本ページでは、革の種類と特徴について解説します。
革は、さまざまな動物から作られています。そして、動物が違えば、革の特徴も変わってきます。
では、牛革、豚革、馬革、どれがよいのでしょうか?
最後までお読みいただければ、革製品を購入するときに、どの動物の革が最適なのか分かるようになります。
目次
牛革
多くの革製品に利用される、メジャーな革です。毛穴が目立ちにくいため、きれいな表情が楽しめます。
ちなみに、日本では年間4,000万枚もの牛革が生産されています。日本の革の生産量の6割にあたり、ダントツの流通量を誇ります。
「牛革」とひとくくりにされがちですが、性別や年齢によって分類されており、特徴や得意な製品が異なります。
カーフ
牛革は牛の年齢によって、区分けされます。中でも最高級の牛革が、カーフ。
カーフレザー(カーフスキン)は生後6カ月以内の仔牛の革です(生後3カ月以内のカーフはベビーカーフと呼ばれます。)。
牛の重量で呼び名が変わります。約9.5ポンド(4.3kg)以下の軽い子牛の革をライトカーフ。15ポンド(6.8kg)までの重い革をヘビーカーフといいます。
成牛に比べると線維組織(キメ)が細かく、滑らかな手触りと厚みがないのが特徴です。キズが少ないため美しく上品な質感を表現でき、高級な素材として利用されます。
産地によってことなりますが、基本的には高値で取引されることが多いです。キメが細かい分、傷がつきやすいですがお手入れした時のツヤ感は非常に高級感が漂います。
有名なカーフは、シュランケンカーフ(ドイツシュリンク)、ノブレッサカーフ、クリスペルカーフなどですね。
キップ
性別は関係なく、生後6カ月~2年以内の牛革を指します(1年くらいまでとの説もあり)。
カーフよりも成長しているため、若干キメが粗いものの、革に厚くなり、繊維の密度も高まります。結果として、カーフよりも少し固めで丈夫さが増しています。
カーフと並んで牛革の中では高級素材として扱われているのも特徴です。
カウハイド
出産経験のある、生後2年以上のメス牛の革です。
後述するステアハイドよりキメが細かいです。主に背中の部分が使用されていることが多いです(腹部は出産によって伸びやすくなっているため)。
カーフやキップよりも大きな面積があり、厚みもあるため、さまざまな製品に使われます。大きなカバンやレザージャケットなどに使用されます。
ステアハイド
生後2年以上のオス牛の革です。
他のオス牛と最も違う点は、生後6カ月以内に去勢されるという点。穏やかな性格をしていて暴れることもほとんどないため、身体に傷が少ないです。
私たちが食べる牛の多くがステアです。そのため、流通量が多く一般的に牛革というと、ほとんどがステアハイドとなります。
ブルハイド
2年以上去勢されなかったオスの革。
牛革の中でもっとも革が厚く、硬さがあります。強度の必要な部分に使用されることが多いのが特徴です。
バッファロー
水牛の革です。牛革に比べると厚手で丈夫、少し重みが増します。
しなやかで強い特性からハードに使うアイテムには最適です。土屋鞄のアルマスシリーズは男性に大変人気があります。ちなみに、アルマス バッファロービジネストートを愛用しています。
馬革
馬の革は、レザージャケットで使わることが多く、財布などの小物ではあまり使われません。
高級なコードバンもありますね。
コードバン
抜群になめらかで、独特の光沢を放ちます。
一般的な革とはそもそも違います。牛革も豚革も、動物の皮膚の表面を使っています。
一方、コードバンは、馬のお尻の皮の中間にある「シェル層」と呼ばれる部位を削り出した革です。この部位を更にローラを使って強制的にスムースに仕上げて完成させる技術も必要になるため、非常に高価です(有名なイタリアレザーの6〜10倍くらいの価格)。
コードバンはいくつかの会社(タンナー)が作っていて、それぞれ、色、ツヤ、質感、香りなどが違います。有名なのは、ホーウィン社や新喜皮革社、レーデルオガワ社ですね。
山羊革(ヤギ)
山羊革は、しなやかなカバンや手袋など、多くの製品に使用されます。
パット見、牛革や羊革のように見えますが、表面のシボが特徴。牛革などは型押しやシュリンク加工でシボを出すのですが、ヤギ皮は自然に凸凹が生まれます。
生前の表情がシボとなるわけですから、均一さの点では型押しに及びません。その代わり、繊細で自然なシボとなります。
ハリがあり、弾力性に富みます。他の革よりも型崩れしにくい所もメリットです。
ゴート
大人の山羊から作った革をゴートと呼びます。線維密度が高く美しい表面です。
さらに「手もみ」などを施した革もあります。たとえば、アルランのゴートは手もみです。ヤギ革本来のシボが更に際立っています。
キッド
仔山羊の革。ゴートスキンよりも極めが細かいのが特徴です。
羊の革
羊の革は、柔らかくて、なめらかです。革の繊維構造が特殊で、保温効果があるため、手袋などに使われることが多いです。
大人の羊は、シープスキン。子供の羊は、ラムスキンと呼ばれます。
ラムスキンの方がキメが細かく、高価です。
豚革
豚革は100%日本国内で自給しています。日本では食肉消費のNo1が豚であることも理由の一つですね。たくさん食べるため原皮も豊富です。
手に入れやすさはダントツですが、なかなかメジャーにはならないですね。理由は表情でしょう。3つずつ並んだ毛穴が特徴。毛穴によって通気性に優れるため、靴の中敷きや衣料品に使用されています。一方、毛穴は美しさを感じにくく、革製品の表面には積極的に利用されにくい素材です。
毛穴が目立たないように加工された豚革もあります。海外の高級ブランドでも重宝されています。ただ、高価(牛革とほとんど価格が変わらない)ため、なかなか採用されません。
鹿革。軽くて柔らかな革。
一般的に使われるのが子鹿の革。ディアスキンと呼ばれています。
色あせに強く、軽くて丈夫、しっとりとした風合いから「レザーのカシミア」という異名があります。
線維組織に脂が含まれているため、ブラッシングするだけで美しさを保ちやすいのも特徴です。主に衣料品の材料として使用される事が多いレザーです。
カーフよりも高価?カンガルーレザー
ほとんどがオーストラリアからの輸入で、生態系のバランスを保つため捕獲量に制限があるため高級素材として扱われます。
活動的な動物であるため、革の表面にシワが多いものの傷は少なく強度があります。
球技のスパイクに多く使われ、最近ではスニーカーにも使われています。スピングルムーブがその代表で、カンガルーレザーをオールmaid in japanで作り上げたスニーカーは高品質かつスタイリッシュなデザインが好評です。
ゾウの革
シワの入った表情が特徴です。柔らかく、しなやかですね。水・傷などにも非常に強く、ガシガシ使える素材です。
エキゾチックレザーの中でも希少な革ですね。食用されず、ワシントン条約によって保護されているため流通量が非常に少なく、とても高価です。
牛よりもずっと大きな動物です。背中、鼻、耳、などのさまざまな部位が革として使われます。部位によってシワの入り方が異なるため、できれば見て選びたいですね。または、信頼できる革工房にオーダーするのが良いかなと思います。
カバの革
ヒポポタマスとも呼ばれます。ゾウの革と似ています。
凹凸がかなりはっきりしていて、少し起毛したような質感です。部位によってブツブツしている箇所があるので、好みのが分かれるかもしれません。
非常に丈夫な素材で、水、傷にも強いです。
トカゲの革(リザード)
小さいため、財布などの小物向きです。とても高価です。小さなトカゲでは面積が足りず、財布を作れないこともあります。
厚みが1mm未満のため、製品にするには革を貼り合わせる技術も必要となります(耐久性の向上のため)。そのため、製品価格も高価になります。
クロコ同様、部位によって模様が違うのが面白いところ。お腹の中央と脇腹では、ウロコのカタチが違います。
ただ、ウロコは小さいため、どの部位であっても満足できるはず(クロコは、部位によって表情の差が顕著なため、見て選んだ方が良い)
光沢のあるもの、マットなものと、様々な仕上げがあります。
ワニの革。最高級のエキゾチックレザー
クロコ、クロコダイルなどと呼ばれます。
エキゾチックレザーの中でももっとも高価です。部位によってウロコの模様が異なりますし、ワニのサイズによって、ウロコのサイズも変わる。さらにクロコの種類によっても模様が変わります。
例え、同じ種類のワニの、同じ部位を使ったとしても、模様がそれぞれ違うため、製品の表情も異なります。まさに唯一無二と言えるでしょう。できれば実物を見て選びたいですね。
ワニの革は大きくありません。ワニ革1枚で4万円以上するため、ワニ革を使った製品は非常に高価になります。ちなみに、長財布は1匹から1つしか作ることができません。
一口でクロコと言っても、ナイルクロコ、シャムニワニなど多種多様。中でもスモールクロコは、ウロコが小さく並びも綺麗な個体が多いため、高値で取引されます。
ただし、スモールクロコが他のクロコより良いとは言い切れません。ワニの種類よりも、製品に合った模様かどうかがキモになるでしょう。
例えば、小さなキーケースならウロコが小さい方が良いかもしれないし、大きな長財布なら、ウロコが大きく、並びが綺麗な方を気にいるかもしれない。クロコが好きならいろんな種類のクロコを見てみて、好みで決めると良いでしょう。
サメの革(シャーク)
繊細な凹凸が並ぶ表情が特徴です。凹凸の度合い、模様は部位によって違います。
こちらはクロムなめしのサメ革です。柔らかくしなやかですね。
エレファントやクロコと比べると安価ですが、それでもイタリアの高級皮革と呼ばれるものよりは高価です。
あとがき
ざっと並べてみると、こんなにもあるんだなぁと自分で感心してしまいました。
普段何気なく使っている革製品も、動物が変われば特徴も変わることが分かっていただけたでしょうか。
使われるレザーによって特徴があるので、お気に入りの製品を今一度確認してみると、より一層愛着が沸いてくると思います。
革の種類を知って、今後の革選びの参考になれば幸いです。
以上、動物が変われば特徴も変わる!知っておきたい代表的な革の種類……の紹介でした。