ホーウィン社のシェルコードバンは、美しさ、迫力、艶やかさ、エイジングといった点で、右に並ぶものはいない、革の王です。
今回レビューするのは、そのシェルコードバンを内装にまで使った最高級の1品。ココマイスターのラウンドファスナー財布「シェルコードバン・アーチデューク」です。
アーチデュークの特徴は以下のとおり。
- ラウンドファスナータイプの長財布
- 外装も内装も、ホーウィン社シェルコードバン
- 日本の職人によるトップクラスの上質な仕立て
本ページでは、アーチデュークの使い勝手、特徴、メリット・デメリットについてわかりやすく解説します。ホーウィン社シェルコードバンを使った、ラウンドファスナー財布をご検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
スペック
ブランド | ココマイスター |
---|---|
商品名 | コードバン アーチデューク |
収納力 | ★★★★★ |
お札入れの数 | 2 |
お札の枚数 | 20 |
コインの枚数 | 20 |
カードの枚数 | 8 | サイズ | 192 × 95 × 20mm | 重さ | 198g |
素材 | ホーウィン社 シェルコードバン |
カタチ・構造
アーチデュークは「ラウンドファスナー長財布」にカテゴライズされます。
一般的なラウンドファスナーと比べて、サイズは同じくらいですね。男性の私が手にとるとこんな感じ。決してコンパクトとは言えません。
外装はシェルコードバンの一枚革。ぐるりと覆うデザインで、継ぎ目がない。どこを触っても、どこを見ても、シェルコードバンを楽しむことができます。大きな面いっぱいに、光沢とツヤ、迫力と存在感を味わうことができる。素材を邪魔する装飾は一切ありません。
まだ新品の時点では、コードバンのハリがプロポーションに影響していますね。少し丸みを帯びていて、どこか柔らかな印象も受けるルックスに仕上がっています。
アーチデュークの質感は、硬すぎず、柔らかすぎずといったところ。
シェルコードバンはオイルをたっぷりと含んでいるため、手馴染みのよい柔らかさがあります。さらに、徹底的に磨き上げられた表面は、サラリとしたさわり心地。何というか、触れていて気持ちのよい素材なのです。
そもそもコードバンは、厚みのある革では無いため、ブライドルレザーほどカチンとした硬さはありません。とはいえ、ぐにゃりと曲がるほどではなくて、柔らかさとハリがバランスされた質感といったところです。
さて、実際の使い勝手についてご紹介してまいります。
ファスナートップもコードバン。単に平べったい革ではなく、中央が少し膨らんだ肉厚のつくり。そのため、しっかりと握ることができます。
コードバンのカラーと合わせた、ブラックのファスナーテープ。ゴールドのファスナーが目を引きます。ファスナーは日本が誇るYKK。引っかからず、滑らかに開きます。
内装もシェルコードバン。ギラリと開く光沢を財布の中を見ても味わうことができるのです。
中のつくりは、一般的なラウンドファスナーと同じです。
左右対称のシンメトリな美しさは、ラウンドファスナーだけの醍醐味です。
ガバッと開くので、各アイテムが見やすく、取り出しやすいんですね。
使い勝手
カード
カードポケットは、両端に4つずつ配置されています。つまり、アーチデュークでは8枚のカードを分けて収納することができるのです。
一般的な二つ折り財布ですと、段状のカードポケットは3〜4段ほどですから、その2倍のカードを、見やすく、使いやすく管理できます。カードが多い人でも満足できる収納でしょう。
(もっとたくさんのカードを分けて入れたいなら、同じシリーズのスタンフォードがおすすめです。)
さらに最上段は、フリーポケットとなっています。
仕切りの無い、長めのポケットですから、領収書、レシート、チケットなどを折らずに収納できます。ただし、マチはありませんから、たくさんのアイテムを詰め込むのは難しいです。
コイン
中央のファスナー部が、小銭入れとなっています。
ポケットの内装は、コードバンのカラーと合わせたブラック。統一感のある仕上がりです。
ポケットがそこそこ深いので、20枚くらいなら余裕で収納できます。
また、片方がマチ付きになっているので、ガバッと開くことができて、見やすく、取り出しやすいんですね。
ただし、コインを入れすぎるとポケットが膨らみ、重くなります。その分、お札も入らなくなります(ようは、バランスです)。
たくさんのコインはオススメできません。コインでパンパンの状態は、財布に負担がかかるため、型崩れの原因になるからです。財布を軽く、スリムするコツは、モノを詰め込みすぎないことです。使う人の気遣いで、財布の寿命や、持ち歩くときの快適さが決まるんですね。
アーチデュークをおすすめする理由の1つは、内装のレザーが、濃い色なこと。コインポケットがずっとキレイなままだからです。
コインポケットは、どうしても汚れてしまいます。これはコインが擦れ合うことで生じる金属粉が、革の線維に入り込んでしまうからです。ヌメ革のように「明るい革」は、黒ずんだように汚れが見えてしまうんですね。
しかし、内装がブラックなどの「濃い色」なら、そもそも汚れが目立たないのです。キレイに、長く使いたいなら、内装が濃い色のものをセレクトした方が、気持ちよく使い続けることができます。コインポケットまでクリーニングするなんて、面倒でやっていられないですよね。
お札
札入れはコインポケットの両サイド。
2層に分かれていますから、
- 一万円札
- 千円札
- 外貨
- 商品券
など、分けて収納することができます。
1層につき、20枚ほどは入ります。
それほどお札を持ち歩かないなら、カードを収納しておくこともできます。
ガバッと開いたときに、マチが広がるため、お札がパラリと広がります。見やすく、数えやすく、出し入れしやすいのです。
あらゆる財布のなかで、ラウンドファスナーは「お札がもっとも使いやすい」財布です。たくさんのお札を持ち歩くなら、アーチデュークは最適な一品だと思います。
特徴
ホーウィン社シェルコードバンを使った、贅沢なつくり
アーチデュークの一番の特徴は、やはりその素材にあります。
外装だけでなく、内装にもホーウィン社のシェルコードバンが惜しみなく使われているのです。美しい光沢と、迫力の相まる表情を、表でも裏でも楽しむことができるラウンドファスナーです。
カードが、映り込んでいるのが伝わるでしょうか。ここもホーウィン シェルコードバン。
コードバンは、ツルツルとしていて、スムースなイメージがあるかと思います。では、本作はどうか。
サラリとした質感です。シェルコードバンは油分をたっぷりと含んだオイルレザーですから、けっこう個体差があります(ものによっては、油分を感じることもある)。
表情には1mmに満たない、小さなキズのようなものが見えることがあります。私が手に入れたアーチデュークにもあるのですが、これは「ピンホール」と呼ばれる毛穴や、血管の後です。
自然な風合いをできるだけ活かしているのが、ホーウィン社の特徴です。キズを塗料で固めれば、無くなります。けれど、ホーウィン社はそれをしません。革の風合いと、奥行きのある透明感が無くなるからです。
これは気にしなくて良いです。というのも、普通に使うことで、次第に目立たなくなっていくから。(コラーゲンの線維が寝ていくので、新品のときよりもスムースになります。)
さらに、シェルコードバンにはたっぷりのオイルが含まれているので、オイルが循環し、その表情にギラリとした光沢が生まれてきます。
まとめます。
ホーウィン社シェルコードバンは、世界最高峰の素材として採用され続けるだけあって、非常に魅力的です。ただし、最初からバツグンの光沢があるわけではなくて、少しラフともいえる仕上がり。使い込むことによって次第に完成していく皮革なのです。
美しい表情と、そのエイジングを、表でも裏でも楽しめるのが、アーチデュークの醍醐味なのです。
日本の職人による、美しい仕上げ
ココマイスターに限らず、日本の革工房の財布は、世界一だと思うのです。アーチデュークもまた、その美しい仕上げを細部に見て取れます。
コバ
ラウンドするエッジもキレイに仕上げられています。
切った面がそのまま見えないように、引き手のコバも仕上げられています。
ステッチ
コードバンと同色の糸で、ステッチされています。真っ直ぐかつ、均等。
あとがき
ホーウィン社のシェルコードバンを使ったラウンドファスナーは他にもありますが、内装もすべてシェルコードバンで仕立てたものは、アーチデュークしかありません。
あらゆる財布の中でトップクラスの価格ですから、なかなか手が出しにくい1品かもしれません。実際、ココマイスターの財布の中でも、本作はもっとも高価な1品です。(だからこそ、人と被らないという嬉しい効果もあります)。