MASAMI TANAKA(マサミ タナカ)は、美しくエッジの効いた革製品を作る日本の革工房。
さまざまな財布をラインナップしているのですが、本日ご紹介するのは、もっともコンパクトな一品、「MOKHA(モカ)」です。
まずは特徴をピックアップしてみましょう。
- 小さな財布
- お札、カード、コインが入る
- コインの使いやすがバツグン
- イタリアの高級レザーを贅沢に使用
- ラウンドフォルムの美しいプロポーション
- すべての工程をデザイナー本人が行う、妥協のないつくり
一口で言うと、お札やカードも収納できる、大人のコインケース。
気軽に持ち歩けるコンパクトでエレガントな財布をお探しなら、MOKHAは検討の価値ある一品です。ぜひ参考にしてみてください。
スペック
ブランド | MASAMI TANKA |
---|---|
商品名 | MOKHA |
収納力 | ★★★☆☆ |
お札入れの数 | 1 |
お札の枚数 | 10 |
コインの枚数 | 20 |
カードの枚数 | 4 | サイズ | W110 × H70 × D25mm | 重さ | 56g |
素材 | 牛革(アドリア) |
使い勝手
MOKHAは「小さな財布」にカテゴライズされる一品。
今日、小さな財布はたくさんあって、そういったものと比べると、本作はNo1の小ささとは言えません。
しかし、それで良いのです。
MOKHAはコンパクトを突き詰めたわけではなくて、手馴染みの良さやプロポーションなど、「手に持つ道具としての上質さ」を追求した一品だからです。
まずは、外観から見ていきましょう。
ラウンドフォルムに仕上げられたボディがユニークですね。
表装をぐるりと覆うように使われている素材は、イタリアの最高級シュリンクレザー「アドリア」。やわらかなシボのあるシュリンクレザーです。
サラリとした質感。微細なシボが心地よい手触りを生み出してくれます。
このカタチと素材が相まって、最高の手触りとフィット感を楽しむことができます。
わずか59gと、バツグンに軽いのも特徴です。
スペックだけ見ると、もっと軽いものはあります。しかし、革のカタマリを感じられるぷっくりとしたフォルムで、軽いものはMOKHA以外にありません。何というか、ふわりとした軽さです。
財布のつくりを、見ていきましょう。
MOKHAの表面には、2つの突起(ギボシ)が見えます。これでフラップを留めるつくり。
親指で押し上げるように、フラップを開きます。
穴には切り込みがないため、しっかりとハマった状態。少し力を加えないといけませんが、使っていくうちに馴染んでいき開けやすくなっていくでしょう。
フラップの裏面にもアドリアが貼られています。
MOKHAのどのパーツを見ても、革の表面だけが目に入る(毛羽立った裏面が見えないように)ようにデザインされています。これは、表面のみを貼り合わせてステッチする、手間のかかる仕立てで、安価なアイテムには見られません。
そしてここに、あるギミックが隠されています。触ってみると分かるのですが、ハリのある質感です。
フラップを外すと自然にここまでオープンするほど。
アドリアは1mmほどの柔らかいレザーですから、通常こういったことはおきません(くたっとしてしまう)。
ここも、MOKHAの面白いところ。MASAMI TANAKAのコダワリなのです。
MOKHAのボディ部には、ハリの強い芯材が入っているようです(革に隠れていて、見えないのですが)。
やわらかな手触りと、カッチリとした質感を同時に楽しめるのです。耐久性もアップし、型崩れを防ぐ効果もあるでしょう。
コイン
MOKHAを開くと、最初に目に入るのがコインポケット。
両マチ構造と、外装のハリによって、フラップを開けたときに丁度よい感じに開きます。
ポケットの内装は、ペイズリー柄の生地が貼られています。光沢のある表情で、エレガントな装いです。
ちなみに、MOKHAはいくつかのカラーラインナップがあり、それぞれペイズリー柄のお色も異なっています。
収納できるコインは30枚ほどがMAX。お札の枚数によっても変わりますが、MOKHAの美しいプロポーションを保つなら、20枚ほどまでとお考えください。
使い勝手はバツグン。浅めで、横長のコインポケット。さらに、ガバッと開くデザインと相まって、コインが見つけやすく、出し入れしやすいです。
「コインが使いやすいこと」は財布を使っていて気持ち良く感じるためのキモだと思うのですが、MOKHAはこの点で大変すぐれています。
お札
お札を入れるスペースがこちら。
内装もアドリアで仕立てられていて、滑りが良いです。お札の出し入れは実にスムーズ。10枚ほどの収納がベスト。
お札は二つ折りにして入れることになります(三つ折りにする必要はありません)。
正直、これは好みが分かれるポイントのはず。お札をよく使うなら、「折ってから入れる」アクションが面倒だと思うかもしれません。
もっとはっきりと言いましょう。
MOKHAはコインケースとして、優れた一品です。上質で使いやすいコインケースをお探しなら、本作以上のものはなかなかありません。
一方、カード、お札、コイン、このすべてがバツグンに使いやすい財布ではないのです(残念ながら、小さい財布に、そういったものは存在しません)。
あまりお札を持ち歩かないなら、最高の相棒。
Suicaなどの電子マネー、クレジットカード決済が多いなら、お札を使う機会はあまりないはずです。であれば、MOKHAのお札の使い勝手は、苦にならないでしょう。
ちなみに、このポケットにはカードを収納することもできます。
よく使うカードはここに入れておいたほうが使いやすいです。後述するカードポケットは、出し入れに適しません。
カード
最前面にあるスリット。ここがカードポケットです。
エンボス加工された厚みのあるカードなら2枚までとお考えください。
奥まで差し込むと、カードが見えなくなります。
マチがなく、ガバッと開くことができないため、決して使いやすいとは言えません。
ここは、免許証や保険証など、「使わないけれども持ち歩きたいカード」を入れるのに最適なスペースです。オートチャージの付いたSuicaなども便利です。
よく使うカードを入れるのなら、上述したお札入れに収納するほうが良いでしょう。
特徴
イタリアの最高級シュリンクレザーを贅沢に使用
本作のほぼすべての面で使われる素材、アドリア。きめ細かく、繊細なシボが特徴です。
シュリンク(shrink)とは、薬剤を使って革をギュッと縮めること。革が縮むことで面積が小さくなり、型押しレザーと比べると、より弾力のある質感に仕上がります。
残念ながら、シュリンクを謳っておきながら、実際にはただの型押しのもあるのですが、アドリアは本物。
イタリアの老舗タンナー、マストロット社(mastrotto)の代表作で、世界中のトップメゾンで使われる最高級レザーです(事実、他のシュリンクレザーより4倍ほど高価です)。
クロムなめしの皮革のため、エイジングによる色、ツヤの変化は楽しめませんが、その代わり、水や汚れに強く、新品のときの美しさを何年も楽しめます。
MOKHAでラインナップされているのは、落ち着きのある4カラー。気品ある装いのため、ビジネスシーンに添えても違和感がありません。
日本製の美しい仕立て
ステッチワークは、ストレートかつ均等。
コバは同色の塗料で仕上げられていて、一体感があります。アドリアの表情に集中できるようにデザインされています。
デザイナーMASAKI TANKAが一貫して作成
MOKHAのスゴイところは、デザインから仕立てまで、すべての工程をMASAKI TANAKA氏が、お一人で行っていること。これは、MOKHAに限らずMASAKI TANAKAのアイテムすべてにおいてだそう。
百貨店や、直営店に並ぶ革製品のほとんどは、デザイナーと職人が分かれています。さらに、作業ごとに分業することも。効率的に量産することで、多くの人に届ける方法を採っているわけです。
ただし、こういった体制のもとでは、デザイナーのこだわりが、1つ1つの製品に作り込まれているかというと、難しいところです(職人によって技術レベルに差があるから)。
ご紹介してきたとおり、本作は細部にまで徹底的にコダワッて仕立てられています。1人の職人が、最高の素材と技術で、納得できるレベルまで作り込んでいるのです。かなり時間がかかるのでしょう。一般的な財布よりも、高価な価格帯となっています。
量産できないため、お店にはまず並ばないブランドです。
レア度が非常に高いため、人と被ることはまずないでしょう。
エレガントなプロポーション、美しい仕立てを求めるなら、MASAKI TANAKAのプロダクトにきっと満足できるはずです。
美しいパッケージ
化粧箱も、時計が納められるような美しい仕立て。
フワリとしたベルベット調の台座に、納められています。
箱を開ける瞬間は、一番のワクワクポイントだと思うのですが、その体験を大切にしていることが伝わってきます。
あとがき
MOKHAは、とても優れたコインケースです。
美しさ、気品、所有する満足感において、本作を上回るものはなかなかありません。
MASAKI TANAKAは、二つ折り財布や、長財布もラインナップしています。
気になった方は、公式取扱サイトをチェックしてみてはいかがでしょうか。