革工房Crevaleathco(クレバレスコ)の『ブライドル マネークリップ』を紹介しましょう。
特徴は以下のとおり。
- 薄いマネークリップ
- コインも収納できる
- 英国ブライドルレザーを使用
- Crevaleathcoの美しく丁寧な仕上げ
本ページではブライドル マネークリップの使い勝手、特徴、メリット・デメリットについて分かりやすく解説します。
スペック
ブランド | Crevaleathco |
---|---|
商品名 | ブライドルマネークリップ |
収納力 | ★★☆☆☆ |
お札入れの数 | 1 |
お札の枚数 | 10 |
コインの枚数 | 10 |
カードの枚数 | 4 | サイズ | W116×D85×H16mm | 重さ | 63g |
素材 | ブライドルレザー × 国産牛革 |
カタチ、構造
本作はお札とカードを収納できる財布。いわゆる「マネークリップ」です。一般的なマネークリップとは異なり、本作はコインも収納できます(後述)。
部位によって厚みは違うのだけど、6〜10mmほど。極薄です。
サイズ感は、クラシカルな二つ折り財布よりも小さくて薄い。スーツの内ポケットへも快適に収納できる。携帯性に優れた財布です。
財布を留める仕掛けはありません。パカッと開き、パタリと閉じる「かぶせタイプ」。
素材は英国ブライドルレザー(詳細は後述)。クリップ部はブライドルレザーをギュッと巻きつけて作られています。
ブライドルレザーは裁断されていません。1枚仕立てだからブライドルレザーの表情をシームレスに楽しめる。贅沢なつくりです。
内装には二種類の革、ブライドルレザーと国産牛革が使われています。
中央に、お札をはさむクリップ。
左側にはカードポケットが。
そして、背面にはコインを収納できるポケットがあります。
使い勝手
カード、お札、コインの使い勝手を解説しましょう。
カード
3つのポケット
3つのポケットにそれぞれ一枚ずつ収納できます。ポケットデザインはストレートとカーブが採用されています。
最下段のカードポケットが最も使いやすい。ラウンドカットされているため指を添えやすく、カードの出し入れも快適です。
1つのポケットに2枚収納することもできるけど、推奨しません。カードを取り出すときに手間がかかる。また、本作のカチッとしたフォルムも崩れてしまいかっこよくない。財布に負担もかかるため、型崩れも起きやすいからです。やはり1ポケット1枚がいい。
では、4枚以上入れることはできないのか?
できます。
隠しポケット
段上のカードポケットの下。スリット状のポケットがある。
最後まで入れると、カードが完全に隠れてしまうため、使いやすいとはいえません。
財布を大きく開いて、マチがないスリットから引き抜く必要があります。カードがクリップにもぶつかりがちになる。コントロールが難しいです。
お札を挟んだ状態では(ほとんどの場合、挟んでいるでしょう)、出し入れすることができません。
結論としては、隠しポケットに収納しておくカードは限られます。
持ち歩きたいけれど、ほとんど出し入れしないカードです。例えば、オートチャージ付きのSuicaなどは良いですね。そのままタッチ決済できて便利です(Suicaと干渉するカードを同時に携帯するなら、磁気防止カードが必要です)。
あるいは、免許証、保険証などがいいかな。
お札
お札を収納するときは、クリップを立ち上げる。途中まで立ち上げると、
バネの力で自動で開く。
これくらい開きます。
お札を収納してみましょう。センターに置く感じ。
クリップを倒すときも、途中まで押し込んであげれば、
自動的に閉じる。結構バネのチカラが強いです。はじめてマネークリップを使う人は戸惑うかもしれませんが、本作に限らずマネークリップのバネは固めです。
しっかりと押さえられているため、逆さにして振っても落ちません。
さて、お札を10枚準備しました。
クリップで押さえた様子。適当に閉じてみましょう。
はみ出ますね。これ、お札が不揃いだからです。
中央で折りたたむようにお札を納めると、はみ出ません。
5枚以上のお札をしまうときは、右側のフラップに挟んだほうが、早く、綺麗に収納できます。
日本のお札、ジャストサイズに設計されています。日本の財布は、こういうところがいい。
使い方です。横向きでも使えるけど、私は縦のほうが好き。
パラパラとめくって、お札を数えたり、取り出したい紙幣を探す。このアクション、マネークリップの醍醐味です。この操作がとにかく気持ち良くて、すごく使いやすい。理屈抜きにカッコいいいです。
狙ったお札を引き抜く。数枚まとめて取り出すこともできます。取り出すときは、クリップを上げる必要はありません。
別のマネークリップですが、マネークリップの使い方の動画です。参考になるかと。
さて、収納できるのは10枚ほどがMax。
10枚で財布が開いてしまう。たくさんのお札を挟んで、机の上においたりするのは避けたほうがよいです。
半分の5枚。少ない方がピタッと閉じられますね。
本作に限らず「お札を折る財布」ならこうなる。「お札が真っ直ぐに戻ろうとする力」が働いてしまうからです。
コイン
一般的なマネークリップは、コインを収納できません。しかし、本作は違う。背面のポケットに、コインが収納できます。
薄さを実現するための、フラットな引き手。
小さいけど、しっかりと掴める。
開くとマチがお目見え。片マチ構造。このポケット、中も革の表面が使われているんですよ。
マチの裏にも革が貼られています。濃い色の革をあてることでコインの金属粉が付着しても、黒ずみが目立ちにくい。それに、捻(ねん)も引かれていますね。技術も手間もかかる仕事です。
ポケットは大きくないため、Maxで10枚ほど。なるべく少ないほうがいい。コインが重なると歪に膨らんでカッコ悪いです。
ブライドルレザーって硬いんですけど、本作はポケットが可動しやすいように薄く加工してあります。だから開きやすくて、想像以上にコインが入れやすいです。
見やすいとは言えないのだけど、1,2枚ずつ狙ったコインを取り出すことができます。
10枚前後でけっこうきつい。膨らみが気になるなら、財布を振るとフラットになりやすい。そして、なるべく小銭を使って、薄いフォルムを保つようにしたほうが良い。そのほうがカッコいいです。
片方にしかマチが無いのには意味がある。両方にマチがあると両端がポコっと膨らんでしまう。方マチだから、強制的にスリムになり、スタイリッシュなルックスを保ってくれる。
そもそもマネークリップは、最小限のお札とカードを挟むためのものです。そこに「コインも入る機能」をそのまま追加することはできない。マネークリップの薄さが死んでしまうからです。
たくさんのアイテムを持ち歩きたいのなら、クラシカルな二つ折り財布を選んだ方が良いでしょう。マネークリップのスリムさを活かしつつ、コインも収納できるギリギリのサイズ感をデザインしたのがCrevaleathcoのマネークリップなのです。
素材
ブライドルレザーを贅沢に使用
ブライドルレザーはさまざまなタンナーで作られています。本作のブライドルレザーは、英国 クレイトン社製。100年以上の歴史をもつ、老舗タンナーの銘革です。
ブライドルレザーは馬具に使われるため、堅牢性が求められました。そのため、極めて硬い。「ハリ」が強く、厚みによっては折れてしまうことがあるほど。
本作は「ブライドルレザーらしくない」しなやかさがあります。薄くスライスして、カチッとなりすぎないハリに調整されています。
極めてスムースで透明感がある。なめらかな革はキズが目立ちやすいけど、使い込むことで色ツヤも変化し、キズと相まって迫力が生まれる。そんなエイジングを楽しめる革です。
指で触れても凹凸は分かりません。サラリとした肌目です。コードバンには及びませんが、指を映し出すほどのスムーな表情です。
表面に見える、白い表情は「ブルーム」。ワックス成分が表面に付着したものです。これまで様々なタンナーのブライドルレザーを手に入れてきましたが、クレイトン社のはブルームが控えめみたいですね。ブルームの出方は個体差があるし、季節によっても変わります。
使っていると数週間でブルームは落ちてなくなるのですが、気になるなら強制的に落とすこともできます。ブラシでこすればすぐに落ちます。ここはお好みで。
極限まで、薄く小さくしたマネークリップ
マネークリップは構造上、大きくなりがちです。クリップを添えなくてはいけないからです。また、ポケットを左にも右にもつけたりする。その結果「薄くないマネークリップ」が完成する(これはこれで、たくさん入るからニーズはあるでしょう)。
一方、本作は極めてシンプルな設計です。カードが3段だけなのも、高さを抑えるめ。ポケットが左だけなのも、薄くするため。
クリップ部、革がカットされているのも、クリップの飛び出しを抑えるため。
クリップ開閉時に可動するポイントがある。カットすることで財布の高さを揃えています。
コバ仕上げや捻引きが難しくなるのに、サイズダウンのために独特の設計を施している。Crevaleathco独自のコダワリです。
美しい仕上げ
Crevaleathcoの職人、西森氏の技が細部にも施されています。
ステッチ。
3mmほどの緻密なピッチ。これ、手縫いです。すごく時間がかかっているはずです。
斜めの糸目。立体感があって、きれいです。
コバ
面取りされた、丸みのあるコバ。手当たりがいい。マットな質感です。光沢は控えめ。
ブライドル マネークリップは、すべてのパーツがコバ仕上げされています。
捻(捻)
ステッチとコバの間のラインを捻(ねん)といいます。きれいに引かれています。
オーダーメイドも可能
ブライドル マネークリップはオーダーメイドが可能。
- ブライドルレザーの色
- 牛革の色
- クリップとファスナー
上記3つを、お好みのカラーからチョイスするカスタムオーダーです。完成まで1ヶ月ほどかかります。革製品のオーダーでは一般的な納期です。
受注生産による
本作に在庫はありません。オーダーしてから制作されるため、入手までに1ヶ月ほどかかります。
時間はかかりますが、出来たての製品を手に入れることができます。
パッケージ
しっかりとハリのある、ネイビー色のパッケージ。金色のロゴが高級感を出しています。
あとがき
薄くてオーソドックスなカタチのマネークリップはたくさんある。けれども、コインを収納できるマネークリップは少ない。さらに上質な素材、美しい仕立てのものになるとほとんどない。
Crevaleathcoのマネークリップは、そんな要望をかなえてくれる1品です。