GANZOの創業は、1917年。
100年前から革製品を作り続ける、日本トップレベルの老舗革工房です。
最高の素材を日本の職人が仕立てたアイテムは、どれも上質。仕上げの美しさに定評があります。
いくつかのアイテムがラインナップされています。
私が好きなのはコードバン。ということで、「コードバンシリーズ」からひとつ購入しました。
本ページでは「純札入れ」について、使い勝手、特徴、メリット・デメリットなどを分かりやすく解説します。
GANZOの財布、純札入れ、コードバンの財布を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
スペック
ブランド | GANZO |
---|---|
商品名 | コードバン 純札入れ |
収納力 | ★★★☆☆ |
お札入れの数 | 2 |
お札の枚数 | 20 |
コインの枚数 | 0 |
カードの枚数 | 10 | サイズ | W115×H90×D20mm | 重さ | - |
素材 | コードバン |
使い勝手
男性の私が手にとって、ジャストフィットするサイズ感。
一般的な二つ折り財布と同じくらい。
さて、本作は「札入れ」です。
札入れとは「小銭入れの付いていない二つ折り財布」のこと。お札とカードの収納に特化した財布ですね。
札入れのデメリットは、コインを収納できないこと。
メリットは、「小銭入れ付きの二つ折り財布」よりも圧倒的にスリムになることです。
財布をスリムにすることで、スーツの内ポケットがストレスフリーになります。スーツに限らず、あらゆるポケットにスッと収まりますから、カバンの中も快適です。
スリムこそ正義。そうお考えなら、今回紹介するような「札入れ」はオススメできる財布のカタチなのです。
さて、実際の使い勝手について見てみましょう。
カード
財布を開いた様子がこちら。
両サイドにカードポケットが配置されています。
一般的な二つ折り財布では、右側に「小銭入れ」が備えられているのですが、札入れである本作にはありません。コインを収納するスペースが無いため、とてもスッキリとしたデザインに仕上がっています。
小銭入れを無くす、左右対称(シンメトリ)に財布を仕立てることができます。もちろん、厚みも均等。もっともフラットなデザインにできるわけです。
左右対称ですから、財布への負荷も均等になります。
「小銭入れ付きの財布」はコインの量によって、財布の負荷バランスが均等になりません。コインをたくさん入れるほど、右側が膨らむアンバランスなカタチになります。コインの量によって、財布への負荷がいつも変わってしまうため、型崩れしやすいのです。
コインを入れていないときでさえ、小銭入れの厚み(革やボタン)があるため、均等なカタチは新品のときが最高潮なわけです。
つまり、「キレイな状態で、長く使いたい」なら、札入れは最適な財布です。
(GANZOに限らず、)日本有数の革工房が、小銭入れの付いていない「札入れ、束入れ」を作り続けるのは、こういった理由があるからです。
コードバンやカーフなど高級皮革の財布に「札入れ、束入れ」がラインナップされているのには、こういった理由があるのです。
さて、レビューに戻りましょう。
一般的な二つ折り財布では、カードポケットはせいぜい4つ。
長財布のように、段状にいくつものカードを配置できないため、視認性はあまり高くありません。
札入れのメリットはカードの使いやすさにあります。
一般的な長財布と同等、またはそれ以上に、カードを分けて収納できるのです。
見やすく、取り出しやすく、迷わない。
何枚ものカードを使い分ける人にとって、最適な財布だといえるでしょう。
本作でのカードポケットは8つ。
札入れの中では、平均的な枚数です。
さらに、財布の中央にスリットがあります。
こちらにも収納できます。
マチはありませんから、財布に負担をかけないなら、2枚ほどとお考えください。両サイドに収納できますから、4枚ですね。
こちらは普段は隠れて見えませんから、持ち歩きたいけれど、それほど出す機会がないカードを入れておくのに最適です。
私の場合、
- 免許証
- 保険証
- サブのクレジットカードですね。
まとめます。
本作で収納できるカードは10枚ほど。
小銭入れの付いた二つ折り財布よりも、カードの使いやすさは圧倒的に上です。
お札
札入れは2層式。
- 千円札と一万円札
- 日本円と商品券
- 日本円と外貨
などなど、使い分けることができますから、とても使いやすいです。
よく見てみると、札入れの高さが違います。
これによって、手前の層にお札が入っていることが、直感的に分かります。
こういったデザインは量産品には見られません。
同じサイズで革を切り取り、縫製する方がカンタンで、量産できるからです。革も無駄なく使えて、安価に仕立てることができます。
ほとんどの人は気にも留めないポイントだと思います。しかし、使い手ですら気づかないとろこにこそ、「財布の使いやすさ」が隠れているのです。こういった作り込みこそ、GANZOの真骨頂です。
お札を入れる構造は、一般的な二つ折り財布と同じですね。
マチの無いつくりですから、2層にバランス良く入れて20枚ほどがMAXです。
これ以上入れると、財布が少し開いてしまいます。革は馴染んでいきますから、プラス数枚は収納できるようになるでしょう。
特徴
GANZOの財布は、どれもオーソドックスなカタチです。
本作もまた、一見すると特徴の無い二つ折り財布ですが、細部には、流石GANZOと唸るほどのこだわりが、たっぷりと詰め込まれています。
ここでは、GANZOの代表的な意匠にフォーカスしてご紹介してみます。
最高の国産コードバンを使っている
コードバンとは何か。これを語りだすと長くなるので、割愛します。
革の特徴はこちらをご覧ください。
本作で使われているのは、国産コードバン。私たちが誇るべき日本のタンナー、新喜皮革のものです。
私はいくつかコードバンの財布を持っているのですが、本作のコードバンは鏡のような輝きが特徴です。ギラリと光り、外界を映し出す表情は、流石コードバンといったところでしょうか。
革の王様。
革のダイアモンドと呼ばれる所以はここにあります。
なかなか写真に映すのが難しいのですが、実際には、対象物の色まで映し出されています。(私の指が、肌色に見えるほど)
財布の外装は、オールフラット。ブランドロゴすらありません。
考えてみると当たり前ですが、本作の真髄は、コードバンの美しさにあるわけです。
素材そのものがバツグンに素晴らしいわけですから、余計な装飾は必要ありません。むしろ無粋でしょう。(コードバンの外装に「GANZO」と型押しのロコがあったなら、私は手に取らなかったと思います。)
シンプルな財布はごまかしが効きません。素材と仕立てに自信があるからこそ、革の良さを最大限楽しめるデザインを採用できるのです。
美しい仕上げ
コードバンを引き立てる、ステッチ
外装に見えるステッチは黒。
真っ直ぐで、等間隔なステッチは、ただそれだけで、美しい仕上がりです。流石はジャパンメイドだなと思う満足できる仕上がりなのですが、ステッチはあくまで脇役に徹しています。
コードバンと同じカラーの糸でステッチされています。
コードバンの美しさだけに集中できるようにデザインされているわけです。
日本の財布を手に取ると、こういったところに感動します。財布を使う人が気にいるポイント(本作でいえばコードバンの美しさ)にだけ、自然と目が向かうのです。
内装のステッチがこちら。
こちらはヌメ革に合わせた糸の色。 GANZOのブランドロゴは、内装に型押しされています。威風堂々なデザインですね。
コードバンとヌメ革、それぞれの革の色に合わせて、糸の色を使い分けているのです。
あくまで主役は革。風合いを魅せるためのデザインにGANNZOの心意気を感じます。
コバの、変態的なまでの作り込み
財布は何枚もの革を重ねて、それを縫製することで出来上がります。
ですから、財布の周りは当然、革が重なった状態になります。縫製したままだと、革がむき出しの状態になるわけです。
革の端っこの仕上げを「コバ仕上げ」というのですが、GANZOのコバも美しい仕上がりです。
こちらは4枚ほどの革が重なった部分なのですが、まるで一枚革のようです。
財布のボディは黒、そこに朱色の塗料を載せることで、コントラストが生まれ、コードバンの黒をより引き立てています。
このコバの仕上げは、いたるところに見て取れます。
カードポケットの入り口ですね。カードを出し入れすることで、傷つきやすい部位なのですが、ここまで仕上げられているのは、日本の工房でもほとんどありません。
(ちなみに、GANZOの姉妹ブランドに「fico」があります。生産を海外に移すことで、GANZOに比べると安価なプライスとなっているのですが、その品質はGANZOの圧勝です。もちろん、コバの美しさもGANZOの方が上。本物を求める人はGANZOをセレクトした方が幸せになれるはずです)
本作はすべてこのようにコバ仕上げされています。
革が切りっぱなしになった部分は、1つも見当たりません。
あとがき
今日、コードバンの財布はたくさんのブランドから販売されています。
ただし、国産コードバンを使い、日本の技術の粋を集めたものはなかなかありません。
オーソドックスなコードバン財布を検討中なら、GANZOのコードバンはおすすめの一品です。きっと満足できるはずです。