革工房CRAFSTO(クラフスト)の財布、『フラグメントケース』をご紹介しましょう。
特徴は以下のとおり。
- 薄い財布
- カードが使いやすい
- たくさんのお札は収納できない
- イタリアの革、ネブラスカを贅沢に使用
- 色・ツヤが変化するエイジングを楽しめる
- 永年、修理対応
本ページではクラフストのフラグメントケースについて、使い勝手、特徴、メリット・デメリットを分かりやすく解説します。
スペック
ブランド | CRAFSTO(クラフスト) |
---|---|
商品名 | フラグメントケース |
収納力 | ★★☆☆☆ |
お札入れの数 | 1 |
お札の枚数 | 5〜8 |
コインの枚数 | 15 |
カードの枚数 | 4〜8 | サイズ | W140×H80×D11mm | 重さ | 40g |
素材 | 牛革(ネブラスカ)※ |
※複数の革(ネブラスカ、ブライドルレザー、コードバン)でラインナップされており、革によって特徴・価格が異なります。詳細は後述。
カタチ、構造
名前のとおり、本作は「フラグメントケース」にカテゴライズされます。最小限のお金、カードを気軽に持ち歩きたい人に最適な財布。オーソドックスな長財布よりもずっとコンパクトです。
とにかく薄い。もっとも厚みのあるファスナーの部位で、わずか11mm。重量40gとかなり軽い。携帯性に優れる財布です。
反対側は、革を縫製したつくり。マチがないため、さらに薄い。
素材はイタリアのオイルレザー、ネブラスカ(詳細は後述)。シボのある美しい革です。色はLIGHT BROWNをセレクトしました。
外側にカードポケットがある。この構造は、フラグメントケースならでは。
反対側にはポケットがありません。革の表情、手触りをダイレクトに楽しめるようデザインされています。
ロゴは素押し。銀箔、金箔が使われていません。シンプルで目立ちません。
※写真は旧ロゴです。現在は新ロゴの「CRAFSTO」表記となります。
中央にファスナー。引手もネブラスカですね。
引手は大きすぎず、小さすぎずの丁度よいサイズ。革を張り合わせることで、適度なコシが生まれます。掴みやすく操作しやすい。革のフチは、黒く染色して仕上げられています。
ファスナーは、ゴールド。ファスナーテープはブラウン。高級感があり、ネブラスカのLIGHT BROWNとも合う。
内側、片方にマチのあるつくり。コインとお札を収納できます。
使い勝手
カード、お札、コインの使い勝手を解説しましょう。
カード
外側に4スロット。カードを4枚、分けて収納できます。
幅の広い、クオカードも入る。
ポケットの幅が広いため、2枚入る(厚みのあるプラスチックカードも2枚入る)。ただし、2枚を重ねて入れると、カードを出すときに選別が面倒ですね。1ポケット1枚の方が使いやすい。
カードポケットの内側には、なめらかなファブリックが貼られています。サラリとした滑りのよい生地。スムーズにカードを出し入れできます。
クレジットカードを入れておけば、ここから取り出してお会計できる。ファスナーを開けたり、財布をアレコレと操作するアクションは不要。実にスマートです。SuicaなどのICカードを入れておけば定期にもなる。薄くて軽いから邪魔になりません。
お札
お札は2箇所に収納できます。
どちらに収納するときも、お札を2回折りたたむことになる(あるいは三つ折りにする必要があります)。これが嫌ならクラフストのフラグメントケースは合わないでしょう。
ファスナーポケット
二つ折りではファスナーに干渉するため入りません。
三つ折りにして入れてみました。Max6枚かな。これ以上入れるとボテッと膨らんでしまう。フラグメントケースの薄さが活かせません。
カードポケット
カードポケットにも入る。2回折って、または三つ折りで収納できます。
1つのポケットに、5枚くらい入ります。2つのポケットに入れるなら、8枚くらいまでが良い。厚くならず、ポケットに負担をかけない枚数です。(もちろん、カードの収納枚数は減ります)。
ポケットにテンションがかかるため、お札が抜け落ちる心配はありません。
コイン
マチが大きく開く。
だから、コインが入れやすいです。流し入れるように収納できる。
ガバッと開くため、コインが見やすい。このタイプのフラグメントケースは他にも所有していますが、他社の物より使いやすいですね。
選別しやすく、取り出しやすい。もちろん、両端にマチのある財布には劣るのだけど、よくできてます。薄さと使いやすさのバランスが取れています。
使いやすくする
コインとお札を、ファスナーポケットに入れると使いにくい。一般的な財布に慣れている人ほど、違和感を感じるはずです。見にくく、取り出しにくい。収納量にもよりますが、ファスナーの開閉時にお札が引っかかることもありました。これはイライラする。
私はカードポケットにお札を入れる方が使いやすいと感じました。
ファスナーの中にはコインだけ。
このように仕分けすると、カード3枚〜6枚、お札5枚、コイン15枚を「分けて収納できる」。薄さと使い勝手のバランスが取れます。
膨らみも抑えられる。
キャッシュレス時代にフィットする財布
現金を使うとお釣りが生じる。結果、コインやお札が増え、フラグメントケースが分厚くなる。
言い換えると、現金を使うことが少ない(クレジットカードやIC決済が多い)人ほど、フラグメントケースのスリムさ、快適さを体感できます。キャッシュレスなライフスタイルにフィットする財布といえます。
特徴
ネブラスカを贅沢に使用
素材はイタリアのタンナー、ロスティバーレ社のネブラスカ。
ネブラスカはオイルレザーです。イタリアのオイルレザーは他にもたくさんありますね。たとえば、ミネルバリスシオ。比べるとネブラスカの方が少しオイリーです(ミネルバは新品のときはマットです)。
表情も独特です。シボの中央が少し濃い色で、エイジングが進んでいるように見える。シボを作り出す工程で、擦れて油分が出ているのかもしれません。(ロット差もあるかな?)
ネブラスカは部位によって(あるいは個体によって)シボの出方も違います。つまり、製品ごとに表情も違います。
柔らかな質感で、手に馴染む。本作は内装にも革を使っているため、薄いけれども、「革のしなり」も楽しめる。
シボは控えめで、指先にはっきりと凹凸を感じることはできない(ボツボツ感がない)。
香りも良い。なんだろう。新品の畳のような香り。わずかにフルーティーで、わずかにナッツのような香りもする。本作以外のネブラスカも同じ香りがするため、個体差はないでしょう。(人によって感覚は違いますが)きつい香りの革もあります。ネブラスカは万人受けする香りだと思います。
ちなみに、クラフストのラインナップする革でいうと、ホーウィン社シェルコードバンはもっと香ばしい香りがします。男性好みかも。
ラインナップ
クラフストのフラグメントケースは、3種類の革でラインナップされています。
ネブラスカ
本ページでご紹介した革。カラーラインナップは、4色です。
- BLACK
- DARK BROWN
- LIGHT BROWN
- NAVY
色の変化を楽しみたいなら淡い色。つまり、LIGHT BROWNがもっとも変化する。次にDARK BROWN。
ブライドルレザー
英国タンナーのブライドルレザーとのこと。カラーは3色。
- BLACK
- DARK BROWN
- NAVY
硬い革が好きならブライドルレザーがおすすめです。
表面が粉っぽい表情に見えるのは、ワックスが浮き出ているから。この粉(ブルーム)は、数ヶ月使うとなくなります(ブラシで強制的に落とすこともできます)。ブルームが落ちると、美しい光沢を見せてくれる皮革です。
ホーウィン社 シェルコードバン
ホーウィン社のシェルコードバンは、もっとも人気があるコードバンですね。カラーラインナップは、3色。
- BLACK
- DARK COGNAC
- NO.4
色の個体差がはげしく、ラフな表情もある。それでいて色気を感じられる稀有な革。こちらも色が変化します。なお、ツヤは落ちることもありますが、お手入れすればカンタンに光沢が復活します。
色の表現が難しいですが、DARK COGNACは濃い茶色。赤と茶が混じったのが#4です(#8より赤みが強く、淡い)。
色・ツヤが変化するエイジングを楽しめる
ネブラスカはタンニンなめし、染料仕上げの革です。つまり、色が深くなり、ツヤも出てくる。
今回 LIGHT BROWNを選んだのは、もっとも色の変化を楽しめるからです(淡い色ほど、劇的に色が変わる)。どのように変化するのかは、後日インスタグラムかYoutubeなどでご紹介できればと思います。
ちなみに、他の革(コードバン or ブライドルレザー)で色の変化を楽しみたいなら、コードバンの#4がおすすめです。
長く使える
素材によって修理保証が異なります。
- シェルコードバンやブライドルレザーの製品は、永年無償修理。
- ヴィーガンレザー:有償修理体制。
仕上げ
革の表だけ見える
革には表と裏があります。裏側は(革によりますが)耐久性が低い(毛羽立ってきたりもする)。高級感や美しさは、表に及びません。
クラフストのフラグメントケースは、内装にもネブラスカを使っています。つまり、裏面が見えない。
マチの裏側も、革を重ねて縫い合わせる手間をかけている。1mm未満に薄くスライスした柔らかい革(ネブラスカ)を使っているため、マチの広がりもスムーズです。美観を高め、機能性を落とさない仕立てです。
コバ
財布のフチ、革の断面をコバと言います。
カードポケットは、革を折り返して作られています。
だから革の表面しか見えない。ライン(捻)も引かれていますね。
外周は染料が使われているようです。
革の断面がわずかにみえる薄化粧。ボテッと塗料が塗られているわけではないので、割れてくることはなさそうです。
手触りもスムースです。
ステッチ
ミシン縫いですね。キレイに縫われています。
糸の色はボディカラーよりちょっと濃いように思います。ただ、糸が細いし、エイジングによってネブラスカが濃くなるので、目立たないですね。革の表情を邪魔しません。
あとがき
さまざまなブランドがフラグメントケースをラインナップしています。コインが使いやすく、色・ツヤが変化できるエイジングを楽しめる。さらに永年保証されるフラグメントケースはクラフストの本作のみです。