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nine 革のリュックのレビュー。イタリアの革を贅沢に使った、オーダーメイドリュックの使い勝手、特徴について

革工房nineにオーダーした、革のリュックが届きました。

特徴は以下のとおり。

  • 革のバックパック
  • 美しいフォルム
  • 4つの収納スペース
  • たっぷり収納できる
  • デイリーユースから1泊2日まで
  • イタリアのオイルレザーを贅沢に使用
  • 色・ツヤが変化するエイジングを楽しめる

本ページでは革のリュックの使い勝手、特徴、メリット・デメリットについて解説します。

スペック

ブランドnine
商品名革のリュック
タイプバックパック
機能メインコンパートメント、フロントポケット、サイドポケット×2
サイズ-
重量1.1kg
素材牛革(ロスティバーレ社 ネブラスカ)
価格(税込み)オーダーメイド品

オーダー内容

本ページで紹介する「革のリュック」はnineがラインナップする定番モデルとは異なります。職人さんに相談しながら、定番モデルから以下の変更を加えたフルオーダーです。

  • ペン差しを削除
  • 持ち手をひとつ削除
  • フロントポケットのサイズ変更
  • ファスナーをエクセラに変更
  • ショルダーストラップの幅変更

カタチ・サイズの変更を伴うオーダーメイド(フルオーダーメイド)では、オーダー費用がかかります。定番モデルより数万円、高価になりました。また、サイズ設計からしていただくため、時間もかかります(定番モデルは在庫があればすぐに買える)。

ちなみに、定番モデルも触ったうえで、私の用途に合わせてオーダーしています。本ページでは定番モデルとオーダー変更の差分についても解説しますので、参考にしてみてください。

カタチ・構造

リュックサック(バックパック)にカテゴライズされます。両肩で支えるため、たくさんの荷物を入れても負担にならない。両手が空くのもメリットですね。 

素材はイタリアの老舗タンナー、ロスティバーレ社のオイルレザー(詳細は後述)。やわらかく、しなやかな革です。

プロポーションが美しい。

革のリュックはさまざまなブランドが作っていますが、直線とカーブで構成されたカタチはユニークです。

フォルムに目を引かれますが、きちんとしたリュックです。nineの職人さんはカバン職人さんです。使ったときの負荷のかかり具合、使い勝手、耐久性などを考慮して設計しているとのこと。たとえば、底面が傾斜しします。

このカタチによりリュックを背負ったときに、荷物が体(背中側)に寄る。リュックはその構造上、荷物が底に貯まる。体に寄り添うカタチになることで、より軽量に「感じられる」。理論と実践に基づいて設計されたカバンだと感じました。ちなみに、アークテリクス22な度でも採用されています。デメリットは自立しないこと。立てかけるか、フックにかけることになる。
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華美な装飾はありません。定番モデルだと、フロントトップに「ペン差し用のポケット」が付属します。ここもオーダーした部分。外してもらいました。

引っ掛けるためのループ。こちらは定番モデルだと2つループがついているのですが、1つに変更のオーダーメイド。 

重いものを詰め込んでフックに引っ掛けるなら2つループの方が負荷分散できて良いでしょう。ただ、私はそういった使い方はしないし、1つの方がシンプルに使えると思いました。

フロントポケット。

留め具はひも。のように見えるんだけど、これは飾りです。

じつはマグネット。1アクションで開閉できるフラップ構造。

内部はマチがあるつくり。こちらのポケットもオーダーメイド対象。A5サイズ+αが入るように大きくしてもらいました。

両サイドには袋状のポケット。ペットボトルや傘を入れたりできる。

ファスナーの引手にもボディと同じ革が使われています。糸の色がオレンジ。ワンポイントでこの糸だけ色が違います。

ファスナーはダブル仕様。両サイドに開くことができる。

ファスナーもオーダー変更しています。YKKの最高峰ファスナーエクセラを使ってもらいました。なめらかで光沢のある高級感は、エクセラだからこそ。もちろん、なめらかに開閉します。

内部はファブリックが貼られています。ここもオーダー変更しようと思ったのですが、イベントで実物を見て定番にしました。

麻かな。やわらかな風合いで、革とリュックのフォルムと合うんですよ。

仕切りは、背中側にひとつだけ。インナーポケットがあると便利なときもあるけれど、使わないときは邪魔ですし、いざとなればバックインバックで代用できますから。

ストラップもオーダー変更しています。定番モデルより、少し幅広にしてもらいました。人によっては定番モデルのほうが好きかもしれない。太くすると少し男性好みかなと思います。ただ、幅が広くなると機能的な効果もあります。肩へのあたりが優しくなるので、たっぷり詰め込むことも考慮して、幅広にしてもらいました。多少重くなるのはデメリットですね。

身体に当たる面に、革のフチ(コバ)がないように作られています。身体へのあたりが優しくなるし、ストラップへの負担も均等になる。使っていて気持ちいい、機能的なデザインです。

ストラップの下部は、帆布かな。革ではないです。長さを調整できる機能がついています。

使い勝手

フロントポケット

すぐに取り出したいアイテムは、ここに入れたい。オーダーしたとおり、A5ノートが余裕をもって入る。

長財布も入ります。

ゆとりがあるので、きつくない。

マグネットによって抑えるつくり。ワンアクションで快適に開閉できるので、アイテムの出し入れがカンタンだし、効率的。

ただし、ファスナーに比べるとしっかり感はない。貴重品を管理したいなら、ファスナーの付いたメインコンパートメント(後述)の中に入れたほうが良いでしょう。ここは出し入れのしやすさとののトレードオフです。

サイドポケット

ペットボトルが入るのがいい。両サイドにあるから、傘も入りますね。

キンキンに冷えたペットボトルや、濡れた傘を入れるのは注意。染料仕上げのタンニン革なので、水が付くとシミになります。ただし、これが気になるのは最初だけでしょう。使い込むとグッと色味が深くなるので、水シミも目立たなくなるはず。

メインコンパートメント

背中の方には仕切りがある。ファブリックで柔らかいです。仕切りは薄く、マチがありません。つまり、使わないときも無駄にスペースを取ることがない(厚い生地だとしっかりとした安心感はあるけど、その分スペースを取ってしまう)。収納するなら薄いものが良いかな。

大きすぎないから良い。バックパックの構造上、収納アイテムが縦に積み上がりがちになるため、大きすぎても取り出しにくいのです。ファスナーを両サイドまで全開すると、見やすいです。出し入れもしやすい。

底からファスナーまで40cmほどあります。左右はカーブしているのでもう少し低いのだけど、A4ノートサイズを余裕で収納できる。

Mac Book Pro 15インチ。カバー付きを入れてみました。入りません。

iPad Pro 11インチ、カバー付きを入れてみました。PCやiPadなどの精密機器を入れるときはカバーがあったほうが良い。本作の内装は麻のようなファブリックで断衝材としての効果は見込めないからです。

ペットボトルを追加。かなり容量がある。これだけ入れても余裕です。

男性なら1泊2日の旅行でも行けるんじゃないかなと思う。

特徴

ロスティバーレのネブラスカを贅沢に使用

本作の売りのひとつは、素材です。イタリアの名門タンナー、ロスティバーレ社のオイルレザーが全面に使われています。シボのある肌目。ややマットよりですが、薄っすらとツヤも感じる。

ロスティバーレ社はさまざまな革を作っているのだけど、シボのある表情、手触り、香りから「ネブラスカ」だと思う。高価な革をたっぷりと使っています。ここまで贅沢なリュックは、本作以外には存在しないんじゃないかなと思う。

部位によってシボの出方が違います。シボが多い部位。

シボがほとんどないところも。表情の違いは、ネブラスカが型押しではない革だから。どんな表情のリュックになるかは届いてみてのお楽しみ。個体差もまたアジです。

優しい手触り。ついつい触りたくなる。新品のときから少し油分を感じます。革のイメージどおり、キュッとした質感もある。

しなやかで、柔らかい。荷物を入れるとキチッとしたフォルムになるし。

スカスカだと、少しくたっとする。質感はミネルバボックスに近いです。

ちなみに、シボがあるからといってキズが目立たないわけではない。やわらかな肌目なので、ひっかきキズは付きやすいです。

はじめてキズが付くとショックを受けるものですが、エイジングによってほとんど目立たなくなるので、ガシガシ使いましょう。

色・ツヤが変化するエイジングを楽しめる

染料仕上げのタンニン革のため、色は深くなり、ツヤが上がってきます。つまり、この表情を楽しめるのは新品のときだけです。

使っているうちに少しクタッとしてくるはず。質感・カタチの変化もまたエイジングです。

本作がどのように変化するのか、非常に楽しみです。Youtubeやinstagramなどでご紹介しようと思います。

重量

約1.1kg。革のリュックにしては軽いほう(ちなみに、定番モデルのほうが軽いと思います。オーダーにより定番より多くの革を使っているため)。アークテリクスのアロー22は1kgくらいあるので、ほとんど変わらない。

仕上げ

コバは染料を入れずに、磨いた仕上げです。ロスティバーレの革の魅力を引き出す仕上げですね。磨いて光沢が出るのは、しっかりと繊維が詰まっている証。塗料が剥がれてくることはありません。

ストラップも。身体に当たらない部位も磨かれてます。 

小さなパーツも磨かれています。

ステッチ

ミシン縫いだと思います。革の色と合う。わずかに糸の色が濃いけど、これでいい。ロスティバーレの革は濃くなっていくから、糸目と馴染んでいきます。

細部まできれいに縫わています。

あとがき

革のリュックサックは高価だし、軽くないし、雨の日は気を使う。使い手を選ぶと思います。

でも、革が好きならやっぱり良い。デメリットを払拭してくれるだけの魅力が、革のリュックサックには詰まっています。