突然ですが、みなさんは「家系レザー」という言葉を聞いたことがありますか?
見た目がシンプルで素材の良さがダイレクトに伝わり、随所に職人のこだわりが垣間見えるそんなレザーの事を指します。
家系レザーは女性誌の編集長がつけたネーミング
横浜発祥の家系ラーメンは、スープがこってりしていて濃厚な味わいが特徴ですよね。
それに見立てて、シンプルでエイジングが楽しめるレザー小物を比喩的に表現したのが「家系レザー」です。
元々はある女性誌の編集長がネーミングしたものなのですが、面白さが受けて雑誌業界で瞬く間にその名前が広がりました。
ちなみに、家系レザーが好きな女性の事を「家系女子」と呼ぶそうです。
家系レザーの特徴
デザインは凝ったものではなく、至ってシンプルなものが特徴です。
レザー本来のもつ特徴を活かした製品を指します。
革を専門に扱い、少なくとも創業から半世紀以上経っている老舗ブランドや工場が、家系レザーブランドとして挙げられています。
ファクトリーブランドならではの確かな品質と適正価格
ハイブランドから仕事を請け負っている工場が、独自のブランドを立ち上げて制作するブランドを「ファクトリーブランド」と呼びます。
アパレルの仕組みで、ブランドネーを乗せるだけで価格が3~4割ほど上乗せされます。
ファクトリーブランドなら、ネームがない分同じクオリティで価格を抑える事が出来ます。
その為、家系レザーと呼ばれるのはファクトリーブランドが多く取り上げられます。
ちなみに、最近だとFactelier(ファクトリエ)が有名ですね。
ファクトリーブランドにかけあって、本当に価値のあるファッションアイテムをリーズナブルな価格で提供しています。財布とはかけ離れてしまいますが、ここのメリノウールを使ったアンダーウェアは最高の着心地です。
家系レザーのお勧めブランド5選
家系レザーのブランドは確かな技術のあるファクトリーブランドが多いというのをお伝えしましたが、ブランド別にお勧めの家系レザーをご紹介いたします。
ホワイトハウスコックス
1875年に馬具のメーカーとして創業した、ホワイトハウスコックス。
イギリスのウォルソールという町に本社と工場があります。
馬具用に使われていたブライドルレザーで革小物を作るようになったのは1930年代からでした。日本においては1970~80年代に大手セレクトショップにて取り扱いがスタートし、当時の男性たちは虜になっていました。
技術の発達した現在でもミシン以外はすべてハンドメイドで作られており、使えば使うほど深みが増すエイジングが特徴です。
グレンロイヤル
1979年にスコットランドのキルマーノックという街で産声をあげました。
創業者は「ピーター・パティソン」で、現在でも頑なに「メイド・イン・スコットランド」を貫いています。
グレンロイヤルで使われている素材は最高級のイギリス製ブライドルレザーのみです。
この頑固さが家系レザーらしい特徴と言えますね。
イルビゾンテ
1970年にワニー・ディ・フィリッポが妻のナディアと共に創業したブランドです。
イタリア語でイルはその、ビゾンテはバッファローという意味です。
力強いバッファローをイメージしてロゴのマークに採用しています。
伝統的な製法でなめされたバケッタレザーを使用しており、使い込んだ製品のエイジングは目を見張るものがあります。柔らかい質感は女性にも人気の家系レザーです。
綺麗なオレンジはイルビゾンテの特徴で、その発色の良さは目を引くものがあります。
ワイルドスワンズ
1998年に茨城県で創業した日本のブランドです。
他のブランドが角ばった形をしているのに対して、ワイルドスワンズはざっくりとしながらも柔らかく丸みを帯びた曲線になっているのが特徴です。
コバと呼ばれる革の切れ端部分に対して非常に拘りを持っていて、職人が何度も磨きあげます。その処理の美しさにはレザーマニアも脱帽です。
以前オーダーメイドでも紹介しましたが、ワイルドスワンズはパターンオーダーを受け付けていて、オーダー財布のみコバの色を変更することができます。
カミーユ・フォルネ
フランスの馬具職人だったカミーユ・フォルネが1945年に時計ベルトメーカーとしてスタートしました。
時計用ベルトは繊細かつ正確な縫い目でなければなりません。その技術を革小物にも応用しており、ため息のでる程美しい縫い目は「手縫いの芸術」と言われています。
フランスブランドらしいエレガントで端正なデザインのアイテムが特徴です。
まとめ
家系レザーに共通しているのは、「縫製や素材な何かしらに於いて、そのブランドだけのこだわりがあること」という点です。
シンプルだからこそ、飽きがこないで長く使い続けることができます。次に革小物を買い替える際に、あなたも家系レザーデビューをしてみませんか?