レザーブランドthree2fourとは何か。革職人、松山氏 インタビュー。

革工房three2fourをご存知でしょうか。

革職人の松山氏が、デザインから制作、販売までを一貫して行う、個人の工房です。
ユニークで上質な革製品をラインナップする、お気に入りのブランドです。

製品レビューを書くたびに、three2fourにもっと迫りたいと思っていたのですが、
このたび、代表の松山氏にインタビューする機会を得ました。

本ページでは、three2fourの誕生、コンセプトなどについてご紹介します。

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three2four誕生まで

— 本日はインタビューを受けてくださり、ありがとうございます。three2fourのコダワリなど、色々とお話を聞かせてください。

こんにちは。松山といいます。
こちらこそ、ありがとうございます。

— まずは自己紹介がてらthree2four誕生までのストーリーなど、お話しいただけますか。

子供のころからモノ作りが好きでしたね。東工大の大学院を出て、ある電気メイカーに就職してプログラムを組んだりしていました。

俺ね、言葉が悪いかもしれないけど、社会不適合な人間なんですよ。
会社だと、もっと自分が作りたいものを掘り下げて作りたい気持ちが強かったんだけど、なかなか難しいじゃないですか。特に異動先が企画の仕事だったんだけど、ほんとに合わなかったんですよ。

で、気晴らしにフラリと立ち寄った図書館でレザークラフトの本を見つけたのが、革製品を作るきっかけでしたね。ハリと糸、それから革があれば始められて、自分の好きなものを作ることができる。最初は趣味で始めたんですよね。

当時、毎日飲みにいくお店があってね。お店に行くと、常連の友人がいるわけ。で、最初は友人に革の素材代だけもらって、作ったりしていましたね。2012年ころかな。

その後、レザーアワードなどのイベントに参加したり、口コミで紹介されたりで、少しずつ人脈やthree2fourの製品が広がっていった感じ。

たとえば、坂本商店さんから黒桟革(くろざんがわ)を託されて、香港素材展示会(APLF)に向けて「何か作ってくれ」ってお願いされたんですよね。そこで作ったノートカーバー「LOF」が展示されたんだけど、反響がスゴかったみたい

— 黒桟革って日本の革ですよね。珍しいからそれもウケたのかもしれませんね。

うん。かもしれないね。
キラキラした表情が独特で、好きなんだよね。今日付けているベルトも黒桟革なの。

— そのときは会社勤めだったんですか?

そう。会社員しつつ革製品を作ってたね。

で、リーマンショックとかで会社が下降していってる中、「革がいいな」って気持ちが盛り上がってきた。そこがちょうどクロスしてね。2013年に会社を辞めて、全く違う革の世界に飛び込んだの。

three2fourとして事業をはじめたのは、2014年ですね。

— 当時からWebサイトだけでオーダーを受けていたんですか?

そうだね。お店はやってなくて、サイトだけ。
口コミで広まっていたのかもしれないけれど、当時から注文をいただいていましたね。

three2fourの製品について

— three2four独特の構造が好きなんですけど。コダワリを聞いてみたいです。

たとえばCLIPはさ、右利き左利きで作り変えているじゃない?

— はい。構造が違いますよね。

それもね。理由があるの。
すべての操作が右手だけで済むように設計しているの。

あと、使いやすさも考えてる。

例えば、財布ならパッと開けれて、見やすいのが好きなの。
コインを使うなら、すぐにアクセスしたいと思うんですよね。

だから「SWITCH」もガバっと開くし。

LIZ」も浅いポケットでコインが見やすいようにしてる。

— オーソドックスな財布、例えばラウンドファスナーとかありますよね。でもそういうのはthree2fourには無いじゃないですか。既存の財布とは違うものを目指してデザインしてるのですか?

世の中にないものを目指すのも、会社員時代の反動だと思うのよ。
会社ってスゴイ制約が多いでしょ。他部門の人がNGって言ってるとか。自由にできないことがすごく嫌だったの。やる気があるけど、できない。みたいな。

とにかく、好きなものが作りたかったんですよ。
だから財布も「自分がこう使いたい」を、カタチにしたいわけ。素材もコダワッてね。

「手縫いの革製品」にこだわるのも、会社員時代からつながってるんですよ。デジタルの世界で量産するものって、価格が下がっていっちゃうでしょ。

だから、自分がガンバればなんとかなるモノが良かったの。量産できずに、コピーもできないものを考えたときに、趣味でやっている革製品が合うなと思ったわけ。

three2fourのラインナップについて

—定番の財布がたくさんありますよね。2014年のスタート次から揃っていたのでしょうか?

今ほどは無かったね。
最初に作ったのは、Wボックス コインケースの「VIEW」。

その後ショート財布を作ろうとして「CLIP」を作ったのよ。

あとは、お客さんの要望に答えているうちにモデルが増えたというのもあるね。
2Face plus」もそのひとつ。

お客さんの「要望」ってのもね、お札2,3枚、コイン数枚と、カード2枚が入る財布が欲しいって言われた。ものすごくフワッとしてますよね?

— たぶん、ユーザの考えは、そんなもんだと思います・・・。
そのインプットをさ。どうやって表現するかってところが面白いところなの。

— LIZやSIZは、もっと後でデザインされたのですか?
LIZは2015年だったかな。
LIZは自分の中からデザインした財布。「自分ならこう使いたい」ってのを掘り下げて作ったのよ。

そう考えると、お客さんからの要望から作ったものと、自分が欲しくて作ったものがあるね。でも、どっちのパターンでも、自分がイイと思うものを掘り下げて作るっていうのは変わんないね。

— 要望をすべて聞いていたら、何を作っているのか分からなくなりません?
そうそう。ボヤケちゃう。

俺の作った財布ってオリジナルなのよ。
俺って人間を財布で表しているの。だから他ブランドの財布と似てなくて当たり前なの。

クラシカルな財布をね、モノスゴク丁寧に作る職人さんもいるじゃないですか。そこはまったく否定してないんですよね。ただ、その分野は、その職人さんたちに任せておけばいいと思っているんです。

俺は「自分がすきなもの。自分らしいもの」をやっていきたいなってのがあって。

—「自分らしさ」を製品に活かすのは、創業からずっとですか?
そうだね。最初から変わってない。
2012年にWebサイトを作ったんだけど、そのときにthree2fourのメインコンセプトを「最大機能の最小化」にしたの。
その指標が「機能、デザイン、耐久性」の3つなの。これは創業時からずっと追求してる。

— デザインとは「見た目」ですか?
うん。見た目がスッキリしたものが好きだから。

デコレートしたものは好みじゃなくて、革の良さが味わえて、それでいて存在感があるものがいい。でも、自然とそうなっていくの。技術が上がって、自分らしいものを追求すると、シンプルなものでも個性が出てくるのよ。

でね、three2fourのカタチは変わっているじゃないですか。けど、全部使いやすさを追求した結果なんだよね。機能主義なのよ。機能を作り込んでいく中で、どうやってデザインを最小化するかを考えてるの。それができると耐久性も上がるのよ。

— ステッチが少なくて、つなぎ目がないほうが壊れにくいですよね。
そうそうそう。そういうのが好きなの。

— 「みんなが欲しいすべての機能」を落とし込むと、製品としては売れるんでしょうけど…。そうしてないですよね。

よく分かんないものになっちゃうよね。

— 最小限の実装で、必要な機能を盛り込むという考えが面白いですね。プログラマの視点の気がします。

そうかもしれない。「TOTE BAG」はモジュール設計を考慮してるね。

これはソフトウェアの考え方だよね。インタフェースは共通化して、パーツは別に付けれるみたいな。そこはプログラマとしての視点が活きているのかもしれないね。

three2fourの革

— 使う革はクロコやコードバンなど、高価な素材が多いですよね。コダワリはあるんですか。

俺が好きな革。イイなと思う革を使ってます。
あと、お客様が求めるもの。その両者がクロスする革ですね。

総手縫いで、価値のある構造を。安くない価格で提供すると・・・って考えるとね、やっぱり良い革を使いたい。

あとね、オーダーするんだったら、ちょっと変わったものが欲しいじゃない?

— はい。オーダーしてから1年以上待つわけで、やっぱり特別を期待しちゃいますよ笑

そうそう。お待たせして申し訳ないんだけど。
要望には応えたいのよ。

— 一番好きな革とかあるんですか?

決められないね・・。
それぞれ好きなとこがあって、良い個体があったら買うって感じ。

革屋さんに行ったら必ず革を買ってるの。だから、良い革を買わせてもらえるんだよね。あと、数作れないからこそ、良い革だけ買うようにしてる。

— クロコ、リザード、エレファント、シェルコードバン、国産コードバン、あと黒桟革ですね。

そうそう。あと、先日展示会があって、いくつか使って見たい革も見つけた。今後取り込むかもしれない。

新作の設計・制作について

— 定番アイテムを作りつつ、新製品も開発してますよね。製造よりも設計のほうがずっと時間がかかると思うんですけど。どうやって時間を捻出されているんですか。

うん、そこなのよ。難しいところなんだよね(笑)。

ビジネスを続けるためには、キャッシュがいる。だから定番のアイテムを作って、購入いただく必要があるんですよ。

定番アイテムでも、新しい素材を使ってイベントに出したりしてるんです。お客さんの意見を聞きながら、新製品に活かしたいなと思ってる。

でもね、やっぱり新しいものをすごく作りたいのよ。
ずっと温めているものもあるし、それは夏に出せればいいかなと思っているんだけど。

あとね、作らなくなったモデルもあったりするんですよ。
同じ製品を作っていると、もっと良い設計が見えてきたりする。

2019年に発表した「DIX」はカードをスッキリと収納できるデザインしたの。
で、今はDIXと2Face plusを一緒に使えば良いなって考えがある。

オーダーについて

— 何年も前の製品も、オーダーできるんですか?

作品集に乗っているものは作ろうという姿勢ですね。

ただ、これからはDIXを推奨するかなと思う。
もちろん、お客さんの用途と相談してだけど。

オーダー状況

— けっこう休止してますよね。ほとんど受けてないイメージなんですけど笑
そうそう。2014年から開始だから、6年くらい?でも、ほとんど受けてないんですよ・・・。

— オーダーを受けているときだったら、どれくらいで手に入るんでしょうか。順番に作っているんですよね?

同じ製品だったら平行して作れる工程があるから、多少前後したりするけど。
オーダーを受けた順でお渡ししているので、今は1年くらいかな。

でもこれでも早くなったんだよ。宿題(バックオーダー)もだいぶ減ってきたし。

— 半年前も同じセリフ聞きましたけど(笑)

いや、ホントなんだって(笑)。
宿題減ってるはずなんだけど・・・。
昔からお世話になっているお客さんに相談されると断れないでしょ。

— それが原因だと思います(笑)

— ところで、オーダーでは、革を選べるんですか?
はい。革も色も選べますよ。

特に要望が無ければ、イメージを提案もしてますね。
茶色い革にオレンジのステッチは洒落た感じになります。
黒のクロコに黒のステッチだと、落ち着いた感じになります。みたいな。

— 製品、革、色をユーザのイメージと合わせていくって感じですか?
そうそう。できるだけお客さんの要望にフィットさせたいの。

あと、「わかってそうな人」は、こっちに任せてくれたりしますね。
それはそれで、俺も最大限やるしかないんだけどね(笑)。

ひとつひとつが勝負なのよ。
大げさかもしれないけど、オーダーの積み重ねで俺の人生も決まっちゃうしね。

— フルオーダは受けてるんですか?
2015年に受けたオーダー、まだやってないからね・・。
まずその方のオーダーに答えたいですね。なので、今は受けてないんですよ。

今後の展望について

— 今後の展望はありますか?

特にないんですよね。
好きなものを作って、自由に生きてるから。
人生の最高の贅沢って自由だと思っているからね。

— 手先を動かす職人さんの仕事っていくつまでやれるか、ってところがありますよね。

それはあるよね。そういう意味では、俺が開発した技術を若い世代に与えるってことをやってみたいなとは思ってる。ずっと先になると思うけど。

— 最後の質問です。読者さんにお伝えしたいことはありますか?

財布を買ってください(笑)。
まずは体験してみてほしい。「他の財布と違うんだ」ってのが分かるからね。
ピタリとはまったら、きっと人生が豊かになると思うんだよね。

仕事していくうえでね、役立つことがしたいってのがあるの。
使う人にフィットしたものを作りたいなってのが本音なんだよね。
そのきっかけになるのが財布だからさ、やっぱり使ってみてほしいね。

— 本日はありがとうございました。

あとがき

革工房three2fourは、東京、大阪、名古屋でのイベントで製品を見ることができます。
ご興味があれば、ぜひ行ってみてください。

個人的には、あといくつかオーダーしている製品があるので、ご紹介したいと思います。

参考リンク

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