「腕時計の革ベルト」のオーダーは難しいものです。
というのも、私自身、満足するオーダーができるようになるまで、失敗を重ねてきたからです。
本ページでは私のオーダーの失敗談を活かして、「間違いのない 腕時計革のベルトオーダー方法」を分かりやすく解説します。
最後までお読みいただければ、「満足できるオーダー」を体験できるはず。
腕時計のオーダー前に、ぜひ押さえてみてください。
革ベルトのオーダー方法
オーダできる工房を探す
Webサイトでオーダを受け付ける工房がたくさんあります。
Instagramをしている職人さんなら、DMして相談すると良いでしょう。
好みの革、色を決める
表面はベルトの顔になります。お気に入りの革、色を選びましょう。
クロコ、リザード、カーフ、コードバンなど、さまざまな革があります。
しかし、すべてを取り扱っている工房はありません。
たとえば、ガルーシャ(エイ革)は仕立てることができる職人さんが限られるし、新喜皮革のコードバンはあるけど、シェルコードバンは取り扱っていない工房もあるのです。
お気に入りの工房があるなら、その職人さんにお任せするのはありだと思います。しかし、「好きな革」で作りたいなら、「取り扱っている革」で工房を探すのが良いと思います。
革は、裏面も決めましょう。
肌に触れるパーツのため、「装着したときに気持ちの良い素材」を選ぶのがおすすめ。
革を選べることがオーダーの醍醐味ですね。しかし、好きな革がベルトに適しているとは限りません。
たとえば、ベルトの両面をコードバンにしてもらったことがあるのだけど、ハリが強すぎてフィット感がイマイチでした。あと、汗が付いたためか輝きも失われてしまった。高価な素材が正解とは限らないのです。身につけるアイテムだからこそ、見た目と機能性にこだわるべきです。職人さんのオススメの革からチョイスしてみるのも良いでしょう。
サイズを測る
以下のサイズをmm単位で測定しましょう。
- 尾錠をつけるベルト長
- 剣先のベルト長
- ラグ幅
- 尾錠幅
1.尾錠を付けるベルト長
革工房によって、長さの測り方が違います。どちらか確認しましょう。
「ベルトの全長」または「ピン位置からの長さ」です。
測り方によって、1mmほど長さが違うので注意しましょう。
2. 剣先のベルト長
お持ちのベルトを装着して、ベルト長を調整してください。
3.ラグ幅
時計に取り付ける幅。ピンのある側です。
正確に測りましょう。1mm大きいと装着できないし、1mm短いと隙間でブレます。
念の為、時計の公式サイトでラグ幅のチェックをオススメします。
すでにジャストフィットのベルトをお持ちなら、そのベルトを工房に送るのも良いかもしれません。
4. 尾錠幅
バックルを付ける側。
取り付ける尾錠やDバックルが決まっているなら、ピンの装着する部位の長さを測ってもOK。
ベルトの厚みを決める
※厚みの変更ができない工房もあります。
2〜3mmがオーソドックスですね。
時計ケースに厚みがあるなら「ベルトも厚い方が良い」と、思うかもしれません。
以下は厚み4mmほどでオーダーしたベルト。コバが目立ち、迫力が生まれます。時計ケースのラグ厚と同じくらいの厚みのほうが、一体感を感じるかも。好みで決めれば良いでしょう。
よりダイナミックな表情を求めるなら、ベルトの中央に芯材を入れる「肉盛り」をお願いするものアリでしょう。丸みを帯びるため、光を受ける角度によって、コロコロと表情を変えてくれます。
厚みがあるとハリも強くなるため、寿命も伸びるかもしれません。
ただし、注意点がひとつ。
曲がりにくいためフィット感はイマイチに感じるかもしれません(手首の太さや形状にもよると思います)。
では、何mmが正解なのか?
フィット感や装着のしやすさを重視するなら、2mmくらいの厚みが良いと思います。
個人的にはこっちが好みですね。
ステッチの色を決める
革とステッチの色を変えると、ステッチが目立つ。
一方、革と同色にすると、革の主役感が増します。
糸の色を変えて、コントラストを効かせるのも面白いです。細やかなピッチほどステッチの美しさが映えます。
バックルの種類を決める
一般的な尾錠(ピンバックル)をつけるなら、取り付けるためのホールが必要。
Dバックル専用なら、ホール不要です。スッキリとしますね。
バックルピン 穴の位置、穴の数を決める
バックルピンを差し込むための、位置を決めましょう。
バックルの種類によって、位置が変わるため注意が必要です。
お使いのバックルと合わせて計測するようにしましょう。
- ピンバックル
- Dバックル(三ツ折タイプ)
- Dバックル(観音開きタイプ)
時計側(バネ棒芯側)から計測して、XXmmと伝えると良いでしょう。
私は左手にも右手にも装着するし、左右の手首サイズが違う。
また、時計の装着位置も変えるので、3つ穴にしています。
穴は少ないほうが、革の美しさに集中できる。また、汗をかいたときに革の中に浸透しにくくなるはずで、耐久性も増すかもしれない。
いつかは1つ穴にしてみたい。オーダーベルトのロマンですね。
バネ棒のタイプを決める
ベルトを付け替えて遊びたいなら「ワンタッチバネ棒」を装着できるようにしてもらったほうが良いです。
裏面に見える突起をスライドすることで外せます。これ、指で外せるんですよ。
革に穴を空けることになるため、長期的には耐久性に影響があるかもしれません。装着してしまうと見えないですし、突起が肌に触れることもないためつけ心地は変わりません。
ワンタッチ式出ない場合、「バネ棒外し」が必要になりますね。
なお、私の愛用品は明工舎製作所のバネ棒外しです。
その他、こだわりたいところは整理しておく
質問や相談事項があるなら、オーダー時に最初から伝えましょう。あとでアレコレと相談すると、職人さんが設計をやり直しになる可能性がある。オーダの相談そのものにだって、職人さんの時間がかかります。
きっちりと最初の方で決めてしまった方が、職人さんも気持ちよく作れるはずです。
あとがき
腕時計を何本も買うのは難しいですね。
けれど、ベルトオーダーなら手が出やすいのではないでしょうか。新しい時計が欲しくなったときは革ベルトのオーダを検討してみても良いかもしれません。
革、糸、サイズ、さまざまなチューニングが可能な腕時計ベルトは、面白いプロダクトです。ガラリと雰囲気が変わるので、気分転換にもオススメです。