革工房FlathorityのLandシリーズから『Mini wallet(FP-511)』をご紹介しましょう。
本ページではMini walletの使い勝手、特徴、メリット・デメリットについて分かりやすく解説します。
特徴
- 縦型に開く二つ折り財布
- 比較的コンパクト
- Flathorityオリジナルの国産コードバン
- 内装はイタリアのオイルレザー、プエブロ
- 色・ツヤが変化するエイジングを楽しめる
- コバ、捻など丁寧に仕上げられている
スペック
ブランド | Flathority |
---|---|
商品名 | Land MiniWallet |
収納力 | ★★★☆☆ |
お札入れの数 | 1 |
お札の枚数 | 10 |
コインの枚数 | 15 |
カードの枚数 | 4〜6 | サイズ | W100×H79×D30mm | 重さ | 78g |
素材 | 水染めコードバン × プエブロ |
※定番の素材はプエブロ。本ページでご紹介するのはコードバンを使ったパターンオーダー品となります。機能やスペックは定番と同じです。
カタチ、構造
二つ折りタイプのお財布。オーソドックスな二つ折り財布よりも小さい。いわゆる「小さい財布」と比べるとさすがに大きめです。
素材が特別。Flathorityが日本のコードバンタンナーと共同開発したオリジナルのコードバンです(詳細は後述)。
内装はプエブロ。イタリアのオイルレザー(後述)。
コードバンのハリ・コシが強い。革マニアにはたまらないと思います。
財布が開いてしまう。財布が開いてしまう。ただ、これは最初だけ。使い込んでいくとパタンと閉じるようになります。
ボタンなどで留める構造ではありません。そのまま、縦に開きます。中はこんな感じ。
下部にコインポケット。
上部にカードポケット。
コインポケットの背面にもカードを収納できます。
右側にお札を収納するスペースがあります。
ボリュームがあるんですけど、財布のカチッと感は控えめ。似た形の財布として、WILDSWANSのパームやG.E.Walletがあるんですけど、比べると柔らかいです。しっかりとしたハリ・革のカタマリ感を求めるなら、Landシリーズは合わないと思います。
タグは型押しで目立ちません。シンプルで好きです。1952年からの老舗工房です。
使い勝手
カード、お札、コインの使い勝手を解説しましょう。
カード
4つのポケットがついています。プラスチックのカードなら4枚。加えて薄いカードなら1〜2枚くらい。4〜6枚くらい入ります。
上段の3つのポケット。新品のときはテンションが強くて1枚ずつしか入らないです。馴染んでくると2枚入るかもしれませんが、カードを選ぶ手間がかかりますし。ポケットが伸びてしまう。伸びたポケットは元に戻りません。カッチリとテンションをキープしたいなら、1枚がおすすめ。
少し顔を出すように収まります。Land Mini Walletは縦に開きます。財布を持って、上部にカードスロットが並ぶ。ここに3つのポケットがあります。つまり、こちらのカードは上から下に引き抜くことになります。ちょっと難しい。
財布を横にして出すか、逆さに持ったほうが出し入れしやすい。
ちなみにコインポケットはホックで閉まっているのでコインが落ちることはないです。コインもこちらの向きでも使いやすい。ただ、お札ポケットが左になるので、右利きの人にとっては使いにくくなります。
2スロットは出し入れしやすいです。よく使うカードはここに入れると快適です。しかし、中央に近いポケットは出し入れがしにくいです。カードが奥まで入り込むように設計されているから出しにくい。また、屈曲する部位に近いので、カードが革に当たりやすい。免許証や保険証など、あまり出し入れしないカードを入れておくと良いでしょう。
コインポケットの背面にもポケットがあります。カードを下から上に引き出すカタチになるので、自然に取り出せます。
ただし、ポケットに収納すると完全にカードが隠れてしまう。こちらも「よく出し入れするカード」は向かないでしょう。Suicaなどを入れるのがよいですね。磁気予防カードを入れれば、他のカードと干渉せずにタッチ決済できます。
コイン
フラップを開きましょう。
ホックはHASIHATO製です。ゴールドは高級感があって好きです。
フラップの裏面にも革が当てられています。プエブロは柔らかいオイルレザーのため、革を充てることで耐久性がまし、開くときにしっかりとしたハリが出て操作しやすくなる。もちろん、美観に優れます。
プエブロのやわらかさ、しなやかさを活かした丸みのあるフォルム。使い込んでいくとペタンとスリムになっていきます。
両サイドが折込マチになっていて、手前に開きます。
入れやすい。
ポケットの幅は一般的な二つ折り財布と同じくらいかな。
本作に限らず、たくさんのコインを持ち歩きたいなら、長財布を選んだ方が良いです。ちなみに、Flathorityはコードバンの長財布もラインナップしています。こちらはオーソドックスなラウンドファスナーです。
収納量のMaxは15枚くらい。
これ以上入れるとホックが締めにくくなります。
お札
右側に差し込むタイプ。内装は、手前がプエブロの裏面。こちらは裏面が処理されているため、毛羽立ちも少ないです。とはいえ革の表面と比べると多少のザラつきはあります。
奥手はコードバンの裏面。こちらもスムースになるように処理されているのかな。なめらかでお札の滑りがよいです。
内装には革の表面を使ったほうが、お札の出し入れするときに摩擦が起きにくく快適です。本作は裏面が使われていますが、上述のとおりスムースな肌目ですので、引っ掛かりがおきにくい。
それと、上下に少し切り込みが入ってるんですよね。だからお札がギュッと押さえつけらないし、出し入れするときに多少傾いてても良い。よく考えられています。機能的ですね。
1万円札ギリギリのコンパクトなサイズ。
そのため、1万円札はちょっと入れにくい。WILDSWANSのパームを持っている人は、同じような使い勝手だとお考えください。ただし、これは新品のときだけ。使い込むことで、入れやすくなります。
収納できる枚数は、10枚が最大ですね。
最大収納時の使い勝手
カード4枚、お札10枚、コイン15枚を収納してみました。本体はコンパクトですが、パツパツな感じ。
コードバンのハリも相まって、開いちゃいます。ここは使い込んでいくと閉まるようになります。
特徴
宮内産業 × Flathorityの水染めオイルコードバン
本作のコードバンは特別です。Flathorityでしか使われてないもの。なぜなら、宮内産業さんとFlathorityが共同開発したものだからです。
いくつかのカラーがラインナップされていましたが、ブルーをセレクトしました。革は写真と本物では大体違って見えるので届くまでドキドキでしたが、本作はビビッドなブルー。新喜皮革社のオイルコードバンのブルー、ホーウィン社のネイビーと比べるとかなり淡い色。
毛穴は結構目立ちますね。他の国産コードバンと比べるとラフな印象。
薄っすらとスレもある。「水染め」と名付けられれているのは、染料で染色した薄化粧だからでしょう。革本来のキズ・シワがある個体もあるはずです。
折り曲げる部位は、色が淡く変化していますね。コードバンの中で染料やオイルが移動することで、色味が変わってみえる、プルアップという現象です。
透明感があり、光すぎない表情。個体差もあるのかな。
アメリカ、イタリア、他の国産コードバンと比べると、多少マットな印象です。使い込んでいくうちに色・ツヤが変化する楽しみを味わえるコードバンといえます。
ちなみに、他社のコードバン同様、キズはつきやすいです。使い込むことでキズが目立たなくなるかもしれない。ガシガシ使ってエイジングを楽しみたいと思います。
内装はプエブロ
Landシリーズで使われるレザーはプエブロ。イタリアのタンナー、バダラッシカルロ社のオイルレザーです。ミネルバ・リスシオを手摺りでけばた出せたものです。
繊維が乱舞する極めて個性の強い革です。手触りもユニーク。和紙のような手触りでサラリとしている。
ペトローリオという色。青と緑がミックスしたような独特の色合いです。ちなみにミネルバのオルテンシアとも色味が違って見えるんですよね。
こちらも、色・ツヤがぐっと深くなります。ミネルバ同様、変化は早めです。
仕上げ
丸みを活かしたデザイン
丸みがあるデザインは柔らかさを生む。高級感も出ますし財布の耐久性も増します。
細部にRが活かされていますね。機能的な付加価値はないのかもしれませんが、高級感が出て良いですね。
コバ
Landの価格帯では、非常に美しい仕上げだと思います。
革を重ねた部分は、フチが丸みを帯びるように磨かれています。内装は染料が使われていないみたい。プエブロの上質さがわかります。
外装は黒い染料ですね。
ステッチ
革の色と同色のステッチ。
丸みを帯びた部位もきれいに縫われています。
コードバンはキズが付きやすいのですが、ミシンのあとがあまり目立たないですね。
捻(ねん)
革のフチとステッチの間にラインが引かれています。これを捻(ねん)といいます。圧力をかけることで光って見える。アクセントになって、高級感が増します。
あとがき
Land mini walletはコンパクトすぎないサイズで、お札やカードなどを収納できるお財布です。価格もリーズナブル。エイジングも楽しめるので、初めての革財布としてもオススメです。
コードバンモデルは高価ですが、プエブロのMini walletなら手に取りやすいプライスでしょう。