Crevaleathco(クレバレスコ)の『アニリン染めコードバン L字ジップハーフウォレット』について、使い勝手や特徴、メリット・デメリットを分かりやすく解説します。
特徴
本作の特徴は以下のとおり。
- ミニL字ファスナー財布
- お札、コイン、カードを収納できる
- 素材はレーデルオガワ社コードバン
- コードバンの美しさを堪能できる
- トップクラスの美しい仕上げ
素材、美しさ、仕立て丁寧さ、丈夫さなど、さまざまな点でトップクラスの「ミニL字ファスナー」です。
スペック
ブランド | Crevaleathco |
---|---|
商品名 | アニリン染めコードバン L字ジップハーフウォレット |
収納力 | ★★★☆☆ |
お札入れの数 | 2 |
お札の枚数 | 16〜20 |
コインの枚数 | 10 |
カードの枚数 | 4〜8 | サイズ | W110×H95×H17mm | 重さ | 87g |
素材 | コードバン(レーデルオガワ) |
カタチ、構造
手のひらにちょうど収まるくらいのサイズ感。いわゆる「ミニL字ファスナー財布」にカテゴライズされる1品です。クラシカルな二つ折り財布よりコンパクトで携帯しやすい財布。
素材は、最高峰の国産コードバン(詳細は後述)。Crevaleathcoのブランドロゴさえ入っていません。コードバンこそが本作の主役だからです。
最高級のスムースレザーを継ぎ目なく仕立てています。一枚のコードバンでぐるりと巻いた構造だから、直線と曲線の美しさも堪能できる。
徹底的に作り込まれたファスナーの引き手は、最高峰の技術で仕立てられた証。クレバレスコのお家芸です(詳細は後述)。
とても使いやすい。掴みやすくて、かっちりと硬さがある。開閉もスムーズです。
ファスナーテープの色はコードバンの色と合わせたブラック。ファスナーはエクセラ。歯のひとつひとつが立体的でなめらかに研磨された、YKKの最高峰ファスナーです。
中はこんな感じ。一般的な「ミニL字ファスナー」でも採用されている、左右対称のデザイン。
端っこは折マチになっていて、少し開きます。
中央がコインポケット。その両サイドがお札の収納スペース。
両サイドには、カードポケットが準備されています。
使い勝手
カード、お札、コインの使い勝手を解説しましょう。
カード
片面に2つのポケット。
ポケットの幅が広いため2枚収納することもできる。しかし選びにくくなり、使いにくい。また、いびつに歪みが生じて財布に負担がかかる。だから 1ポケット1枚がいい。
背面にマチがあるため、開きやすくて出し入れがしやすい。
ただし、マチ幅はそれほど広くないため、ファスナーが指に当たることがあります。気になる人は気になるかも。
ポケットは両サイドにある。つまり、カードポケットに4枚収納することができます。
では、四枚以上のポケットはどうするのか?
カードポケットの手前(お札の収納スペース)に入れれば良い。
3,4枚くらいなら余裕で入ります。カードポケットより、こちらの方が出し入れしやすい。「よく使うカード」はこちらへの収納がおすすめ。なお、お札とカードを一緒にすると、カードが見えなくなるので、ちょっと使いにくいです(お札をどけないと、カードが使えない)。
持ち歩きたいカードが8枚までなら、十分な収納力。
「ミニL字ファスナー財布」を選ぶ場合、たくさんのお金やカードを持ち歩きたいわけではないでしょう。「たくさん収納したい」のであれば、本作はフィットしません(Crevaleathcoは長財布もラインナップしていますので、そちらを検討した方がいい)。
コイン
中央の袋状のポケット。「ミニL字ファスナー財布」では定番のデザインです。
さて、コインを入れてみます。マチがあるから、そこそこ収納はしやすい。
一方、同時に取り出せるのは、せいぜい2,3枚ずつ。取り出しやすいとはいえません。マチを広げれば見やすく、取り出しやすくなる。しかし、コインが底に溜まりやすくなるため、財布がいびつに膨らんでしまう。
本作のマチはそれほど広くない。一般的なミニL字ファスナーよりせまく感じるほどです。しかし、メリットもある。マチがせまいから、コインが重なりにくく、縦に積まれやすい。結果、スリムなボディを保つことができる。
10枚くらいコインが入っている方が使いやすい。上部のコインが見やすく、取り出しやすい。
お札
コインポケットの両サイドにお札を収納します。
手で折ってから収納することになるし、お札を広げるて使うことになる。長財布と比べると1アクション増えるのですが、これはほぼすべてのL字ファスナーで必要なアクションです。これが嫌なら本作は合わないでしょう(Crevaleathcoは長財布や二つ折り財布もラインナップしていますので、そちらの方がフィットするはずです)。
中央のコインポケットは少し浮いているため可動する。また、マチもあるのでお札の収納はしやすいですね。
まとめて8枚入れた様子。きちんと入る。
お札入れが2つあるのは便利です。さまざまな区分けができる。
- 一万円札と千円札
- お札とレシート
- お札とカード
片面に8枚くらい、つまり両面で16枚くらいがスッキリと収納できるMaxかな(20枚くらいいけるけど、膨らみが気になってくる)。
カード4枚、コイン10枚、お札16枚を収納してみました。
収納していないときと比べると多少ハリは生まれる。しかし、ポコっと膨らまない。スタイリッシュなフォルムを保ってくれます。
素材
最高級スムースレザー、レーデルオガワ社のコードバン
抜群のスムースさと繊細な光沢を持つ皮革、コードバン。世界有数のタンナーがしのぎを削り、コードバンを作っているのですが、本作で採用されるコードバンはコードバン仕上げを専門とするレーデルオガワ製です。
繊細な光沢は、レーデルオガワ製の証。毛穴ひとつない。いえ、本当はあるのだろうけど、見えないのです。
見た目のとおり、抜群にスムースで、サラリとしています。
トロリとした光沢を堪能できる中央のカーブポイントは、もっとも美しいと思う。
エイジングを楽しめる
本作で採用されたコードバンは顔料が使われていません。また、コードバンもタンニンでなめされています。つまり、コードバンの色・ツヤが変化するエイジングを楽しむことができます。
端正な美しさを楽しめるのは新品のときだけ。
使っているうちにキズもつくし、水に濡れると染みになりやすい。新品のルックスを保つことはできないのです。しかし、メンテナンスしながら使い込むことで、ヌラリとした光沢に変化し、色味も変化していきます。キズ・染みは気にならなくなる。使い手とともに育つ財布なのです。
内装は国産の牛革。こちらもエイジングを楽しめる革です。
コードバンの美しさを堪能できる
本作の主役はコードバンです。とにかくコードバンが美しく見えるようにデザインされています。
たとえば、ステッチは黒。コードバンの色と合わせることで、ステッチラインが主張せず、コードバンを邪魔しない。
ファスナーの止め部もすごい。丸みを帯びるようにコードバンが裁断されています。革をカーブして裁断するのは手間がかかるし、難しい。技術の高さが見て取れます。
見た目が美しくなるだけではありません。機能的な意味もあります。ファスナーを最後まで引いたときに、スライダーが革にぶつからないのです。コードバンの美しさを保つため、カーブさせる設計にしているわけです。
「美しい革製品」の追求
革には表と裏があります。
表面はきれい。
こちらは「裏面」です。スムースに加工しているけれど、表面ほどキレイじゃない。美観や滑らかさは劣ります。
コードバン L字ジップハーフウォレットは、裏面が一切見えません。革の表面だけが見えるように作られた財布です。
革の量が2倍になるだけじゃない。張り合わせてキレイに裁断する必要がある。高度な技術も必要なのです。
クオリティ
とにかく丁寧に作り込まれています。
贅沢なつくり
ポケットの仕立てもすごい。革を折りたたんで作られていて、ポケットの底まで「革の表面」が使われているのです。2倍の革を使った贅沢なつくり(一般的に、ポケットの内側には「革の裏面」が使われます。表面の方がずっとスムースで高級感があります)。
使いやすさと気持ちよさ
引き手がすごい。五角形のソリッドなカタチ。それでいて、柔らかさも感じられるのは、引手がぷっくりと膨らみを帯びているから。
美しいフォルムはCrevaleathcoの技術力の証。立体にカタチ作るため、芯となる素材を引手の中央に閉じ込めているのでしょう。捻も引かれています。手間のかかかった美しいパーツです。
「上質な財布」を見抜くポイントはいくつかあるのだけど、「ファスナー財布」であれば引き手がポイントです。本作は安くない。それはコードバンが高価なだけでなく、財布を開くためにもっともふさわしいパーツを丁寧に作り込んでいるからです。
耐久性も考え抜かれた設計
カードポケットはわずか1mmほどの厚み。しかし、ハリがある。これ、裏側にも革が貼られているのです。ポケットの入り口が磨きコバになっているのは二枚の革を張り合わせているからですね。
革を張り合わせることで、財布全体がカッチリとしたハリ・コシが生まれる。財布がたわみにくく、耐久性も上がる。「ミニL字ファスナー」はさまざまなブランドがラインナップしているわけですが、本作はそれらと一線を画するのは最高級の素材と仕立ての美しさだけではない。長く使い込んでも「型崩れが起きにくい」ように固く作られている。
目に見えない部分の作り込みこそ、上質さを物語るポイントです。Crevaleathcoの製品はきちんと作られていますね。素晴らしいプロダクトです。
ステッチ
ストレートラインからカーブまでキレイ。これ、手縫いなんです。
3mmほどの緻密なピッチ。手間をかけています。
コバ
張り合わせた革の断面、コバです。
光沢は控えめです。マットな仕上がり。
垂直に切っただけじゃない。エッジを落として丸みをだし、磨いて仕上げられています。触れて気持ちいい。
ファスナーのある箇所も。すべての断面がコバ仕上げされています。
捻引き
フチに引かれたラインを捻(ねん)といいます。キリッと引き締まる表情になる。カーブラインも美しいのは職人のスキルが高い証。
内装のポケットもしっかりと引かれています。
パッケージも美しい
Crevaleathco定番の青いパッケージ。金色のロゴが高級感を演出しています。
丁寧にくるまれているのも嬉しい。
あとがき
アニリン染めコードバン L字ジップハーフウォレットは安くない。しかし、その価値に見合う徹底的な作り込みがされています。
コードバンを使っているから高いわけじゃない。ファスナーの引き手、ポケットのつくり、薄さと耐久性をバランスさせたつくり。細部の美しい仕上げ。
コンパクトな製品だけど、所有する喜びと長く使える製品として作り込まれている。
上質なミニL字ファスナー財布をお探しなら、本作はおすすめの逸品です。