徹底紹介!皮から革が作られるまで。なめしの全工程の紹介

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輸入された原皮から、「革」へ加工する事を鞣し(なめし)といいます。
なめしの工程を経て革になり、カバンや財布といった製品に仕立てられるんですね。

今回の記事は、そのなめしの紹介です。

ひと言でなめしといっても、作業工程は多岐にわたります。
具体的には汚れを落としたり、着色したり。
いくつもの業者をとおして加工され、少しずつ安定した素材である「革」に変化します。

なめしを行う業者を「タンナー」と呼びます。
革工房は「タンナー」の作った「革」を使って、革製品を仕立てあげるわけです。

今回の記事を読めば、タンナーがどういった作業をして「革」をつくっているのかが分かるようになります。

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なめしの目的

なめしでは、さまざまな工程を経ていくわけですが、大きな目的は2つ。

  1. 革を柔らかくすること
  2. 腐らないように加工を施すこと

1つ目はよく知られているかもしれません。
「鞣す」とは「革を柔らかくする」。読んで字のごとくですね。

2つ目は天然素材ゆえの作業です。
元は動物の「皮」ですから、革単品では腐敗したり、ガチガチに乾燥してしまいます。
(例えるならカサブタです。艶は一切なく、剥がれたら乾燥してしまいます。)
これを何十年も使える状態に変化させるのが目的です。

それでは、皮の輸入から革ができるまでをみていきましょう。

日本において原皮のほとんどが輸入

日本で利用される原皮のほとんどが、実は輸入されたものです。

自国でまかなえる皮は「牛・豚」のみ。
牛革も国産はわずかです。国内生産量は輸入量の約1/4程度。
あまり知られていませんが、豚の原皮のみ100%国産です。

原皮の中でも、最も輸入量が多いのが牛の原皮。
主な輸入先は、ヨーロッパやアメリカです。

原皮はそのままの状態ですと腐敗してしまうので、防腐のために塩漬けされています。
場合によっては、乾燥処理されていることもあります。

なめしの準備

水戻し

原皮を、水などでキレイにする工程です。
脱水された状態の皮に水を染み込ませ、柔らかな状態に戻します。

この段階では、生きていた証である血液やゴミなどが付着した状態。
不純物を塩分とともに洗い流してキレイな状態にすることで、後の薬品処理や染色などを円滑に行えるようにします。

裏打ち

皮には表(外側)と裏(内側)があります。
裏面には肉や脂肪が残っているので、これを大型の機械でそぎ落とします。

革に柔軟性を与える

石灰を混合した強アルカリ性の液体の中に皮を浸します。
これにより、失われたコラーゲン線維がほぐされ、ハリと潤いが復活します。

また、この時に皮の表面に付着していた“毛・脂肪”などが、液体の成分で分解されます。

革の厚さを整える

専用の機械を用いて、皮を決められた厚さに分割し厚みを調整します。
ここで、皮は表面側である「銀皮」と裏側である「床皮」に分けられます。
床皮は革製品以外にも、医療用など様々なシーンで利用されます。

普段手にする革製品が均一な厚みなのは、この工程を経ているからです。

垢出し

ここまでの工程でも残ってしまった脂肪などの不純物を、機械や刃物をつかって丁寧に取り除きます。

分割した皮を再び石灰に付ける

分割した際に、からまってしまったコラーゲン線維を再びほぐすため、もう一度石灰液に漬け込みます。

これは柔らかさがウリのスエード革やソフト革に加工するための大切な工程です。

石灰を取り除く

石灰液に漬け込んだ際に付着した石灰を、完全に取り除く作業を行います。

銀面は余計なタンパク質が除去され、初期の状態よりもなめらかな質感に変化します。

また、石灰を取り除くことで、なめし剤がスムーズに浸透するようになります。

酸に浸ける

薬品を使ったクロムなめしの場合は、ここで皮をなめす前に酸性溶液に浸します。

なめし剤は酸性で溶解するため、この作業によって、なめし剤が皮へ吸収しやすくなります。
その結果、線維組織の深くまで、なめし剤が浸透します。

なめし

なめし

耐久性や耐熱性を向上させるために、ここでなめしが行われます。
なめし剤がコラーゲン組織と結合することが“なめし”の正体です。
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革が柔らかくなり、色味や特徴、耐熱性といったさまざまな特性がここで付与されます。

この工程の後に、「皮」→「革」へ呼び方が変化します。

今日のなめしでは「タンニン鞣し」、「クロム鞣し」が主流となっています。
なめし剤や方法によって、革の特徴が変わってきます。
この違いはけっこう奥が深いです。

詳細はこちらにまとめていますので、興味がある方はご覧ください。

タンニンなめし?クロムなめし?なめしの違いによる革の特徴、メリット、デメリットの紹介
私たちが利用している「革」は、動物の「皮」を加工してできたものです。 その加工…

余計な水分を脱水

なめしの際に含まれた、余分な水分を機械で絞り出します。
ここでの仕上がりによって品質が分けられます。

カットして厚さを調整する

シェービングマシンで革の裏側(床面)を削って、全体の厚みを均一にします。

製品に合った厚みにこの工程で調整します。

中和

酸性になっている革をアルカリで中和します。
これによって今後の染料や加脂といった作業が均一に浸透するようになります。

もう一度なめす

製品の用途にあった革にするために、もう一度革をなめします。

革の風合い、耐熱性、防水などさまざまな特性を付与されます。

乾燥

後の染色や加脂をしっかりと行うために、乾燥させます。
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自然乾燥や熱風、天日干しなどさまざまです。

例えばタンニンでなめした革は、天日干しすると色が濃くなるため屋内での乾燥を行います。このように素材やタンナーによって乾燥のさせ方は多岐にわたります。

仕上げ

革への色付けや仕上げ加工を施す工程です。
タンナーにとって「革」とは独自性のあるマテリアルであり、この工程によって革工房やデザイナーが求める「革」に進化させます。

銀むき

ヌバックやベロアといった起毛素材は、この工程で起毛仕上げを行います。
キレイに染色するため、革の表面をペーパーがけし、平らに整えます。

革を染める(着色)

染料を使って、革に色を付けます。
革の染色

染色は別途紹介したいと思います。ここでは概要まで。

革の質や製品の特徴によって、染色方法は大きく3つあります。

染料仕上げ

革の本来の質感や風合いを活かし、製品後の革の育ちを楽しむ用途で用いられる染色方法。

顔料仕上げ

ビビッドな色合い、均一感のある表情。汚れや水に強い。
こういった特徴を持たせたい製品に、利用される染色方法です。

アリニン仕上げ

染料仕上げに近い風合いを残しながら発色が良い仕上がりになります。

染色も大変奥が深い作業。
この方法によって、革の特徴がガラリと変わってきます。
詳細に興味があれば、こちらをご覧ください。

革の染料仕上げ?顔料仕上げ?着色の違いによる特徴、メリット/デメリットの紹介
赤、黒、青。 私たちが手にする革製品の多くは色が付いています。 これはな…

加脂

場合よっては、油脂を使って柔軟性を加えること(加脂)もあります。
ミネルバ・リスシオや、ミネルバ・ボックスはここで「牛脚油」を時間をかけて浸透させます。ですから、オイルが抜けにくく、革独特の艶がとても綺麗に生まれてきます。

染色と加脂が終わったら、革を伸ばします。
伸ばした後は、染色や加脂を革にしっかりと付着させる為に乾燥させます。

最終工程

機会によって革を振動させ、より柔軟性を与えます。
仕上げをしやすいように形を整えたり、スエードなど最終的な革の種類に応じて銀面がサンドペーパーなどで磨かれます。

必要な工程を踏んだら、計量化されて出荷します。

あとがき

今回は、なめしの工程について紹介しました。

私たちが普段目にする革はなめされた後のもの。
なかなか裏側の工程を知る機会は少ないと思います。

実際の作業を見てみると、少しエグい印象を受けたかもしれません。
生きていた「動物」の皮を少しずつ加工することで、私たちが使う「きれいな革」に変化させているわけです。

このことを知ると、革製品への見方が変わってきませんか?

私は、革への余計な装飾を好ましく思わなくなりました。
(懸命に生きた動物の革に、ブランドロゴや、華やかな加工は必要ないと思うのです。)

日本だけでも、多くのタンナーがあり、多くの工程を経て革を作っています。
普段使用している革製品も、ケアをして長く使ってください。

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