上質な革を使ったジャパンメイドの財布は、たくさんあります。しかし、独創的なフォルムと使いやすさを合わせ持つ財布は、なかなかありません。
この条件を満たす数少ない財布が、エムピウの『ミッレフォッリエ』。革や、カード収納枚数が違う、複数のモデルがラインナップされています。詳しくはこちら。
その中でも最高峰の「コードバンモデル(millefoglie Ⅱ CORDOVAN27)」を購入しました。
コードバンはバツグンの美しさから「革のダイアモンド」とも呼ばれる最高級レザーです。
「ミッレフォッリエ P25モデル」を3年以上使ってきた経験も踏まえ、本ページでは、P25との違いや、コードバンモデルの特徴についてご紹介したいと思います。
ミッレフォッリエのコードバンモデルを検討されている方は、参考にしてみてください。
2019年3月。コードバンの価格高騰により販売終了が発表されました。ご検討中の方はお早めに。
スペック
ブランド | エムピウ |
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商品名 | ミッレフォッリエ 2 CORDOVAN |
収納力 | ★★★☆☆ |
お札入れの数 | 1 |
お札の枚数 | 15 |
コインの枚数 | 15 |
カードの枚数 | 20 | サイズ | W110×D85×H27mm | 重さ | 110g |
素材 | コードバン/牛ヌメ革 |
はじめに
本ページのレビューは、2017年に廃盤になった旧モデルです。2022年に発売された新モデルも購入しましたが、基本的な機能は同じ。素材が変わっただけのように感じます(コードバンの種類、牛革の種類が変更)。
新モデルではワックスコードバンが使われています。ワックスコードバンの特徴、エイジング検証などを動画紹介しています。
コードバンモデルの使い勝手
2017年、コードバンモデルがP27のみとなりました。"27"はミッレフォッリエの厚みのことです。(以前は25mmモデルが存在していましたが、現在は制作されていません)。
P25と比べると、コードバンモデルは厚みが2mm増えます。その代わりに、カードの収納枚数が15→20とアップしています。ただ、動画でもご紹介していますが、実際に20枚入れるのはかなりきついです。
コードバンモデルの特徴
コードバンモデルの特徴について、ご紹介してまいります。
コードバンで覆われたボディ
新品のミッレフォッリエです。手にすると、しっかりとした革のハリが伝わってきます。ただし、このハリの強さは新品のときがMax。使い込むことで革が馴染み、少し薄くなります。
本作においてもミッレフォッリエの特徴である、一枚革を贅沢に使ったデザインが踏襲されています。コードバンの一枚革で、外装をぐるりと巻いて作られています。どこから見ても、どこに触れても、コードバンを楽しめるようにデザインされています。
余計な装飾は一切ありません。コードバンの表情、質感、風合い、手触りを最大限楽しめるようにデザインされています。ブランドロゴさえ取り除いたデザインは、革と、財布のフォルムへの自信の表れでしょう。このカタチこそミッレフォッリエ。代わりはないのです。
コードバン×ヌメ革の2トーンを楽しめるデザイン
内装はヌメ革です。
淡い色合いですから、使うほどに色が濃くなるエイジングを楽しめます。
ミッレフォッリエのヌメ革は、肌色に近いカラーですね。
コードバンのエイジング
ごらんのとおり、キメ細かで、とてもスムースな表情です。
ちなみに、このマットな表情は最初だけです。手の油分が伝わることで、次第にツヤがあがり、陶器のようなヌラリとした表情に変わっていきます。
ミッレフォッリエに使われているコードバンの色は濃いため、色のエイジングは控えめになるはずです。ツヤをまとう変化を堪能できるとお考えください。
コードバンはとても丈夫な革
すべての革には、表と裏があります(銀面、床面と呼ばれています。)
一方、コードバンは、革の中にある、「コードバン層」と呼ばれる部分を削り出したものです。馬のお尻の皮の中、わずか数mmの厚みの部位だけがコードバンとして使えるわけです。他の皮革のように「毛穴やキズ」がほとんど見当たらないのは、皮の表面をそのまま使った革ではないからです。
これをさらに磨き上げることで、あらゆる革の中でトップクラスのキメ細やかでスムースな表情を生み出すことができるのです。
コードバンは線維密度が高いため、引き裂きに強く、耐久性が高いのも特徴です。土屋鞄をはじめとする革工房が、ランドセルの素材としてセレクトし続けるのは、6年もの期間、乱暴に扱われても壊れないことが分かっているからですね。
コードバンについて、もっと知りたい方は、ぜひこちらもご覧ください。
参考:コードバンとは何か?その特徴をメリット・デメリットともに紹介
ミッレフォッリエ P25との違い
ノーマルモデルである、P25はイタリアの銘革を使ったモデルです。革の風合いやエイジングといった、革財布だからこその魅力をたっぷりと楽しめます。
では、P25とコードバンとの違いは何かというと、外装の素材。違いを押さえてみましょう。
左が1000日使ったP25。右がコードバンモデルです。
公称のスペックは同サイズです。コードバンの方が厚く見えるのは新品だから。P25は、ヒップポケットに入れて持ち歩くことが多かったのですが、1000日以上使っても自立する堅牢性は流石です。
P25の内装は、一部に布が使われています。こちらも、とても丈夫。3年使っても毛羽立ちはほとんどありません。
一方、コードバンモデルは、内装がヌメ革となっています。内側に触れたときも革の柔らかな質感を楽しむことができます。もちろん、このヌメ革もエイジングします。
ミッレフォッリエの特徴である、ギボシも同じ。
新品と比べてみると、ギボシのエイジングの美しさが際立ちますね。ピカピカではなく、くすみを含んだゴールドに変化していきます。真鍮だから鉄のような錆びは出ませんが、緑青が出ます。
コードバンモデルで気をつけること
コードバンは水や汗に弱いです。水に濡れた状態が続くと、コードバンの線維に浸透していき、水ぶくれしたような変化が起こることがあります。
コードバンに限らないのですが、革のアイテム全般で「汗」は大敵です。アンモニアを含んでいるため、革の風合やツヤが落ちてしまうのです。
コンパクトなボディサイズがミッレフォッリエの魅力のわけで、ヒップポケットへの収まりもバツグンなのですが、汗をかきやすい夏場などは、ヒップポケットに入れない方が良いでしょう。
他ブランドのコードバン財布との比較
ミッレフォッリエのコードバンモデルを、一般的なコードバン財布と比べてみましょう。
まずミッレフォッリエはとてもリーズナブルです。外装を一枚革のコードバンで仕立てているのに手が届きやすい価格なのが良い。
(P25でも言えますが)上質な革をたっぷりと使っているのに、とてもお買い求めやすい価格になっています。日本の革工房だからこそメリットですね。シーズンごとに売り切らなくてはいけない、アパレルブランドの財布では真似できません。
日本の職人による仕立てですから、財布のつくりは丁寧で申し分ありません。もっというと、コードバンを仕立てることができる職人はベテランだけです。だから、P25よりも上質といえるでしょう。
また、ケツポケしても型くずれせずに長く使えることは、P25で実体験済みです。ミッレフォッリエコードバンは、長く愛用できる逸品だと断言できます。
フォルムや使い勝手に惹かれるなら、ミッレフォッリエのコードバンモデルは本当におすすめできます。
デメリットは、たくさんを持ち歩けないこと。
15枚以上のお札、15枚以上のカードをひとまとめにすることはできません。たくさんのアイテムを持ち歩きたいなら、長財布からセレクトするのをおすすめします。
こちらで日本の革工房の上質なコードバン財布をまとめています。ぜひ参考になさってください。
あとがき
ミッレフォッリエの一番の魅力は、使いやすさにあります。
初めての革財布、初めてのミッレフォッリエなら、ノーマルのP25でも十分でしょう。P25の方が安いですし、使われている革(ミネルバやブッテーロ)も十分に上質で、魅力的なエイジングを楽しめるからです。
そういった中で、あえてコードバンモデルをセレクトすべき理由とは何でしょうか。
私がすでにP25を所持しているのに、コードバンモデルを買ったのは、やはりコードバンでしか味わえない美しさと高級感があるからです。言い換えると、もっとも所有欲を満たされるモデルなのです。
実はミッレフォッリエ以外にも、いくつかコードバンの財布でエイジングを楽しんでいます。スムースでマットな表情にツヤが表れてくる様は、コードバンだからこその醍醐味です。
まとめますと、ミッレフォッリエのコードバンモデルをセレクトして幸せになれるのは、コードバンという革の魅力を楽しみたい人といえるでしょう。