本日ご紹介するアイテムは、日本の革工房three2fourの1品。
小さな財布、『POCKET』です。
特徴はこんな感じ。
- 小さなL字ファスナータイプ
- スリムなフォルム
- コインが使いやすい
- 最高の皮革を贅沢に使用
- 細部まで丁寧に仕上げられている
薄くて使いやすい、ミニL字ファスナー財布をお探しの方は、参考にしてみてください。
スペック
ブランド | three2four |
---|---|
商品名 | |
収納力 | ★★☆☆☆ |
お札入れの数 | 1 |
お札の枚数 | 10 |
コインの枚数 | 20 |
カードの枚数 | 4 | サイズ | W105 × H95 × D10mm | 重さ | - |
素材 | ※ |
※革によって値段が違います。
※本ページで紹介しているモデルは、ホーウィンシェルコードバンのモデルです。
動画
コードバンの陶器のような光沢。作り込みのこだわりや、ユニークな使い勝手が伝わるように、動画にしてみました。
120時間ほど、パンツのポケットで使った状態。エイジング検証です。
使い勝手
POCKETは「ミニL字ファスナー」にカテゴライズされる財布です。土屋鞄をはじめ、各ブランドからラインナップされている人気の財布ですね。
ほぼ正方形のフォルム。片手に収まるサイズで、一般的な「二つ折り財布」と比べると、ずっとコンパクトです。パット見、サイズは他ブランドのミニL字ファスナーと同じくらいに見えます。
しかし、極めて薄い。
小さくて薄い。だから、ジーンズのポケットに入れて、手ぶらで出かけられる。このバツグンの携帯性も、POCKETを気に入った理由。気軽に使えるから「POCKET」と名付けられているのかもしれません。
ファスナーの引き手は、小さくてプラつかない。邪魔になりません。
コバは丁寧に仕上げられています。日本有数の革工房と比べても、トップクラス。奥行きのある透明感と光沢。まるで木目のような美しさを堪能できます。手間をかけて磨いた証です。
写真では伝わりにくいかもしれませんが、微細にラウンドしたフォルムに仕上げられています。つるりとした手触りが、とても気持ちいい。
ほとんどの人は、引き手を気にしないかもしれません。
しかし、チェックしてほしいポイントです。
なぜなら、財布とは日常で使う「道具」だからです。本作のような「ファスナーを開いて使う財布」の場合、引手は「もっともよく使うパーツ」なのです。それが、ちょうどいい厚みでハリがあるから掴みやすく、しなやかに曲がるからファスナーも引きやすい。
仕上げが美しく機能的であることは、ブランドの良心と職人のプライドが垣間見えるポイントです。シーズン売りのために、量産されるアパレルブランドの財布では、このようなコバの仕上げは絶対にありえません。技術も手間も必要になるため、高価になりすぎて売れないからです。
ファスナーは、YKKのエクセラ。アンティークゴールドのカラーは、目立たないため、革の美しさに集中できます。
ファスナーにも、さまざまなものがあります。中でもエクセラは最高峰。ひとつひとつの歯が研磨されているため、見た目が美しい。また、耐久性が極めて高いのもポイントです。刃こぼれしたり、ファスナーが馬鹿になることがないため、長く使える。
開け閉めは、最初からスムーズです。(これは個体差があるかもしれません。エクセラの財布をいくつか持っていますが、モノによってはスムーズでないものもあります。ただし、次第にスムーズになっていくのでご安心ください)
内装は非常にシンプル。仕切りが1枚あるだけです。中のつくりが独特ですね。シンメトリなデザインでないのには、理由があります(後述)。
カード
カード専用ポケットはありません。
仕切りで分断された、スペースのどちか、あるいは両方にカードを収納できます。
使い方は人によるでしょう。
私がPOCKETを使うシチュエーションでは、たくさんのカードを収納しません。
- 免許証
- クレジットカード
- クレジットカード(サブ)
3〜4枚なら、右側で十分。それ以上入れるとなると、マチが無いためちょっと使いにくいですし、仕切りがアンバランスに曲がってしまう。
左側はマチがあるため、ガバっと開きます。こちらの方が見やすいですね。ただし、こちらにカードを入れるのはおすすめできません。コインの収納スペースとして使えなくなるからです。
お札
お札は2つに折って収納します。一般的なミニL字ファスナーと同じですね。
これは好みが別れるポイントです。
というのも、二つ折り財布、長財布のように、お札をそのまま収納できるわけではなくて、「折ってから収納する」1アクションが必要になるからです。
ただ、カード決済や、電子決済をすることが多いなら、あまり気にならないでしょう。そもそも現金を使わないなら、「お札を使う」シチュエーションも少ないからです。
収納枚数は、カードと一緒に右側のスペースに入れるなら、10枚くらいまで。
もうちょっと入りますが、スタイリッシュなルックスがぼってりとしてしまいます。
私は2万円くらいしか持ち歩かないので、十分です。
コイン
コインポケットが、POCKETの真骨頂です。
一般的なミニL字ファスナーのコインポケットはこんな感じ。
ポケットのループが小さく、深いため、沈み込んだコインを取り出すのが難しいのです。コインが見にくく、つかみにくく、ファスナーも手に当たりやすいから気持ちよくない。(カードを入れたり、カギを入れたりと工夫できるのでデメリットとは言い切れないのですが)
一方、POCKETは、上記のようなポケットを設けていません。左側のスペースに収納することになります。
マチの付いた側をコインポケットとすることで、ガバッと開く。
コインをスムーズに収納できる。見やすくて、取り出しやすい。
お会計のときにコインが使いにくいと、ついついお札を出してしまいたくなるはず。しかし、POKCETでは、そうは思いません。コインが使いやすいから面倒に思わない。ピッタリと支払いたくなる。結果としてコインが増えにくく、財布をスリム・コンパクトに保つことができるわけです。
特徴
ホーウィン社、シェルコードバンを贅沢に使用
本ページでご紹介しているPOCKETの素材は、ホーウィン社のシェルコードバン。言わずと知れた、最高級のスムースレザーです。
反対の面にも、ブランドロゴなどの装飾が一切ありません。上質な素材を使った、美しいプロダクトには必要ないからです。シンプルなものは誤魔化しが効きません。本作に限らず、「良いもの」を見極めるポイントだと思います。
カラーはバーボン。ブラックや#8よりも淡い色合いです。色の濃淡や、毛穴がより目立ちますね。
この「ラフな表情」もホーウィン社シェルコードバンの魅力です。「均一な美しさ」を求めるなら、新喜皮革社のコードバン財布をチョイスしたほうが幸せになれると思います。
コードバンの一枚革でぐるりと巻いた、つなぎ目のない仕立てです。コードバンの美しさ、手触りの良さを十分に堪能できます。
内装の仕切りもコードバン。POCKETの中で、もっとも厚みのあるパーツ。ペラペラではなくて、しっかりとハリがあります。コードバンマニアも十分に満足できます。
折込マチのパーツもコードバン。とろりとした光沢感がたまらない。
内装は、革の床面(裏側)がそのまま見えるため、インクやら毛穴がダイレクトに見える荒々しい表情。これで、新品なんです。
革には「表」と「裏」があります。
革製品の「顔」として使われるのが、表面です(銀面とも言われますね)。綺麗に仕上げられる面ですね。
一方、裏面は表ほどきれいじゃない(厳密には、コードバンには表裏がないという考えもありますが、長くなるので割愛)。
で、ここからはマニアの世界ですが・・・。
ホーウィンシェルコードバンの面白いところは、裏面です。裏面の表情は、個体差が激しい。コードバンマニア(私)が、惚れ込むところです。だからPOCKETでは「あえて裏面を見せる」デザインにしているのかもしれません。
仕切りの、反対面も裏面ですね。
ただし、これは好みが分かれるポイントでしょう。
他ブランドの財布には、内装も革張りされているものがあります。つまり、革の表面しか見えないのです。こちらのほうが「上質感」があるように思います。
一方、POCKETでは、ファスナーテープが見えています。ここも好みが分かれるかも。エレガントな美しさを求めるなら、合わないかもしれません。
ホーウィン社 シェルコードバンの色・ツヤの変化を楽しめる
バーボンは色、ツヤの変化が顕著です。
また、カード、コインを収納することでカタチも変化します。
購入してから約2年のバーボンです。
薄くて、そこそこ入る
POCKETは、わずか3枚の革でできていて、裏張りをしていません。だから、極めて薄い。
たとえば、内装も革張りすることで、より上質感を演出することもできるでしょう。しかし、厚く、重くなりますし、手間が掛かる分、値段も上がります。POCKETは、薄さを優先した財布なのです。
マチがあるから、たくさん詰め込んでも大丈夫。
マチが広がってサポートしてくれるから、一部分がボコッと膨らむことがない。スタイリッシュでスリムなフォルムをキープできるわけです。
あとがき
POCKETの特徴をまとめてみましょう。
- 使いやすいから、長く愛用できる
- 上質な革で丁寧に作られているから、満足度が高い
- 小さくてスリムだから、どこにだって快適に持っていける
- 他ブランドとは一線を画すデザインだから、使う楽しみがある
これらを満たすミニL字ファスナーは、なかなかありません。
あえてデメリットをあげるなら、非常に高価というところでしょうか。「ミニL字ファスナー」というカテゴリの中では、最高クラスのお値段です。(高価だからこそ購入する人は限られる。だから人と被らない。この点においてみると、高価格なのはメリットかもしれませんね)
価格にはこだわらない。人と違う、使いやすくて上質な財布がほしい。
であれば、POCKETは検討の価値ある逸品です。