革工房safujiにオーダーしていた財布を手に入れました。
『ミニ折財布』をご紹介しましょう。
特徴は以下のとおり。
- 二つ折り財布
- とてもコンパクト
- お札とカードが使いやすい
- ナッパネビアとブッテーロを楽しめる
- 色・ツヤが変化するエイジングを楽しめる
本ページではミニ折財布の使い勝手、特徴、メリット・デメリットについて分かりやすく解説します。
スペック
ブランド | safuji |
---|---|
商品名 | ミニ折財布 |
収納力 | ★★★☆☆ |
お札入れの数 | 1 |
お札の枚数 | 10 |
コインの枚数 | 7〜8 |
カードの枚数 | 6〜7 | サイズ | W83×H94×D19mm | 重さ | 57g |
素材 | 牛革(ナッパネビア×ブッテーロ) |
動画
以下の動画では、使い勝手、収納量、革の質感、エイジングなどを解説しています。
カタチ、構造
カテゴリは「二つ折り財布」。ただしオーソドックスな二つ折り財布より、ずっとコンパクト。手のひらにスッと収まるサイズ感の「小さな財布」です。
カードと並べると、小ささが際立ちます。今日ではさまざまな「小さな財布」がラインナップされています。比べてみても、safuji ミニ財布は小さい方ですね。
1枚の革を折りたたんだ構造で、装飾が一切ありません。だから、革の手触りをたっぷりと楽しめる。ふっくらとした可愛らしいフォルムはsafujiの特徴ですね。
外装の素材は、ナッパネビア(後述)。イタリアのオイルレザーです。
真鍮のホック。ミニ折財布では2種類のホックから選ぶことができます。なお、中身は同じ。
- 左側:出っ張りのあるホック。可愛いデザイン。
- 右側:フラットなタイプ。財布を出し入れするときに引っかからない。
私がオーダーしたのは、右側。機能的な財布が好きなのです。
ホックでカチッと留めることができる。カバンの中で逆さまになっても、財布は開きません。
指でめくる。シングルホックがパチンと良い音を立てて外れます。
フラップを開き、
財布を開く。
中はこんな感じ。右側の黒い革は、ブッテーロ(後述)。大好きなイタリアレザーです。
お札の収納スペース。
カードポケット。
そして、コインポケット。
「safuji ミニ長財布」に似ています。サイズは違うけど、アイテムを収納する構造がそっくり。
使い勝手
ミニ折財布は、お札、コイン、カードをコンパクトなボディに分けて収納できるお財布。「左右でカードとコインを分ける構造」は、オーソドックスな二つ折り財布と同じだけど、ミニ折財布は使いやすいです。safujiの意匠がコンパクトなボディにギュッと詰め込まれています。
カード、お札、コイン。それぞれの使い勝手を解説していきましょう。
カード
ミニ折財布には3つのポケットが備わっています。
左 前面のポケット
スリットに差し込んで収納します。新品の状態だと厚みのあるカード2枚+薄いカード1枚でやっと。革は馴染んでくるので入れやすくなるけど、3枚までにした方が良いと思う。伸びた革は戻らないからです。
ポケットに重ねて入れるつくり。つまり、カードが重なってしまうため「たくさんのカードから瞬時に選別する」ことはできないけれど、出し入れしやすいです。
左背面のポケット
裏側にもカードを収納できるポケットがあります。こちらもマチの無いタイプ。差し込んで使います。
奥まで差し込む。
前面からは見えないため、カードが選びやすいとは言えません。
でも、取り出せる。あおりポケットがガバッと開くから、指を添えやすく、スライドさせてカンタンに取り出すことができます。
「持ち歩くけれど、あまり使わないカード」、たとえば保険証、免許証などを収納しておくと便利です。Suicaを入れておけばタッチ決済も可能です(SuicaとPASMOなど、干渉しあうカードを同時に入れるなら磁気カードが必要)。
右前面のポケット
「左前面ポケット」と同じように使えます。
こちらは背面ポケットがありません。前面に挿入したカードが丸見えです。
カードは、2枚くらいがいい。1枚がもっとも使いやすい。コインの収納量によって使い勝手が変わります(コインが少ないと、カードの出し入れが楽)。
3つのポケットで、合計6〜7枚くらいに抑えると使いやすいです。
左前面:3枚(できれば2枚)
左背面:2枚
右前面:2枚
ミニ折財布は、「小さくて使いやすい」財布です。たくさんは収納できません。「たくさん入って、使いやすい財布」をお探しなら「かぶせ蓋の長財布」の方がフィットするはず。safujiから選ぶなら「ミニ長財布」がおすすめ。バツグンに使いやすいです。
お札
お札の収納スペースは、広いとはいえません。一万円札がほぼジャストサイズ。
まっすぐ入れるとスッと入る。斜めに入れると引っかかる。
でも、ストレスなく使えます。
なぜなら、両サイドのポケットが「あおり構造」になっていて、ガバッと開くからです。だから、お札が入れやすい。縦にまっすぐ入れなくても、開いたポケットに差し込めば良い。
お札の収納スペースに「革の表面」が使われているのも使いやすさのキモです。スムースな表面だから、お札が引っかからず快適に出し入れできる(革の裏面は毛羽立っているため、ひっかかる)。
中央の隙間からお札が見えているのもgood。見やすいだけでなく、カンタンに取り出せる。手前のお札をだすときに、指を添えてスライドさせるだけでいい。
フラップが手にぶつかって気になるかな?とも思ったのですが・・・
フラップは柔軟に稼働するため、それほど邪魔には感じませんでした。気になる人は気になるかも。
お札の収納は10枚前後が良いでしょう。ホックで留めるため、もう少し入れることはできます。しかし、(カードやコインの量にもよりますが)10枚を超えると、財布がぷっくりと膨らんでしまう。ホックのない部分が開き、「ハの字」のようになってしまう。革が馴染んでくれば、多少収まるかもしれません。
たくさん入れると、携帯性が損なわれます。だから10枚前後が良いと思うんです。
コイン
フラップをめくると、収納スペースがお目見え。指を離すと、自然とフラップが閉まります。
目を引くのはマチの大きさ。一般的な二つ折り財布より、ガバッと開く。
だから、入れやすい。
見やすい
取り出しやすい。
さて、収納力です。10枚入れてみましょう。
フラップが少し浮いてしまう。7枚くらいが良いかな。一般的な「小さな財布」は10枚ほどは入りますから、ちょっと少ないですね。革が馴染めばもうちょっと入るかもしれません。
フラップは完全に留める構造ではありません(革の「ハリ」で抑える設計)。コインを入れて逆さまにすると、フラップが開いてコインが落ちるのでは?と、思うかもしれません。しかし、落ちません。財布をホックで留めるため、コインポケットのフラップが開くことはないからです。
特徴
小さくて使いやすい財布
safujiはさまざまな財布をラインナップしています。ミニ折財布より小さい財布もあります。
しかし、以下のすべてを満たすのは、ミニ折財布だけ。
- お札を折らずに収納できる
- コインポケットがガバッと開く
- 仕分けできるカードポケットがある
「小さくて使いやすい」で選ぶなら、ミニ折財布がsafujiのNo1なのです。
「オーソドックスな二つ折り財布」とはルックスも使い方も違うけど、違和感無く使い始めることができるし、使いやすい。
ナッパネビア×ブッテーロ。イタリアの上質な革を堪能できる
外装はナッパネビア。イタリアのタンナー、バダラッシカルロ社のオイルレザーです。ロウでコーティングされているため、うっすらと白く霧がかかったような表情を見せてくれます。
ブライドルレザーの「ブルーム」と比べると荒々しさがなく、優しい風合い。
精細なシボも特徴のひとつ。シボの出方は個体差があるのかな。革の部位によっても変わるのかもしれません。
バダラッシカルロ社の「ミネルバ・ボックス」と似ていますが、比べてみると、ナッパネビアの方が優しい色合いです。ロウが落ちると同じトーンになっていくのかも。
なめらかな肌目で、凹凸感は控えめ。サラリとした質感です。
小ささと、可愛らしさがある。手で包み込みたくなるフォルムです。
内装のポケットなどは、ブッテーロ。こちらもイタリアの革。ワルピエ社のオイルレザー。大好きな素材です。
なめらかな手触りを楽しめるし、適度なハリがあります。
すべて革で作られた財布
ミニ折財布は、内装も「革の表面」が使われています(コインポケットの内側を除く)。
2枚の革を贅沢に使ったデザイン。張り合わせる革の厚みはとても大切なポイントです。この組み合わせによって、触り心地、強度、使い勝手が変わるから、たくさん試行錯誤されたのだと思う(職人さんにお話を伺ったのだけど、1年ほど前からずっと試作・検証をなさっていたとのこと)。
たとえば、フラップの部分はステッチされていない。これ、2枚の革が剥がれないようノリで接着して仕上げているはずです。(使ってみないと耐久性は断定できないけど、)きちんとコバも磨かれているので丈夫そう。
「内装にも革を使った財布」はたくさんあるけれど、safujiは「革の見せ方」が上手い。カチッとしすぎない、可愛らしさの演出がとても上手だと思うんですよね。
エイジングを楽しめる
ナッパネビアのエイジング
使っていると、表面のロウが取れます。少しずつ、霧が晴れるように革の色が出てきます。ブライドルレザーのブルームより、圧倒的に早く落ちますね。
以下は2015年に購入したミニ長財布。色はブラックです。濃い色の場合、色の変化は控えめですが、ロウが落ちツヤが出ています。
ナッパネビアは2つ目のはずで、今回は「色の変化」も楽しめるカラーをチョイスしたかった。だから、ブルーでオーダーしました。
「バダラッシカルロ社の青い革」は、ミネルバならオルテンシア。
プエブロなら、ペトローリオがある。どちらも、グングンと進む変化を楽しませてくれました。
ナッパネビアの青はどのように変化するのか。楽しみです。
ブッテーロのエイジング
ブッテーロも変化する革です。ブラックでオーダーしました。ツヤは出てくるけど、色の変化は控えめなはず。
ブッテーロはナッパネビアよりも、ゆっくりと変化します。内装は外装よりも触る頻度が低いので、さらに時間がかかるでしょう。
safujiオリジナルの真鍮パーツ
ミニ財布のアイコン的なホック。素材は真鍮(brass)。safujiの職人である沢藤氏が特注して作ったもの。つまり、safujiの製品だけのパーツです。お客さんの声や使い勝手を考えて、フラットなパーツに行き着いたそうです。
本作のような小さな革製品に、ボタンを添えると主張が強すぎる(コンチョを主役とする製品もありますが、本作はそうではない)。
例えば、ギボシ。可愛いカタチが好きだけど、出っ張るため、引っ掛かりが気になる人は気になるでしょう(ギボシってそういうものだけど)。
コーティングはされていなさそう。この無垢な感じがまた良いのです。キズもつくだろうし色も変化するはず。
ポコッと膨らんだモデルもあります。見た目と機能性、どちらを取るか。ここは好みですね。私は革の手触りや財布を出し入れするときのスムースさを優先したため、フラットなタイプでオーダーしました。
内側にはPRYM社の高級ホック。
凸部のパーツもユニーク。一般的なバネホックで使われているものとは違います。ラウンドしたフォルム。立体的で上質。
長く使えるつくり
長く使えるように、作られています。
たとえば、フラップの裏側には豚革が貼られています。開け閉めを繰り返すフラップは、革が伸びてしまうことがある。すると「コインを留める」機能性も落ちてしまう。この予防です。革が伸びにくくなり、ハリも持続する。見た目も良くなる。
負荷のかかるところは、きちんと返し縫いされています。
1、2年で買い換える財布なら気にしなくてよいけど、3年以上使うなら耐久性も作り込まないといけない。長く使える製品にするため、手間をかけて作られています。
細部
ステッチ
手縫い。この独特の縫い目も構造も、ミシンではできないはず。
こちらはミシンかな?糸の太さが使い分けられています。
コバ
一枚革を折り返す構造。これもsafujiの特徴。コバがないため、革の手触りを堪能できます。
裁断したコバは磨き仕上げ。光沢が出ています。ツルリとした手触りが気持ち良い。
ブランドロゴ
ブランドロゴは内装に。ひっそりとした型押しで目立ちません。
あとがき
2015年にミニ長財布を購入し、今回、ミニ折財布を購入して気に入りました。ミニ長財布より、もっとコンパクトな財布が良いとお考えの方にオススメの財布です。
小さなボディに使いやすさをギュッとデザインしているのが本作のスゴイところ。たくさんの収納はできないけれど、小さくて使いやすい財布をお探しなら、検討してほしい一品です。