イタリア トスカーナ州は、多くのタンナーがひしめく革の名産地。
州都フィレンツェでは溢れんばかりの革製品がお店に並んでいます。
その中から、フィレンツェの伝統工芸品である財布をセレクトしてみました。
本日ご紹介するのは、革工房「IL BUSSETTO(イル・ブセット)」のコインケース。本ページでは、その使い勝手や特徴に迫ってみたいと思います。
最初に特徴をあげてみましょう。
- 世界一使いやすいコインケース
- ユニークで美しいプロポーション
- 奥行きのある透明感と光沢
美しく、使いやすいコインケースをお探しなら、きっと気にいるはず。
ぜひ参考にしてみてください。
スペック
ブランド | IL BUSSETTO |
---|---|
商品名 | コインケース |
収納力 | ★★☆☆☆ |
お札入れの数 | 0 |
お札の枚数 | 0 |
コインの枚数 | 25 |
カードの枚数 | 0 | サイズ | W85 × H85 × D20mm | 重さ | - |
素材 | 牛革 |
日本で手に入れるなら、今のところamazonだけです。
使い勝手
手のひらに収まる小さなサイズ、丸みを帯びたフォルムが特徴です。バツグンに持ちやすく、気持ちよくフィットします。
ピョコリと飛び出たフラップ。こちらを引っ張ってオープンします。
中はこんな感じ。上蓋とコイン収納部、2つのパーツに分かれます。美しいフォルムと色合いを楽しめるデザインで、無駄な装飾はありません。実にシンプルです。
コインを入れた状態で、開いてみましょう。
開けると、ジャラリとコインが流れてきます。この時点では、完全に出てきません。
傾けていくと、自然にコインが流れ出てきます。上蓋が、コインの受け皿になるんです。広い面にコインが散るため、見やすく、取り出しやすいです。
革の壁に囲まれ、ラウンドしたフォルム。かなり傾けても、コインがこぼれ落ちることはありません。
仕舞うときは、この逆。
上蓋を傾けると、スルリとコインが吸い込まれていきます。
閉じるときに「フシュッ」と音がします。これは、隙間無く仕立てられた上質な革製品の証。たとえるなら、ジャストサイズの革靴を履いたときのような、気持ちの良さです。
独特のルックスに目を奪われてしまいますが、本作の真髄は「使いやすさ」にあります。
「コインが使いやすいこと」は、財布を気持ちよく使えるキモだと思うのですが、この点で、本作はトップクラス。コインを出し入れするときの「引っかかり」が一切ないため、使っていて心地よいのです。
日本のコインケースと比べてみましょう。
もっとも似たコインケースは、馬蹄型でしょう。日本の伝統技法で仕立てられたものですね。こちらも腕の良い職人しか作ることができないため、日本有数の革工房でしか販売されていません。
サイズ感は、ほぼ同じ。どちらも美しいデザインです。
馬蹄形は、コイン収納部のフォルムも、入り口もフラット。そのため、たくさんのコインがある場合、傾き加減を調整しないと、コインが引っかかることがあります。
一方、IL BUSSETTOのコインケースは、同じ枚数のコインで、引っかかること無く「ジャラリ」と出し入れできます。これが実にキモチイイのです。
ヒミツは、丸みを帯びた大きな入り口と、ドーム状にラウンドしたフォルム。この組み合わせによって、コインがスムーズに出し入れできるわけです。
収納力も、バツグンに良いです。25枚は余裕です。
特徴
ステッチのない、美しい表情
本作には、一般的な革製品に見られる、ステッチがありません。
革を木型に当て、カタチを整え、植物性の糊で貼り合わせて作られているとのこと。手縫いやミシンなどによる縫製が、一切行われていないのです。
貼り合わせた面も、実に精巧。段差がほとんど分かりません。これが、フィレンツェ伝統の製法です。
ただ、コバの仕上げはNo1とは言えない。もっと綺麗に仕上げる日本の革工房があります。ただ、価格を考えると仕方ないですね。
日本の財布は、革の断面が見えないように、コバを美しく処理しているのが特徴です。細部の美しい仕上げを求めるなら、やはり日本の革工房がNo1です。
透明感のある色合い
私が選んだカラーは、赤。
深みがあり、ところどころ濃淡が異なります。本作を購入した理由の1つは、この美しい表情です。
本作は、タンニンなめしの本革に、染料で彩りを加えた、本物の革製品です。さらに磨きをかけることで、バツグンの光沢感をまとっているんですね。
ちなみに、本作の色は、変わっていきます。エイジングですね。
タンニンなめしの革、かつ染料で染められたアイテムですから、色・ツヤが変化していくのです。本作は10年以上使えるとのこと、その変化を含めて、楽しめる人にこそおすすめできます。
手染めされた表情は、ひとつひとつが微妙にことなります。
私は革のエイジングが大好きなので、明るめの色のものをセレクトしました。(色は深まるように変化していくため、変化の度合いが大きいのです)。
ちなみに、日本で売られている90%の革製品は、クロムなめし、で顔料で色をつけられたもの。ビビッドな色合いと、キズや水に強いという特徴がありますが、エイジングを楽しむことはできません(粗悪なものは、顔料が剥がれてくるのです)。
モデルラインナップ
IL BUSSETTOのコインケースには、いくつかのラインナップがあります。
私は、内装にも革の表面が張られたものをセレクトしました。サラリとした質感で、触っていて気持ち良いです。
2枚の革を張り合わせて作られているため、少し堅牢なつくり。ギュッと握ると、反発するハリがあります。
通常モデルは、内側に「革の裏面」が使われています(一枚革で仕立てられている)。また、染色もされていない、素のヌメ革のままです。コインが見やすくて良いですね。
このタイプは、上蓋が少しやわらかい仕上がり。これは好みが分かれるポイントかもしれません。日本の馬蹄形コインケースのような堅牢さは無いため、少し違和感があるかも。
機能的には、どちらも同じですので、好みでセレクトしてよいでしょう。ちなみに、一枚革の方が、安価です。
フィレンツェで、いくつかの工房を見て回りましたが、すべて一枚革で作られたものでした。私がセレクトした、外装も内装も革の表面が使われているのは、IL BUSSETTOでしか見つけることができなかった。
熟練の技術
本ページで紹介しているコインケースと「同じようなもの」が、フィレンツェの多くの革ショップで販売されています。そのどれもが、フィレンツェの職人が手作りしたものです。つまり、ひとつひとつ微妙に異なります。
では、何が違うのでしょうか?
IL BUSSETTOをセレクトした理由は、仕立ての良さと色合いです。
たとえば、上蓋のフタのハマり具合。隙間なく、ピタリとハマる仕立ては、ベテランの技術の証です。フィレンツェで、5つくらいの店舗を見て回ったのですが、IL BUSSETTOのものがもっともカッチリとした仕上がりに感じました。この仕上げによって、どれだけ長く使えるかが決まるとのこと。(隙間があるものは、バランスが悪く、型崩れが起きやすいそう)。
濃淡のある表情も、惹かれたポイントです。
フィレンツェの伝統技法を活かしたアイテムは、日本のGANZOからマエストロ シリーズとして販売されています(というか、実はこれもGANZOの職人がフィレンツェで学んできたものなので、オリジナルはGANZOではありません)。
比べてみると、IL BUSSETOの本品は、色むらを残すような仕上げです。
これは好き嫌いが分かれるポイントかもしれませんが、GANZOのマエストロは、均整な表情だと感じました。IL BUSSETOの方がハンドメイド感があり、味わい深い仕上がりです。
あとがき
IL BUSSETTOは小さなお店です。
お店の奥が、そのまま工房になっていて、職人歴30年以上のジュゼッペファナーラさんが、フィレンツェ特有のアイテムを仕立てています。日本語も堪能ですし、フィレンツェに行った際はぜひ足を運んでみてください。
ちなみに、日本国内でもamazonで購入可能(イタリアからの直送のため、送料が高いのです)。
参考
もしイタリア フィレンツェに行くことがあれば、革のお店を回ってみてはいかがでしょうか。お気に入りのお店をまとめてみました。