革工房CORBO.(コルボ)のキーケース『SLATE スマートキーケース』を購入しました。
特徴は以下のとおり。
- 2本のカギを収納できる
- 車のスマートキーにも対応
- CORBO.オリジナルのサークル金具
- イタリアの革、ミネルバ・リスシオを使用
- 革も金具も、エイジングによる変化を楽しめる
キーケースはカギを収納する道具です。役割がシンプルなため、オーソドックスなものが多い。しかし、SLATE スマートキーケースは違います。上質な革、特注の金具で作られた、ユニークでギミックの効いたキーケースです。
本ページでは使い勝手、特徴、メリット・デメリットについて分かりやすく解説します。
動画
カタチや使い方、ミネルバの質感などは、動画のほうがわかりやすいと思います。
カタチ、構造
一般的なキーケースと比べて、縦横のサイズはあまり変わりません。

が、厚みがあります。独特の金具が見えるデザイン。本作に限らず、コルボのプロダクトは厚みのあるプロポーションが特徴です。

金具をぐるりと覆うように一枚革で巻いた構造。コロンとしたルックスに親しみを感じます。

キーケースでは「革で巻く」デザインは定番です。
しかし、本作は少し違う。斜めにカッティングされた革を折りこむ、上部は広く、下部は細くなっているのです。直線と曲線が組み合わさったデザイン。高級感たっぷりです。

手に持ったときに絶妙なフィット感を生み出しています。

素材はミネルバ・リスシオ(詳細は後述)。

フラットな表面の直下にはホックがあります。外装にボタンが出ていないため、革の美しさ、手触りに没頭できるのも良い。使い込んでいくと、アタリが出てくるはず。

ダブルホックでしっかりと留めるデザイン。勝手に外れない安心感があります。

なだらかにラウンドした開口部は、指を添えやすい。パチリと心地よく外すことができる。

中はこんな感じ。

2種類の取り付け具が付いています。
- フック 1つ
- リング 2つ
使い勝手
カギの取り付け

2つのリング。合計2つの鍵を装着することができます。
(1つのリングに2つのカギを取り付けることもできるのだけど、使い勝手が悪くなるため推奨しません)
なお、本作が「スマート キーケース」と名付けられているのは、ここに車の鍵を取り付けることができるからです。
2つのリング、それぞれフォルムとサイズが微妙に異なります。ひとつは断面がフラット(写真左)。もうひとつは断面が円(写真右)。円形の方が小さい。

リングの取り付け口には、わずかにスペースが残っています。金具屋さんでリングを買って、リングを追加することもできそう。もしくは、リングにリングを追加するか。
さて、小さなリングに取り付けてみました。余裕のあるサイズ。カギの先端が、ケースの外に出ることはありません。

フック

ものすごく硬い。ガバっと大きく開くことは不可能。つまり、カギはセットできません。

用途はベルトループへの取り付けですね。
カバンの中、サイドポケットに取り付けたりもできるでしょう。
キーホルダの動作
鍵を取り付ける金具は、横一列に並んだホルダーが一般的です。

一方、本作では独特のホルダーが採用されています。

円柱の金具には溝がある。

この溝をぐるりと一周、鍵を取り付けるフックが自由に稼働します。引っかからずスムーズ。

カギを取り付けた部位をくるりと回して、キーケースの外側にもってくる。
ギミックの効いた機構です。実に面白い。

スナップを効かせてカギを回して取り出すのは難しいですね。
使い勝手を良くする
キーリングはこんな感じで折り重なる。リングはくるくると回して取り外すことができる。

もし、カギ1本だけの収納なら、リングを外した方が良い。

リングが1つ減ることで、干渉する金具が減る。
より快適にカギを取り出すことができるし、見た目もスッキリしますね。

特徴
ミネルバリスシオを贅沢に使用
素材はミネルバリスシオ。イタリア トスカーナ州のタンナー、バダラッシカルロ社が作るオイルレザーです。

微細な凹凸があるように見えますが、手で触れると凹凸は感じません。スムースな表面でさらりとした手触りです。

内装も同じ革。ホックの裏側が見えないのは、革で隠しているから。上質なミネルバの表情を楽しませたいという「意地」が垣間見える。革を重ねて縫う手間を加えているわけです。

CORBO.オリジナルの金具
トップの金具は、CORBO.キーケースの意匠です。くすみのあるゴールドが良い感じ。

バックにはロゴがある。プリントではなく、彫り込みだから使っていても剥げ落ちることがない。

薄っすらと透明なベールがかかっているように見える。コーティングされているのかな。高級感があります。

色ツヤの変化を楽しめる
革の変化
ミネルバリスシオは「エイジング」が楽しめる革です。
マットでさらりとした表情は最初だけ。たっぷりとオイルを含んだ革のため、使っているうちに、色は深まり、ツヤがでてきます。また、手触りもしっとりとしてきます。

ぐんぐんとエイジングが進むのはたっぷりとオイルを含ませているから。
新品を開封すると、中に紙が巻かれている。以下の写真で、紙にはわずかにオイルが移っているのが分かるかな・・・。

以下は使い込んだミネルバ。SLATEキーケースも、魅力的なエイジングをしてくれるはず。

真鍮の変化
金具は真鍮。光沢のあるゴールドです。しかし、これも最初だけ。
少しずつ、くすんでいく。アンティークな風合いに変化していきます。

革に馴染むような変化を楽しめる、だから本作をチョイスしたのです。
大きくて重い、だから満足感がある
パッケージから取り出した瞬間、「重い」と感じました。これまでさまざまなキーケースを使ってきました。中でも本作は最重量でしょう。
サイズや革の厚みは、WILDSWANSのCLIPPERとさほど変わらない。真鍮削り出しのパーツが重量の半分以上を締めていると思います。

所有欲が満たされるのは重さのおかげ。あえて言うなら、軽いキーケースが良いなら、CORBO.のキーケースは避けたほうが良いでしょう。
仕上げ
コバは磨き仕上げ。磨いて丸みを作り出したコバは、ミネルバの層が見えます。染料や塗料は使われていない。色が濃くなっているのはタンニン革を磨いて仕上げた証です。

手触りも良いです。

内側には、捻(ねん)も引かれています。

ダブルステッチが珍しい。ほとんど採用されていないのは、ステッチ同士の間隔を均一にするのが難しいからでしょう。ユニークなデザインです。
パッケージ
シンプルな紙のパッケージ。サラリとしています。

不織布で大切にくるまれています。この不織布は、メンテナンスに使えるので保管しておきましょう。

金具でキズが付かないように、キーリングが丁寧に梱包されています。

なかなかここまでのものはないですね。嬉しい。

あとがき
イタリアのオイルレザー、ミネルバは大好きな革です。
ミネルバのキーケースはCORBO.以外の革工房もラインナップしているのだけど、真鍮の金具やボリュームからの所有欲を満たしてくれるものはほとんどないです。
革も金具もエイジングする変化を楽しみたい、そんな人にフィットするキーケースです。
