバンとよく合っていると思います。キップの風合いが活かされた表情で、濃い色合いですから、コードバンの重厚な質感とマッチしています。
キップとは仔牛の革のこと。コードバンには及びませんが、高級な皮革です。上質さは十分。
2種類の色。2種類の革。
異なる素材が組み合わさると、それぞれの良さを邪魔し合って、うるさく感じることもあるのですが、本作は丁度よいハーモニーといったところでしょうか。
使い勝手
カード
カートを収納できるポケットが全部で6つあります。
左側は一般的なポケットですね。こちらに3つ。
その背面にもスロットがあります。
右側、コインポケットの裏も。
コインポケットの上にもスロットあり。
よく使う3枚は左側。
残りのポケットには、あまり使わないけれど、持ち歩きたいカードなどを入れておくのに最適です。
各ポケットにはマチがありません。
革が馴染んでくれば1ポケットに2枚入れることができるようになるとは思いますが、あまりおすすめしません。財布に負担をかけない方が、型崩れも起きにくく、ずっと長持ちするからです。
お札
札入れは2層式。以下のように、分けて入れられるため、便利です。
- 一万円札と千円札
- お札と商品券
- 外貨と日本円
札入れの内装も、すべて「革の表面」で仕立てられています。手触りの気持ち良さはもちろん、サラリとした質感ですから、お札もスムーズに出し入れできます。機能面でも優れているわけです。
札入れに限らず、本作には、以下のような「革の裏面」が一切ありません。所有欲を高めてくれる、手間のかかった上質な仕上げです。
コイン
財布の右側は、コードバンのフラップがあしらわれたコインポケット。
銀色のボタンは、YUHAKUオリジナル。少しくすみを帯びた風合いで、アンティーク感ある仕上げになっています。
YUHAKUは、二つ折り財布をいくつもラインナップしているのですが、このボタンは本作にしか使われていません。こういったコダワリもYUHAKUらしさです。
他のブランドが2種類以上の「同じカタチの財布」をラインナップするとき、内装のつくりはほとんど同じです。同じサイズ、同じデザイン、同じパーツを使ったほうが、量産できるからですね。つまり、ビジネス上の都合なのです。
一方のYUHAKUは、コードバンの二つ折り財布を3種類ラインナップしているのですが、内装のつくりがすべて違います。(これは嬉しいポイントでもあり、セレクトするのに悩ましいポイントでもあります。)
コインポケットは折込マチのつくり。一般的なコインポケットですね。
15枚ほどは余裕で収納できます。
当たり前ですが、たくさん入れすぎると財布がボテッと膨らんでしまいます。コンパクトさを大切にするなら、10枚くらいがベストといったところでしょうか。
ちなみに、コインポケットの内装も、濃いカーキの革です。
コインが擦れ合うと微細な金属粉が生まれます(これは避けられません)。で、この金属粉が付着することで、「財布が汚れる」わけです。本作は濃い色の革ですから、これもほとんど目立ちません。キレイが長持ちする財布なのです。
美しい仕上げ
YUHAKUの財布はすべて、ジャパンメイド。
日本の熟練職人が、1つ1つハンドメイドで仕立てたものです。その美しい、トップクラスの仕上げを押さえてみましょう。
ステッチ
ステッチは均等で、美しい仕上がり。
内装のステッチは、革の色に合わせたもの。主役の革を引き立てています。
念引き
ポケットには「念引き」があしらわれています。キリッとした印象を生み出しています。
なんと、コインポケットのフラップにも。
これも日本の技術です。革のフチに近く、真っ直ぐな念引きは、とても難しいもの。キレイに縁取られた意匠は、YUHAKUの技術力の高さを物語っています。
コバ
コバも美しい仕上がりです。何枚もの革を重ね合わせたエッジは、まるで一枚革のように仕上げられています。丹念に磨かれたコバは、コードバンと溶け合うように、美しく処理されています。
あとがき
コードバンの二つ折り財布は、さまざまなブランドのものがあります。
そういった中でも、YFC131は丁寧に仕立てられていると思います。
上質で美しいもの。さらにキレイな状態で使えるコードバンの二つ折り財布をお探しなら、本作はおすすめの1品です。